今後の我が国経済の見通しは、新型コロナウイルス感染症が減速傾向となり活動制限が緩和されたことにより、個人消費を中心に景気は回復基調ではあるものの、先進各国の金融政策が引き締めに転じ、世界経済の回復に水を差す懸念が生じております。また、ウクライナ情勢悪化などによる世界的な資源価格高騰、金融市場の動揺などが国内景気下振れの要因としても懸念され先行きは予断を許さない状況で推移しております。
このような環境のもと当社グループは、引き続き生産性の向上に注力し、競争力のある商品づくりに取り組むとともに社会全体の変容に対応しながら、市場ニーズを的確に捉えた高付加価値商品を投入し、収益基盤の拡充を図ってまいります。
コラーゲン・ケーシング事業におきましては、コロナ禍における需要の落ち込みは回復傾向にあるものの、競合他社の牙城を崩すには至っておりません。原材料や燃料、運賃等のコストの上昇が進み、価格競争は一層厳しくなることが予測されることから、広報活動に積極的に取組み「ニッピブランド」を周知することで国内唯一のコラーゲン・ケーシングメーカーとしての付加価値を高め、拡販に努めてまいります。また、一層激化する他社の攻勢に対応するため、製造工程の見直しや創意工夫を実施し製造費用の低減を推し進め、収益力の確保に注力してまいります。
ゼラチン関連事業におきましては、国内の健康食品、菓子市場は回復してきているものの、原料価格の高騰や運送コストの上昇などにより、利益確保が困難となることが予測されます。由来原料の見直しや不採算案件からの撤退、価格改定等に取組み収益性の改善に努めるとともに、ペプタイド需要が高い海外市場では、展示会や広告による販売強化に努めてまいります。また、継続的なエビデンスの取得に取組み、特定のユーザーや機能性に焦点を当てた素材開発を推進することで新たな市場開拓に注力してまいります。
化粧品関連事業におきましては、通信販売市場が引き続き拡大する一方で、大手企業の攻勢や他業種からの参入により競争が激化しております。当社は、引き続きコラーゲン原料メーカーとしての強みを活かして他社との差別化を図るとともに、ニーズに呼応した商品開発に注力して顧客満足度の向上と新規顧客の獲得を目指してまいります。
皮革関連事業におきましては、靴・袋物部門は、市場規模全体が縮小傾向にある中で、コロナ禍における生活様式多様化等の影響もあり、極めて厳しい状況にあります。引き続き在庫管理体制を見直すとともに、新たな販売戦略の構築に取り組んでまいります。車輌部門は、自動車産業の回復に伴う需要の回復が期待されるものの、世界的な原料価格高騰や感染再拡大による経済活動の停滞が不安要素となっております。コスト軽減を実現するため、使用原材料の見直しや新しい加工技術の確立などに注力し受注の回復と収益の改善を図ってまいります。
賃貸・不動産事業におきましては、当社が参画している「千住大橋駅周辺地区まちづくり計画」は順調に推移しております。引き続き、同地区の認知度向上を図り、資産価値の向上に取り組んでまいります。また、大阪市の土地賃貸事業についても順調に推移しており、浪速区における再開発事業は計画どおりに進捗しております。当社は、先行きが不透明な状況が続く中でも採算性を確保するとともに、事業収益の最大化を目指して有効活用を図ってまいります。
食品その他事業におきましては、イタリア食材部門においては、活動制限の緩和により売上回復が期待されます。引き続き小売販売や通信販売事業などを通じて新規顧客の獲得に注力してまいります。有機穀物の貿易部門におきましては、安定的な需要があると予測しているものの、天候不順や地政学的リスクの高まりによる商材価格の上昇、輸入為替の変動、コンテナ不足などの影響が懸念されます。海外サプライヤーとの連携を密にし、引き続き供給体制の維持に努めてまいります。バイオ関連部門におきましては、再生医療分野は今後も着実に伸長するものと想定しており、同分野に引き続き注力してまいります。
当社グループは、社会的責任を果たすことが企業継続の基礎であると認識し、法令・諸規程等の遵守に努め、公正かつ適切な経営の実現に取り組んでおります。SDGsをはじめとする社会課題に対応することは、当社グループにおける重要な経営課題の一つであると認識し、取締役を委員長とするサステナビリティ委員会を立ち上げました。
今後、当社におけるサステナブルな取組みを推し進めるとともに、コンプライアンスの徹底や、コーポレートガバナンス・コードに基づく経営体制の強化、地球温暖化防止への取組み、人権への配慮や多様性の確保といった活動を通じて、ステークホルダーの皆様からの信頼と共感を得られるよう努めてまいります。
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