当社の研究開発活動は、(1)生産技術に関する研究開発、と(2)新製品に関する研究開発、(3)製造装置及び方法に関する研究開発の3つのカテゴリーにおいて、優先順位を考慮して実施しております。
開発テーマは審査会を経て選定され、年度計画の下で開発作業を行っています。また、年度単位で報告会を開催して、進捗状況を社内に周知しています。
当事業年度における研究開発費の総額は、
開発の具体的な内容は、以下に示すとおりです。
なお、当社は、ダイヤモンド単結晶の製造、販売、開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1) 生産技術に関する研究開発
当社の生産技術は、親結晶からの分離技術によって、親結晶と同じサイズの子結晶を作るところが出発点になっており、このプロセスでは、親結晶の大きさとその性状は、子結晶を通じて全ての製品を決定づけることとなります。このため、元となる結晶を、大型化し、高品質化することが、全ての製品にとって重要な技術課題となっており、現在進めているこの部分の研究開発は、15x15mmより大型の単結晶を実用化することに集約されます。
(2) 新製品に関する研究開発
当社が想定している新製品は、応用分野によって分かれており、以下のとおりであります。
①ダイヤモンド半導体デバイス開発に必要な素材の開発
a.ウエハの開発
2インチのウエハの製品化が、デバイス開発に係る多くの研究者から望まれています。この理由は、従来の半導体材料を使ったプロセスを使わなければ、非常に細い線を描画したり、非常に薄い半導体層を作ったりすることができないからです。
2インチウエハは当社技術であるモザイク結晶で作成を試みていますが、量産に用いるにはさらに大型の3インチウエハ、4インチウエハが必要となってきます。当社は、2インチに引き続き、3インチウエハの開発を行い、継続的にこの開発を進めてまいります。
b.低抵抗基板の開発
ダイヤモンドデバイス開発に必要な材料として、縦型デバイスを製作するための基板があります。縦型デバイスは、デバイスの底面から上面(または逆方向)へ電流を流すため、抵抗値の低い基板が必要です。
当社は既にこのような低抵抗のダイヤモンドが成長する条件を確立しており、0.2mm程度の厚さの基板を製造できるよう、開発を行っております。
②光学部品として必要な高品質結晶の開発
ダイヤモンドは、熱伝導率が高く、熱膨張係数が小さいため、高エネルギービームの光学部品として適した材料です。また、X線を透過するのにも適しています。このような特性の組み合わせとして、強力なX線ビームを作り出す放射光施設で使う光学部品(特にモノクロメーターと呼ばれる部品)をダイヤモンド化することが、期待されています。
モノクロメーターに使用する結晶は、極限までの高品質とする必要があり、当社はこの結晶の開発を進めています。
(3) 製造装置及び方法に関する研究開発
現在の成長装置の形成面積は、ほぼ直径45mmの範囲にとどまっています。このことによって、2インチウエハ(直径50mm)を製作することが難しいことで、ウエハ開発そのものにも影響を与えています。
そのため、成長コストにも直結する成長装置の形成面積の拡大を目指し、産総研等と共同研究を行っており、具体的には産総研のアイデアを基に、装置メーカーで装置試作を行うという方式で、この開発を進めておりましたが、開発進捗のスピードを上げるため、2020年7月より試作装置を当社に移転して、継続して実験を進めております。
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