(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、各国でワクチンの3回目接種が進んだこと等により規制の撤廃や緩和が進み、新型コロナウイルス感染拡大で停滞してきた経済活動に全般的に回復がみられました。年間を通して原材料市況の高騰、半導体不足の影響、物流の混乱が続いたことに加え、ウクライナ情勢の深刻化等により不透明感は強まりましたが、そのような中でもニューノーマル時代への突入を感じさせる一年となりました。
当社グループがビジネスを展開する地域におきましては、特にグレーターチャイナで経済活動が堅調に推移し、大きな回復がみられました。北米では雇用の回復や個人消費の拡大により、経済活動全体が底堅い状況で推移しました。日本では企業業績の改善がみられましたが、感染防止対策が個人消費の抑制に繋がり、大幅な景気回復には至りませんでした。
このような状況の下、当社グループは、関連する業界におけるサプライチェーンの維持に貢献し、業績は伸長しました。以上の結果、当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
売上高 |
625,245 |
780,557 |
155,312 |
24.8 |
売上総利益 |
114,600 |
139,494 |
24,894 |
21.7 |
営業利益 |
21,916 |
35,263 |
13,346 |
60.9 |
経常利益 |
22,854 |
36,497 |
13,643 |
59.7 |
税金等調整前当期純利益 |
29,272 |
39,557 |
10,284 |
35.1 |
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
18,829 |
25,939 |
7,109 |
37.8 |
※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度に係る各数値は当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。
・当連結会計年度の業績は、すべてのセグメントで増益となった結果、売上総利益以下すべての各段階利益での過去最高益を更新いたしました。
・増益要因は、前連結会計年度上期に新型コロナウイルスの影響を強く受けた自動車関連ビジネスの復調に加え、前連結会計年度下期から引き続きエレクトロニクス関連ビジネス・樹脂ビジネスが好調に推移したことや、生活関連セグメントにおいてPrinovaグループの業績が牽引したこと等であります。詳細は「② セグメント別の概況」をご覧ください。
・親会社株主に帰属する当期純利益については、経常利益が136億円増加した影響があったものの、投資有価証券評価損や減損損失の影響等により、71億円増加の259億円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの名称および区分を一部変更しており、前連結会計年度の情報は当連結会計年度の報告セグメントの区分に組み替えて算出しております。
機能素材
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
売上高 |
75,294 |
99,874 |
24,580 |
32.6 |
売上総利益 |
15,562 |
19,819 |
4,256 |
27.4 |
営業利益 |
4,712 |
7,823 |
3,111 |
66.0 |
主な要因は以下のとおりです。
・自動車生産台数の回復を受けて塗料・ウレタン原料や、加工油剤関連・樹脂関連の原料販売が増加
・半導体関連等の電子業界向けのエレクトロニクスケミカル等の販売が堅調
・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益
加工材料
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
売上高 |
209,715 |
257,283 |
47,568 |
22.7 |
売上総利益 |
26,816 |
32,313 |
5,497 |
20.5 |
営業利益 |
7,311 |
10,858 |
3,546 |
48.5 |
主な要因は以下のとおりです。
・OA・ゲーム機器業界等への樹脂の販売は市況の高騰により収益性が改善
・工業用・包装材料用途の樹脂、顔料・添加剤の販売は需要の回復により増加
・情報印刷関連材料、導電材料等の販売は減少
・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益
電子・エネルギー
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
売上高 |
110,770 |
128,131 |
17,360 |
15.7 |
売上総利益 |
25,581 |
29,767 |
4,185 |
16.4 |
営業利益 |
8,408 |
10,278 |
1,870 |
22.2 |
主な要因は以下のとおりです。
・ディスプレイ材料および半導体用途の精密加工関連の販売が増加
・モバイル機器および半導体用途等を中心とした変性エポキシ樹脂関連の販売が増加
・ディスプレイ需要の増加を受け、フォトリソ材料関連の販売が増加
