当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績
当連結会計年度において、当社グループは、2016年度から2018年度までの中期経営戦略(2018中期経営戦略)の経営方針として掲げた「主力事業で継続的に収益を確保しつつ、次世代につながるリソース増強・投資を推進」することに取り組みました。2019年1月に、電子顕微鏡などに使用される電子源の製造会社である米国の電子源製造会社Applied Physics Technologies Inc.を買収し、フルバリューチェーンソリューションの提供に向けた取り組みを推進したほか、2019年3月に、二次電池市場やフレキシブルデバイス市場でのさらなる事業展開に向けて、環境保全・省エネ機器メーカーである㈱西部技研と資本業務提携を開始しました。
社内においては、海外拠点を含めた全拠点を対象に、業務プロセス革新を推進する「デジタルトランスフォーメーションプロジェクト」を開始しました。個別最適により複雑化した社内業務プロセスのシンプル化・自動化を行い、社内業務を効率化することで、よりお客様中心のビジネスへ転換し、お客様が抱える経営課題の迅速かつ確実な解決をめざすものです。また、蓄積された各種デジタルデータを積極的に活用することで、スピーディーな意思決定を行い、さらなる事業拡大を図ってまいります。
これらの施策の結果、当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上収益731,104百万円(前連結会計年度(以下、前期)比6.3%増)、EBIT(受取利息及び支払利息調整後税引前当期利益)64,226百万円(前期比16.3%増)、税引前利益64,758百万円(前期比16.5%増)、親会社株主に帰属する当期利益48,417百万円(前期比18.4%増)となりました。
セグメント別の業績は以下の通りであります。
科学・医用システム
科学システムの売上収益は、日立ハイテクアナリティカルサイエンスの設立に加え、半導体デバイス及び電池向けに電子顕微鏡の販売が堅調に推移したことにより微増となりました。
バイオ・メディカルの売上収益は、顧客とのサプライチェーンにおける在庫調整が終了したことに加え、中国を中心としたアジア市場での需要が堅調に推移したことにより大幅に増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上収益は206,418百万円(前期比9.7%増)、EBITは29,639百万円(前期比30.8%増)となりました。
電子デバイスシステム
プロセス製造装置の売上収益は、顧客の増産投資や次世代先端プロセス投資向けに販売が好調に推移し大幅に増加しました。
評価装置の売上収益は、メモリー顧客の一部投資計画延伸の影響を受けたものの、測長SEM及び外観検査装置の販売が堅調に推移し微増となりました。
以上の結果、当セグメントの売上収益は147,116百万円(前期比8.5%増)、EBITは33,648百万円(前期比6.3%増)となりました。
産業システム
社会インフラの売上収益は、計装システムの販売が増加したものの、太陽光EPC大口案件の減少により横ばいとなりました。
産業インフラの売上収益は、液晶露光装置の大口案件の取り込みにより大幅に増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上収益は83,594百万円(前期比9.3%増)、EBITは2,185百万円(前期比124.4%増)となりました。
先端産業部材
素材・エレクトロニクスの売上収益は、素材関連取引が好調に推移し大幅に増加しました。
自動車・輸送機器の売上収益は、自動車部品関連取引の拡大により大幅に増加しました。
エネルギー・産業の売上収益は、光通信関連部材等の販売減などにより大幅に減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上収益は302,910百万円(前期比2.9%増)、EBITは4,199百万円(前期比12.5%増)となりました。
(2)生産、受注及び販売の実績
前連結会計年度及び当連結会計年度における製品の生産実績をセグメントごとに示すと以下の通りであります。
(注1)金額は販売価格によっております。
(注2)上記金額には消費税等は含まれておりません。
(注1)上記金額には消費税等は含まれておりません。
(注2)主な相手先別の売上収益及び売上収益に占める割合は以下の通りであります。
(注)上記金額には消費税等は含まれておりません。
(3)財政状態
①資産の状況
当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度末比43,058百万円(6.9%)増加し、666,394百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末比35,786百万円(7.2%)増加し、531,323百万円となりました。これは主に、棚卸資産が21,212百万円(18.2%)、有価証券及びその他の金融資産が6,680百万円(32.1%)、営業債権が6,527百万円(4.1%)それぞれ増加したことによるものです。
非流動資産は前連結会計年度末比7,272百万円(5.7%)増加し、135,070百万円となりました。これは主に、有形固定資産が4,642百万円(6.3%)増加したことによるものです。
②負債の状況
