課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1)経営方針

 経営理念として以下の通りミッション及びビジョンを策定し、再生医療の発展に貢献して参ります。

「ミッション」:価値ある、革新的な再生医療をリードし、世界の医療に貢献します。

「ビジョン」:細胞シートビジネスプラットフォームを確立して、最良の製品を世界に届けます。

 

 

(2)目標とする経営指標

 当社は再生医療支援事業と細胞シート再生医療事業を展開しておりますが、いずれの事業もまだ継続的な利益を計上する前の段階にあります。ただし、細胞シート再生医療事業においては、早期売上高計上開始を目指して複数のパイプラインの研究開発を推進しております。また、再生医療支援事業においては、国内外の販売代理店を通じた各種細胞培養器材の販売を推進し、販売促進を通じた売上高増強に努めております。

 当社は、以上のような売上高増加を目指した様々な事業活動を推進することによって、早期に連結ベースでの継続的な黒字化を実現することを中長期的な最重要経営課題としております。

 

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

 

① 再生医療支援事業に関する経営環境及び対処すべき課題

 再生医療支援事業の最大の課題は、対象顧客層における当社細胞培養器材の認知度向上による売上高増加であります。現在国内外の販売代理店及び自社による販促活動に注力しておりますが、特に海外においては認知度向上余地が大きいと考えられます。その施策の1つとして、新規販売代理店の開拓は喫緊の課題であると認識しております。

 顧客ニーズに対応した製品ラインナップの拡充も重要な課題であります。操作性の向上を目的とした新しい器材形態の開発や培養する細胞の特性に応じた培養器材表面の調整など様々な要望が顧客から寄せられており、当社でも具体的な検討作業を進めております。

 また、臨床応用用途の製品開発も重要な課題であると考えております。現在、当社が市販している製品は研究開発用途を目的とした製品が主ですが、今後は臨床研究段階や再生医療等製品の製品化の際にも利用可能な製品開発も進めております。

 さらに製造コストの引き下げ及び生産能力の拡充も重要課題の1つであります。現在、市販製品については大日本印刷株式会社に製造を委託して製品の安定供給を進めつつ、製造方法の抜本的な変革を目指し製造枚数を飛躍的に増やしつつ製造コストも引き下げる検討を進めて参ります。

 

② 細胞シート再生医療事業に関する経営環境及び対処すべき課題

(a) 細胞シート再生医療第1号製品の早期事業化

 当社の使命である「細胞シート工学」という日本発の革新的再生医療技術を基盤として様々な「細胞シート再生医療」製品を開発し、その世界普及を推進するためには、当社細胞シート再生医療第1号製品を日本において早期事業化することが重要であります。当社は、まず国内での細胞シート再生医療等製品パイプラインの開発を自社主体で推進し、販売承認取得を目指します。また製造体制・販売体制の確立を通して事業化段階をより前進させつつ、海外展開においては他社との提携等も視野に入れ、細胞シート再生医療事業の拡大を目指して参ります。

 

(b) 細胞培養施設の運営

 再生医療における細胞の培養には、細胞培養施設というバイオクリーンルーム設備が必要となります。当社は2016年に当該施設(細胞培養センター)を設置いたしましたが、当該施設は2014年11月施行の「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に準拠した設備運営実現のための体制作りを終え、現在はその維持、向上を目指しております。

 

(c) 細胞シート培養技術者の育成

 「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」の施行により、企業は医療機関からの臨床用細胞の培養の受託が可能となります。当社にとっては、細胞培養施設を所有しない、もしくは有しながらも人的リソースの不足などから効率的な運営ができないなどの問題を抱える大学病院や医療機関などから臨床用細胞シートの製造受託が可能となり、営業収益を拡大する機会となります。しかしながら、細胞シートの培養を適正かつ安全に行うには、十分な教育をうけた技術者の育成が必要であり、また高い技能を有した細胞培養技術者の育成は品質向上につながります。当社ではこれまで培ってきた細胞シート培養の経験やノウハウを活かし、臨床用細胞シートの培養を適正かつ安全に行うための細胞シート培養技術者の育成を進めて参ります。

 

③ 事業推進に必要な経営資源・インフラに関する経営環境及び対処すべき課題

(a) 事業資金の確保

 当社グループでは、研究開発活動の推進に伴い、運転資金、研究開発投資及び設備投資等、資金需要の増加が予想されます。このような資金需要に対応すべく当社は第三者割当増資や公募増資等を実施しましたが、今後さらにエクイティ・ファイナンス、事業提携の実現による開発中品目の上市前における収益化(一時金の獲得など)、国をはじめとする公的補助金、銀行からの借入等の活用などにより資金需要に対応して参ります。また、資金調達手段の多様化により継続的に当社グループの財務基盤の強化を図っていく方針であります。

 

(b) 人材の採用・育成

 再生医療等製品の研究開発には様々な専門スキルを有する人材が必要であります。特に細胞シート再生医療は工学・細胞生物学・化学などの学際分野に属することから多様な専門人材の採用・育成が不可欠です。またMetaTech社に加え台湾合弁会社設立によって、今後は今まで以上に台湾における共同開発、事業化に重点を置く予定であることから、日本国内のみならずグローバルで活躍できる人材の確保に注力する方針であります。

 また、組織規模の拡大・多様化に対応した会社組織としてのガバナンス、従業員サポート、教育の質的向上にも尽力して参ります。

 

 

(4)中長期的な経営戦略

 

 当社は経営の基本方針に基づき、当社が果たすべき基本的使命の確実な遂行により、外部環境の変化に対応して持続的な成長を実現するために、下記概要の通り計画を推進して参ります。

●日本で早期の食道再生上皮シートの製造販売承認申請を目指す

●自己軟骨再生シートは東海大学より先進医療に係る製造を受託。先進医療を見据えて治験実施

●日本発の細胞シート工学の世界展開のために事業提携を積極的に推進し収益の拡大を目指す。

●台湾における再生医療ビジネスへの投資拡大を見据え、台湾・三顧股份有限公司(MetaTech(AP) Inc.)及び台湾合弁会社(日生細胞生技股份有限公司(Up Cell Biomedical Co.))との協業を強化し、更なる収益機会獲得を目指す。

●再生医療支援製品の新製品開発及び研究用細胞の大量培養を目的とした新たな市場への製品供給並びに海外売上の拡大による需要増加に対応した生産体制・能力を充実、拡大し、更なる収益機会の拡大を目指す。

●受託製造、コンサルティング事業を推進し、更なる収益機会獲得を目指す。

 

 

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