業績

3  【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要はつぎのとおりです。

 

① 経営成績の状況

  当連結会計年度の経営成績は、売上高4,281億7千5百万円(前年度比8.8%増)、営業利益638億6百万円(同28.3%増)、経常利益655億7千7百万円(同35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益472億8千9百万円(同31.0%増)となりました。

 

  セグメントごとの経営成績はつぎのとおりです。

  なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、管理部門費の配賦方法を変更しています。前年度比較については、前年度の数値を変更後の算定方法に基づき組替えて比較しています。

 

・計測機器事業

  売上高2,775億1千5百万円(前年度比11.7%増)、営業利益529億5千6百万円(同26.6%増)となりました。

 

・医用機器事業

  売上高668億9千4百万円(前年度比0.0%減)、営業利益60億8千3百万円(同21.8%増)となりました。

 

・産業機器事業

  売上高567億3千6百万円(前年度比25.8%増)、営業利益59億7千8百万円(同78.2%増)となりました。

 

・航空機器事業

  売上高223億1百万円(前年度比21.9%減)、営業利益1億1千8百万円(同86.6%減)となりました。

 

・その他の事業

  売上高47億2千7百万円(前年度比7.4%増)、営業利益12億5千6百万円(同26.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ484億6千3百万円増加し、1,553億1千9百万円となりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況はつぎのとおりです。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

  営業活動によるキャッシュ・フローは、633億6千7百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ4億3千3百万円減少しました。その主なものは、税金等調整前当期純利益の増加161億2千9百万円、棚卸資産の増減による減少83億7千8百万円、法人税等の支払額の増加66億4千9百万円、契約負債の増減による減少28億5千8百万円です。

 

・投資活動によるキャッシュ・フロー

  投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ78億1千5百万円支出が減少し、60億4千4百万円の支出となりました。その主なものは、設備投資による支出101億3千1百万円、定期預金の純増減による収入35億6千2百万円です。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

  財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ26億2千4百万円支出が増加し、156億5千8百万円の支出となりました。その主なものは、配当金の支払額114億9千万円、リース債務の返済による支出41億4千8百万円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

イ. 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測機器

282,526

14.6

医用機器

66,435

△0.5

産業機器

56,508

22.4

航空機器

21,538

△26.1

その他

4,767

28.7

合計

431,777

10.1

  (注) 金額は、販売価格によっています。

 

ロ. 受注実績

  当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

計測機器

293,462

18.0

84,880

23.1

医用機器

72,685

9.7

22,652

34.3

産業機器

60,123

38.1

13,261

34.3

航空機器

25,443

22.2

32,346

10.8

その他

3,732

1.1

1,873

△34.7

合計

455,446

18.9

155,014

21.3

 

ハ. 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、つぎのとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

計測機器

277,515

11.7

医用機器

66,894

△0.0

産業機器

56,736

25.8

航空機器

22,301

△21.9

その他

4,727

7.4

合計

428,175

8.8

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容はつぎのとおりです。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ. 財政状態

  当連結会計年度末は、前連結会計年度末に比べ現金及び預金が452億6百万円増加したことなどにより、総資産は630億6千8百万円増加し、5,605億2千8百万円となりました。純資産は、利益剰余金が357億9千1百万円増加したことなどにより、456億5千9百万円増加し、3,811億6千4百万円となりました。

 

ロ. 経営成績

  当連結会計年度における世界経済は、各国政府の経済政策等により景気回復が見られる中、新型コロナウイルスの感染拡大、半導体等の部材不足や原材料の高騰、年度後半に発生した急激な為替変動、ロシアのウクライナ侵攻等、依然不透明な状況は継続しています。

  このような経営環境のもとで、当社は、「世界のパートナーと社会課題の解決に取り組む企業」を目指した中期経営計画に取り組み、重点事業、海外事業、リカーリング事業、成長4分野の強化・拡大を図りました。重点事業では液体クロマトグラフ、質量分析システムが医薬・食品安全等のヘルスケア分野向けを中心に好調に推移しました。海外事業では、グローバルでパートナーとともに課題解決を推進した結果、主要地域全てで増収となり、海外売上高比率は53.0%(前年度比2.2pt増)となりました。リカーリング事業では、アフターマーケット事業やソフトウェアのサブスクリプション等を強化しました。成長4分野では、ヘルスケア、環境・エネルギー・マテリアル、インフラの各分野で事業拡大を推進しました。また、緊急重要課題として取り組んでいる感染症対策プロジェクトでは、新型コロナウイルス検出試薬キットや全自動PCR検査装置に加え、変異株検出キット等新たな製品を開発しました。また、企業・大学・医療機関等と協力して「感染症対策の仕組み作り」にも注力しました。