当連結会計年度末における総負債は前連結会計年度末比7,789百万円(3.3%)増加し、240,630百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末比7,397百万円(3.6%)増加し、212,918百万円となりました。これは主に、営業債務が4,660百万円(3.5%)、契約負債が2,756百万円(13.1%)それぞれ増加したことによるものです。
非流動負債は前連結会計年度末比392百万円(1.4%)増加し、27,712百万円となりました。
なお、当連結会計年度の期首よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用しており、従来「前受金」としていた顧客からの入金を「契約負債」として表示しております。
③資本の状況
当連結会計年度末における資本は前連結会計年度末比35,270百万円(9.0%)増加し、425,764百万円となりました。
利益剰余金は前連結会計年度末比36,457百万円(10.9%)増加し、371,388百万円となりました。これは主に、48,417百万円の当期利益を計上したこと、前連結会計年度の期末配当を6,189百万円(1株当たり45円00銭)並びに当連結会計年度の中間配当を6,189百万円(1株当たり45円00銭)実施したこと、有価証券及びその他の金融資産の売却に伴いその他の包括利益累計額から利益剰余金に341百万円振替したことによるものです。
その他の包括利益累計額は前連結会計年度末比1,477百万円(12.4%)減少し、10,417百万円となりました。
非支配持分は前連結会計年度末比296百万円(68.8%)増加し、727百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末における親会社株主持分比率は前連結会計年度末比1.2ポイント改善し、63.8%となり、1株当たり親会社株主持分は254円33銭増加し、3,090円59銭となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より883百万円減少し、191,478百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
営業活動に関するキャッシュ・フローは、営業債権、棚卸資産、営業債務等の運転資金増減における支出が増加しましたが、当期利益が増加したこと、及び法人所得税の支払が減少したこと等により、前連結会計年度(以下、前期)に比べ13,552百万円増加し、42,773百万円の収入となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
投資活動に関するキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得等による支出が増加したこと、定期預金及び資金の預入が増加した一方で、払戻が減少したこと等により、前期に比べ17,632百万円支出が増加し、30,625百万円の支出となりました。
以上により、営業活動に関するキャッシュ・フローと投資活動に関するキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、前期に比べ4,080百万円減少し、12,148百万円の収入となりました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
財務活動に関するキャッシュ・フローは、配当金の支払が増加しましたが、その他の財務活動に関わる支払が減少したことにより、前期に比べ210百万円支出が減少し、12,532百万円の支出となりました。
①主要な資金需要及び財源
当社グループの主要な資金需要は、2021中期経営戦略の実現に向けた研究開発、設備投資、M&Aを含めた事業投資等の戦略投資、並びに、各種商品の販売及び製品の製造・販売等の事業により生じるものであります。
これらの資金需要につきましては、当社グループ全体での営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で対応していくこととしております。
②資金の流動性
「連結財務諸表注記29.金融商品(3)流動性リスク管理」をご参照ください。
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異は以下の通りであります。
(確定給付制度の再測定)
確定給付制度の再測定額は、日本基準では発生時にその全額をその他の包括利益として認識した後、一定期間にわたり償却し、純損益に振り替えておりましたが、IFRSでは発生時にその全額をその他の包括利益として認識した後の償却及び純損益への振替を行っておりません。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価・販売費及び一般管理費が224百万円増加し、その他の包括利益が148百万円増加しております。
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんについて、投資ごとに投資効果の発現する期間を見積り、20年以内で均等償却しておりましたが、IFRSでは償却を行っておりません。
この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が634百万円減少しております。
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