文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
持続可能な社会の実現の重要性が高まり変化していく価値観に合わせ、既存の経営理念を一部改訂し体系的に整理した「オカムラウェイ」を2021年7月に策定いたしました。
当社は1945年、設立の主旨に賛同した技術者たちが、資金、技術、労働力を提供し合って「協同の工業・岡村製作所」としてスタートを切りました。その創業の精神は、「創造、協力、節約、貯蓄、奉仕」の5つの言葉からなる社是と、これを受けた「基本方針」により企業文化として定着し、「よい品は結局おトクです」をモットーに、お客様のニーズを的確にとらえたクオリティの高い製品とサービスを社会に提供することに努めてまいりました。これらは、「オカムラのDNA」として、現在のオカムラグループの経営と事業活動に受け継がれております。
当社グループは、「豊かな発想と確かな品質で、人が活きる環境づくりを通して、社会に貢献する。」をオカムラのミッションとして、企業価値のさらなる向上と社会課題の解決を目指しております。
中長期の成長を目指した安定的経営基盤の構築、利益重視の効率的経営の実践、環境への配慮をはじめとする社会との信頼関係の向上を基本方針として経営活動を展開してまいります。なお、「オカムラウェイ」を通じた活動や取り組みについては、当社ウェブサイト(URL https://live.okamura.co.jp/)に掲載しております。
当社グループは、主な経営指標として総資産経常利益率(ROA)・自己資本当期純利益率(ROE)や売上高営業利益率を重視しており、常にコスト意識をもち収益の改善に努め、経営資源の選択と集中による投資効率の向上に注力してまいります。
なお、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画において、2025年3月期の定量目標を設定しております。その内容については、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載しております。
2021年3月期から2023年3月期までの3ヵ年を対象とする中期経営計画(5年後の目標に向けた3年間の「行動計画」)を策定しております。本中期経営計画は、2025年3月期を見据え定量目標及び定性課題を設定し、その目標を達成するために3年間で取り組む施策をまとめたものであり、従来の短期積上げ型ではなく、バックキャスティング(将来起点)視点で策定したものであります。
当社グループは、「労働人口の継続的な減少」「働き方改革の普及」「デジタル技術の進展」など大きな社会環境の変化の中で、社会や市場のニーズの変化を先取りした製品・サービスの開発や新たな事業モデルの構築を促進・実現するとともに、これまでのオペレーションの仕組みをこれからの変化に対応しうるものとするために、構造変革を進めてまいります。
なお、戦略投資を軸に2025年3月期目標に向けて着実に推進しております。2022年3月期における売上高営業利益率は6.1%、ROEは10.7%となりました。
① 基本方針
「新たな需要の創造、効率的な経営、グローバル化の推進により、継続的な成長とESGへの積極的な取り組みを通じて企業価値向上を図る」
② 定量目標(2025年3月期)
売上高営業利益率 7%以上
自己資本当期純利益率(ROE) 10%
③ 定性課題
環境の変化に対応するため、事業構造を変革するとともに、以下の重点3課題については全社横断的に取り組んでまいります。
・サプライチェーンの改革
・デジタル技術の活用
・海外事業の強化
(4) 経営環境及び対処すべき課題
① ESG経営
当社グループは、持続可能な社会の実現が求められる新たな価値観の社会の中で、企業が持続的に成長するためには、ESGを中心にとらえた事業活動が重要であると考えております。オカムラのミッションを実現していくために、当社グループの事業と未来世代も含めた様々なステークホルダーの視点から、「人が活きる環境の創造」、「従業員の働きがいの追求」、「地球環境への取り組み」、「責任ある企業活動」の4つを取り組むべきテーマと掲げ、それぞれについて重点課題を定めて活動を推進し、社会に貢献するとともに持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
上記の重点テーマである「従業員の働きがいの追求」として、健康経営を具体的に推進するために、2017年9月に「オカムラ健康経営宣言」を制定いたしました。従業員の健康を重要な経営課題と捉え、生活習慣病の改善や受動喫煙防止など9つの健康施策を通じて、従業員一人ひとりの心身の健康保持増進と健全な職場環境を維持し、お客様に健康で快適な環境を提供しつづけることを通じて、社会から信頼される企業を目指しております。また、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人2022(ホワイト500)」に認定され、2018年から5年連続の認定となり、企業価値向上に努めております。
「地球環境への取り組み」として、パリ協定に基づく温室効果ガス排出量の削減目標であるSBT(Science Based Targets)を踏まえ、当社グループではScope1およびScope2の排出量について、「2030年に2020年比50%削減」「2050年に実質ゼロ」という目標を設定し、事業活動全体における取り組みを推進しております。
