有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。これらのリスクについては、その発生可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針に係る事項
① 原材料等の仕入について
当社グループの一部の原材料はある特定メーカーに供給を依存しており、何らかの事情により、希望する納期、数量の原材料調達が不可能な場合には、代替原材料の使用によるコスト上昇のリスクが存在します。また、即時に代替品の調達が難しい場合、長期間製品販売が不可能となるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、一部の樹脂材料価格は、原油やナフサの相場価格に連動して上下しますが、短期間での高騰が起きたにも関わらず、当社の製品価格への転嫁が進まなかった場合、粗利が大幅に低下する恐れがあります。
② 生産設備について
当社グループの一部製品の生産においては、当面の需要予測および経済性に鑑み、専用生産設備の重複化が図られていないものがあります。かかる設備を含め全ての生産設備について、適宜必要なメンテナンスを行っておりますが、何らかの事情により当該生産設備の長期停止を余儀なくされた場合、当該製品の供給が一時的に停止し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品供給の拡大・安定化を目指し、新規設備投資・設置の計画がありますが、外部環境等の変化により、その設備設置に遅れが生じる可能性があります。
③ 自然災害の影響について
当社グループの生産工場や外注加工場は、分散されて設置されておりますが、マテリアルソリューション事業の生産工場や外注加工工場は東海・東南海地震の震源地に想定されている静岡県西部に集中しております。主要設備の建屋に関しては、耐震構造を有しておりますが、震災の被害を完全に防止できない可能性があります。同地区での震災発生により、マテリアルソリューション事業の工場が甚大な被害を被った場合、製品生産能力が低下するリスクがあります。また、同工場は浜岡原子力発電所からおよそ20kmの圏内にあり、何らかの理由により同発電所で災害が発生し避難区域等に指定された場合、長期間製造が不可能になる可能性があります。
上記を含め、不測の大規模地震や台風等の自然災害の発生により、当社グループの生産設備への被害、製品輸送時や外部倉庫保管中の被害等が生じた場合、工場の操業や顧客への製品供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新型コロナウイルス感染症の影響について
未だ完全なる収束が見えてこない新型コロナウイルス感染症の広がりは、過去に例を見ないレベルで社会状況、経済状況を一変させ、その収束時期や、経済への影響、収束後のポストコロナ社会がどのようになるかについて、正確な見通しを持つことは極めて難しいのが実状です。
一方で、当社グループは、事業領域が分散していること、工場が製品分野ごとに独立し、かつ、地域的に分散していること、販売チャネルが多岐に亘っていること、などの理由から、今回のような社会環境の激変に対してもグループ全体として比較的耐性が強いものと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大以前から取り組んで来た社内テレワーク環境の整備等が功を奏し、営業職・事務職を中心とした感染防止のための在宅勤務につきましても、スムーズに移行できております。
更に、工場の生産現場においては、感染防止のための安全衛生対策や、クラスター感染を回避するための工場内の機能別、製品別の『ゾーン分け』を徹底しながら、全ての工場で、ほぼ通常通りの操業を行なっております。万が一、工場内で感染者が確認され、クラスターが発生するような場合には、感染拡大を防ぐために操業を一時的に止める検討が必要になる可能性もありますが、製品在庫の積み増し等の対策を通じて、製品出荷への影響を極力抑え、お客様へのご迷惑や当社の収益への影響を最小限に抑えるべく対策を取っております。
以上のような取り組みを通じ、当社として臨機応変な体制を整えてまいりました結果、これまでの業務・操業について、大きな影響は出ておりません。
感染症の拡大が一定の収束を見せた後も、経済活動や消費マインドの回復は不透明な状況ではありますが、グループ全社が一体となって、計画された業績を達成すべく、収益の確保に努めてまいります。
⑤ 在庫等の状況について
当社グループのうち、マテリアルソリューション事業における編織製品は計画生産を行っており、実際の販売が計画から乖離した場合、一時的に製商品在庫が増加する可能性があります。編織製品以外は受注生産を行っており、製品在庫リスクは基本的にありませんが、生産ロットや歩留りの兼ね合いで受注数量以上に製品が製造され、過剰生産分に関して一般条件と異なる条件での販売による損失計上や破棄等の処分による在庫処分損計上等を余儀なくされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に係る事項
① 財政構造について
当社グループの売上高は手形による回収が多く、仕入決済は現金決済が殆どであります。よって、急速に売上高が伸長した場合は、必要な運転資金が増加する可能性があり、資金繰りに支障を来した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 固定資産の減損について
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 繰延税金資産について
当社グループは将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定が変更され、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 退職給付債務について
当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出しております。金利環境の変動、退職給付制度の変更等に伴い、退職給付費用が変動した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 原材料費の変動について
当社グループの主原料は石化原料であり、原材料費はナフサ価格や為替の変動により影響を受けます。この原材料費の変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 為替レートの変動について
当社グループは、韓国、中国、北米、欧州その他の地域における事業活動を展開しております。今後、海外企業への投資および海外での事業展開に伴い外貨建資産および外貨建取引が増加し、為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、特にマテリアルソリューション事業の編織製品においては、輸入商品の取り扱いが多いため、為替変動リスクをヘッジする目的で、為替予約取引を行っております。ただし、この為替予約取引はデリバティブに該当し、時価評価の対象となっているため、今後の為替変動によっては、為替評価損の計上により当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 海外展開について
海外展開においては、為替リスクに加え、地域特性によるビジネスリスクや法規制等が多岐にわたり存在し、当社グループはこれらのリスクを最小限にすべく十分な対策を講じた上で海外展開を進めますが、予測困難なビジネスリスクや法規制等によるリスクが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また昨今の東欧圏における紛争により、原油価格上昇による原材料価格への影響や国際物流に対するリスクが発生することが考えられます。
⑧ 特定の取引先への依存について
当社グループは多数の販売先を有しておりますが、当連結会計年度においては連結売上高の31.4%を上位10社に依存しております。これら依存度の高い取引先とは現在良好な関係を維持しておりますが、何らかの事情によりこれら販売先との商権を逸失した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制、規則、取引慣行等に係る事項
① 石化原料に関する規制及びその他の一般的法規制等について
当社グループの事業は、石化原料を主たる材料としている関係から「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」の適用を受けており、一部の製品に関しては「建築基準法」、「食品衛生法」等様々な法令、政令、省令等の規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限される可能性、および製造方法の変更等によりコストが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 製品の欠陥に伴う損害賠償等について
当社グループは厳格な品質管理のもとに製品製造を行っており、製品の品質検査についても一般的に妥当とされる基準に則り実施しておりますが、製品の性格上、全数検査は極めて困難であるため抜き取り検査によっております。出荷済み製品に対して重大な欠陥によるクレームが発生し、保険による補償額を超えた損害賠償を請求された場合、賠償金支払いにより業績に影響を与える可能性があります。また、このような欠陥が発生した場合、材料・製造方法の転換や、これに伴う設備投資が発生する可能性もあります。加えて、これら改善策の実行に時間が掛かる場合、当該製品の売上を喪失するリスクも想定されます。
③ 従業員による発明の対価について
当社グループは従業員の発明等に対する社内報奨制度を採用しております。該当する発明等には当該制度に則り報奨金の支払い等を行っておりますが、今後何らかの事情により従業員等から訴えられ、当該裁判の結果、多額の発明対価を支払うこととなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
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