業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点に

よる認識及び分析・検討結果は、次のとおりです。

 

(1)経済環境

 当連結会計年度における世界経済を概観すると、欧米では新型コロナウイルスのワクチン接種進展や人の移動制限の緩和により一旦は力強い回復となったものの、新たな変異株が蔓延し、サプライチェーンの混乱やロシア・ウクライナ情勢等に伴い物価上昇圧力も強まる中で、その後の回復ペースは鈍化しました。新興国では、中国経済が内需を中心に伸悩む等、感染再拡大の中で次第に減速感が強まりました。原油価格(WTIベース/

1バレルあたり)は、世界の産油量が需要を下回り続ける中で、期初の60ドル前後から次第に上昇傾向を強め、2月下旬以降は、各国の対露経済制裁や需給への影響を巡る先行き不透明感から90ドル台から130ドル台で乱高下し、期末は100ドル台で終えました。

 日本経済は、新型コロナウイルスの感染が一旦収束した秋から年末にかけて個人消費が活発になる局面もありましたが、総じてみれば、感染拡大と緊急事態宣言等の発令が繰返される中で足踏み状態が続きました。ドル・円相場は、期初の110円台から4月に107円台まで一旦円高が進みましたが、その後は米国の早期利上げ観測を背景に円安基調が強まりました。米国で利上げが開始された3月には利上げ加速観測等により114円台から一時

125円台まで円安が進行、期末は122円台で終えました。日経平均株価は、緊急事態宣言の発令等を背景に期初の29,000円台から8月に一時27,000円割れまで下落、その後景気回復期待等から一時30,000円台まで反騰する局面はあったものの、変異株の蔓延や原油価格の上昇、ロシア・ウクライナ情勢等に伴い再び下落傾向をたどり、

3月には一時25,000円割れし、期末は27,000円台で終えました。10年物国債利回りは、日銀の潤沢な資金供給の継続と米国長期金利の低下により、期初の0.12%から8月初めには0.01%まで低下しましたが、その後3月下旬にかけては米国長期金利に連れて0.26%まで上昇し、期末は0.22%で終えました。

 

(2)定性的成果

 当社グループは、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」(2021年度から2023年度までの3ヵ年計画)において、「『マーケットイン』による事業変革」と「『SDGs』への貢献・取組強化」を基本方針として掲げて

います。「Brand-new Deal 2023」初年度である2021年度の具体的成果は、次のとおりです。

 

① 繊維カンパニー

米国アンダーアーマーの日本総代理店(株)ドームの株式取得

 機能的で革新的なアイテムでアスリートのパフォーマンスを最大限に引出す、世界有数のスポーツブランド「アンダーアーマー」の日本総代理店である、(株)ドームの発行済株式の過半数を取得することに合意

しました。米国Under Armour Inc.との協業を通じ、同社の更なる業容拡大と企業価値の向上を図ります。

 今後も「マーケットイン」の発想で、多様化するライフスタイルや消費行動の変化を捉え、成長市場である

スポーツ関連ビジネスを拡大していきます。

 

サーキュラーエコノミー実現に向けた繊維製品回収サービスの展開

 繊維業界が抱える廃棄問題の解決を目指す「RENUプロジェクト」は、日本市場における繊維製品の回収サービスを開始しました。不要となった繊維製品を回収・選別し、リユースやポリエステル原材料へのリサイクル等による再利用を促進、繊維製品の廃棄を減らし、サーキュラーエコノミー(循環経済)の実現を目指します。

 今後も、消費者・社会ニーズを汲上げ、ビジネスモデルの進化や新たなサービスの提供を通じて、「SDGs」

実現へ貢献していきます。

 

② 機械カンパニー

日立建機(株)との資本提携を通じた建設機械ビジネスの拡大

 当社は、日本産業パートナーズ(株)と共同で設立する特別目的会社を通じ、日立建機(株)の総議決権数の26%にあたる株式を取得し、持分法適用会社化します。同社は新車販売に加え、レンタル・中古車・アフター

サービス等のバリューチェーン事業の強化と、デジタル技術活用による顧客接点の深化を推進しています。

 今後、当社グループが持つ物流・金融機能及び顧客群の活用による販売網の構築と販売機会の拡大等、今回の資本提携を通じて両社グループの総合力を最大限に発揮したサービスの提供を実現していきます。

 

ドバイにて世界最大級の廃棄物処理発電プラントの建設開始

 当社は、ドバイ首長国において世界最大規模の廃棄物処理発電プラントの建設を進めており、2024年に予定

する商業運転開始後、35年間にわたる運営を担っていきます。本プラント完成後は、同首長国内で発生する一般廃棄物の約45%(年間190万トン)を焼却処理し、焼却時に発生する熱を利用した発電を行います。

 当社は本プロジェクトを通じ、同首長国の廃棄物の「埋立処分量の削減」、「持続可能な環境に配慮した廃棄物管理」、「化石燃料に頼らない代替エネルギーの開発促進」といった環境・衛生面における政策目標の達成に貢献していきます。

 

③ 金属カンパニー

西豪州鉄鉱石事業の更なる強化を実現

 当社がBHP Group Limited(以下、「BHP社」という。)他と保有する西豪州鉄鉱石事業では、2018年に開発

決定を行ったサウス・フランク鉄鉱山が2021年5月より計画通り操業を開始しました。同鉱山は、隣接する

マック鉱山と合わせて年産1億4,500万トンを誇る世界最大の鉄鉱石生産ハブとなり、西豪州鉄鉱石事業の

安定化に大きく貢献していきます。

 また、2021年に、新たにBHP社よりウェスタン・リッジ鉄鉱床の一部権益を取得しました。広大な4つの鉱床を有する同鉄鉱床は、既存の鉄道・港湾インフラを活用できる低コストの露天掘り鉱山として生産を開始して

います。

 西豪州鉄鉱石事業の強化と安定操業により、世界の需要家に対する長期的な優良資源の安定供給に貢献していきます。

 

④ エネルギー・化学品カンパニー

太陽光発電の「余剰電力循環モデル」取組開始

 当社関連会社(株)アイ・グリッド・ソリューションズは、太陽光発電の余剰電力買取りサービスを新たに開始しました。本サービスの導入により、電力需給の観点から設置困難であった物流・商業施設においても太陽光発電の導入が可能となり、これまでに全国350ヵ所以上のオンサイト型太陽光発電所を稼働させています。第三者保有型の再エネ分散電源事業では国内最大の実績を誇り、電力需給がひっ迫し電気代が高騰している中、安価な電力を安定的にお客様に供給しています。同社は、買取った余剰電力をCO2フリー電力として周辺地域に供給を行うことで、「余剰電力循環モデル」を構築し、各地域での再生可能エネルギーの最大化を推進しています。

