文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)2018中期経営戦略の総括
2016年度から2018年度の3年間、当社グループは中期経営戦略(2018中期経営戦略)の下で、経営、事業推進に取り組んでまいりました。当期においても2018中期経営戦略として掲げた「主力事業で継続的に収益を確保しつつ、次世代につながるリソース増強・投資を推進」することに取り組みました。
売上収益は、市場の伸びを上回る成長の実現をめざし積極的に事業を推進した結果、生化学・免疫装置、科学機器は市場成長率を上回りましたが、半導体前工程装置は下回りました。
収益性・サービス比率は、ビジネスモデルの違いを勘案し、「科学・医用システム」「電子デバイスシステム」「産業システム」を「Instruments」に、「先端産業部材」を「Materials」に区分し、各々について提供する価値及びターゲットを設定して事業を推進しました。「Instruments」ではEBITマージン率10%以上を維持しましたが、「Materials」におけるEBIT絶対額50億円以上の達成には至りませんでした。また、EBITに占めるサービス事業の割合50%以上については達成しました。
成長戦略投資については、2020年に向けた成長サイクルを形成するため、研究開発、設備投資、事業投資をそれぞれ着実に実行しました。
(2)2021中期経営戦略
①経営方針
このたび当社グループは、2019年度から2021年度までの「2021中期経営戦略」を策定しました。
経営方針:グローバル成長市場におけるFocused Solutions Company
基本戦略:お客様の課題にフォーカスし、「見る・測る・分析する」を基盤とした技術・製品・サービスを通じて
ソリューションを提供
2021中期経営戦略では、当社グループのコア・コンピタンスである「見る・測る・分析する」「自動化・制 御技術」「モノづくり力」に、「グローバル営業力/ビジネス探索力」を掛け合わせ、汎用市場の中から個別化・高度化するお客様の課題を把握し、課題にフォーカスした専用装置やサービス、ビジネスモデルといった特化型ソリューションを提供することで、希少性のある専用市場を創造しグローバルに拡大させていきます。既存のトップ事業のさらなる成長とともに、特化型ソリューションの提供による新たなトップ事業の創出・拡大に取り組んでまいります。
②経営環境
日本では消費税率引き上げにより消費マインドの冷え込みによる景気の減速が懸念されます。米国においては税制改正の効果が弱まり、輸入品への高関税賦課による個人消費の冷え込みが予想されます。欧州ではユーロ圏での外需の減速による景気悪化や、英国のEU離脱交渉の難航により先行きの不透明感が高まっています。中国では米国との貿易摩擦の影響はあるものの、中国政府による景気刺激策が景気を下支えするものと予想されます。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、取り組むべき社会課題として、SDGs(Sustainable Development Goals)を踏まえ、「持続可能な地球環境への貢献」「健康で安全、安心な暮らしへの貢献」「科学と産業の持続的発展への貢献」「健全な経営基盤の確立」「多様な人財の育成と活用」の5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。そして、社会課題解決への貢献に向けて新たな当社グループの理想の姿、使命・任務を明確にするため、当社の企業ビジョンとミッションを改訂しました。
新たな企業ビジョンとミッションのもと、さらなる成長を実現するため、当社グループは新たに2021中期経営戦略(2019年度~2021年度)を策定しました。課題に取り組んでいくとともに、「基本と正道」に則り、CSRを常に意識した経営に徹することで、社会全体から信頼される企業集団をめざします。
・セグメント別事業戦略
2021中期経営戦略の実現に向けて2019年4月に、技術力、ソリューション構築力、収益力のさらなる強化をめざして、従来の4つのセグメントを、「アナリティカル・ソリューション」「ナノテクノロジー・ソリューション」「インダストリアル・ソリューション」の3つのセグメントに再編しました。
科学・医用システムは、アナリティカル・ソリューションとして、有機、無機の成分分析をコアに、バイオ・医用分野に注力します。
電子デバイスシステムは、電子顕微鏡事業を加えて、電子線技術を主とした表面観察技術の強化により、ナノテクノロジー・ソリューションとして、半導体メーカーに統合ソリューションを提供するとともに、新材料・二次電池、バイオなどの新分野の開発にも注力していきます。
産業システムと先端産業部材は統合し、インダストリアル・ソリューションとして、OT(Operation Technology)の視点から、顧客の課題を解決していく高付加価値事業へと変革していきます。
・研究開発投資
㈱日立製作所の研究開発グループと連携し、次の時代の成長に向けた積極的な先端技術開発投資を継続します。また、「ニーズの先取り」「重要技術の先行取り込み」などのために、世界的なコンソーシアムへの参画、大学・研究所との共同研究、高い技術と専門性を有する企業とのパートナー強化も推し進めます。
以上により、計測・分析技術基盤の強化とバイオ・メディカル分野の新事業向け開発を進めていきます。
・経営目標
2021中期経営戦略の具体的な目標を次のとおり定めました。目標必達のため、当社グループを挙げて全力で取り組んでまいります。
・コーポレートガバナンス
当社グループは、企業の社会的責任を強く意識し、ステークホルダーとの適切な協働の観点を踏まえた経営を行います。また、常にコーポレートガバナンスの維持・向上に努め、経営の透明性と効率性を高めることにより、企業の持続的成長と中長期的な企業価値の向上につなげていきます。
・ダイバーシティ・マネジメント
当社グループがグローバル競争に勝ち抜くための事業を創出していくには、多様な感性や価値観が不可欠であり、競争優位の源泉として組織全体を変革していくダイバーシティ・マネジメントを経営戦略と位置付けて取り組んでいます。また、個々人が最大限のパフォーマンスを発揮するには、従業員一人ひとりの状況に見合った働き方が選べる環境を整えることが必要であり、柔軟な発想で仕事の仕組みを見直し、在宅勤務やサテライトオフィスによるテレワークなど、長時間勤務に頼らない働き方改革を推進しています。
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