課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)企業理念・経営ビジョン・行動規範

<企業理念>:「随縁の思想」

当社グループは、企業理念として創業以来「随縁の思想」を掲げております。「随縁」とは、「縁に随(したが)い縁を活かす」ことであり、人と人との出会い、そこから生まれる絆を大切に思い、互いに尊重し合い、助け合い、発展し合う、という思想のことを言い表したものです。

<経営ビジョン>:「三栄コーポレーションは真に優れた生活用品を提供します。『健康と環境』をテーマに健やかで潤いのあるくらしを創造します。」

当社グループはこの経営ビジョンの下、「くらしに、良いものを。」を提供することで、永続的な企業の存続と、ステークホルダーの皆さまを始めとする社会全体の利益となることを経営の基本方針としております。

<行動規範>

1. 私たちは、小さなことを誠実に行います

2. 私たちは、助け合いのこころを大切にします

3. 私たちは、感謝の気持ちを忘れません

4. 私たちは、機を逃しません

5. 私たちは、地球の未来を考え行動します

当社グループの企業活動は、そのいずれもが、互いに尊重し合い、助け合い、発展し合う、三栄のこころである「随縁の思想」にささえられています。行動規範は、この企業理念の下、当社グループ全ての役員・従業員が、常日頃、いかに判断し、行動して行くべきか、と言う基準を示したものです。

(2)中長期的な経営戦略

当社グループは、長期的に安定した収益を確保できる経営基盤の確立が、永続的な企業の存続やステークホルダーの皆さまをはじめとする社会全体の利益に資するとの考えから、7%程度の経常利益率を目標として掲げています。しかしながら新型コロナウイルス感染症の蔓延長期化の影響が大きく、現在もまだ、先行きが不透明な状況が続いております。

このような状況ではありますが、私共といたしましては、健康と環境をテーマとする経営ビジョンの下、「くらしに、良いものを。」を志として、以下の重点施策の実現に向けて引続き、しっかりとしたPDCAの実践を通じて注力してまいります。

(重点施策)

①サプライチェーンの高度化・マーケティング能力向上・プロ集団の育成

②ブランディング実践によるブランド力の強化・新ブランドの市場投入促進

③果敢なチャレンジの継続

④SDGsやESGへの取組強化

⑤投下資本効率重視

⑥人材強化

⑦ローコストオペレーションの推進

⑧グローバル管理態勢の深化によるグループシナジー効果の発揮

⑨攻めと守りのガバナンス推進

(3)経営環境

当社グループは、お客様ブランドの製品にまつわる製造・品質管理・物流まで一貫したサービスとサポートを提供するOEM事業と、OEM事業で培ってきた海外ビジネスに関する知識と経験を活用し、自社ブランドや海外の秀逸なブランドを販売するブランド事業という二つの事業の相乗効果を追求するビジネスモデルを展開しています。

OEM事業では、高い品質が求められる一方で常に厳しい価格競争に晒されており、専門性の一層の向上とともに、消費者ニーズを先取りした緻密なモノづくり戦略が求められます。一方、ブランド事業は、商品がヒットすればするほど市場に競合商品が出回り、価格競争に陥りやすい傾向が有るため、価格以外の面で消費者にとっての魅力を開発し保持する必要があると考えています。また、海外の秀逸なブランドについては、日本での認知度が低いケースも多く、日本市場において一定の成果をあげるために、相応の時間と綿密な販売戦略を講じる必要があります。一方、日本で既に一定の知名度のあるブランドの場合でも、並行輸入品との競合に陥るリスクがあり、有効な並行輸入品対策が求められます。なお、既に十分な知名度とともに当社グループにおいて相応の販売実績を挙げているブランドにつきましては、将来のより安定した収益体質を確保するための施策を講じることが求められます。

今般の新型コロナウイルス感染症蔓延の長期化により、旅行や外出あるいは店舗営業の自粛など、社会的に移動や行動の自粛あるいは制限が長期に亘ったことから、当社グループにおいても、ブランド品の実店舗販売を主軸とするブランド事業は元より、OEM事業においても売上高が大きく落ち込むなど大きな影響がありました。現在、緊急事態宣言および蔓延防止等重点措置はいずれも解除されていますが、変異株により新型コロナウイルス感染症収束の目処は立っておらず、本邦経済がコロナ禍以前の状態を回復するには至っておりません。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻以降、先行き不透明感が一段と高まっております。

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(ニューノーマルやサステナビリティなどへの対応)

今般の新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う社会的な移動や行動の自粛あるいは制限により、当社グループは、ブランド事業のみならずOEM事業においても大きな影響を受けました。しかしながら、コロナ禍は、テレワークなどニューノーマル(新常態)と言われる働き方改革を促したとともに巣籠り需要などの新たなビジネスチャンスをもたらしていることも事実であり、企業にとっては、SDGsやESGへの取組強化と併せて、経営の舵取りの巧拙が問われる正念場とも言える時代に直面していると考えられます。当社グループとしては、これまでの長い歴史の中で、幾多の難局を乗り越えてきたように、今後も柔軟な発想や高度な専門性および行動力を武器に、当社グループ一丸となって、目の前の難局を一つ一つ乗り切り、力強い回復と持続的な成長を目指してまいります。