従来から取組んできた蓄電池等の分散型電源の統合制御に加え、各地域を再エネ電力によりネットワーク化することで次世代型エネルギープラットフォームサービスを提供し、2050年のカーボンニュートラル社会実現に向け貢献していきます。

 

リニューアブル燃料ビジネス

 当社は2020年より開始したフィンランドのNESTE OYJ(以下、「NESTE社」という。)が生産する石油代替航空燃料(SAF)の国内航空会社向け輸入販売をきっかけとし、2022年2月にNESTE社と日本向けSAF販売に関する

独占契約を締結しました。また、NESTE社が生産するリニューアブルディーゼル(RD)の輸入販売も拡大して

おり、国内初となる給油拠点の運用を開始しています。NESTE社が生産するリニューアブル燃料は廃食油等を

原料とし、ライフサイクルアセスメントベースの温室効果ガス排出量を石油由来燃料比、SAFで最大8割、RDで約9割削減します。

 当社は今後とも当社グループの総合力を活かしたリニューアブル燃料への取組を通じて脱炭素化社会の実現を目指します。

 

⑤ 食料カンパニー

CGB ENTERPRISES, INC.による大豆搾油・精製工場への投資

 当社関連会社CGB ENTERPRISES, INC.(以下、「CGB社」という。)は、米国ノースダコタ州で大豆搾油・精製工場の新設を決定しました。CGB社は、北米で穀物集荷事業、搾油事業、物流事業等を展開し、食の安定供給を支えています。

 搾油事業により生産される大豆油は、食用に加え、再生可能エネルギーであるバイオ燃料の原料としての活用も広がっており、今後、更なる需要の増大が見込まれます。

 CGB社は、大豆油の生産拡大を通じて、米国エネルギー分野の成長も取込みながら、地球環境に優しい

クリーンエネルギーの普及にも貢献していきます。

 

上海威銘食品有限公司との資本業務提携

 当社は、中国におけるコーヒー大手企業である上海威銘食品有限公司(以下、「威銘社」という。)と2021年10月に資本業務提携契約を締結しました。中国では、ライフスタイルの変化に伴いコーヒーの消費量が急拡大していますが、高品質で美味しいコーヒーを求める消費者を中心に、レギュラーコーヒーの需要増加が見込まれています。威銘社は、カフェ、飲食店、オンライン市場で多様なコーヒー製品や関連機器等を提供して

いる他、レギュラーコーヒーや、豆の栽培・輸送・焙煎等すべての過程において高い品質管理を求められる

スペシャルティコーヒーの取扱も進めています。

 当社は、グループの調達網を利用したコーヒー生豆の安定供給と、顧客ネットワークを利用した威銘社製品の販売を通じて、中国のコーヒー市場の成長を取込んでいきます。

 今後は同じく当社の資本業務提携先でコーヒー豆のトレーサビリティプラットフォームを運営する

Farmer Connect SAと連携し、安心安全で美味しいコーヒーを日本・中国を含むアジア市場に供給し、コーヒー文化の発展にも貢献していきます。

 

⑥ 住生活カンパニー

英国タイヤバリューチェーンの拡大

 英国にてタイヤ卸・小売事業を展開する当社子会社のEuropean Tyre Enterprise Limitedは、2021年12月にMurfitts Group Limitedを買収し、廃タイヤの回収・リサイクル事業に進出しました。これにより、世界でも類を見ない卸・小売・回収事業を一貫して提供する企業として、循環型社会への貢献を目指します。同社は英国で廃棄されるタイヤを、年間約20百万本相当回収し、アスファルト代替の再生建設資材等へ加工しています。European Tyre Enterprise Limitedは英国全土に広がる既存物流網を活用して本事業の更なる効率化、収益力

強化を図ります。

 

西松建設(株)との資本業務提携

 2021年12月に西松建設(株)と資本業務提携契約を締結し、同社の発行済株式10%を取得しました。同社とは

これまで、共同での不動産開発事業や工事発注・資機材調達等を通じて良好な協業関係を築いてきました。両社が有する経営資源・ノウハウを結集し、より一層の連携を深めていくことが、新たなシナジーの創出・企業価値

向上に資するとの共通の見解から、この度の資本業務提携に至りました。本資本業務提携により、施工機能を

加えた川上(建材)から川下(不動産)までのバリューチェーンを構築することで、建設・建材業界の優良企業群とのアライアンスを強化し、「SDGs」や国土強靭化等の社会課題対応に取組んでいきます。

 

⑦ 情報・金融カンパニー

米国セキュリティ事業者SilverSky Inc.の持分法適用会社化

 企業のデジタル化、DXによる事業変革が進む中で、システム環境も大きく変化し、多様化・複雑化して

います。この変化の中で、システムの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が急増しており、システム全体にわたる総合的な監視と攻撃への迅速な対応の重要性が高まっています。

 今般、当社は米国の大手セキュリティ事業者であるSilverSky Inc.へ出資しました。今後は、システム開発等に豊富な知見を持つ伊藤忠テクノソリューションズ(株)等との連携を通じ、米国のみならず日本を含むアジアでの事業展開を支援することで、顧客企業のサイバーセキュリティへの懸念を最小化し、デジタル時代の持続的な成長を支援していきます。

 

(株)Belongによる中古携帯端末販売の拡大

 当社が100%出資する(株)Belongでは、高額化する端末価格や「SDGs」への関心の高まり等を背景とした市場の拡大を見据え、中古携帯端末を主にECを通じ販売しています。同社では、技術に詳しくない方にも安心して

ご購入頂けるよう、携帯表面の傷や電池の消耗具合等を丁寧に検査し、その結果を消費者へ分かり易く説明したうえで販売しています。検査・選別作業は、ノウハウを蓄積した同社独自の専用オペレーションセンターで実施しており、これにより高品質な端末をリーズナブルな価格で販売することを可能としています。その結果、同社でご購入頂いたお客様からは極めて高い顧客満足度評価を頂いており、2021年度は前連結会計年度比約4倍の

販売台数を記録するに至っています。今後も同社の事業を通じ、成長市場でのシェア拡大・収益基盤強化と

ともに、循環型社会実現への貢献の両立を図っていきます。

 

