業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(会計方針の変更)をご参照ください。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の度重なる流行の影響により先行きの不透明な状況が続きました。このような環境下における企業業績は、コロナ禍による厳しい影響を受ける業界がある一方で、ウィズコロナに適応し世界経済の回復基調に伴い徐々に盛り返している業界もあるなど、業種間の業績格差が広がっております。

当社グループにおきましても、リモートワークの進展や活動制限の影響を受けている皮革産業や外食産業において、引き続き非常に厳しい状況で推移しました。一方、健康食品産業につきましては、健康志向の高まりを背景に順調に売上を拡大しております。

この結果、当連結会計年度の売上高は、39,349百万円(前期比10.5%増)、営業利益は、1,759百万円(同101.1%増)、経常利益は、1,776百万円(同110.8%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、1,144百万円(同72.9%減)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用による当連結会計年度の損益に与える影響は軽微であります。
 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

なお、営業利益は、セグメント間の内部取引による損益を振替消去した後の金額であり、セグメント利益(セグメント情報)は、これを振替消去する前の金額であります。

 

(コラーゲン・ケーシング事業)

製造原価は、原料及びエネルギーコストの高騰により増大しました。国内販売は、コロナ禍における新規開発案件の進行鈍化やイベント縮小などの影響を受けて苦戦しましたが、営業活動を強化し競合他社からのシェア奪還と既存商権拡大に努め堅調に推移しました。輸出販売は、段階的に取り組んできた価格改定が実を結び、また、為替の影響もあり好調に推移しました。

この結果、コラーゲン・ケーシング事業の売上高は、8,879百万円(前期比7.4%増)、営業利益は、1,279百万円(同23.6%増)、セグメント利益は、1,279百万円(同23.6%増)となりました。

(ゼラチン関連事業)

ゼラチンは、コロナ禍においてもグミキャンディ、ソフトキャンディ及びカプセル用途の需要は安定しており、惣菜用途も活動制限の緩和に伴って回復し増収となりました。ペプタイドは、国内インバウンド需要激減の影響はあるものの、コロナ禍の健康志向増大を背景に健康食品用途は好調に推移しました。輸出販売は、感染症拡大により一部の海外経済活動に鈍化が見られるものの、北米等への出荷が増加しました。利益面については、原料価格の高騰の影響を受けて苦戦したものの、前連結会計年度に比べて改善しました。

この結果、ゼラチン関連事業の売上高は、10,385百万円(同13.9%増)、営業利益は、566百万円(同107.1%増)、セグメント利益は、579百万円(同108.0%増)となりました。

(化粧品関連事業)

化粧品は、コロナ禍の影響下においても前期並みに推移しました。健康食品は、健康志向の高まりと通信販売の優位性を背景に「ニッピコラーゲン100」が好調に推移しました。

この結果、化粧品関連事業の売上高は、6,012百万円(同15.5%増)、営業利益は、725百万円(同79.2%増)、セグメント利益は、725百万円(同132.2%増)となりました。

 

(皮革関連事業)

靴・袋物用革は、コロナ禍の活動制限緩和による持ち直しが期待されましたが、ワークスタイルの多様化等の影響により革靴の市場規模全体が縮小傾向にあり、極めて厳しい環境が続きました。車輌用革は、自動車生産量の回復に伴い売上の持ち直しが見られたものの、世界的な原料価格の高騰により収益面で非常に厳しい状況となりました。

この結果、皮革関連事業の売上高は、6,324百万円(同22.2%増)、営業損失は、133百万円(同107.7%増))、セグメント損失は、133百万円(同3.9%増)となりました。

(賃貸・不動産事業)

東京都足立区の土地賃貸事業は、大規模商業施設、保育所、フットサルコート、駐車場、仮設学校用地として有効活用を図っております。また、大阪府大阪市の土地賃貸事業は、中央区心斎橋において商業施設用地として有効活用を図るほか、浪速区なんばのホテル及びオフィス棟建設工事は順調に進捗し、新規事業に向けた開発計画を着実に推進しております。

この結果、賃貸・不動産事業の売上高は、856百万円(同16.8%増)、営業利益は、650百万円(同19.8%増)、セグメント利益は、651百万円(同7.0%減)となりました。

