業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たない中、政府による一部地域への3度目の緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の実施により、新規感染者数が漸く減少に向かい始めましたが、11月には新変異株(オミクロン型)の流行で、経済活動回復の動きが鈍化し、また国際情勢の不安定さも加わり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような市場環境のもと、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ71億84百万円増加し、423億54百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ13億56百万円増加し、116億97百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ58億28百万円増加し、306億56百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高につきましては、前年同期比14.6%増の330億94百万円となりました。営業利益につきましては、前年同期比10.5%増の48億69百万円、経常利益については、前年同期比18.0%増の54億1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前年同期比16.5%増の38億41百万円となりました。

当連結会計年度における各セグメントの概況は、次のとおりです。

(日本)

国内住宅市場においては、当期の新設住宅着工戸数が前年度比6.6%の増加となりましたが、新型コロナウイルス感染症発生以降、リモートワークの普及、外出自粛など生活様式の変化や都市部の狭小マンションから郊外の戸建住宅への流れを背景に、利用関係別戸数は、分譲住宅248千戸のうち、マンションは102千戸(前年度比5.0%減)、一戸建住宅は144千戸(前年度比11.4%増)となりました。その他、貸家330千戸(前年度比9.2%増)、持家281千戸(前年度比6.9%増)となり、住宅の利用構造の変化が顕著に見られます。

このような状況の中、営業面では、リニア中央新幹線の開通を控え、各地で都市開発物件が進む中、中部地域の営業拠点として、名古屋営業所を新設し、軌道に乗りつつあります。

商品面では、機能ドアとして防音・防火・遮音に加え、コロナ対策用の通気ドア、老健・介護用として引き戸や吊戸の充実、特に新商品として、顧客から高評価を得ている可動間仕切壁の拡販に努めてまいりました。

生産面での当社のモットーは、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)であります。顧客からオーダーされた商品をジャスト・イン・タイムで、かつ、大量生産並みのコストで提供するシステムであり、絶えずQ(品質・性能)、C(価格)、D(納期)の追求を行い、毎回、PDCAを回し、効率化を図っております。

しかし、上記の住宅の利用構造の変化に加え、ウッドショックにより、木質建材全般において、価格高騰と材料不足による厳しい調達など、外部環境の変化への柔軟な対応を強いられました。

この結果、国内においては、売上高は、前年同期比2.1%減の84億86百万円、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比6.7%減の12億26百万円となりました。

(中国)

中国においては、年初は新型コロナウイルス感染症の収束の兆しがあり、地域により移動制限はあるものの、住宅市場は大きく改善されました。反面、都市部では、マンション価格高騰により、政府の不動産開発業者に対する資金調達総量規制(3つのレッドライン)が発表され、クリアできない大手業者の与信問題が表面化し、深刻な状態に陥る業者も出てきました。中国の国慶節(10月1日~7日)頃から、マンションの売れ行きが減少傾向となり、また、与信が健全な業者であっても支払いが遅れ気味になってきました。しかし、このような状況下においても、ルート販売においては、昆山ショールームの見学の申し込みも多く、今期の売上に大きく貢献しました。生産面においては、電力供給不足や環境規制に対応した生産体制の維持に努めてまいりました。

この結果、中国においては、売上高は、前年同期比21.8%増の246億8百万円、セグメント利益(営業利益)につきましては、前年同期比17.9%増の36億42百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、55億37百万円となり、前連結会計年度末より15億88百万円減少となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による資金の増加は14億96百万円(前連結会計年度比29.6%減)となりました。これは、主に53億50百万円の税金等調整前当期純利益を計上したものの、売上債権の増加33億73百万円や法人税等の支払額15億5百万円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は23億45百万円(前連結会計年度は15億87百万円の減少)となりました。これは、主に定期預金の預入による支出18億77百万円、有形固定資産の取得による支出4億72百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は11億42百万円(前連結会計年度は4億81百万円の増加)となりました。これは、主に短期借入れによる収入26億16百万円、短期借入金の返済による支出29億54百万円、配当金の支払額7億51百万円によるものです。