・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益
モビリティ
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
売上高 |
78,783 |
103,389 |
24,605 |
31.2 |
売上総利益 |
8,983 |
12,718 |
3,734 |
41.6 |
営業利益 |
1,851 |
4,131 |
2,280 |
123.2 |
主な要因は以下のとおりです。
・樹脂の販売は、自動車生産台数の回復により国内およびアセアンを中心とした海外において増加し、さらに市況の高騰により収益性が改善
・内外装・電動化用途の機能素材・機能部品の販売が増加
・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益
生活関連
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(単位:百万円) |
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
売上高 |
150,331 |
191,634 |
41,303 |
27.5 |
売上総利益 |
37,471 |
44,757 |
7,285 |
19.4 |
営業利益 |
6,512 |
9,429 |
2,916 |
44.8 |
主な要因は以下のとおりです。
・ニュートリション関連は素材販売、製造加工ともに好調に推移
・トレハ®等を中心とした食品素材、AA2G®等を中心とした香粧品素材は需要の回復を受けて販売が増加
・中間体・医薬品原料の販売が増加
・営業利益は売上総利益の増加を受け、増益
その他
特記すべき事項はありません。
② 財政状態の状況
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
増減率 (%) |
流動資産(百万円) |
401,751 |
514,286 |
112,534 |
28.0 |
固定資産(百万円) |
238,835 |
225,434 |
△13,401 |
△5.6 |
総資産(百万円) |
640,587 |
739,720 |
99,133 |
15.5 |
負債(百万円) |
302,155 |
384,628 |
82,472 |
27.3 |
純資産(百万円) |
338,431 |
355,092 |
16,661 |
4.9 |
自己資本比率(%) |
51.5 |
46.5 |
△5.0ポイント |
- |
・流動資産は、棚卸資産および売掛金の増加等により増加
・固定資産は、投資有価証券の時価下落および売却による減少等により減少
・負債は、買掛金および短期借入金の増加等により増加
・純資産は、その他有価証券評価差額金の減少があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上および為替換算調整勘定の増加により増加
・以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の51.5%から46.5%へ5.0ポイント低下
③ キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
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前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
20,391 |
△17,776 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
2,643 |
△7,664 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△25,866 |
27,282 |
・営業活動による資金の減少額は、税金等調整前当期純利益395億円の計上があったものの、運転資本の増加による資金の減少631億円があったこと等によるもの
・投資活動による資金の減少額は、投資有価証券の売却による収入77億円があったものの、有形固定資産の取得による支出88億円および連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出38億円があったこと等によるもの
・財務活動による資金の増加額は、長期借入金の返済による支出120億円および自己株式の取得による支出60億円があったものの、短期借入金の純増加333億円およびコマーシャル・ペーパーの純増加170億円があったこと等によるもの
④ 販売の状況
「① 経営成績の状況」および「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照願います。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に際し、資産、負債、収益、費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定を用いておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果は異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
・ 有形固定資産および無形固定資産の減損評価