(食品その他事業)

有機穀物は、コンテナ不足による物流の滞りにより減収となりました。イタリア輸入食材は、活動制限の緩和に伴い復調傾向がみられたものの、海外の加工メーカーがロックダウンにより操業停止となるなどの影響もあり減収となりました。バイオ関連は、iMatrixシリーズの医療用販売は鈍化したものの、試薬用については国内外ともに堅調に推移しました。ケミカル関連は、リンカー製品が順調に推移しました。

この結果、食品その他事業の売上高は、6,890百万円(同2.9%減)、営業利益は、181百万円(同8.0%増)、セグメント利益は、168百万円(同3.6%増)となりました。

 

当連結会計年度末における総資産は68,417百万円となり、前連結会計年度末と比べ993百万円減少しました。これは主に、受取手形及び売掛金が439百万円、未収還付法人税等が439百万円増加した一方で、現金及び預金が878百万円、棚卸資産が232百万円、未収消費税等が219百万円、投資有価証券が評価替えにより399百万円減少したことなどによるものです。

当連結会計年度末における負債は、34,421百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,023百万円減少しました。これは主に支払手形及び買掛金が420百万円、その他流動負債が770百万円増加した一方で、未払法人税等が1,386百万円、長期借入金が1,250百万円、短期借入金が385百万円減少したことなどによるものです。

当連結会計年度末における純資産は、33,996百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,029百万円増加し、自己資本比率は、48.8%となりました。これは主に利益剰余金が828百万円、為替換算調整勘定が243百万円増加したことなどによるものです。また、収益認識会計基準等の適用による利益剰余金の期首残高が114百万円減少しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ878百万円減少し、6,621百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度では、土地譲渡に係る特別利益を計上していたことから税金等調整前当期純利益が4,329百万円減少し、1,677百万円(前期比72.1%減)となりました。また、当連結会計年度では、法人税等の支払額2,094百万円の支出などにより収入が691百万円減少し、2,070百万円の収入(同25.0%減)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度では、土地の売却や新工場建設に伴う補助金の収入などがありましたが、当連結会計年度では、経常的な設備投資などにより917百万円の支出(前連結会計年度は、3,297百万円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べコロナ禍の影響に伴う資金需要に備え、長期借入金の圧縮を抑えたことなどにより支出が454百万円減少し、2,132百万円の支出(前期比17.6%減)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

コラーゲン・ケーシング事業

6,586

3.1

ゼラチン関連事業

7,258

4.5

化粧品関連事業

165

21.0

皮革関連事業

212

1.9

食品その他事業

323

68.6

合計

14,545

4.8

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、製造原価によっております。

 

b. 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

ゼラチン関連事業

4,008

2.1

化粧品関連事業

1,447

12.1

皮革関連事業

5,905

9.8

食品その他事業

5,232

△3.8

合計

16,594

3.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、仕入価格によっております。

 

c. 受注実績

製品の性質上受注生産は行っておりません。

 

d. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

コラーゲン・ケーシング事業

8,879

7.4

ゼラチン関連事業

10,385

13.9

化粧品関連事業

6,012

15.5

皮革関連事業

6,324

22.2

賃貸・不動産事業

856

16.8

食品その他事業

6,890

△2.9

合計

39,349

10.5

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上の相手先の該当がないので記載を省略しております。

 

 

 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の「会計方針に関する事項」に記載のとおり重要な資産の評価方法、重要な引当金の計上基準等においての継続性、網羅性、厳格性を重視して処理計上しております。また、繰延税金資産においては将来の回収可能性を十分に検討した上で計上しております。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(追加情報)に記載のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りに関し、当社グループは、連結財務諸表及び財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき、新型コロナウイルス感染症に伴う市場への影響は、2022年度も一定のリスクを孕みながらも緩やかに回復するものと想定しております。また、ウクライナ情勢、世界経済や物価の動向も不確実性が高いながらも徐々に軌道修正されていくものと想定し、会計上の見積り(繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金の計上、固定資産の減損、棚卸資産の評価等)を行っております。しかしながら、これらの見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度は、コラーゲン・ケーシング事業をはじめ、ゼラチン・ペプタイド、化粧品、皮革など事業セグメントごとに国内外の新規顧客の確保、販売活動に注力し、拡販とともに利益体質の強化に努めてまいりました。

