課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、永遠に変わることのない商売の原点としての社是「誠実」、そしてブランドステートメントとして“Joy of Design”を掲げ、経営の基本方針としております。

当社グループは、不透明かつ急激な変化を伴う環境下で、改めて長期的なビジョンを明確にした上での改革の遂行と持続的な成長を目指すべく、Sangetsu Group長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]及び、そのファーストステップとして、3ヵ年の中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]を以下のとおり策定しております。

 

■Sangetsu Group長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]

[2030年に目指すビジョン]

サンゲツグループは“スペースクリエーション企業”へ

 

[長期ビジョン達成へのアプローチ]

●経営の基本

・デザイン経営

デザインによるブランド価値の向上と事業転換

●経営・事業の基盤

・多様性のある専門人材

現場力と多様性ある専門人材が活躍する組織

・事業関連データの連携と活用

DATAによる事業の効率化と転換

●主要機能

・サービス売りへの完全転換

サービスを付加価値の源泉とする事業

●事業エリア

・環太平洋地域

環太平洋地域各国での強固な事業とグローバルな展開

●目指す企業像

・内装企業からスペースクリエ―ション企業へ

デザイン・人材・DATA・サービスによるグローバルなスペースクリエーション企業

 

これらのアプローチによるビジョンの達成を通じ、私たちは、次の社会的価値の実現を目指します。

 

[サンゲツグループが実現を目指す社会的価値]

サンゲツグループは、

Inclusive

(みんなで)

:平等で健康的なインクルーシブな社会の実現

Sustainable

(いつまでも)

:地球環境を守るサステイナブルな社会の実現

Enjoyable

(楽しさあふれる)

:より豊かでエンジョイアブルな社会の実現

社会の実現に貢献します。

 

■中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ] ※D.C.=Design & Creation

1.基幹事業の質的成長による収益の拡大

<インテリアセグメント>

(1)デザイン力の発展的強化と戦略的調達の推進

(2)サービス機能の拡充と高度化

(3)代理店との協業深化と営業体制の強化

<エクステリアセグメント>

(4)エクステリア事業の質的・地理的拡大

2.基幹事業のリソースに基づく次世代事業の収益化

<海外セグメント>

海外各国における

(1)強固な経営基盤の構築

(2)最適モデルの追求と徹底した現地化

(3)ブランディングとプロダクトポートフォリオの強化

<スペースクリエーションセグメント>

(4)専門能力拡充によるスペースクリエーション事業の展開

 

3.経営・事業基盤の強化

(1)業務執行の能力強化と効率化

(2)DATAの高度活用体制の整備

 

4.社会的価値の実現

(1)地球環境

:地球環境への負荷低減

(2)人的資本

:多様な人材が活躍する組織

(3)社会資本

:サプライチェーンの安心・安全・魅力の向上

 

コミュニティ参画

(4)ガバナンス

:コーポレートガバナンスの強化

 

当社は以上の施策のもと、インテリアを通じたデザインするよろこび“Joy of Design”を提供し、社会に貢献し続ける企業を目指してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、Sangetsu Group長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]及び、中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]において定量目標(KPI)を以下のとおり定めています。

 

■Sangetsu Group長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]定量目標

2030年3月期

連結売上高

2,250 億円

 

 

連結営業利益

185 億円

 

※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等適用無しの場合

 

■中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]定量目標

(1)経済的価値

2023年3月期目標

・連結売上高

1,720 億円

 

・連結営業利益

120 億円

 

・連結純利益

85 億円

 

 

・ROE

9.0%

 

・ROIC

9.0%

 

・CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル) 65日

※「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等適用無しの場合

 

(2)社会的価値

2023年3月期目標

①地球環境

事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減

1)GHG排出量(Scope1&2)

カーボンニュートラル(2031年3月期目標)※

2)エネルギー使用量

4.0% 削減

(2018年度比)

3)廃棄物総廃棄量

4.0% 削減

(2018年度比)

4)リサイクル率

83.0% 以上

 