⑧ 第8カンパニー

(株)ゲート・ワンの設立

 当社と(株)ファミリーマートは、ファミリーマート店舗内に設置するデジタルサイネージ(電子看板)を活用したメディア事業の展開に向け、2021年9月に(株)ゲート・ワンを設立しました。レジカウンターの背後に大型サイネージ3台を連ね、音声と大画面による迫力ある広告に加え、テレビドラマ・映画番宣等の俳優の

オリジナルインタビュー、アーティストのプロモーションビデオ等エンターテインメント関連の情報や、

地域情報、ニュース、天気予報等魅力的なコンテンツを放映し、広告収益の獲得のみならず、ワクワクする

店作りによる集客・日商向上を図ります。

 2022年6月頃を目途に3,000店舗、3年以内を目途に設置可能な全店舗へデジタルサイネージを導入し、TV・インターネットに次ぐ第3のメディアとなることを目指します。

 

⑨ その他

「SDGs」発信拠点として「ITOCHU SDGs STUDIO」を開設

 当社は、世の中のあらゆる「SDGs」に関する取組を後押しする発信拠点として、伊藤忠本社敷地内に「ITOCHU SDGs STUDIO」を開設しました。エバンジェリスト(伝道師)には世界的トップモデルの冨永愛さんを任命しています。タレントのSHELLYさんナビゲートによるJ-WAVEラジオでの当社冠番組や農林水産省・WWF等の展示を通じて「SDGs」の取組を発信してきた結果、来場者は約2万人を数え、著名な来場者のSNSフォロワー総数は

1,500万人を超えています。

 今後も、当STUDIOが世の中の「SDGs」のうねりを作り出す拠点として発信を続け、「SDGs」の実現に貢献していきます。

 

(3)業績の状況

① 収益

当連結会計年度の「収益」は、エネルギー・化学品はエネルギー関連事業や化学品関連事業での市況価格上昇及び取引増加等により増収、金属は鉄鉱石価格及び石炭価格の上昇等により増収、食料は(株)日本アクセスでの取扱数量の増加及び食糧関連取引での市況価格上昇等により増収、住生活は新型コロナウイルスの影響軽減に

よるEuropean Tyre Enterprise Limited(欧州タイヤ関連事業)の販売数量回復に加え、建材関連事業の好調な推移等により増収となり、全体としては前連結会計年度比1兆9,307億円(18.6%)増収の12兆2,933億円となりました。なお、「商品販売等に係る収益」は11兆118億円、「役務提供及びロイヤルティ取引に係る収益」は

1兆2,815億円となりました。

 

② 売上総利益

当連結会計年度の「売上総利益」は、金属は鉄鉱石価格及び石炭価格の上昇等により増益、住生活は新型

コロナウイルスの影響軽減によるEuropean Tyre Enterprise Limitedの販売数量回復に加え、建材関連事業の

好調な推移等により増益、機械は(株)ヤナセの販売好調及び新型コロナウイルスの影響軽減による自動車関連

ビジネス全般の回復並びに船舶関連事業や北米IPP事業等の各分野が総じて好調に推移したことにより増益、

エネルギー・化学品は前連結会計年度の電力取引好調の反動はあったものの、市況価格上昇に伴うエネルギー

トレーディング取引及びITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.(原油開発生産事業)の採算改善に加え、

化学品関連事業の堅調な推移等により増益となり、全体としては前連結会計年度比1,564億円(8.8%)増益の

1兆9,372億円となりました。

 

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度の「販売費及び一般管理費」は、堅調な収益拡大や円安による経費増加はあったものの、当第1四半期連結会計期間に全家便利商店股份有限公司(以下、「台湾FM」という。)を子会社から関連会社に区分変更したことによる減少等により、前連結会計年度比198億円(1.4%)減少の1兆3,467億円となりました。

 

④ 貸倒損失

当連結会計年度の「貸倒損失」は、一般債権に対する貸倒損失の減少等により、前連結会計年度比29億円減少の79億円(損失)となりました。

 

⑤ 有価証券損益

当連結会計年度の「有価証券損益」は、台湾FMの一部売却、(株)Paidyの連結除外及び日伯紙パルプ資源開発(株)の売却に伴う利益並びにITOCHU Coal Americas Inc.の連結除外に伴う為替差益の実現等により、前連結会計年度比2,077億円増加の2,119億円(利益)となりました。

 

⑥ 固定資産に係る損益

当連結会計年度の「固定資産に係る損益」は、前連結会計年度の(株)ファミリーマート及び豪州石炭事業での減損損失並びに機械の海外事業に係る減損損失の反動等により、前連結会計年度比1,399億円改善の176億円

(損失)となりました。

 

⑦ その他の損益

当連結会計年度の「その他の損益」は、為替損益の悪化はあったものの、前連結会計年度のエネルギー長期

契約に係る損失の反動等により、前連結会計年度比158億円好転の96億円(利益)となりました。

 

⑧ 金融収支(「受取利息」・「支払利息」・「受取配当金」の合計額)

当連結会計年度の金融収支は、前連結会計年度比321億円増加の722億円(利益)となりました。

このうち「受取利息」及び「支払利息」の合計である金利収支は、米ドル金利低下による支払利息の減少等により前連結会計年度比45億円改善の86億円(費用)となり、「受取配当金」は、鉄鉱石関連投資からの配当の

増加等により、前連結会計年度比276億円(51.9%)増加の807億円となりました。

 

⑨ 持分法による投資損益

当連結会計年度の「持分法による投資損益」は、住生活はパルプ市況上昇等によるITOCHU FIBRE LIMITED

(欧州パルプ事業)及び建材関連事業の取込損益増加等により増加、金属は北米薄板建材事業の好調及び鋼材

市況の上昇に伴う事業全般の順調な推移並びに北米鋼管事業の好転による伊藤忠丸紅鉄鋼(株)の増益に加え、

価格上昇による鉄鉱石事業の取込損益増加等により増加、機械はI-ENVIRONMENT INVESTMENTS LIMITED(欧州

水・環境事業)での水道事業売却に伴う利益及び船舶関連事業の取込損益増加等により増加となり、一方、その

他及び修正消去(注)は総合金融分野を中心とした堅調な推移等によるCITIC Limitedの増益はあったものの、

豚肉市況の下落に伴う採算悪化及び前連結会計年度の一過性利益の反動によるC.P. Pokphand Co. Ltd.の取込損益悪化により減少となりましたが、全体としては前連結会計年度比628億円(27.5%)増加の2,914億円(利益)となりました。

