財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益及び費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっています。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しています。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。
当社及び連結子会社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記2「(5)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。
当連結会計年度の経済環境は、米国、欧州、中国を含む幅広い地域・国で新型コロナウイルス禍からの経済正常化が進展し、景気回復基調が続きましたが、ロシア・ウクライナ情勢の影響に伴い先行きには不透明感も高まっています。日本は新型コロナウイルス感染症の動きや円安・資源高の影響を受けつつも年度後半より景気は持ち直しに転じました。新興国経済も総じて回復基調を維持しましたが、一部の国ではオミクロン株を含む新型コロナウイルス感染再拡大や資源高・インフレを受けた景気回復の遅れも見られました。
このような環境下、当連結会計年度の業績の概況は、以下のとおりとなりました。当連結会計年度以降における主な取組みや、経営環境に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「1.中期経営戦略2024 MC Shared Value(共創価値)の創出」、「2.カーボンニュートラル社会の実現に向けて」及び「3.当連結会計年度のセグメント別の事業環境と翌連結会計年度以降の見通し」もご参照ください。
当連結会計年度の収益は、市況好転による価格上昇及び取引数量の増加などにより、前連結会計年度を4兆3,803億円(34%)上回る17兆2,648億円となりました。
当連結会計年度の売上総利益は、豪州原料炭事業や鮭鱒養殖事業における市況好転、及び自動車関連事業における生産・販売台数増加、鉄鋼製品事業における販売価格の上昇などにより、前連結会計年度を5,457億円(34%)上回る2兆1,508億円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、売却や持分減少に伴う子会社からの除外の影響による減少の一方で、経済活動の正常化に伴う増加などにより、前連結会計年度から343億円(2%)増加し、1兆4,320億円となりました。
当連結会計年度の有価証券損益は、航空機リース事業会社売却に伴う減損損失の一方、海外電力事業の売却やファンド評価益の改善などにより、前連結会計年度を132億円(21%)上回る753億円(利益)となりました。
当連結会計年度の固定資産除・売却損益は、海外現地法人におけるオフィス売却などにより、前連結会計年度を52億円(347%)上回る67億円(利益)となりました。
当連結会計年度の固定資産減損損失は、前連結会計年度に計上したローソン宛てのれん及び無形資産の減損損失の反動などにより、前連結会計年度から1,395億円(68%)改善し645億円となりました。
当連結会計年度のその他の損益は、デリバティブ評価損益の変動などにより、前連結会計年度を53億円(29%)上回る233億円(利益)となりました。
当連結会計年度の金融収益は、資源関連投資先からの受取配当金の増加などにより、前連結会計年度を687億円(58%)上回る1,865億円となりました。
当連結会計年度の金融費用は、前連結会計年度からほぼ横ばいの467億円となりました。
当連結会計年度の持分法による投資損益は、三菱自動車工業における採算改善や前連結会計年度の減損損失の反動、及び幅広い事業における市況好転による持分損益の改善などにより、前連結会計年度を2,967億円(306%)上回る3,938億円(利益)となりました。
当連結会計年度の税引前利益は、上記の理由から、前連結会計年度を1兆396億円(410%)上回る1兆2,931億円となりました。
当連結会計年度の法人所得税は、豪州原料炭事業における利益増加などにより、前連結会計年度から1,674億円(138%)負担増の2,887億円となりました。
当連結会計年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から1,072億円改善し、669億円(利益)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の当社の所有者に帰属する当期純利益は、前連結会計年度を7,649億円(443%)上回る9,375億円となりました。これにより、ROEは15.0%となりました。
(以下「当期純利益」は、「当社の所有者に帰属する当期純利益」を指しています。セグメント別の事業内容及び業績の詳細は、第5 経理の状況 連結財務諸表注記6をご参照ください)
当期純利益は 1,051億円 となり、前連結会計年度と比較して 839億円 ( 396% )の増加となりました。これは、LNG関連事業や北米シェールガス事業における持分利益の増加、及びLNG関連事業における受取配当金の増加などにより増益となったものです。
当期純利益は 368億円 となり、前連結会計年度と比較して 321億円 ( 683% )の増加となりました。これは、北米樹脂建材事業や鉄鋼製品事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
当期純利益は 403億円 となり、前連結会計年度と比較して 141億円 ( 54% )の増加となりました。これは、石油化学事業における取引利益の増加や、LPG事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
当期純利益は 4,207億円 となり、前連結会計年度と比較して 3,426億円 ( 439% )の増加となりました。これは、豪州原料炭事業における市況上昇による影響や銅事業における受取配当金の増加、及び鉄鉱石事業における持分利益の増加などにより増益となったものです。