※2021年5月28日 当初目標を変更して公表

②人的資本

1)社員の健康と能力開発

・特定保健指導実施率、がん検診受診率、有所見率、メタボ率の改善

・非喫煙率:80.0% 以上

2)ダイバーシティ&インクルージョンの推進

・女性管理職比率

:20.0% 以上

・障がい者雇用率

: 4.0% 以上

③社会資本

コミュニティへの参画

・児童養護施設リフォームでのスペースクリエーション

:年間30件

・社員の積極的な参加 マッチングギフト

:13,000 S-mile ※

※2021年5月17日 当初目標を変更して公表

 

 

(3)資本政策

資本政策

・自己資本を900~950億円の範囲で維持する。

・3年間の総額で総還元性向を略100%とする。

・自己株式取得および配当に関しては、安定増配を念頭に、

新型コロナウイルス感染症の業績に与える影響を見極め都度決定する。

資本配分政策

・未定としていた資本配分に関して、3年間の業績見通しが明確になり、2021年5月に決定。

 

中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]期間中の資本配分政策

資金創出・調達

 

 

資金配分

 

2020年3月末 保有現金同等物 ※

368億円

 

成長投資 ※

200~260億円

 

3年間の営業キャッシュ・フロー

280~300億円

株主還元

170~190億円

 

3年間の借入金

△50~100億円

 

2023年3月末 期末現金

250~300億円

※現預金と株式以外の有価証券

 

※M&A、マイナー投資(アライアンス強化)、設備投資(物流・DXなど)

 

(3)経営戦略等、経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが主に事業を展開している建設業界(主にインテリア業界)は、商品が決定するまで、一般施主からプロユーザーまで多数の顧客(決定権者)が存在し、住宅から非住宅まで多様な市場で構成されています。例えばオフィスビルの建設が計画された場合、事業主とその業務を請負った設計事務所、ゼネコン、内装仕上事業者など、多層な決定権者が携わり、それぞれに対するきめ細かい営業活動が必要となります。また、インテリア市場は天井から壁面・床と、多種多様な内装材料を小ロットから取り扱う必要のある非常に多種多様で複層的・複合的な市場です。このような業界構造は非効率であるがゆえに、利益を創出するためには、デザイン、品質、在庫、配送、提案力などを通じ、それぞれの顧客との信頼関係を構築することで、シェアを獲得し規模を確保することが必要不可欠です。当社は1953年の株式会社山月堂商店設立当初から、トータルインテリアの考えに基づく商品バリエーションの拡充や、全国を網羅する物流体制の構築を行い、これらの施策の奏功によって、長期にわたって安定的な業績を継続してまいりました。

経営環境における今後の見通しにつきましては、ウィズコロナを前提とした経済活動の正常化が期待されます。しかしながら、中国では厳しいロックダウンが実施されるなど、地域による影響の濃淡は依然大きく、変異株の発生といった見通し困難な要因もあり、企業活動や個人消費への影響は今後も継続することが予想されます。さらに、ウクライナ情勢をはじめとした地政学的リスクが高まっており、これらが世界経済や政治に及ぼす影響は非常に不透明な状況です。

当社事業に関連の深い建設市場では、住宅市場においては、コロナ禍からの回復による増加傾向が落ち着き、横ばいが予想されます。非住宅市場においては、経済活動の再開によるリニューアル市場の活性化といった期待材料はあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響は依然として継続しており、力強い回復は望めない状況です。また人手不足や原材料価格の上昇、供給制約等により、コスト・調達面における厳しい状況が続くものと見込んでおります。

 

このような状況の中、当社グループは、前述「(1)経営方針」に掲げるSangetsu Group長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]及び、そのファーストステップである3ヵ年の中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]を着実に実行することにより、商品販売だけでなく、配送力、コーディネーション力、きめ細やかな人的対応力といった既存のサービスをより強化し、内装材の販売から「スペースクリエーション企業」への進化を図ります。そのために、デジタルトランスフォーメーションの推進や人材活用を進め、社会的価値や環境的価値を含む、より広い分野での企業価値の創造に努めるとともに、定量目標の達成を目指してまいります。現在、経営環境は極めて先行き不透明ではありますが、当社グループでは足元の状況に充分留意しつつ、ニューノーマルな世界に対応する施策を実行してまいります。

 

(サステナビリティに関する考え方・取り組み)