なお、主な持分法適用会社の業績については、後述「(5)主な子会社及び持分法適用会社の業績」をご参照ください。

 

(注)「その他及び修正消去」は、各事業セグメントに帰属しない損益及びセグメント間の内部取引消去が含ま

   れております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」を

   ご参照ください。

 

⑩ 当社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、「税引前利益」は、前連結会計年度比6,376億円(124.4%)増益の1兆1,500億円となりました。「法人所得税費用」は、堅調な利益拡大及び前連結会計年度の(株)ファミリーマートに係る税金費用減少の反動等により、前連結会計年度比1,995億円(278.6%)増加の2,711億円となり、「税引前利益」1兆1,500億円から「法人所得税費用」2,711億円を控除した「当期純利益」は、前連結会計年度比4,381億円(99.4%)増益の8,790億円となりました。このうち、「非支配持分に帰属する当期純利益」587億円(利益)を控除した「当社株主に帰属する当期純利益」は、前連結会計年度比4,188億円(104.3%)増益の8,203億円となりました。

 

⑪ 日本の会計慣行に基づく「営業利益」

当連結会計年度の「営業利益」(「売上総利益」・「販売費及び一般管理費」・「貸倒損失」の合計)は、金属は鉄鉱石価格及び石炭価格の上昇等により増益、機械は(株)ヤナセの販売好調及び新型コロナウイルスの影響軽減による自動車関連ビジネス全般の回復並びに船舶関連事業や北米IPP事業等の各分野が総じて好調に推移したことにより増益、住生活は新型コロナウイルスの影響軽減によるEuropean Tyre Enterprise Limitedの販売数量回復に加え、建材関連事業の好調な推移等により増益、エネルギー・化学品は前連結会計年度の電力取引好調の反動はあったものの、市況価格上昇に伴うエネルギートレーディング取引及びITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.の採算改善に加え、化学品関連事業の堅調な推移等により増益となり、全体としては前連結会計年度比1,791億円(44.4%)増益の5,825億円となりました。

 

(4)セグメント別業績

 当連結会計年度の、事業セグメント別の業績は次のとおりです。当社は8つのディビジョンカンパニーにより以下の区分にて、事業セグメント別業績を記載しております。

 

① 繊維カンパニー

収益(セグメント間内部収益を除く。以下同様。)は、新型コロナウイルスの影響はあったものの、アパレル関連事業を中心に業績回復傾向にあり、前連結会計年度比97億円(2.2%)増収の4,448億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前連結会計年度比73億円(8.1%)増益の968億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルスの影響はあったものの、アパレル関連事業を中心とした業績回復傾向及び持分法投資損益の増加に加え、海外事業の一部売却に伴う利益及び前連結会計年度の一過性損失の反動等により、前連結会計年度比235億円増益の251億円となりました。セグメント別資産は、新型コロナウイルスの影響軽減に伴う取引増加による営業債権及び棚卸資産の増加に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比181億円(4.3%)増加の4,368億円となりました。

 

② 機械カンパニー

収益は、航空機関連事業の増加に加え、(株)ヤナセの販売好調及び新型コロナウイルスの影響軽減による自動車関連ビジネス全般の回復等、各分野が総じて好調に推移したことにより、前連結会計年度比1,406億円(13.3%)増収の1兆1,940億円となりました。売上総利益は、(株)ヤナセの販売好調及び新型コロナウイルスの影響軽減による自動車関連ビジネス全般の回復並びに船舶関連事業や北米IPP事業等の各分野が総じて好調に推移したことにより、前連結会計年度比322億円(18.6%)増益の2,058億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、(株)ヤナセの販売好調、新型コロナウイルスの影響軽減による自動車関連ビジネス全般の回復並びに船舶関連事業や北米IPP事業等の各分野が総じて好調に推移したことに加え、I-ENVIRONMENT INVESTMENTS LIMITEDでの水道事業売却に伴う利益及び前連結会計年度の一過性損失の反動等により、前連結会計年度比572億円(250.6%)増益の800億円となりました。セグメント別資産は、上場株式の公正価値上昇及び海外機械関連事業への投融資に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比1,778億円(15.8%)増加の1兆3,027億円と

なりました。

 

③ 金属カンパニー

収益は、鉄鉱石価格及び石炭価格の上昇等により、前連結会計年度比3,859億円(58.7%)増収の1兆431億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前連結会計年度比686億円(62.1%)増益の1,790億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、鉄鉱石価格及び石炭価格の上昇や伊藤忠丸紅鉄鋼(株)の取込損益増加に加え、ITOCHU Coal Americas Inc.の連結除外に伴う為替差益の実現及び前連結会計年度の一過性損失の反動等により、前連結会計年度比1,219億円(117.1%)増益の2,260億円となりました。セグメント別資産は、営業債権及び棚卸資産の増加に加え、鉄鉱石価格上昇に伴う利益の積上げ並びに円安の影響等による豪州

資源関連資産の増加により、前連結会計年度末比3,717億円(40.7%)増加の1兆2,853億円となりました。

 

④ エネルギー・化学品カンパニー

収益は、エネルギー関連事業や化学品関連事業での市況価格上昇及び取引増加等により、前連結会計年度比6,838億円(31.4%)増収の2兆8,641億円となりました。売上総利益は、市況価格上昇に伴うエネルギートレーディング取引及びITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.の採算改善に加え、化学品関連事業の堅調な推移等により、前連結会計年度の電力取引好調の反動はあったものの、前連結会計年度比248億円(10.9%)増益の2,531億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、市況価格上昇に伴うエネルギートレーディング取引及びITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.の採算改善や受取配当金の増加並びに化学品関連事業の堅調な推移に加え、前連結会計年度の一過性損失の反動等により、前連結会計年度比536億円(148.5%)増益の

896億円となりました。セグメント別資産は、エネルギートレーディング取引及びエネルギー関連事業での営業債権や化学品関連事業での棚卸資産の増加に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比2,101億円(16.4%)増加の1兆4,893億円となりました。

⑤ 食料カンパニー

収益は、(株)日本アクセスでの取扱数量の増加及び食糧関連取引での市況価格上昇等により、前連結会計年度比3,182億円(8.0%)増収の4兆2,935億円となりました。売上総利益は、(株)日本アクセスでの取扱数量の

増加や生鮮食品及び食品流通関連取引の堅調な推移があったものの、プリマハム(株)での調達コスト上昇に伴う採算悪化等により、前連結会計年度比108億円(3.2%)減益の3,204億円となりました。当社株主に帰属する

