(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー
(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営環境」に記載しました当連結会計年度の環境の下、採算性を重視した営業活動及び拡販活動に取り組み、原材料価格高騰を反映した価格改善や連結子会社との連携による工事受注の確保に注力してまいりました。しかしながら受注工事の着工遅延ならびに進捗遅れの影響に加え、受注活動における価格競争の激化により採算性の確保が厳しい状況となりました。なお、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大により当連結会計年度の財政状態及び経営成績に与える影響はありませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ7億56百万円減少し、433億4百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ90百万円減少し、158億49百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6億65百万円減少し、274億54百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は318億76百万円(前年同期比2.5%減)となりました。利益につきましては、営業利益5億59百万円(前年同期比40.7%減)、経常利益9億65百万円(前年同期比17.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7億49百万円(前年同期比7.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末に比べ、8億12百万円増加の43億43百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は15億72百万円の増加(前年同期は21億88百万円の増加)となりました。主な増加項目は棚卸資産の減少による資金の増加額19億42百万円であり、主な減少項目は契約負債の減少による資金の減少額7億94百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は5億47百万円の増加(前年同期は1億77百万円の増加)となりました。主な増加項目は有形固定資産の売却による収入4億24百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は13億6百万円の減少(前年同期は9億30百万円の減少)となりました。主な減少項目は短期借入金の減少額10億円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業の部門で示すと、次のとおりであります。
部門の名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
工場部門 |
1,344 |
△8.3 |
(注)金額は受注加工製作額であり、販売価格によっております。
b.受注実績
工事及び製作加工は、取引先との契約締結後、ごく短い期間で工事施工開始又は製作加工品を納入するという業界の慣習・取引形態の特殊性により、受注高の集計は行っておりません。
c.販売実績
営業部門は取扱商品別に分かれておりません。当連結会計年度における売上形態区分別内訳は次のとおりであります。
区分 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
販売 |
12,053 |
△8.0 |
賃貸 |
4,535 |
11.0 |
工事 |
9,697 |
2.0 |
加工受託 |
2,639 |
△7.4 |
運送受託 |
2,948 |
△6.3 |
合計 |
31,876 |
△2.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は433億4百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億56百万円の減少となりました。その主な要因は、売却等により有形固定資産が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は158億49百万円となり、前連結会計年度末と比較して90百万円の減少となりました。その主な要因は、返済により短期借入金が減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は274億54百万円となり、前連結会計年度末と比較して6億65百万円の減少となりました。その主な要因は、収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)第84項ただし書きに定める経過的な取扱いを適用したことにより期首の利益剰余金が減少したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.4ポイント低下した63.4%となりました。
b.経営成績の分析
当社グループが属する建設業界におきましては、設備投資に持ち直しの動きが見られるものの、資機材調達の遅れや技術者不足等の影響も重なり、工事の工期延長や着工遅延が見られました。加えて、原材料及び鋼材価格の高騰が続き、受注環境は一段と厳しさを増しました。このような環境の下、当連結会計年度の売上は、販売収入が前年同期比8.0%減の120億53百万円、賃貸収入が前年同期比11.0%増の45億35百万円、工事売上が前年同期比2.0%増の96億97百万円、加工料収入が前年同期比7.4%減の26億39百万円、運送収入が前年同期比6.3%減の29億48百万円と、全体では減収となり、売上高は318億76百万円(前年同期比2.5%減)となりました。売上原価は前年同期比で原価率が1.0ポイント上昇した271億41百万円(前年同期比1.4%減)、販売費及び一般管理費は41億75百万円(前年同期比1.4%減)となりました。この結果、営業利益は5億59百万円(前年同期比40.7%減)となりました。販売収入の大幅な減少と利益率低下により、当社グループ全体では減収減益となりました。
営業外収益5億19百万円(前年同期比50.7%増)、営業外費用1億13百万円(前年同期比2.1%減)を加減し、経常利益は9億65百万円(前年同期比17.7%減)となりました。特別利益合計2億29百万円、特別損失合計60百万円及び法人税等合計3億84百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は7億49百万円(前年同期比7.3%増)となりました。
以上の結果、売上高営業利益率は、前年同期と比べ1.1ポイント低下した1.8%となりました。また、自己資本利益率は、前年同期と比べ0.2ポイント上昇した2.7%となりました。
c.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの業績は建設業界を取り巻く環境に左右されます。足元では都市部の再開発事業を中心とした民間の設備投資プロジェクトや国土強靭化計画の推進に向けた防災・減災を主体としたインフラ基盤整備による需要も見込まれております。しかしながら、技術者の不足、資機材調達の遅れ、原材料及び鋼材価格の高騰の影響により、今後も工事の着工遅延や進捗遅れ、受注競争による採算面の厳しさは更に続くものと予想されます。
このような環境の下、当社グループは引き続き信頼性の充実を図り、採算面での徹底した管理を行いながら受注活動に取り組んでまいります。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
今後の日本経済の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症に向けた政府の対策と経済活動への支援により景気の持ち直しが期待されますが、一方でウクライナ情勢による原材料価格の上昇や供給面での制約等による不透明な状況が続くと見込まれます。
建設業界を取り巻く環境は、都市部の再開発事業などの大型プロジェクトや大規模自然災害からの復旧・復興を図る対策として政府が進める防災・減災、国土強靭化計画、インフラ老朽化対策事業等の下支えもあり、一定の需要は確保されるものと見られます。しかしながら、技術者の不足、資機材調達の遅れ、原材料及び鋼材価格の高騰から、引き続き建設工事の進捗及び着工の遅延、受注競争による採算面の厳しさが一層増すものと予想されます。
このような環境の下、当社グループはリース事業を柱とする収益力の強化を目指すとともに高付加価値事業への経営資源の再配分、組織・体制の全体最適化を図ってまいります。2022年2月には経営資源の最適配分と経営の効率化及び今後の需要見込みと採算面を総合的に検討した結果、借地として使用していた金沢工場の閉鎖を決定し、2022年7月の閉鎖に向けて近隣工場への集約化を図っております。原材料及び鋼材価格高騰を反映した単価の改善を進め、全社を挙げたコスト削減と資機材の効率稼働を推進し、更なる利益の改善に努めてまいります。また、工事子会社を含めた施工能力の高い建設用重機の積極運用を進め、工期短縮や環境負荷にも配慮したVE提案による工事受注の強化に取り組むとともに、工場では小型ロボットを導入することで加工能力の増強と生産性向上を図り、資機材の効率稼働や受注加工の収益力強化に取り組んでまいります。また、競争力のある新商品・新工法の開発を加速し、他社との差別化による受注強化を図ってまいります。厳しい経営環境の中で生き残るためには抜本的な業務改革を進め、ICT(情報通信技術)の活用による業務の省力化と効率化を実現し、業績の向上に資する業務改革を実現してまいります。加えて、内部統制システムの強化と社内のコンプライアンス意識向上と併せたリスク管理に取り組み、事業継続体制の充実を図ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要は、営業活動に必要な運転資金として材料費、外注費、修理費、製作加工費、労務費等が主要な内容であります。経常的な運転資金については、一定水準の資金を確保しておく必要があります。設備投資などの資金の財源については、営業活動による収入で得た資金を投入し、不足する場合は有利子負債による資金調達を実施しております。なお、当社においては、運転資金の安定的な調達を行うために総額10億円の貸出コミットメント契約を締結しております。
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