当社グループは、サステナビリティを事業と一体として考え、事業活動を通じて持続可能な社会を実現するため、長期ビジョン[ DESIGN 2030 ]において「みんなで(Inclusive) いつまでも(Sustainable) 楽しさあふれる(Enjoyable)社会の実現」を掲げ、活動を展開しています。

当連結会計年度の事業活動における取り組みとしては、商品開発においては、漁網やカーペット廃材などを再利用した100%リサイクル糸を採用したカーペットタイル「NT double eco」を発売しました。また、2021年3月に開設した「sangetsu 見本帳リサイクルセンター」で、当社見本帳のマテリアルリサイクルを進めたほか、当該センタースタッフとして、障がいを持つ方々を採用することで、障がい者の活躍支援によるダイバーシティの推進を行いました。さらに、人的資本への取り組みとして、健康経営における休職後の職場復帰支援や治療と仕事の両立支援制度の拡充・浸透に努めました。これらの取り組みが評価され、経済産業省と日本健康会議が主催する「健康経営優良法人」に3年連続で認定されたほか、人を大切にする経営学会・「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞 実行委員会・法政大学大学院 中小企業研究所が主催する、第12回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞で、「審査委員会特別賞」を受賞しました。

一方、社会参画活動において、継続的に実施している児童養護施設への内装改装支援は、コロナ禍において、充分な感染防止対策を行いつつ活動を展開し、当連結会計年度の実績は33件、2014年からの累計では132件となりました。また、持続可能な社会の実現に、企業としてより主体的に参画するため、2021年10月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同を表明したほか、2022年1月には「国連グローバル・コンパクト」への署名を行いました。

こうした取り組みを着実に進めた結果、2022年3月、FTSE Russell社が提供するESG指数「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定されました。また、ESGスコアレーティングにおいては、MSCI指数で5.3(AA)、FTSE指数で3.1となっております。

当社グループはこれからも、サステイナブルな社会の実現に向けた取り組みを強化し、全てのステークホルダーとともに、新しい価値創造のよろこびを分かち合える企業になることを目指してまいります。

 

1.ESGマネジメント体制

当社は、2016年4月にCSR推進課を新設し、2017年4月には社長を委員長として、全社を横断的に統括するCSR委員会を設置しました。2020年11月からはESG委員会に名称を変更し、ESGに関する国際的なガイドライン(ISO26000、GRI、SASB)などに対応した実効的なESGマネジメントを行い、社会的課題解決に向けた取り組みを進めています。

ESG委員会では、ISO26000で示された7つの中心課題を活動テーマとして、それぞれを5つの分科会が担い、活動を推進しています。ESG委員会は、各マテリアリティに対して取り組み目標を決定し、実際に業務を行う社内各部門の業務計画に落とし込みます。また、取り組み状況については、年4回、四半期ごとに、分科会からの報告による進捗管理を行うとともに、課題解決のための意見交換や議論を行っています。組織体制においては、委員長を社長が、総括責任者を担当執行役員が務め、さらに監査等委員である社内取締役の出席のもと実施しています。

ESG委員会の活動内容に関する取締役会への報告は、従来不定期で行っていましたが、2022年度からは年2回の報告を行うことを定めており、取締役会のより強い監督のもとでESG活動を展開してまいります。

 

 

ESG委員会体制図

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2.ESG課題に関するマテリアリティ

当社グループは、社会的要請や当該業界の重要テーマを踏まえ、社会及び長期投資家にとっての重要度と当社事業の持続的成長への影響からマテリアリティを特定しました。これらのテーマは、長期ビジョンの実現に向けた重要項目でもあり、事業計画と連動しながらPDCAサイクルを回していきます。

1)マテリアリティの特定プロセス

以下のプロセスにより、マテリアリティを特定しています。

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2)長期ビジョンとマテリアリティテーマ

抽出したマテリアリティは、社会及び長期投資家にとっての重要度と当社事業の持続的成長への影響からマッピングを行うとともに、長期ビジョンや関連するSDGsと紐づけています。