目標の達成に向けて活動をさらに加速させるために再生可能エネルギーの利用を拡大しており、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることを目指す国際的なイニシアティブ「RE100」に加盟しました。既に一部の生産事業所等で水力発電による電力への切り替えや太陽光発電設備の導入を進めており、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー設備への切り替えを計画的に推進してまいります。
また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言を参考に、気候変動によるリスクおよび機会が経営に与える影響を評価し、適切な情報開示を行うとともに、中長期の視点から経営戦略に反映させていきます。
② 新型コロナウイルス感染症対策
当社グループは、政府の方針等に基づき、新型コロナウイルス感染症拡大防止策を講じ、社会的責任を果たしてまいります。なお、新型コロナウイルス感染拡大に関する当社グループの最新の対応方針については、当社ウェブサイト(URL https://www.okamura.co.jp/)に掲載してまいります。
③ SCM(サプライチェーンマネジメント)
調達難、資材価格の高騰への対策を引き続き行うとともに、新型コロナウイルス感染症の再拡大、自然災害、地政学的リスクなどに対応するサプライチェーン全体のリスク管理をさらに強化してまいります。
④ 人的資源(DX人財)
変化の激しいビジネス環境下で多様化するお客様ニーズや社会課題に柔軟に機動的に対応するため、経営戦略の一環としてDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を強化いたします。最先端のデジタル技術を積極的に活用し、「人が活きる」環境づくり、各事業の成長に貢献していきます。
DX教育として、全従業員に対してe-ラーニングを実施いたしました。また、全社横断的に人財を募りDX専門人財を育成するためのオンライン講座を実施し、「デジタル技術の活用」によって、これからの社会で活かせる仕組みや手法を発想し実践して、顧客・従業員の体験価値を向上できるオカムラパーソンの育成を実施いたしております。
⑤ 各事業の状況
主力のオフィス環境事業につきましては、ハイブリッドワーク時代における新しいオフィスの在り方の変化にともない、オフィス改装需要は堅調に推移すると予想しております。また、働き方改革など新しいオフィスづくりへの動きは加速しており、センターオフィス機能の見直し、これからの働き方に対応したワークブース、オフィスDXなど新しい製品・サービスに対する需要が高まっています。
このような状況のもと、他業界とのオープンイノベーションによる「未来のオフィス空間」の実証実験、新しい働き方や環境を実践・検証する「ラボオフィス」での実証実験、自社での働き方改革における様々な施策の実践を推進してまいります。これらにより得られた知見をプラスすることにより、当社グループの強みであるトータルソリューション提案の強化を図ってまいります。また、オフィス周辺市場での優位性の確立、収益性の向上、人財育成の徹底・強化に取り組んでまいります。
商環境事業につきましては、スーパー、ドラッグストア等の業態間競争の激化にともない、食品売り場を中心に店舗投資需要は堅調に推移すると予想しております。また、人手不足を背景に省人・省力化への要望はますます強まっており、店舗デジタル投資の増加にともなうレジ周りの需要、品出しの作業負荷を大幅に低減するスライド棚の需要が拡大しております。
このような状況のもと、お客様のニーズをとらえた製品の拡充を図り、店舗什器、冷凍冷蔵ショーケース、カート機器、セキュリティ製品など総合力を活かしたトータルソリューション提案を強化し、売上高の拡大を目指すとともに、業務の標準化等によるコストの低減や販売価格の見直しにより収益性の改善に努めてまいります。
物流システム事業につきましては、大型物流施設の需要は高水準に推移し、また、倉庫作業員不足や保守サービスのIoT化など、省人・省力化関連需要は拡大するものと予想しております。足元での受注高は堅調に増加しておりますが、部品の調達難など供給面においては、厳しい状況が継続すると見込んでおります。
このような状況のもと、安定した売上確保を目指したビジネス強化とコスト管理の徹底に努めてまいります。また、差別化製品の開発に積極的に取り組むとともに、先進技術を用いた製品開発やデジタル技術を用いたサービスの充実、保守体制の強化に取り組んでまいります。
生産性・効率性の向上につきましては、つくば事業所に新工場棟を増設し、変化する需要に柔軟に対応できる生産体制を強化していきます。効果的な設備投資と継続的な改善活動により、生産性の向上を図るとともに、効率性と安定供給の両立に取り組んでまいります。併せて、全社にわたる働き方改革の実践と業務効率化への取り組みを一層強化し、競争力の向上に努めてまいります。
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