当期純利益は、北米穀物関連事業の改善及び(株)日本アクセスでの取扱数量の増加に加え、前連結会計年度の

一過性損失の反動等があり、畜産関連事業での採算悪化はあったものの、前連結会計年度比340億円(135.7%)増益の590億円となりました。セグメント別資産は、食糧関連取引の営業債権及び棚卸資産の増加並びにDoleの加工食品事業での棚卸資産の増加に加え、円安の影響等により、前連結会計年度末比1,802億円(10.0%)増加

の1兆9,795億円となりました。

 

⑥ 住生活カンパニー

収益は、新型コロナウイルスの影響軽減によるEuropean Tyre Enterprise Limitedの販売数量回復に加え、建材関連事業の好調な推移等により、前連結会計年度比2,816億円(37.3%)増収の1兆370億円となりました。

売上総利益は、上記と同様の理由により、前連結会計年度比429億円(29.1%)増益の1,903億円となりました。

当社株主に帰属する当期純利益は、建材関連事業の好調な推移や新型コロナウイルスの影響軽減による

European Tyre Enterprise Limitedの業績回復及びパルプ市況上昇等によるITOCHU FIBRE LIMITEDの取込損益好転に加え、日伯紙パルプ資源開発(株)の売却に伴う利益及び前連結会計年度の一過性損失の反動等により、前連結会計年度比840億円(394.8%)増益の1,052億円となりました。セグメント別資産は、日伯紙パルプ資源開発(株)の売却による減少はあったものの、建材関連事業の営業債権及び棚卸資産の増加に加え、投資有価証券の新規取得並びに円安の影響等により、前連結会計年度末比895億円(8.6%)増加の1兆1,262億円となりました。

 

⑦ 情報・金融カンパニー

収益は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)を中心とした情報・通信分野での好調な推移等により、前連結会計年度比1,128億円(15.0%)増収の8,640億円となりました。売上総利益は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)及び海外リテール金融関連事業の好調な推移等により、前連結会計年度比153億円(5.5%)増益の2,959億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)の好調な推移及びファンド運用益の増加に加え、(株)Paidyの連結除外に伴う利益等により、前連結会計年度比462億円(79.4%)増益の1,043億円となりました。セグメント別資産は、伊藤忠テクノソリューションズ(株)を中心とした情報・通信分野での利益の積上げ等による現預金の増加に加え、投資有価証券の新規取得及び公正価値上昇等により、前連結会計年度末比1,136億円(9.2%)増加の1兆3,504億円となりました。

 

⑧ 第8カンパニー

収益は、新型コロナウイルスの影響軽減及び(株)ファミリーマートでの品揃え強化等による日商の回復はあったものの、当第1四半期連結会計期間に台湾FMを子会社から関連会社に区分変更したことにより、前連結会計年度比208億円(4.4%)減収の4,579億円となりました。売上総利益は、上記と同様の理由により、前連結会計年度比312億円(7.5%)減益の3,876億円となりました。当社株主に帰属する当期純利益は、新型コロナウイルスの影響軽減及び(株)ファミリーマートでの品揃え強化等による日商の回復に加え、取込比率上昇や台湾FMの一部売却に伴う利益等があり、前連結会計年度の一過性利益の反動はあったものの、前連結会計年度比278億円(130.5%)増益の490億円となりました。セグメント別資産は、当第1四半期連結会計期間に台湾FMを子会社から関連会社に区分変更したこと及び(株)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの一部売却等により、前連結会計年度末比4,667億円(20.5%)減少の1兆8,138億円となりました。

 

⑨ その他及び修正消去

当社株主に帰属する当期純利益は、総合金融分野を中心とした堅調な推移等によるCITIC Limitedの増益は

あったものの、豚肉市況の下落に伴う採算悪化及び前連結会計年度の一過性利益の反動によるC.P. Pokphand Co. Ltd.の取込損益悪化に加え、税金費用の増加等により、前連結会計年度比292億円(26.3%)減益の820億円

となりました。

 

(5)主な子会社及び持分法適用会社の業績

 

 ① 黒字・赤字会社別損益及び黒字会社比率

 

黒字・赤字会社別損益

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

 

黒字会社

赤字会社

合計

黒字会社

赤字会社

合計

黒字会社

赤字会社

合計

事業会社損益

(海外現地法人含む)

4,638

△1,042

3,596

7,195

△106

7,089

2,557

936

3,492

 

黒字会社比率

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

黒字会社

赤字会社

合計

黒字会社

赤字会社

合計

黒字会社

赤字会社

合計

連結子会社

会社数

比率(%)

164

82.4

35

17.6

199

100.0

180

93.7

12

6.3

192

100.0

16

11.3

△23

△11.3

△7

 

持分法適用会社

会社数

比率(%)

66

82.5

14

17.5

80

100.0

69

84.1

13

15.9

82

100.0

3

1.6

△1

△1.6

2

 

合計

会社数

比率(%)

230

82.4

49

17.6

279

100.0

249

90.9

25

9.1

274

100.0

19

8.4

△24

△8.4

△5

 

(注)会社数には、親会社の一部と考えられる投資会社(154社)及び当社もしくは当社の海外現地法人が直接投資している会社を除くその他の会社(488社)を含めておりません。

 

当連結会計年度の事業会社損益は、前連結会計年度比3,492億円増加の7,089億円の利益となりました。

黒字会社損益は、鉄鉱石価格及び石炭価格の上昇等があったITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltdの増益、日商の回復及び一過性利益等があった(株)ファミリーマートの増益に加え、総合金融分野を中心とした堅調な推移等によるCITIC Limitedの取込損益増加があったOrchid Alliance Holdings Limitedの増益等により、前連結会計年度比2,557億円増加の7,195億円の利益となりました。また、赤字会社損益は、前連結会計年度の一過性損失の反動等により、前連結会計年度比936億円改善の106億円の損失となりました。

黒字会社比率(連結対象会社数に占める黒字会社数の比率)については、前連結会計年度の82.4%から

8.4ポイント上昇の90.9%となりました。

 

 ② 主な関係会社損益

                                               (単位:億円)

 

 

 

 

 

取込

比率(%)

取込損益(注)1

前連結

会計年度

当連結

会計年度

繊維

㈱ジョイックスコーポレーション

100.0

△8

7

㈱デサント

40.0

16

27

㈱エドウイン

98.5

△17

16

㈱三景

100.0

△82

5

ITOCHU Textile Prominent (ASIA) Ltd.