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3.気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社の事業は地球環境との関わりが深く、企業として環境保全に努めることは当然の責務です。自らの事業活動における環境負荷の低減はもとより、地球環境に配慮したより良い住環境の創造に努めております。当該取り組みの中で、持続可能な社会の実現に、企業としてより主体的に参画するため、2021年10月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言に賛同を表明しました。環境負荷の低減に向け、この提言への対応を進めています。

1)ガバナンス

当社では、社長を委員長とするESG委員会を設置しており、気候変動への対応については、ESG委員会のもとに設置した環境分科会において、事業活動によるGHG排出の環境負荷といったマテリアリティに対し、2030年度の当社単体でのカーボンニュートラルに向けた目標を設定し、削減計画の策定、施策の検討や実行といった気候変動への対応を進めています。これらの取り組みは取締役会に報告し、進捗状況に関する管理・監督を行っております。

また、当社は、気候変動リスクへの対応として、2022年に社長を委員長とする全社リスク管理委員会のもとに「気候変動リスク部会」を新設し、組織的な管理体制を構築しました。当該部会のもと、気候変動に関する各リスクを、法規制・技術・市場・評判といった移行リスクと、急性・慢性的といった物理的リスク等の区分に沿って分析し、インテリア事業本部・ロジスティクス本部・営業本部と緊密に連携し、具体的な管理指標を設定した上で、リスクの監視と対応を行ってまいります。

 

2)戦略

当社では、気候変動によるリスクと機会を特定し、必要な対応を進めています。また、2022年度からは気候変動リスクについて、TCFD提言に沿った形でリスクと機会の見直しを行うことを決定しています。見直しにあたっては、事業活動におけるGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量を低減できないリスク、商品・見本帳を低炭素化できないリスクや回収・リサイクルできないリスク、及び急性・慢性的に起こりうる物理的なリスクといった区分で検討を進めています。

シナリオ分析や財務的な影響については、2022年度以降、検討を進めてまいります。

 

3)リスク管理

当社では、マテリアリティを特定し、ESG委員会での活動を通じ、これらの改善に向けたPDCAサイクルを回しています。各科会の取り組みの評価においては、年4回のESG委員会でのマネジメントレビューを通じ、継続的な改善と課題の修正・追加を行っています。

気候変動リスクも全社重要リスクの一つと位置付けており、2022年度からは「全社リスク管理委員会」において「気候変動リスク部会」を設定しました。社長を委員長とする「全社リスク管理委員会」では、当社グループ全体の企業価値の維持・向上に努め、リスク発生時の影響を最小化するとともに、当社の活動や社員に対して影響を及ぼす可能性があるさまざまなリスクに対し、マネジメントを行っています。活動状況は、半年に一度取締役会で報告され、経営層は存在するリスクを的確に把握した上で、経営判断ができる体制となっています。気候変動リスクに関しても、今後当該部会でリスクマネジメントを行っていきます。

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4)指標と目標

当社では、中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]において、事業活動(Scope1&2)における環境負荷の低減に向けた定量目標を設け、取り組みを進めています。目標と2021年度(速報値)までの進捗は、以下の通りです。

①環境負荷低減に向けた定量目標

2023年3月期目標

・GHG排出量(Scope1&2)

カーボンニュートラル(2031年3月期目標)

・エネルギー使用量

4.0% 削減

(2018年度比)

・廃棄物総廃棄量

4.0% 削減

(2018年度比)

・リサイクル率

83.0% 以上

 

 

②上記目標における進捗状況(単体)

 

 

単位

2017年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

(速報値)

 

GHG排出量(Scope1&2)

t-CO2

8,220

8,118

6,638

6,233

5,992

 

エネルギー使用量

GJ

132,292

127,535

127,178

127,681

125,355

 

廃棄物総廃棄量

t

3,688

3,695

4,195

4,098

4,283

 

リサイクル率

t

67.2

75.0

80.1

81.5

85.0

 

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③今後の取り組み

2030年度の当社単体でのカーボンニュートラル実現に向けて、設備更新などでの「省エネ」、太陽光発電設備導入による「創エネ」、再生エネルギー調達による「再エネ」、植林・電力証書・排出権などでの「オフセット」などを計画的に実行してまいります。

 

GHG排出量カーボンニュートラルに向けた計画値

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4.人的資本、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた取り組み