当期純利益は 173億円 となり、前連結会計年度と比較して 39億円 ( 18% )の減少となりました。これは、千代田化工建設宛て投資に関する無形資産の減損損失などにより減益となったものです。
⑥ 自動車・モビリティグループ
当期純利益は1,068億円となり、前連結会計年度と比較して1,349億円の改善となりました。これは、前連結会計年度に計上した三菱自動車工業における一過性損失の反動に加え、三菱自動車工業やアジア自動車事業における持分利益の増加などによるものです。
当期純利益は 793億円 となり、前連結会計年度と比較して 399億円 ( 101% )の増加となりました。これは、鮭鱒養殖事業における持分利益の改善などにより増益となったものです。
当期純利益は 210億円 となり、前連結会計年度と比較して 942億円 の改善となりました。これは、前連結会計年度に計上したローソン宛てのれん及び無形資産の減損損失の反動などによるものです。
当期純利益は 505億円 となり、前連結会計年度と比較して 82億円 ( 19% )の増加となりました。これは、海外発電資産等の売却益の増加などにより増益となったものです。
当期純利益は 400億円 となり、前連結会計年度と比較して 146億円 ( 57% )の増加となりました。これは、航空機リース事業会社売却に伴う減損損失等の一方、北米不動産開発事業における物件売却益やファンド評価益の増加などにより増益となったものです。
「(2) 当連結会計年度の業績の概況」及び第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。
販売までの期間が1年以内の受注は販売と概ね連動しているため、記載は省略しています。販売までの期間が1年超の受注については、第5 経理の状況 連結財務諸表注記24をご参照ください。
当社では事業活動を支える資金調達に際して、低コストでかつ安定的に資金が確保できることを目標として取り組んでいます。資金調達にあたっては、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と銀行借入等の間接金融とを機動的に選択・活用しており、その時々でのマーケット状況での有利手段を追求しています。当社は資本市場でのレピュテーションも高く、加えて間接金融についても、メガバンク以外に外銀・生保・地銀等の金融機関とも幅広く好関係を維持しており、調達コストは競争力のあるものとなっています。今後とも長期資金を中心とした資金調達を継続するとともに、十分な流動性の確保を行っていく方針です。当連結会計年度の資金調達活動としては、前連結会計年度に引き続き、財務健全性の向上に努めつつ、外貨建社債等による調達を行いました。
これらの資金調達活動の結果、当連結会計年度末のグロス有利子負債(リース負債除く)残高は、前連結会計年度末から11億円減少し5兆6,432億円となり、このうち81%が長期資金となっています。有利子負債のうち、6,000億円はハイブリッドファイナンスであり、格付機関は残高の50%である3,000億円を資本と同等に扱っています。なお、当社単体のグロス有利子負債残高は4兆2,792億円であり、このうち長期資金は78%を占め、平均残存期間は約6年となっています。
翌連結会計年度は、引き続き資金調達ソースの多様化等を通じて、中長期的に安定した調達基盤を維持する方針です。また、連結ベースでの資金効率の向上に向けた取組みも継続します。
金融市場の環境は、地政学的リスクや主要国の金融政策の変化など、引き続き予断を許さない状況のため、細心の注意を払って対処すべく、現預金等及び銀行融資枠(コミットメントライン)を十分に確保し、流動性を維持してまいります。
連結ベースでの資金管理体制については、当社を中心に国内外の金融子会社、海外現地法人等において集中して資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンス方針を原則としています。結果として、当連結会計年度末では、連結有利子負債のうち82%が当社、国内外の金融子会社、海外現地法人等による調達となっています。今後も連結経営の深化を見据え、連結ベースでの資金管理体制の更なる充実を図ります。
当連結会計年度末の流動比率は連結ベースでは130%となっており、流動性の点で当社の財務健全性は高いといえます。また、当連結会計年度末時点の当社、北米三菱商事、Mitsubishi Corporation Finance、MC Finance & Consulting Asia、MC Finance AustraliaでCP及び1年以内に償還を予定している社債を合わせた短期の市場性資金が4,164億円あるのに対して、現預金、フィーを支払って確保しているコミットメントライン、一年以内に満期の到来する公社債が合計で1兆5,594億円あり、カバー超過額は1兆1,430億円と十分な水準にあると考えています。なお、当社のコミットメントラインについては、協調融資枠として円貨で5,100億円を国内主要銀行より、外貨で主要通貨10億米ドル、ソフトカレンシー1.5億米ドル相当を欧米を中心とした国内外の主要銀行より取得しています。
当社ではグローバルな資金調達とビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(ムーディーズ)、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の3社から格付けを取得しています。3社の当連結会計年度末の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがAA-/a-1+(見通し安定的)、ムーディーズがA2/P-1(見通し安定的)、S&PがA/A-1(見通し安定的)となっています。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より3兆2,770億円(18%)増加し、21兆9,120億円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末より2兆4,281億円(34%)増加し、9兆5,310億円となりました。これは、需要回復に伴う価格上昇及び取引数量増加により営業債権及びその他の債権が増加したことなどによるものです。