(営業面の強化に関わる課題)

①OEM事業の対処すべき課題

OEM事業では、お客様のブランド製品を、当社グループが有する世界規模のサプライチェーンを駆使して適切な価格でタイムリーにお届けしていますが、近年のご要望の多様化・高度化や、今後のwithコロナ時代に対応すべく、中国とマレーシアの自社工場を含め、当社グループのサプライチェーンの精度・効率を一層進化させることが課題となります。さらに、マーチャンダイザー(商品企画営業担当者)の専門性やマーケティング能力を向上させ、単にお客様の設計や仕様に沿うだけではなく、健やかで潤いのあるくらしを創造する製品となるよう、企画立案からパッケージング、ロジスティックサポートに至るまで、積極的に関わることができるプロ集団となることを心掛けております。そしてこれこそが「健康と環境」をテーマに真に優れた生活用品を提供する当社グループの経営ビジョンに通じていくものと考えております。

②ブランド事業の対処すべき課題

ブランド事業では、「健康と環境」をテーマとした、当社グループ独自のブランドあるいは海外の秀逸なブランドを主に日本市場において展開しております。ブランドが市場に受け入れられ、さらに浸透するには長い年月を経て共感とご満足をいただく必要があります。そのため、緻密な市場分析や消費動向分析、的確なセグメンテーション、効果的な販売促進や広報活動など、一貫したブランディングの実践によりお客様満足度を向上させ、事業の安定化を盤石にしていくことが最重要課題となります。

また、コロナ禍を受けて、消費者の世界観と価値観が大きく変化してきているとはいえ、「くらしに、良いものを。」という消費者の希求の本質に変化はないものと思われ、当社としては、従来以上に、一時の流行に流されにくく本質にこだわった秀逸なブランドの展開に努めることが重要な課題と考えます。ブランド店舗運営に当たっても、引続き安定的な収益基盤の確立を目的として、市場動向に見合った店舗戦略を推進するとともに経費支出の適正化に努めるなど、採算性の向上に取り組んでまいります。また、ニューノーマルへの対応を含めて、ECビジネスの強化にも積極的に努めてまいります。

③新規事業へのチャレンジ

当社グループは、長年に亘り様々な外部環境の変化に巧みに順応し、事業内容を柔軟に変化・対応させていくことで、幾多の困難も克服してまいりました。これからも激しく変動する外部環境に対処・順応して持続的に成長するため、果敢なチャレンジを継続することも重要課題となります。

④安定的な収益基盤の強化

今般の新型コロナウイルス感染症蔓延に伴う社会的な移動や行動の自粛あるいは制限が長期に亘ったことから、当社グループは、単体・連結ともに売り上げを大きく落とし、大変遺憾ながら、2期連続の赤字決算を余儀なくされました。そのため、今後、安定した収益基盤を確立するためには、採算性を重視した事業を追求することが重要課題と改めて認識しております。OEM事業・ブランド事業を問わず、サプライチェーンの見直しによる物流コストの低減を始めとして、コスト構造の抜本的見直しによる損益分岐点引下げと、収益性及び将来性を軸とした事業の選択と集中に注力してまいります。

(管理面の強化に関わる課題)

①個人のパフォーマンスを最大化するマネジメント

企業理念として掲げた「随縁の思想」の下、当社は人材を重要な資産と捉えています。今後とも、優秀な人材の安定的な確保に努めるとともに、教育・研修制度を充実させて社員教育・研修機会の創出・拡大を図ることで、経営環境の変化にも柔軟に対応できる次世代リーダーの人材育成に積極的に取り組んでまいります。また、withコロナ・新常態に適応した「働き方改革」の推進と「人事制度」の整備(就業規則・評価制度の見直しなど)等に取り組んでおり、在宅勤務制度を導入いたしました。

 

②グローバル管理態勢の深化

グローバルベースでのグループシナジー効果を最大限発揮し、経営効率を高めるため、レポート・決裁ラインの明確化、適切な権限委譲、適材適所の実現のほか、本社管理部門のコモンキッチン化による国内外関係会社管理業務の効率化および経費抑制の追求、基幹システムの活用による各種経営情報・指標を容易に捕捉できる体制の構築などに引続き取り組んでまいります。

③攻めと守りのガバナンス推進

持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、取締役会の議論活性化を図るために導入した「審議」事項を活用し、高度化・複雑化した経営課題に迅速・果断に取り組んでおります。また、具体的な攻めのガバナンス体制の強化策として、グループ全体の決裁権限体系の見直しと決裁権限委譲の推進に取り組むことで、取締役会の監督機能の強化と業務執行に係る意思決定の迅速化を図るとともに、守りのガバナンス体制整備の一環として、ガバナンス体制構築の基本となる当社の内部統制システムやリスクマネジメント体制等のレビューをかねて、全てのCGコードに対する当社の取組姿勢や現況を取りまとめた「CGコード・ガイドライン」を策定・公表したほか、社長直属機関である内部監査室の監査報告書を社長および取締役会宛とするデュアルレポート化も実施しています。

 

 なお、本項には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

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