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ3,753百万円増加し、39,349百万円(前年同期比10.5%増)となりました。

主な内容は、全ての報告セグメントに共通して、当連結会計年度後半における原材料などの仕入価格、エネルギーコスト、輸送費などの高騰に加え円安トレンドの長期化により製造原価は上昇し、収益を圧迫したものの、化粧品関連事業の主力商品「ニッピコラーゲン100」の販売は、免疫力の向上など健康志向を背景として、また、通信販売という販路の強みも活かし、引き続き好調に推移しました。また、コラーゲン・ケーシング関連事業は、国内販売のキャラクター印刷ケーシングやお弁当用の赤ケーシングなど付加価値商品が伸び、海外販売では、北米への販売が大きく伸張したことに加え、価格改定や輸出為替も追い風となり好調に推移いたしました。ゼラチン関連事業では、菓子用、惣菜用、ソフトカプセル用などのゼラチン、健康食品用のコラーゲンペプチドの国内販売が大きな伸張を見せました。皮革関連事業においては、生活様式の変容により革靴に関連した素材、商品、加工などは影響が残るものの回復の兆しが見えてきており、また、車輛用革においても半導体や部品不足などにより自動車関連メーカーの断続的な減産などあったものの、需要は回復基調となり、全報告セグメントにおいて増収となりました。

当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ884百万円増加し、1,759百万円(同101.1%増)となり、当連結会計年度における経常利益は前連結会計年度に比べ933百万円増加し、1,776百万円(同110.8%増)となりました。

主な内容は、皮革関連事業の車両用革は、販売は回復したものの原料価格、加工費の値上がりを価格に転嫁できず、利益面での苦戦を強いられ営業損失となりましたが、コラーゲン・ケーシングは、北米への輸出販売が好調だったことに加え、価格改定や輸出為替の影響もあり、コラーゲンペプチドは国内販売が回復してきたこと、また、化粧品関連事業において「ニッピコラーゲン100」の販売が好調に推移したことなどにより増益となりました。

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ3,075百万円減少し、1,144百万円(同72.9%減)となりました。

主な内容は、前連結会計年度での再開発事業促進を目的とした東京都足立区の土地の一部売却により、特別利益として5,288百万円計上していたことの影響により減益となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの各事業は、国内外市場で製品の販売を行う一方、製品原料や関連資材の買い付けも行っております。このため、それぞれの市場動向や規制、さらに海外の場合は、特に外国為替相場等の大きく急激な変動も各事業の業績に大きな影響を与える場合があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、個人の消費活動や企業の経済活動が停滞し、国内外の経済に大きな影響を及ぼしました。今後も同様な事態が発生した場合、同様な影響を及ぼすことになることが考えられます。また、足許ではウクライナ情勢の悪化などに伴い、様々な影響が出てきております。資源エネルギー、原材料、薬品など多岐にわたっての価格高騰に見舞われており、当社グループにおきましては、コラーゲン・ケーシング事業、ゼラチン関連事業における製造コスト及び全報告セグメントにおいて仕入価格が急上昇しております。ある一定程度の価格転嫁ができなければ、経営成績に重要な影響を与える要因になります。

そのほか当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 戦略的現状と見通し

コラーゲン・ケーシング、ゼラチン関連、化粧品関連、皮革関連などの各報告セグメントにおきましては、顧客や市場ニーズを取り入れた新商品の開発により一層の高付加価値化を目指すとともに、宣伝広告等により商品や企業の知名度の向上を図ってまいります。生産面では、工程の見直しなど、様々なコスト低減方法を常に模索し、販売面では、拡販及び価格の適正化を図りながら、収益体制の改善、強化に努めてまいります。原材料、エネルギー、物流などの価格の高騰は吸収できる限度を超えており、販売価格への転嫁の実施を継続的に行わなければいけない状況となっております。製造工程の短縮、見直し、不良率の低下、経費の削減など様々な施策を講じてコスト低減を図り、収益力の確保に努めてまいります。