非流動資産は、前連結会計年度末より8,489億円(7%)増加し、12兆3,810億円となりました。これは、円安に伴う為替換算の影響により有形固定資産や持分法で会計処理される投資が増加したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末より1兆9,582億円(16%)増加し、14兆548億円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末より1兆9,476億円(36%)増加し、7兆3,178億円となりました。これは、需要回復に伴う価格上昇及び取引数量増加により営業債務及びその他の債務が増加したことなどによるものです。
非流動負債は、前連結会計年度末より106億円(0%)増加し、6兆7,370億円となりました。
資本合計は、前連結会計年度末より1兆3,188億円(20%)増加し、7兆8,572億円となりました。
当社の所有者に帰属する持分は、前連結会計年度末より1兆2,666億円(23%)増加し、6兆8,802億円となりました。これは、主に連結純利益の積み上がりにより利益剰余金が増加したことや、円安の影響による在外営業活動体の換算差額の増加などによるものです。
また、非支配持分は、前連結会計年度末より522億円(6%)増加し、9,769億円となりました。
有利子負債総額から現金及び現金同等物や定期預金を控除したネット有利子負債(リース負債除く)は、前連結会計年度末より2,387億円(6%)減少し、3兆9,397億円となりました。
また、セグメントごとの前連結会計年度及び当連結会計年度における情報は以下のとおりです。
(前連結会計年度)
(単位:億円)
(単位:億円)
(当連結会計年度)
(単位:億円)
(単位:億円)
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,378億円増加し、1兆5,556億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は1兆558億円増加しました。これは、運転資金負担の増加や法人所得税の支払いなどがあったものの、営業収入や配当収入などにより資金が増加したものです。
また、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響等による取引減少に伴う運転資金の負担減の反動があったものの、営業収入や配当収入の増加などにより、前連結会計年度と比較して、382億円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は1,676億円減少しました。これは、関連会社への投資やその他の投資の売却などによる収入があったものの、設備投資、関連会社への投資や融資などの支出により、資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度のHERE Technologies社宛て投資の支出の反動や、海外電力事業・航空機リース事業の持分売却収入などにより、前連結会計年度と比較して、1,897億円の増加となりました。
投資キャッシュ・フローの主な内容及びセグメントは以下のとおりです。
新規・更新投資
・銅事業(金属資源)
・豪州原料炭事業(金属資源)
・LNG関連事業(天然ガス)
・欧州総合エネルギー事業(電力ソリューション)
・北米不動産事業(複合都市開発)
・CVS事業(コンシューマー産業)
・海外電力事業(電力ソリューション)
・アジア不動産事業(複合都市開発)
売却及び回収
・北米シェールガス事業(天然ガス)
・海外電力事業(電力ソリューション)
・北米不動産事業(複合都市開発)
・航空機リース事業(複合都市開発)
以上の結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローの合計であるフリーキャッシュ・フローは8,882億円の資金増となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は6,934億円減少しました。これは、リース負債の返済や配当金の支払い、短期借入債務の返済などにより資金が減少したものです。
また、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、運転資金需要が増加したものの、営業収入等の増加による資金が資金需要を上回り、前連結会計年度と同水準となりました。
配当は持続的な利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を行う方針としています。負債による資金調達は、流動性と財務健全性の観点で適切な水準を維持する方針としています。
また、上記の財務会計上の営業キャッシュ・フローとは別に、将来の新規投資や株主還元などの原資を適切に表すべく、運転資金の増減影響を控除した営業キャッシュ・フローに、事業活動における必要資金であるリース負債支払額を反映した「営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)」と、更に投資活動によるキャッシュ・フローを加えた「調整後フリーキャッシュ・フロー」を定義しています。
営業収益キャッシュ・フロー(リース負債支払後)は、当連結会計年度において1兆2,365億円の資金増となりました。また、前連結会計年度と比較して6,113億円の増加となりました。
この結果、調整後フリーキャッシュ・フローは、1兆689億円の資金増となりました。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
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