業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)業績

 当事業年度におけるわが国経済は、緩やかな景気回復基調が続き、世界経済においても地政学的な先行き不透明感はあるものの緩やかな景気拡大が続きました。

 一方、当社が業を営む医療ライフサイエンス業界、とくに癌治療の分野においては、従来の医薬品とは作用機序の異なる免疫チェックポイント阻害剤の有効性が明らかとなり、薬価の問題はあるにせよ、世間が免疫治療に注目する絶好の機会となりました。温熱と免疫併用の治療効果は学会でも従来から認められており、当社の熱機器も併用療法による臨床研究で顕著な成績を収めております。

 このような状況の下、当社は当該医療機器の早急な認可を目指し、日本国内および海外での臨床開発や研究開発に鋭意取り組んでまいりました。

 これらの結果、売上高は8,793千円(前年度同期比93.8%増)、営業損失は78,212千円(前年同期は営業損失71,196千円)、経常損失は80,892千円(前年同期は経常損失70,613千円)、当期純損失は81,489千円(前年同期は当期純損失70,944千円)となりました。

 なお、当社は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末と比較して5,951千円増加し、82,190千円となりました。

 当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とその主な要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により減少した資金は80,260千円となりました。これは主に、税引前当期純損失80,892千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 該当事項はありません。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により増加した資金は86,222千円となりました。これは主に、新株式申込証拠金による収入48,670千円および株式発行による収入39,619千円および長期借入金返済による支出2,004千円によるものであります。

 

生産、受注及び販売の状況

(1)生産実績

 該当事項はありません。

 

(2)受注状況

 該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当事業年度の販売実績を示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当事業年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(千円)

前年同期比

(%)

医療機器事業(千円)

8,793

93.8

合計

8,793

93.8

(注)1 最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 平成28年4月1日

至 平成29年3月31日)

当事業年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

国立大学法人愛媛大学

2,461

54.2

2,590

29.5

有限会社徳島医療器

799

17.6

StemVets株式会社

700

15.4

FAコンサルティング株式会社

2,777

31.6

株式会社カラダカガク

研究所

1,100

12.5

田尾動物病院

 

 

833

9.5

株式会社J-ARM

 

 

750

8.5

吉野川電線株式会社

 

 

504

5.7

株式会社アレクソン

105

1.2

香港侵会大学

 

 

102

1.2

鳥取大学農学部共同獣医学科

 

 

30

0.3

   2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度末における流動資産の残高は100,949千円で、前事業年度末に比べ12,780千円増加しております。現金及び預金の増加5,961千円が主な変動要因であります。

 

(固定資産)

 当事業年度末における固定資産の残高は504千円で、前事業年度末に比べ75千円増加しております。

 

(流動負債)

 当事業年度末における流動負債の残高は8,946千円で、前事業年度末に比べ415千円増加しております。

 

(固定負債)

 当事業年度末における固定負債の残高は30,314千円で、前事業年度末に比べ2,004千円減少しております。長期借入金の減少2,004千円によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末における純資産の残高は62,186千円で、前事業年度末に比べ14,437千円増加しております。新株式申込証拠金の増加48,670千円及び株式の発行による資本金の増加20,941千円及び資本剰余金の増加20,941千円、当事業年度の当期純損失による減少81,489千円が主要な変動要因であります。

 

(3)経営成績の分析

 当事業年度における経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績」に記載のとおりであります。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

 当事業年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

(5)継続企業の前提に関する重要事象等の対応策

 「第2 事業の状況 2 事業等のリスク (3)経営成績、財政状況等に関するリスク ①継続企業の前提に関する重要事象」に記載のとおり、損益状況や資金繰りに関して、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社は当事業年度において営業損失78,212千円、経常損失80,892千円、当期純損失81,489千円を計上しており、また営業活動によるキャッシュ・フローにおいても80,260千円のマイナスを計上しております。

 これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

 当該状況は、当社が研究開発段階にあり収益獲得に至っていないこと及び研究開発のための資金を要することに起因するものであり、当該状況を解消するために次の施策を講じております。

 

① 損益状況について

 当社は、継続的な営業損益、経常損益、当期純損益のマイナスを計上しております。

 一方で、当事業年度においてヒト深部臓器用の実用機の開発とCE等の認証準備作業は、おおよそ計画通り順調に遂行しています。

 また、試作品の製造工程の見直し及び人員削減によるコスト削減に取り組んでいます。

 販売価格等は未定であるものの、当社は小規模組織であり固定費の負担が少ないことから、ヒト向けの医療機器の実用化とともに損益が黒字となる見通しとなっています

 

② 資金繰りについて

 当社は、営業活動によるキャッシュ・フローについて、マイナスを計上しており、これは主に固定費及び研究開発活動に要する資金の支出によるものです。

 当社は小規模組織であることから、年間の固定費は約70,000千円であり、増資を行わない場合でも向こう1年間の資金繰りの懸念はありません。

 一方、研究開発活動は当社事業の成長のためには欠かせないものであり、その必要資金の調達活動を続けています。平成30年4月2日には第三者割当による新株式発行により48,670千円、及び平成30年6月25日には第三者割当による新株式発行により9,997千円の払込がなされました。また、平成30年6月28日に開催した第15期定時株主総会において、今期内の第三者割当による募集株式の発行枠(募集株式の数の上限は2,000,000株、払込金額の下限は1株につき金155円)の決議がなされました。

 今後とも、研究開発や臨床試験等の状況を踏まえつつ、適時な資金調達を実現できるように投資者からの理解を得られるような適切な事業内容の開示に努めてまいります。

 しかしながら、研究開発活動の促進を図るうえで必要な資金確保について、第三者割当増資の引受先の方針等に依存するため、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

 以上の状況を踏まえながら、当社といたしましては、今後とも研究開発活動に邁進し、早期の利益体質への転換並びに資金運営の安定化を図ってまいります。

 

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