100.0

9

20

伊藤忠繊維貿易(中国)有限公司

100.0

11

17

機械

東京センチュリー㈱

30.0

135

160

I-Power Investment Inc.

100.0

25

41

I-ENVIRONMENT INVESTMENTS LIMITED

100.0

6

75

伊藤忠プランテック㈱               (注)2

100.0

14

14

㈱アイメックス

100.0

11

42

㈱ジャムコ

33.4

△50

△14

日本エアロスペース㈱

100.0

15

16

㈱ヤナセ

66.0

46

97

Auto Investment Inc.

100.0

12

27

伊藤忠TC建機㈱

50.0

2

3

伊藤忠マシンテクノス㈱

100.0

5

6

センチュリーメディカル㈱

100.0

6

6

MULTIQUIP INC.

100.0

24

37

金属

ITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd

100.0

906

1,587

JAPÃO BRASIL MINÉRIO DE FERRO PARTICIPAÇÕES LTDA.

77.3

55

37

伊藤忠丸紅鉄鋼㈱

50.0

87

313

伊藤忠メタルズ㈱                 (注)2

100.0

15

31

エネルギー・化学品

ITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.

100.0

18

89

ITOCHU PETROLEUM CO., (SINGAPORE) PTE. LTD.

100.0

11

14

伊藤忠エネクス㈱

54.0

66

71

日本南サハ石油㈱

25.0

48

41

伊藤忠ケミカルフロンティア㈱

100.0

47

64

伊藤忠プラスチックス㈱              (注)2

100.0

43

47

タキロンシーアイ㈱

55.7

28

35

食料

Dole International Holdings㈱

100.0

△33

84

㈱日本アクセス                  (注)2

100.0

71

171

不二製油グループ本社㈱

39.9

24

45

プリマハム㈱

47.9

56

40

伊藤忠食品㈱

52.2

20

27

HYLIFE GROUP HOLDINGS LTD.

49.9

45

11

 

(単位:億円)

 

 

取込

比率(%)

取込損益(注)1

前連結

会計年度

当連結

会計年度

住生活

European Tyre Enterprise Limited

100.0

△36

35

ITOCHU FIBRE LIMITED

100.0

△12

178

伊藤忠紙パルプ㈱                 (注)2

100.0

12

18

伊藤忠セラテック㈱

100.0

5

7

伊藤忠ロジスティクス㈱              (注)2

100.0

30

46

伊藤忠建材㈱

100.0

27

60

大建工業㈱

36.4

20

27

伊藤忠都市開発㈱

100.0

31

30

情報・金融

伊藤忠テクノソリューションズ㈱

59.5

178

207

㈱ベルシステム24ホールディングス

40.7

19

26

コネクシオ㈱

60.3

43

35

伊藤忠・フジ・パートナーズ㈱

63.0

19

20

ほけんの窓口グループ㈱

76.2

34

22

ポケットカード㈱               (注)2,3

78.2

26

40

㈱オリエントコーポレーション           (注)4

16.5

△95

19

First Response Finance Ltd.

100.0

15

25

ITOCHU FINANCE (ASIA) LTD.

100.0

40

48

第8

㈱ファミリーマート                (注)5

94.7

△167

447

その他及び

修正消去

Orchid Alliance Holdings Limited         (注)6

100.0

725

964

C.P. Pokphand Co. Ltd.

23.8

402

△26

Chia Tai Enterprises International Limited    (注)7

23.8

△2

△5

 

 

 

 

 

(参考)

海外現地法人

(注)8

伊藤忠インターナショナル会社

100.0

131

277

伊藤忠欧州会社

100.0

△8

116

伊藤忠(中国)集団有限公司

100.0

42

68

伊藤忠香港会社

100.0

61

80

伊藤忠シンガポール会社

100.0

32

52

(注)1 取込損益には、IFRS修正後の数値を記載しておりますので、各社が公表している数値とは異なる場合があります。

   2 取込損益には、第8カンパニーの取込損益を含んでおります。

   3 ポケットカード㈱の取込損益には、㈱ファミリーマート経由の取込損益を含んでおります。また、前連結会計年度の取込比率は、前第2四半期連結累計期間では63.1%、前第3四半期連結会計期間では68.3%、前第4四半期連結会計期間では78.2%です。

   4 ㈱オリエントコーポレーションの前連結会計年度の取込損益には、当社が保有する当該会社に対する持分法投資に係る減損損失等を含んでおります。

   5 ㈱ファミリーマートの取込損益には、ポケットカード㈱の取込損益を含んでおります。また、前連結会計年度の取込比率は、前第2四半期連結累計期間では50.2%、前第3四半期連結会計期間では65.6%、前第4四半期連結会計期間では94.7%です。

   6 Orchid Alliance Holdings Limitedの取込損益には、付随する税効果等を含めて表示しております。

   7 Chia Tai Enterprises International Limitedの前連結会計年度及び当連結会計年度の取込損益には、当社が保有する当該会社に対する持分法投資に係る減損損失等を含んでおります。

   8 各セグメントに含まれている海外現地法人の損益を参考情報として表示しております。

(6)仕入、成約及び販売の状況

① 仕入の状況

 仕入と販売との差異は僅少なため、仕入高の記載は省略しております。

 

② 成約の状況

 成約と販売との差異は僅少なため、成約高の記載は省略しております。

 

③ 販売の状況

 「(4)セグメント別業績」及び「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4 セグメント情報」をご参照

ください。

 

(7)流動性と資金の源泉

① 資金調達の方針

 当社の資金調達は、金融情勢の変化に対応した機動性の確保と資金コストの低減を目指すとともに、調達の

安定性を高めるために長期性の資金調達に努める等、調達構成のバランスを取りながら、調達先の分散や調達

方法・手段の多様化を図っております。また、国内子会社の資金調達については原則として親会社及び国内

グループ金融統括会社からのグループファイナンスに一元化するとともに、海外子会社の資金調達についても

シンガポール、英国及び米国の海外グループ金融統括会社を拠点にグループファイナンスを行っております。

資金調達を集中することにより、連結ベースでの資金の効率化や資金調達構造の改善に努めております。この

結果、当連結会計年度末時点では、連結有利子負債のうち約68%が親会社、国内及び海外グループ金融統括会社

による調達となっております。

 資金調達手段としては、銀行借入等の間接金融と社債等の直接金融を機動的に活用しております。間接金融については、様々な金融機関と幅広く良好な関係を維持し、必要な資金を安定的に確保しております。直接金融については、国内では、社債発行登録制度に基づき2021年8月から2023年8月までの2年間で3,000億円の新規社債発行枠の登録を行っております。また、資金効率の向上並びに資金コストの低減を目的に、コマーシャル・