また、賃貸・不動産事業におきましては、所有土地の事業化計画の実現と効率的運用を推進してまいります。大阪市浪速区のなんば地区では、2023年秋に計画した事業化が完了の予定であり、残った東京都足立区の所有地においても早期の本格的な事業化を目指し、収益性を十分考慮した運用を行い、当社グループの安定的な収益基盤の礎としてまいります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料・商品などの仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動資金であります。それ以外の投資などを目的とした資金需要は、生産設備をはじめ事業拡大及び賃貸物件投資等に限っております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、資金の流動性に関する新型コロナウイルス感染症の影響についての対応としては、現在未使用の状況にあるコミットメントライン枠の活用があります。また、短期的には手許現預金は、高水準の状態にあります。今後も不確実性の高い環境のなか、手許現預金は高い水準を維持いたします。

今後の有利子負債の弁済につきましても手許現預金及び営業キャッシュ・フローなどで履行できる見込みと判断しております。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、100年間にわたり、皮革事業において我が国のリーディングカンパニーとして製造・販売を行ってまいりました。その間、皮革事業で培った技術・知識・経験を礎に研究開発を重ね、新たにゼラチン、コラーゲンペプチドの事業を国内トップクラスに、また、コラーゲン・ケーシング事業を国内で唯一、世界の四大メーカーの一角を担うまでに、さらには、コラーゲン基礎化粧品「スキンケアジェル」と健康食品「ニッピコラーゲン100」の事業を当社主力事業の一つに育成してまいりました。また、バイオマトリックス研究所で長年培った生体工学技術を生かし、再生医療分野への進出を果たしました。今後は、同分野を主力事業の一角にするべく注力してまいります。これらの事業を更に充実拡大させ、以って当社の理念である高品質なものづくりを通して人々に貢献し、より豊かな社会の実現を目指してまいります。そのためには、事業環境の変化を捉え、既存の知財に加え事業で得た新たな技術・経験を活かし、顧客や社会の要望に応えられる高付加価値商品を世に送り出して行かねばなりません。また、コロナ禍の影響は、徐々に薄らぎ日常を取り戻していくと想定しております。一方で、ウクライナ情勢悪化懸念などによる資源価格の高騰、それに伴う物価の上昇、為替の急激かつ大きな変動などで国内景気は、今後も不透明な環境が続くものと思われます。

このような状況のもと、当社は、引き続き生産コスト低減の施策を講じて競争力のある商品づくりに取り組んでいくとともに、社会全体の変容に対応しながら市場ニーズを的確に捉えた高付加価値商品を投入し、収益基盤の拡充を図ってまいります。

 

次期の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は、一定の影響を残しつつも緩やかに経済情勢は改善していくと想定しております。

コラーゲン・ケーシング事業に関しては、国内販売は、レストラン、コンビニ向けなどの業務用の回復を見込んでおりますが、輸入品との競合のなか、シェアアップを目指すために今後の戦略として、唯一のコラーゲン・ケーシング国内メーカーとしての強みを全面に出し、既存取引の拡充をベースにすると共に新規案件に対する提案活動に注力いたします。また、ニッピコラーゲンブランドの周知を徹底する上でコラーゲン・ケーシングの素材特性の認知度向上を目的として広報活動を展開してまいります。当社製品の特性や優位性をベースにトレンド市場向けに新規商材を提案し、TV番組や雑誌などのプロモーション活動の基、シェア拡大を目指してまいります。海外販売は、コロナ後の正常化を見据えて、海外の市場動向に注視し、市場回復による既存ビジネスの拡大、ニッピコラーゲンの特性を活かした新商品を用い海外顧客の新規掘り起こしに努めてまいります。製造に関しては、国際的な価格競争に対応していくためにも工程の簡素化や加工費の低減を推し進め、収益力の確保と向上に注力してまいります。