  以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は4,281億7千5百万円(前年度比8.8%増)となり、営業利益は売上の増加に加え、売上総利益率の改善などにより、638億6百万円(同28.3%増)、経常利益は655億7千7百万円(同35.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は472億8千9百万円(同31.0%増)となり、過去最高の業績を達成することができました。

 

  セグメントの経営成績は、つぎのとおりです。

  なお、当連結会計年度の期首より、報告セグメントごとの業績をより適切に管理するため、管理部門費の配賦方法を変更しています。前年度比較については、前年度の数値を変更後の算定方法に基づき組替えて比較しています。

 

・計測機器事業

  計測機器事業は、国内、海外ともに増収となりました。分野別では、ヘルスケア分野は、医薬・受託分析向けに、液体クロマトグラフや質量分析システムが好調に推移しました。新型コロナウイルス感染拡大に伴う検査需要により、新型コロナウイルス検出試薬キットや全自動PCR検査装置も増加しました。製造業では輸送機向けに試験機が増加する等、回復基調となりました。官庁・大学では、各国政府の予算執行が進んだことや大学の再開により、液体クロマトグラフ、質量分析システム等が増加しました。

  この結果、当事業の売上高は2,775億1千5百万円(前年度比11.7%増)となり、営業利益は売上の増加等により、529億5千6百万円(同26.6%増)となりました。

 

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

104,173

113,631

9.1

新型コロナウイルス感染拡大にともない、新型コロナウイルス検出試薬キットや全自動PCR検査装置が増加。また、輸送機向けや、官庁・大学向けに試験機が増加。

北米

25,979

29,465

13.4

医薬、臨床向けに液体クロマトグラフが好調に推移。前年コロナ禍で影響を受けた大学向け需要の回復に加え、水質モニタリング向けに環境機器が増加。

欧州

25,626

28,561

11.4

ロシア向け販売の停滞はあるものの、食品安全や受託分析の需要が堅調に推移し、液体クロマトグラフや質量分析システムが増加。

中国

57,563

63,248

9.9

前年度の薬典需要の反動があるものの、医薬や受託分析向けに液体クロマトグラフが増加。

その他のアジア

26,821

31,283

16.6

医薬向けに液体クロマトグラフや質量分析システムが増加。

 

 

・医用機器事業

  医用機器事業は、国内は増収となりましたが、海外は減収となりました。国内では、補正予算を活用した医療機関の設備投資が進んだことで市況が回復し、X線TVシステムが増加しました。また、放射線治療装置用動体追跡システムやアフターマーケット事業も貢献しました。海外では注力している北米でX線TVシステムが拡大したものの、前年増加した新型コロナウイルスの肺炎診断で用いられる回診用X線撮影装置が一部地域を除き減少しました。また、半導体等の部材不足による生産遅延が販売に影響しました。

  この結果、当事業の売上高は668億9千4百万円(前年度比0.0%減)となりましたが、営業利益はアフターマーケット事業が好調だったこと等により、60億8千3百万円(同21.8%増)となりました。

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

36,944

37,969

2.8

補正予算による市況の回復によりX線TVシステムが増加したことに加え、放射線治療装置用動体追跡システムも貢献。また、アフターマーケット事業も好調に推移。

北米

8,292

8,495

2.5

医療機関の設備投資は回復基調にあり、X線TVシステムや一般撮影システムが増加。

欧州

4,759

3,481

△26.8

回診用X線撮影装置の需要が大幅に減少したことや、ロシア向け販売の停滞により減少。

中国

5,241

4,674

△10.8

中国国産品との競争激化に加え、入札が遅延する等設備投資が停滞。

その他のアジア

5,983

6,230

4.1

東南アジアにおいて新型コロナウイルスの感染再拡大により、回診用X線撮影装置の売上が増加。

 