ペーパーによる資金調達も実施しております。海外では、当社とグループ金融統括会社で合わせて

5,000百万米ドルのユーロ・ミディアムタームノート(Euro MTN)プログラムを保有しております。また、2021年3月にSDGs債フレームワーク(サステナビリティボンド・フレームワーク)を策定し、これに基づきSDGs債を

発行しております。

 当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりです。今後も一層の格付け向上を

目指し収益力の強化、財務体質の改善、及びリスクマネジメントの徹底に努めます。

 

長期

短期

 日本格付研究所(JCR)

 AA/安定的

 J-1+

 格付投資情報センター(R&I)

 AA-/安定的

 a-1+

 ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody's)

 A3/ポジティブ

 P-2

 S&Pグローバル・レーティング(S&P)

 A/安定的

 A-1

 

② 有利子負債

  当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末比2,494億円減少の2兆9,059億円となりました。

 現預金控除後のネット有利子負債は、前連結会計年度末比3,184億円減少の2兆2,830億円となりました。

 NET DER(ネット有利子負債対株主資本倍率)は、前連結会計年度末の0.78倍から0.24改善の0.54倍となりました。また、有利子負債合計に占める長期有利子負債比率は、前連結会計年度末の77%から82%へと5ポイントの

 増加となりました。

  前連結会計年度末及び当連結会計年度末の有利子負債の内訳は、次のとおりです。

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

社債及び借入金(短期):

 

 

 

銀行借入金等

5,849

4,362

△1,487

コマーシャル・ペーパー

150

300

150

社債

1,103

563

△541

短期計

7,102

5,224

△1,878

社債及び借入金(長期):

 

 

 

銀行借入金等

22,526

22,353

△173

社債

1,925

1,482

△443

長期計

24,451

23,835

△616

有利子負債計

31,553

29,059

△2,494

現金及び現金同等物、定期預金

5,540

6,229

689

ネット有利子負債

26,014

22,830

△3,184

 

③ 財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、台湾FMの一部売却に伴う減少はあったものの、円安に伴う為替影響に加え、

取引増加や市況価格上昇等による営業債権及び棚卸資産の増加並びに持分法で会計処理されている投資の増加等により、前連結会計年度末比9,752億円(8.7%)増加の12兆1,537億円となりました。

 「株主資本」は、配当金の支払及び自己株式の取得はあったものの、当社株主に帰属する当期純利益の積上げ及び円安に伴う為替影響等により、前連結会計年度末比8,830億円(26.6%)増加の4兆1,993億円となりました。また、株主資本比率は前連結会計年度末比4.9ポイント上昇の34.6%となりました。

 「株主資本」に「非支配持分」を加えた「資本」は、前連結会計年度末比8,935億円(23.1%)増加の

4兆7,637億円となりました。

 

④ 流動性準備

  当社グループは、調達環境の悪化等、不測の事態にも対応しうる流動性準備の確保に努めております。

  当連結会計年度末では、短期有利子負債と偶発負債の合計額7,195億円に対し、現金及び現金同等物、定期

 預金(合計6,229億円)、コミットメントライン契約の未使用枠(円貨2,000億円、外貨1,700百万米ドル)を合計した流動性準備の合計額は1兆310億円となっており、十分な流動性準備を確保していると考えております。

 また、これに加えて、売却可能有価証券等短期間での現金化が可能な資産等を8,074億円保有しております。

 

   (流動性準備額)                                   (単位:億円)

 

 

 

当連結会計年度末

現金及び現金同等物、定期預金

 

6,229

コミットメントライン

 

4,081

合計

 

10,310

 

   (短期有利子負債と偶発負債)                             (単位:億円)

 

 

当連結会計年度末

社債及び借入金(短期)

5,224

社債及び借入金(長期)(注)

1,129

偶発負債(関連会社及びジョイント・ベンチャー、一般取引先に対する金融保証実保証額)

841

合計

7,195

   (注)1年以内に期限の到来する社債及び借入金のうち、コミットメントラインに係るものを、連結財政状態

計算書上で「社債及び借入金(長期)」として表示しております。

 

 

⑤ 資金の源泉

当社グループの主な資金需要には、営業活動上の運転資金に加え、投資及び有形固定資産の取得等が

あります。当社グループの資金の源泉に対する基本的な考え方は、新規投資の資金を、営業取引収入、資産の

売却・回収、及び財務健全性を維持しながら借入金や社債等により調達することで賄うというものです。

なお、当社グループは、中期経営計画「Brand-new Deal 2023」(2021年度から2023年度までの3ヵ年計画)期間において、成長投資・有利子負債コントロール・株主還元の3つのバランスを堅持し、株主還元後実質

フリー・キャッシュ・フロー(注)の黒字を前提としたキャッシュアロケーションを行います。

(注)「実質営業キャッシュ・フロー」-「ネット投資」-「配当・自己株式取得」
   ・「実質営業キャッシュ・フロー」=「営業キャッシュ・フロー」

                       -「運転資金等の増減」+「リース負債の返済等」

  ・「ネット投資」=「投資キャッシュ・フロー」+「非支配持分との資本取引」-「貸付金の増減」等

 

当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、第8、金属、エネルギー・化学品及び食料での営業取引収入の堅調な推移等により、8,012億円のネット入金となりました。

なお、前連結会計年度は、8,959億円のネット入金でした。

当連結会計年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、食料、第8及び機械での固定資産の取得に

加え、台湾FMの一部売却に伴い子会社から関連会社に区分変更したことによる現金の減少等があったものの、

(株)パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの一部売却、日伯紙パルプ資源開発(株)及び

(株)Paidyの売却等により、386億円のネット入金となりました。

なお、前連結会計年度は、2,073億円のネット支払でした。

当連結会計年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、借入金及びリース負債の返済に加え、配当金の支払及び自己株式の取得等により、8,467億円のネット支払となりました。

なお、前連結会計年度は、7,288億円のネット支払でした。

 

「現金及び現金同等物」は、円安に伴う為替影響等もあり、前連結会計年度末比677億円(12.4%)増加の6,117億円となりました。

 

前連結会計年度及び当連結会計年度のキャッシュ・フローの要約は次のとおりです。

(単位:億円)

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

8,959

8,012

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,073

386

財務活動によるキャッシュ・フロー

△7,288

△ 8,467

現金及び現金同等物の増減額

△402

△69

現金及び現金同等物の期首残高(連結財政状態計算書計上額)