当社は、のれんを含む有形・無形固定資産の価値が毀損していないかどうかを確認するために、各資産または資産グループの減損兆候の有無を調査した上で、割引前将来キャッシュ・フローに基づき減損損失の認識の判定を行っております。その結果、減損損失の認識が必要と判断された場合には、資産の帳簿価額のうち回収不能部分について減損損失を計上しております。
この減損損失の認識・測定に用いる将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画や使用価値の算定に用いる割引率等は、その性質上会計上の判断や仮定を伴うものでありますが、割引前将来キャッシュ・フローや回収可能価額の下落を引き起こすような事業環境の変化により見積りの見直しが必要になった場合には、追加的な減損損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度においては、INTERFACIAL CONSULTANTS LLC(加工材料セグメントに属する連結子会社。以下、IFC)が手掛ける樹脂分野の製品・製造プロセス開発事業に係るのれんおよびその他の無形資産等について減損損失を計上しました。IFCは樹脂等の分野において革新的な技術プラットフォームおよび顧客ニーズに合わせた製品・技術・製造プロセス開発能力を有しており、それらを当社グループに取り込むことを目的として2020年3月にIFCの持分の75%を取得することにより同社を連結子会社化しました。IFCの持分の取得時点における事業計画では、IFCが保有する技術プラットフォームや製品・技術・製造プロセス開発能力を活かした製品の製造・販売による収益の拡大を見込んでいましたが、北米での新型コロナウイルス感染症拡大や、それに伴う半導体の供給不足の影響を受け、2020年12月期および2021年12月期のIFCの経営成績は当初の事業計画を下回り継続して営業損失を計上しました。
上記の状況を受け、当連結会計年度においてIFCの事業に関連する資産グループについて減損兆候を識別し、また回収可能価額が当該資産グループの帳簿価額を下回ったことから減損損失を計上しました。なお、回収可能価額には使用価値(当社の取締役会で承認されたIFCの最新の事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの割引現在価値)を用いております。使用価値の算定における主要な仮定は事業計画における主要顧客への販売数量、売上原価率、割引率であります。主要顧客への販売数量、売上原価率については過年度の事業計画と実績の乖離状況およびその要因、現在入手し得る将来予測情報の内容を踏まえその合理性を評価し、割引率については貨幣の時間価値およびIFCが営む事業特有のリスクを反映しております。
詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(連結損益計算書関連)および (セグメント情報等) 関連情報 報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報」をご参照ください。
・ 繰延税金資産の回収可能性の判断
繰延税金資産は、事業計画に基づき納税主体毎の将来の課税所得の見積りを行った上で、将来の税金支払額を軽減する効果が認められる範囲において計上しております。したがって、将来の課税所得が大きく減少するような事業環境の変化が生じた場合には、繰延税金資産を取崩し、当該期間の税金費用を増加させる可能性があります。
・ 退職給付に係る負債および資産の測定
当社グループの従業員に対する確定給付型退職給付制度について、退職給付債務と年金資産の差額を連結貸借対照表上退職給付に係る負債(または資産)に計上しております。退職給付債務は、簡便法を採用している場合を除き、退職率、死亡率、割引率等の基礎率を設定して算定しますが、特に割引率が重要な仮定であります。割引率は安全性の高い債券(一定格付以上の社債)の利回りを基礎として適宜見直しを行っております。なお、当連結会計年度末では0.8%(加重平均値)を設定しています。
年金資産に係る主な仮定は長期期待運用収益率であり、現在および予想される年金資産の配分と、年金資産を構成する多様な資産からの現在および将来期待される長期の収益率を考慮して適宜見直しを行っております。なお、当連結会計年度末では2.0%を設定しております。
この割引率を含む基礎率を見直した場合や、見積りと実績に差額が生じた場合は数理計算上の差異が発生し、主に発生時の翌連結会計年度に全額費用処理しております。従って、多額の数理計算上の差異が発生した場合には、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。詳細については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記情報(退職給付関係)」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、下記文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