当社グループは、ブランドステートメント“Joy of Design”のもと、さまざまな空間創造を通じた“デザインするよろこび”の提供を目指しています。豊かな感性が重要な価値を持つ「デザイン」を経営の軸とする当社にとっては、社員一人ひとりが自らの個性を多様性として活かし、互いに尊重しあいながら成長することが、事業における強い原動力となります。この力を最大限に生み出すために、ダイバーシティ&インクルージョンや健康経営といった施策を通じ、社員が自らの仕事に誇りを持って生き生きと働き、社会に新たな価値を提供する企業を目指しております。人的資源やダイバーシティ&インクルージョンに関しては、下記の方針を掲げ、それぞれについて具体的取り組みを行っています。

1)ダイバーシティ&インクルージョン

■サンゲツグループダイバーシティ基本方針

サンゲツグループを取り巻く国内外の外部環境の変化がますます激しくなる中で、強固な事業基盤を築き持続的な発展に繋げていくためには、多様化する需要分野・地域・お客さまに対し、多様な機能や商品、深い専門性をもったサービスの提供が不可欠です。

サンゲツグループは、性別・年齢・国籍・人種・宗教・障がいの有無・性自認及び性的指向等にかかわらず、従業員一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進します。

背景や感性、価値観などの違いによる新たな視点や発想を、豊かな創造性につなげる「ダイバーシティ・マネジメント」を経営の中核に据え、多様化する市場の要請を捉えながら、成長実現に向けた重要施策として取り組んでいます。

 

■具体的な取り組み

①女性活躍支援

戦略的な人事制度改革の実践にあたり、女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実行しています。女性社員が自身の強みを活かして活躍できる組織及びそれを支援する制度づくりを目的とし、人事部内にダイバーシティ&インクルージョン推進担当を配置し、目標達成に向け各種施策を展開しています。性別にかかわらず、社員の知見・経験や専門性を組織に活かすことを目指し、2021年度から3年間の行動計画に沿ってダイバーシティ&インクルージョンを推進しています。

 

 

女性活躍推進法に基づく行動計画

目的

女性社員が長く働き続け、自身の強みを活かし、活躍できる組織及びそれを応援する風土の実現

計画期間

2021年4月1日〜2024年3月31日までの3年間

目標①(定量)

管理職層に占める女性割合2022年度までに20%とする

目標②(定量)

正社員の有給休暇取得率を75%以上とする

目標③(定性)

社員全体の長時間労働是正

 

実施策

キャリア形成支援

・女性社員及び上司に対するキャリア形成支援と支援スキル向上研修の導入

・多様なキャリア選択が可能な人事制度検討

男女格差の解消

・男性育児休職制度の整備と取得啓蒙

働き方改革の継続実施

・テレワーク勤務等、柔軟な働き方に関わる制度の再整備と拡充及び積極活用の促進

・業務効率化のためのDX推進

 

②多様な人材の活躍支援

当社では、従業員の多様性を活かすことで、一人ひとりの意欲や能力を最大限発揮することを目指し、新たな価値創造を組織にもたらすべく、経営戦略の一環としてさまざまな取り組みを行っています。多様な人材の活躍を支援するための施策として、柔軟な働き方を実現する各種制度をはじめ、退職した社員の再雇用や正社員登用を促進する「ジョブリターン制度」や障がい者雇用の推進、性自認及び性的指向等を問わず働きやすい職場づくりなどを進めています。また、ヘルプライン(相談・通報制度)にて各種相談を受け付けています。

 

③LGBTQに関する取り組み

サンゲツグループ人権方針、サンゲツグループダイバーシティ基本方針を掲げ、性別、年齢、国籍、人種、宗教、障がいの有無、性自認及び性的指向などにかかわらず、従業員一人ひとりの個性を多様性として活かし、挑戦・革新し続ける風土の醸成や仕組みの充実を推進することを社内外へ周知しています。こうした考えから、LGBTQを積極的に支援するためのヘルプラインの設置やALLYステッカー掲示による意志表明支援などに取り組んでいます。

※ALLY(アライ):LGBTQを積極的に支援し、行動する人のこと。

 

サンゲツALLYステッカー

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■実績(単体)