ゼラチン関連事業に関しては、海外観光客の受入れが検討されはじめているものの、インバウンド需要はコロナ禍前までに暫くは届かないと予測しております。前連結会計年度に比べ、国内健康食品や菓子市場などのユーザー企業が回復の兆しを見せ、国内販売は好調に推移いたしましたが、原材料などの仕入価格、物流費やエネルギーコストなどは上昇を続けており、引き続き価格での調整は継続せざるを得ない状況です。今後は、機能性、ハラール認証など特定の素材提案で差別化をさらに図り、特にコラーゲンへの認知度が広がりを見せる海外市場への拡販を重視し、世界市場でのシェアアップを目指してまいります。引き続き一層の高付加価値商品開発、顧客への新規提案などにより収益基盤をさらに改善してまいります。

化粧品関連事業に関しましては、通信販売は引き続き活況が予想されるなか、大手の相次ぐ参入により競争は激化しております。このような環境のなか、当社の基礎化粧品、健康食品は、品質と安全性の高さで差別化を図るとともに顧客対応においても高い評価をいただけるように努め、「安心してお使いいただける」「コラーゲンを通して幸せをお届けする」ことを目指してまいります。スキンケア商材においては、主力商品「スキンケアジェル」の認知度向上と拡販に努めるとともに、コラーゲン原料メーカーの強みを活かした新商品の開発と新市場の開拓に注力してまいります。健康食品においては、社会的な健康への関心の高まりを好機と捉え、店舗などを通してユーザーと接する機会を増やし、コラーゲンの美容や健康への効果を啓蒙し、さらにコラーゲンへの関心を高めてまいります。また、DX推進による既存顧客への細やかな対応により満足度向上に努めると共に、自社ECサイトの充実化、SNSなど新たなツールの開発により様々なアプローチで潜在顧客に働きかけ新規の獲得に努めてまいります。

皮革関連事業に関しては、緩やかに回復あるいは揺り戻しの期待はあるものの、このコロナ禍で進行した革靴に対する消費者意識の変容は、引き続き懸念されます。このような厳しい市場環境のなか、甲革、製甲、靴、底材加工、衣料などの皮革関連のサプライチェーン囲い込み強化のため、業界の情報収集、協力企業体制の一層の強化、市場環境に順応した事業体制の工夫、在庫管理体制の見直し、経費削減などに取組み、収益力の改善に努めてまいります。また、車両用革は、自動車業界全体が減産や半導体不足など不安定な生産体制にあるなか、低コストを実現するための新しい処方技術の確立、歩留まりを改善するための製造技術に注力し、競争力の向上に努め受注の奪還を図ってまいります。

食品その他の事業に関しては、イタリア食材など輸入業務用食品は値上がりや輸入為替など一定の影響を受けると想定されますが、国内市場は回復基調に転じていくと見込んでおります。また、オンラインショップの強化など個人消費の掘り起こしに努め、拡販も図ってまいります。一方で、有機穀物は、コンテナ不足など物流の混乱や相場価格の不安定な状況は続くと想定されますが、安定的な需要を背景に堅調に推移するものと見込んでおります。また、再生医療関連については、今後も市場が拡大していくものと見込んでおり、細胞外マトリックス関連商品の新規開発のほか、医療用ゼラチン、医療用コラーゲンなど試薬の開発、拡販を目指してまいります。

賃貸・不動産事業に関しましては、当社所有土地を中心に事業化及び効率的運用を進め、当社収益基盤の強化に繋げるよう努めてまいります。

また、昨今の企業を取り巻く環境は一層不透明さを増しており、そのなかで持続可能な社会の実現に向けての取組みは、企業の社会的責任であるのみならず、自然由来の原料に依存しております当社グループにおきましても事業を継続する上での重要な課題であると認識しております。高品質なものづくりで社会に貢献するという創業の思想を実現すべく、事業活動の一層の奮励はもとより、各事業の日々の業務の中でより良い環境や社会の実現に取り組んでまいりました。今般、各事業の取組みをより実効的なものにすべく取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を創設いたしました。今後はこのサステナビリティ委員会を中心に社会・環境に資する取組みを推し進めるとともに、コンプライアンスの徹底、コーポレートガバナンス・コードに基づく経営体制の強化、地球温暖化防止への取組み、人権への配慮や多様性の確保といった活動を推進してまいります。

そのほか当社グループとしての問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

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