A)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による前年度落ち込みからの急回復に加えて、主に樹脂ビジネスにおける市況価格の急騰によって収益性が改善されたことにより、第1四半期当初から上期にかけて業績が大きく伸長しました。第3四半期以降においては、樹脂ビジネスにおける収益性の正常化、海上運賃の高騰に起因する物流コストの増加、経済活動制限の緩和に伴う経費執行の増加等により上期に比べて業績伸長のペースはやや減速しましたが、通期では全体としては当初想定していた業績を大きく上回り、各段階利益で過去最高値を更新する結果となりました。詳細については、 「(1)経営成績等の状況の概況 ①経営成績の状況 ②財政状態の状況 ③キャッシュ・フローの状況 ④販売の状況」をご参照ください。
事業ポートフォリオの観点では、Prinovaグループを中心とするニュートリション関連ビジネスの素材販売および製造・加工が高い収益性のもと通年で好調に推移し、中期経営計画ACE 2.0での注力領域であるフード関連ビジネスが一層伸長いたしました。同じくACE 2.0の注力領域であるバイオ関連事業においては、新規素材の開発および事業創出に向けて、NAGASEバイオテック室の創設や、ナガセR&Dセンターにおいてはその内部組織としてバイオテックを活用した独自の新素材の調査・探索とグループ連携を担うイノベーション推進室を設置し、名称をナガセバイオイノベーションセンターに変更するなど、グループ全体のバイオイノベーション創出を推進する体制を構築しました。また基盤領域である汎用材料販売におきましては、樹脂ビジネスの市況高騰やOA機器・自動車生産台数の回復により、樹脂販売の収益性が大きく改善する等、全社の収益構造の改善が図られました。更に、収益構造の変革に向けて一部の不採算および低効率事業からの撤退を実施しポートフォリオの改善を進めました。
また、前年度から引き続き政策保有株式の売却を実施し、特別利益を計上しています。なお、ここから得られた資金は将来に向けた成長投資や株主還元等に効果的・効率的に活用してまいります。
成長投資の観点では、デジタルトランスフォーメーション(DX)・先端技術関連投資・研究開発関連投資等、中長期的な成長に向けた新しいビジネスモデルの構築に必要な投資を継続しております。
B)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因
「2.事業等のリスク」をご参照ください。
C)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下のとおりであります。
当社グループの資金需要は商品の仕入、製造費、販売費、研究開発などの一般管理費、設備投資、デジタルマーケティングなどへの新規成長投資、M&Aによる株式や営業権取得が主なものです。持続的成長の実現に向け、これらの資金需要に対応するための安定的かつ機動的な資金の確保は重要な戦略と考えています。
資本の財源としましては、営業活動によるキャッシュ・フローに加え、資金調達手段として金融機関からの借入の実施、社債ならびにコマーシャル・ペーパーの機動的な発行による資本市場からの調達など、多様化を図りながらバランスの良い調達を実施しております。
また、金融・資本市場における不測の事態や急な資金需要が発生した場合に備え、複数の金融機関と長期・短期のコミットメントライン契約を締結し流動性を確保しております。
当社グループの資金管理については日本国内における当社と国内子会社間においては日本円、中国国内の現地法人間においては人民元およびUSドル、また米国と一部アジア地区およびメキシコにおける現地法人間においてはUSドルのキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、資金の効率化を図ることで、流動性確保と金融費用の削減に努めております。
本報告書提出時点における格付けについては、株式会社格付投資情報センター(R&I)から発行体格付と長期債格付ともに「A」(シングルAフラット)を、短期格付で「a-1」(aワン)を取得しており、また取引先金融機関とは良好な関係を維持しております。
現状の資金調達および資金繰りに問題はないと認識しておりますが、新型コロナウイルス感染症の再拡大、ウクライナ情勢の深刻化などで当社グループのビジネスに影響が及ぶ場合は、手元流動性を厚めに保有するなどの手段を講じる場合があります。
D)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況について
中期経営計画「ACE 2.0」における重要指標は以下のとおりです。
当社グループでは資本効率性の向上と収益力の拡大を課題としており、ROEおよび営業利益をKGI(Key Goal Indicator)として掲げております。ACE 2.0の初年度にあたる当年度は、旺盛な需要による注力領域における事業の伸長や市況の高騰による収益性の改善等に加え、株主還元を進めたことにより、ROEは7.7%と目標に向けて大きく改善し、営業利益は352億円と目標の350億円に到達しました。ACE 2.0では、“質の追求”を実現することで各定量目標を恒常的に実績化できることを目指しており、引き続きACE 2.0を推進していきます。
なお、ACE 2.0の基本方針および取り組み状況については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)中期経営計画 ACE 2.0」をご参照ください。
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