当社では、中期経営計画(2020-2022)[ D.C.2022 ]において、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた定量目標を設け、取り組みを進めています。目標と2021年度までの進捗は、以下の通りです。

[ダイバーシティ&インクルージョンの推進に向けた定量目標]

2023年3月期目標

①女性管理職比率:20.0%以上

②障がい者雇用率: 4.0%以上

 

 

[上記目標における進捗状況]

①女性管理職比率

女性が自身の強みを活かして活躍できる組織と制度づくりを進めた結果、女性管理職比率は17.9%となっています。

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②障がい者雇用率推移

障がいを持つ方の雇用率は、法定雇用率2.3%を越え3.4%となっています。

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2)人材育成

■人材育成方針

自己変革に挑戦する社員を尊重し、成長・活躍・自己実現の場を提供する。

・社員の人生設計・成長を促進する教育機会を提供する

・昇格昇進の拡大と早期化により現場での経験を積ませ、将来の管理職、経営層の育成を行う

・計画的に多様な仕事を経験させ、活力を生み出す人材配置を行う

 

■具体的な取り組み

①「変革」と「組織強化」の土台としての制度運用

当社グループでは、人事制度や研修制度等を通じ、当社の将来を担う社員の育成に努めています。人事制度においては、社員が経営を担う事業基盤の整備として、「社員のモチベーション向上」「経営の健全性の実現」「社員の安心感の維持向上」を目指した制度を運用しつつ、変化の激しい時代に対応する、柔軟かつ強靭な組織構築に向けた、新人事制度改革を進めました。2022年4月に運用をスタートした新人事制度は、職能型と職務型のハイブリッド型とするとともに、プロフェッショナル人材創出を目指したプロ系コースを新設するなど、社員のモチベーションとエンゲージメントの向上を目指した仕組みとなっています。研修制度においても、新型コロナウイルス感染症の影響で対面での開催が難しい中で、オンラインを活用し、年齢や役職に応じたキャリア研修・階層別研修を実施したほか、社長と社員が会社の課題や展望について直接語り合う「社長対話集会」を実施し、社員のスキル向上とコミュニケーションの醸成に努めました。

 

②働き方の多様性

社員が生き生きと働ける「働きがい」のある職場を目指し、さまざまな労務管理の改善強化策を実施しています。フレックスタイムやテレワークなどの柔軟な勤務制度をはじめ、「Google Workspace※」などICT技術の活用、ベビーシッター費用の助成、民間保育所との業務提携など、社員のワークライフバランスを推進するための取り組みを多面的に行っています。

※Googleが提供するクラウドコンピューティングで、生産性向上のためのグループウェアツール。

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■実績(単体)

多様な人材がモチベーション高く働くことを目指した、人材育成に関連する実績推移は以下の通りです。

①平均勤続年数

社員一人ひとりが意欲を持って仕事にチャレンジできる、働きがいのある会社を目指しています。その結果を示す指標の一つとして、平均勤続年数は男女ともに安定した推移を示しています。

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②ワーキングマザー比率

子育て期間中の社員が継続して就業できる制度や環境づくりを推進しています。女性社員におけるワーキングマザー比率は、年々増加しています。なお、2022年より、ワーキングマザーの定義を「子のいる女性社員全員」から、「18歳未満の子のいる女性社員」へと変更しています。

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※ワーキングマザー比率:ワーキングマザー人数÷女性正社員人数

 

③育児短時間勤務利用者数

仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備の一環である「育児時短勤務」の利用者数は年々増加しています。

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3)健康経営

■健康経営方針

健康に働き、人生を送る 「従業員が生き生きと働くために」

・心身の健康づくり(本人やその家族)

心身の健康づくりに向けた体制の充実、健康の保持・増進活動に取り組みます

・人生をより豊かに

健康経営により本人やその家族地域社会全体への幸せづくりに貢献します

・働きやすい環境づくり

安全・健康・快適で働きやすい職場環境を確保します

 

当社では、サンゲツグループ企業倫理憲章5原則のひとつに「従業員が生き生きと働くために」を掲げ、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、従業員一人ひとりが会社経営の主人公として能力を最大限発揮できる人事制度の的確な運営と、安全・健康・快適で働きやすい職場環境を確保することに取り組んでいます。