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

日本

7,323,547

98.9

中国

12,363,409

119.9

合計

19,686,956

111.1

 (注)金額は販売価格によっております。

 

(b)受注実績

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

9,731,632

110.9

8,718,859

116.7

中国

23,805,186

109.1

15,127,305

104.9

合計

33,536,818

109.6

23,846,164

108.9

 (注)金額は販売価格によっております。

 

(c)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,486,079

97.9

中国

24,608,410

121.8

合計

33,094,489

114.6

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループ(当社及び連結子会社)の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りを行っている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。

 将来に関する事項につきましては、当社グループが当連結会計年度末現在で実績や状況に応じ、合理的な基準に従って見積り及び判断したものでありますが、実際の結果は、予測困難な不確実性があるため、これら見積りと大きく異なる可能性があります。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、324億21百万円となり、前連結会計年度末に比べ65億48百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が20億16百万円、売上債権が52億39百万円増加し、有価証券が15億89百万円減少したことによるものです。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、99億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億35百万円増加いたしました。主な要因は、有形固定資産が4億94百万円増加したことによるものです。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、111億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億97百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金が17億31百万円増加し、短期借入金が2億66百万円減少したことによるものです。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、5億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ41百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金が41百万円減少したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、306億56百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億28百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金が30億58百万円、為替換算調整勘定が24億27百万円増加したことによるものです。

(b) 経営成績の分析

(売上高)

 当社グループの売上高は、前年同期に比べ42億12百万円増加し、330億94百万円となりました。

(売上原価、販売費及び一般管理費)

 売上原価は、前年同期に比べ39億54百万円増加し、237億円となりました。売上原価率は、前年同期に比べ3.2ポイント増加し、71.6%となりました。

 販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ2億5百万円減少し、45億25百万円となりました。対売上高販管費率は、年同期に比べ2.7ポイント減少し、13.7%となりました。

(営業利益)

 当連結会計年度の営業利益は、前年同期に比べ4億64百万円増加し、48億69百万円となりました。対売上高営業利益率は、前年同期に比べ0.6ポイント減少し、14.7%となりました。

(営業外損益)

 当連結会計年度の営業外収益は、前年同期に比べ3億10百万円増加し、6億27百万円となりました。また、営業外費用は前年同期に比べ50百万円減少し、95百万円となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度の経常利益は、前年同期に比べ8億25百万円増加し、54億1百万円となりました。対売上高経常利益率は、前年同期に比べ0.5ポイント増加し、16.3%となりました。

(特別損益)

 当連結会計年度において、特別損失が51百万円発生しております。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に比べ5億45百万円増加し、38億41百万円となりました。

(c) キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 全体的には、新設住宅着工戸数の動向が当社グループの経営成績に重要な影響を与える大きな要因となりますが、関連する新設着工床面積、及び当社の強みを活かせる分譲マンションの新設着工戸数の動きにも影響を受けます。

 また、当社グループ製品の主要材料である木材の価格変動、原油価格の変動に起因する表面材の価格変動による調達コスト変動要因があり、また一方で競争激化に伴う販売価格の下落要因もあるため、これらの市況動向は当社グループの収益に重要な影響を与える可能性があります。

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが14億96百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローが23億45百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが11億42百万円の支出となり、現金及び現金同等物は前連結会計年度末から15億88百万円減少し、55億37百万円となっております。

 当社グループでは製品製造のための原材料の調達、経費等の支払いを始めとした運転資金のほか、安定した製品の生産を行うための設備投資資金、新製品開発を行う研究開発費等の資金需要がありますが、基本的には海外子会社を含めた設備投資資金、国内における運転資金については自己資金により充当し、海外子会社における運転資金については国内、海外との金利差、為替リスク等を総合的に検討し、現地金融機関を含め、有利な金融機関の利用を適宜行っております。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

また、当社グループは、事業効率向上と株主価値の最大化を図るために、EPS(1株当たり当期純利益)を重要な指標として位置付けており(第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)、当連結会計年度におけるEPSは153.31円(前年同期比21.76円増加)であり、引き続き当該指標の改善に邁進していく所存であります。

 

 

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