売却目的保有資産に含まれる現金及び現金同等物の振戻額

現金及び現金同等物の期首残高

6,112

6,112

5,440

443

5,883

為替相場の変動による現金及び現金同等物への影響額

173

303

売却目的保有資産に含まれる現金及び現金同等物

△443

現金及び現金同等物の期末残高

5,440

6,117

 

 

(8)重要な会計方針

当社の連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたっては、各連結会計年度末日の資産、負債、偶発資産、偶発負債の報告金額及び報告期間の収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、仮定及び判断を使用することが必要となります。当社の経営陣は、連結財務諸表作成の基礎となる見積り、仮定及び判断を、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。但し、これらの見積り、仮定及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。この差異は、当社の連結財務諸表及び当社のすべての事業セグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ロシア・ウクライナ情勢による影響について、当社及び子会社ではロシアでの資源関連投資等を行っておりますが、当連結会計年度末の総資産に占める割合は1%未満です。資源関連投資の公正価値測定では、商品価格や割引率等の一定の前提を使用しておりますが、当該前提を合理的に考えうる範囲で変更した場合においても、当社及び子会社の財政状態及び経営成績への重要な影響は見込まれておりません。その他、当社はロシア・ウクライナにおいて自動車関連事業や航空機リース関連事業を展開する子会社及び関連会社を保有しておりますが、重要な影響は見込まれておりません。

また、新型コロナウイルス感染症については、世界的な収束は見通しにくい状況が続いておりますが、2022年度においては、当連結会計年度と比較して影響が減少するものと見込んでおります。

 

 当社の経営陣が、将来にわたり、重要な修正を生じさせるリスクを有すると考えている見積り及び仮定は、

主として次のとおりです。なお、下記に掲げる各項目に関連する資産及び負債の当連結会計年度末の残高については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記」の各項目の注記内容をご参照ください。

 

・非上場の公正価値で測定される資本性金融資産の公正価値測定

 公正価値で測定される資本性金融資産のうち、非上場の銘柄については、投資先と同じ業界に属する上場銘柄の公表情報を参照したマルチプル法、あるいは投資先からの受取配当に係る将来キャッシュ・フロー見積額を現在価値に割引くことにより公正価値を算定する配当キャッシュ・フロー還元法等により公正価値を測定しております。マルチプル法を適用する場合のマルチプル倍率、あるいは配当キャッシュ・フロー還元法を適用する場合の将来受取キャッシュ・フローの見積り及び割引率は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、非上場の公正価値で測定される資本性金融資産の公正価値の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

・償却原価で測定される金融資産及び負債性のFVTOCI金融資産に係る予想信用損失の見積り

 償却原価で測定される金融資産及び負債性のFVTOCI金融資産に係る予想信用損失は、当該資産に係る契約上のキャッシュ・フローと回収可能なキャッシュ・フロー見込額の差額をもとに見積っております。当該資産に係る回収可能なキャッシュ・フロー見込額は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、当該資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

・有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る

 減損テストにおいて測定される回収可能価額

 有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損テストにおいて、資金生成単位を判別したうえで、当該資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高いほうを回収可能価額として測定しております。回収可能価額は、原則として、独立鑑定人の支援を受けて算定した使用価値に基づいております。使用価値は、取締役会が承認した事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を割引くことにより計算しております。事業計画は原則として5年を限度としており、過去の実績を反映させ、外部情報とも整合性を取ったうえで策定しております。事業計画の対象期間を超える将来キャッシュ・フローの成長率は、資金生成単位が属する市場もしくは国の平均成長率を勘案して決定しております。割引率は、各資金生成単位の加重平均資本コスト等を基礎に算定しております。当該売却費用控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、将来の不確実な経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

 

・確定給付型退職後給付制度の確定給付制度債務及び制度資産の公正価値測定

 確定給付型退職後給付制度については、確定給付制度債務と制度資産の公正価値の純額を負債または資産として認識しております。確定給付制度債務は、年金数理計算により算定しており、年金数理計算の前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率等の見積りが含まれております。これら前提条件は、金利変動の市場

動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定しております。これら年金数理計算の前提条件には将来の不確実な経済環境あるいは社会情勢の変動等によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、確定給付制度債務及び制度資産の公正価値の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

・引当金の測定

 引当金は、将来において債務の決済に要すると見込まれる支出の期末日での最善の見積りに基づいて測定しております。将来において債務の決済に要すると見込まれる支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しております。これら引当金の測定において使用される仮定は、将来の不確実な経済条件の変動に

よって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、引当金の測定額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。

 

・法人所得税の見積り

 法人所得税の算定に際しては、税法規定の解釈や過去の税務調査の経緯等、様々な要因について見積り及び判断が必要となります。そのため、各期末において見積った法人所得税と、実際に納付する法人所得税の金額とが異なる可能性があり、その場合、翌年度以降の法人所得税の計上額に重要な影響を与える可能性があります。また、繰延税金資産については、将来減算一時差異等を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で認識しておりますが、当該回収可能性の判断は、当社及び子会社の事業計画に基づいて決定した各将来事業年度の課税所得の見積りを前提としております。当該将来事業年度の課税所得の見積りは、将来の不確実な

経済条件の変動によって影響を受ける可能性があり、将来にわたり、繰延税金資産の計上額に重要な修正を

生じさせるリスクを有しております。

 

 当社の経営陣が、会計方針適用にあたっての判断が、資産、負債、収益及び費用の計上金額に重要な影響を

与えると考えている項目は、主として次のとおりです。なお、下記に掲げる各項目に関連する資産及び負債の

当連結会計年度末の残高については、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記」の各項目の注記内容をご参照

ください。

 

・子会社、関連会社及びジョイント・ベンチャーの範囲

 

・デリバティブを除く金融資産の、償却原価で測定される金融資産、FVTOCI金融資産及びFVTPL金融資産

 への分類

 

・貸手リース契約に係る重要なリスクと経済価値の移転に関する判断

 

・償却原価で測定される金融資産及び負債性のFVTOCI金融資産に係る信用リスクが著しく増大しているかの判断

 

・有形固定資産、投資不動産、のれん、無形資産、関連会社及びジョイント・ベンチャーへの投資に係る

 減損テスト実施にあたっての資金生成単位の判別、減損(あるいは減損戻入)の兆候の有無の評価

 

・引当金の認識に係る過去の事象から発生した現在の義務の有無及び当該義務を決済するための資源流出の

 可能性に関する評価

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得