 

■健康経営推進体制

代表取締役 社長執行役員を健康管理最高責任者とし、人事部健康経営推進室の健康経営推進担当・保健師が中心となり、快適な職場環境と心身の健康づくりを実践するため、各事業所の健康経営推進担当・産業医と連携して従業員の健康保持・増進活動を展開しています。

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■具体的な取り組み

①心身の健康づくりに向けた取り組み

当社では、従業員が生き生きと働くために安全・健康・快適で働きやすい職場環境の整備と、心身の健康づくりに向けた推進体制の充実を図り、「計画年休の取得促進」「敷地内全面禁煙実施」「全社員対象にしたストレスチェックの実施」など、12項目にわたる健康の保持・増進活動に継続的に取り組んでいます。2019年には「サンゲツ健康保険組合」を設立し、健康経営に向けた組織体制を整備し、健康に関する情報発信や各種健康イベントの開催など、心身の健康づくりに向けた取り組みを強化しました。さらに、保険診療対象外である「先進医療制度」の治療を受ける社員の経済負担を軽減させる「がん先進医療補償制度」を導入し、従来進めている疾病予防・早期発見に向けた啓もう活動と併せ、経済面からの「治療と仕事の両立」の支援制度を整えました。

これらの活動が評価され、当社は2020年以降3年連続で「健康経営優良法人(大規模法人)」に認定されました。

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②労働安全衛生の取り組み

安全で働きやすい職場づくりと、心身の健康づくりに向けた環境整備を推進しています。社員への安全衛生教育に特に力を入れ、労働災害比率は業界の平均を大きく下回っています。また、不当な差別やハラスメントを禁止し、公正で明るい職場づくりに努めるほか、地震などの大規模災害への備えとして、備蓄品の整備や防災訓練も実施しています。

 

■実績(単体)

心身の健康を保ち、生き生きと働くことのできる職場づくりを目指した、健康経営の取り組みの実績推移は以下の通りです。

①退職者数(年間・定年除く)/離職率

社員一人ひとりの人権を尊重するとともに、不当な差別やハラスメントを禁止し、公正で明るい職場づくりに努めています。心身の健康が保てる職場環境の整備を推進しており、直近5年の離職率では低い水準を保っています。

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②労働災害発生率(度数率)

防災訓練をはじめ、社員への安全衛生教育に特に力を入れた結果、労働災害発生率は業界の平均を大きく下回っています。

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※度数率:100万のべ実労働時間当たりの労働災害による死傷者数(災害発生の頻度)

※数値算出時期の都合上、2021年3月期までの数値を掲載しております。

 

当社グループにおける成長戦略の進捗状況やサステナビリティの取り組みに関しては、統合報告書「Sangetsu Report 2021」をご覧ください。

「Sangetsu Report 2021」

https://www.sangetsu.co.jp/company/ir/library/report.html

 

(その他の対処すべき課題)

1)2016年11月に買収したKoroseal Interior Products Holdings,Inc.においては、新型コロナウイルス感染症拡大による市場の急激な縮小に加え、原材料価格・人件費の高騰といった供給面からの影響により、収益が低迷しております。同社収益向上のため、特に中小口取引での価格改定、自社製造壁紙の販売数量拡大、また、低収益商品からの撤退、これらに伴う人員削減、高収益商品の追加投入等の収益改善策を着実に進めてまいります。

2)中国・香港および東南アジア市場においては、組織体制の整備が完了したことから、商品構成の見直しを進めると共に、これに対応した販売体制の構築および人員の強化を進めてまいります。

3)日本市場においても、原材料価格・仕入商品価格の値上げ、包装材料・人件費等を含むその他経費の上昇が継続しており、これらコスト上昇を販売価格に転嫁していく必要があります。

4)日本市場において、特定の仕入先からの壁装材の品質問題が発生しており、お客様相談室を設置の上、当該仕入先と連携しつつ、当該商品の施工先住居、施設等に対する補修対策を継続的に実施してまいります。この補修に係る費用は仕入先によって全額負担されており、当社において損失は計上されておりません。

 

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