・産業機器事業

  産業機器事業は、国内、海外ともに増収となりました。製品別では、ターボ分子ポンプは、第5世代通信網の拡大、DX推進等による半導体需要の増加に伴い、半導体製造装置向けが好調に推移したことに加え、建材ガラス、薄膜太陽電池等の薄膜製造装置向けにも需要が拡大しました。また、産業車両・建設機械・農業機械向けに需要が拡大し、油圧機器の売上も大幅に増加しました。

  この結果、当事業の売上高は567億3千6百万円(前年度比25.8%増)となり、営業利益は売上の増加等により、59億7千8百万円(同78.2%増)となりました。

 

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

23,140

26,623

15.1

半導体製造装置向けターボ分子ポンプや、産業車両・建設機械・農業機械向けに、油圧機器が好調に推移。

北米

5,311

7,837

47.6

半導体製造装置向けターボ分子ポンプや、産業車両・建設機械・農業機械向けに、油圧機器が好調に推移。

欧州

2,180

3,074

41.0

半導体製造装置向けにターボ分子ポンプが好調に推移。

中国

10,058

13,536

34.6

半導体製造装置や建材ガラス・薄膜太陽電池のコーティング向けにターボ分子ポンプが好調に推移。また、産業車両・農業機械向けの油圧機器に加え、ガラスワインダも大幅に増加。

その他のアジア

4,205

5,531

31.5

半導体製造装置向けターボ分子ポンプの需要が増加し、アフターサービスも好調に推移。ガラスワインダも大幅に増加。

 

・航空機器事業

  航空機器事業は、国内は減収となりましたが、海外は増収となりました。分野別では、防衛分野では前年大口案件の反動減により、減収となりました。民間航空機分野では新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要減少に底打ちの兆しが見られました。

  この結果、当事業の売上高は223億1百万円(前年度比21.9%減)となり、営業利益は売上が大幅に減少したにも関わらず、1億1千8百万円(同86.6%減)と黒字を確保しました。

  なお、売上高についての各主要地域別の状況は下記のとおりです。

 

前連結

会計年度

(百万円)

当連結

会計年度

(百万円)

 

増減率

(%)

概況

日本

24,764

18,214

△26.4

防衛分野における、前年大口案件の反動減。

北米

3,569

3,822

7.1

民間航空機向け需要に底打ちの兆しが見られる。

 

・その他の事業

  当事業の売上高は47億2千7百万円(前年度比7.4%増)となり、営業利益は12億5千6百万円(同26.9%増)となりました。

 

(注) セグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでいません。

 

  当社グループは、2021年5月に公表した2020-2022中期経営修正計画において、最終年度の目標数値として、売上高4,300億円以上、営業利益570億円以上、営業利益率13.3%以上、自己資本利益率10.0%以上を設定し、取り組んできました。2年目である当連結会計年度の結果は、売上高4,281億7千5百万円、営業利益638億6百万円、営業利益率14.9%、自己資本利益率13.2%となり、目標に対して順調に進捗しました。

  この結果をふまえ、2022年5月に2020-2022中期経営計画を上方修正しています。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しています。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ. キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要  ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

ロ. 資金需要

  当社グループの資金需要のうち営業活動については、当社グループ製品製造のための材料や部品の購入のほか、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費および研究開発費です。

  投資活動については、生産能力の拡大・効率化、研究開発環境の整備、ITインフラの強化を目的とした設備投資・研究開発投資が主な内容です。今後、成長分野に対しては必要な設備投資・研究開発投資等を継続していく予定です。

 

ハ. 財務政策

  当社グループは、売上債権および棚卸資産の圧縮等資金の効率を高め、内部資金を生み出すことにより、借入金等の残高を減少させ、借入依存度を引き下げることで財務基盤の健全化を進めてきました。当連結会計年度末の借入金等の残高は、前連結会計年度末に比べ3千3百万円減少し、17億1千万円となりました。

  当社グループは、営業活動によりキャッシュを生み出す能力を持っていることなどから、当社グループの成長を維持するために将来必要となる運転資金および設備投資資金を創出・調達することが十分に可能であると考えています。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。

  連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられるさまざまな要因を考慮したうえで行っています。特に重要な見積りを伴う会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

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