当事業年度(2020年5月1日から2021年4月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況が続いているものの、持ち直しの動きもみられました。
このような環境の中で、当社は「上質な暮らし」を提供することを変わらぬ使命に、高級品・中級品を主軸とした世界中の優れた商品をリーズナブルな価格で、インテリアのコンサルティングサービスをはじめとした充実したサービスとともに提供するビジネスモデルを継続しながら、早期の業績回復に向けて以下の事業構造改革に取り組んでいます。
[新執行体制発足]
2020年12月1日付で代表取締役会長兼社長の三嶋恒夫を筆頭とした新執行体制へ移行しました。経営管理本部・営業本部・商品流通本部における取締役専務執行役員の配置と大型店舗の責任者3名を含む6名の新執行役員の選任により、業務執行と責任の明確化を図り、業績回復を加速してまいります。
[株式会社ヤマダホールディングスとの連携]
2019年2月の業務提携の基本合意と、その一層の深化を目的とした同年12月の資本提携契約の締結により、ヤマダホールディングスグループでの当社家具の販売や当社店舗での家電の販売、法人部門との協業等に取り組み、家具・インテリアと家電を合わせた「暮らしまるごと」提案の一層の向上を図っています。
株式会社ヤマダデンキでの当社家具の販売については、当事業年度末時点で113店舗に拡大しており、当社からヤマダホールディングスグループへ76名(株式会社ヤマダデンキへ62名、株式会社ヤマダホールディングスへ14名)が出向し、家具・家電販売のノウハウの相互の習得、人材育成等に努めています。
当社店舗での家電の販売については、2020年2月より当社直営店舗において開始した家電の取扱いを8店舗に拡大しました。9月にオープンした寝室特化型専門店「Bedroom Gallery GINZA」においても上質なライフスタイルを求めるお客様に家電を含めた快適な寝室空間を提案しています。今後も家具と家電、リフォームの総合提案による相乗効果で売上拡大を図ってまいります。
法人部門では、株式会社ヤマダデンキとの協業による法人案件の獲得のほか、ヤマダホールディングスグループの株式会社ヤマダホームズとの顧客の相互紹介に取り組み、2021年2月からは株式会社ヒノキヤグループとの販売提携を開始しています。
[オムニチャネル化への取り組み]
インターネットの普及・進化によりリアル店舗の意義が変化する中、「店舗」「Eコマース」「外商」の3つの販売チャネルの融合・連係により、売上・利益の最大化を図っています。
インターネットでの情報収集を起点とした購買行動が一般化する中、ユーザビリティ向上を目的としたホームページ及びEコマースサイトの継続的な改修を行う等、Eコマース事業の強化に注力しています。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から在宅やサテライト勤務等の新たな働き方が定着する中、特に在宅勤務を充実させる商品を主として売上高は大幅に伸長しました。また、場所にとらわれず気軽にインテリアのコンサルティングサービスをご利用いただけるリモートインテリア相談では、電話だけでなくコミュニケーションアプリLINE、Web会議ツールZoom等を利用することにより、店舗での対面接客と同様にお客様の多様なご相談・ご要望にお応えし、快適な住まいづくりについてのご提案を行っています。
これらの取り組みは、店舗での接客、販売の代替としてだけでなく、店舗への集客やお客様との接点を増やすという観点からも注力しています。
[BtoB事業への取り組み]
法人需要の取り込みにつきましては、ホテルや企業のオフィスの内装・家具を請け負うコントラクト事業及び住宅事業者をはじめとする企業様との販売提携に継続して取り組んでいます。
法人営業部や各店舗での取り組みのほか、日本国内での独占販売権を有するイタリアのラグジュアリーブランドの専門店「Poltrona Frau Tokyo Aoyama」、「Poltrona Frau Osaka」、ドイツを代表するハイクオリティブランドの専門店「ROLF BENZ TOKYO」を展開しており、これらのブランド力を活かし、設計事務所等への営業活動をさらに強化してまいります。
[在庫水準の適正化及び物流費用の低減と業務効率の改善の取り組み]
2020年6月の「アウトレット&リワース横浜」のオープンに続き、株式会社ヤマダデンキの新宿エリア内の店舗効率化のために閉店した旧LABI新宿東口館にて、当社の家具・インテリアを特別価格にてご提供する大規模催事を10月より期間限定で開催(2021年3月21日終了)、11月には株式会社ヤマダデンキのLABI名古屋へのアウトレット品の供給を開始しました。販売終了品や閉店・減床店舗、既存店舗の店頭展示品等を販売していくことで売上に寄与するとともに、在庫水準の適正化、物流に係る費用の低減と業務効率の改善、及び他店舗の展示商品の入れ替えの活性化による収益力の強化を図っています。
また、同目的で長期滞留在庫について処分すること及び一部たな卸資産の保有目的の変更を決定し、第3四半期においてたな卸資産評価損5億83百万円を計上しております。
店頭展示品等の販売による在庫削減と並行し、新規ブランド・商品の導入を進めており、今後も店舗展示の魅力を一層高めてまいります。
[その他の取り組み]
経営資源を集約させることで経営の効率化を図ることを目的とし、当社の完全子会社であるリンテリア株式会社及びレンタリア株式会社を吸収合併することを12月に決議し、2021年2月1日付で吸収合併しております。
以上に取り組み、当事業年度の売上高は前年同期間(2019年5月1日~2020年4月30日)比で24億75百万円の増収(9.8%増)の277億99百万円となりました。主な内訳は、店舗が257億44百万円、コントラクトが19億99百万円であります。増収の主な要因は、株式会社ヤマダホールディングスとの連携による家具や家電販売の増収が39億14百万円、コントラクト事業の増収が5億16百万円です。一方で、閉店(2020年5月銀座本店等)による減収が24億85百万円でありました。同期間の営業状況としては、緊急事態宣言が解除された5月後半より入店件数及び受注は回復し、既存店売上高の前年同月比は5月に22.1%減と底打ちし、6月は2.7%減、以後は前年に消費増税前の駆け込み需要のあった9月を除き前年同月比2桁増に転じました。最需要期である4月においても緊急事態宣言下となったものの、同状況下にあった前年程の入店件数の落ち込みは見られず、今年に入って以降も既存店売上高は継続して前年の水準を大きく上回りました。また、家電取扱店における家電売上構成比は6月に家電の販売を本格始動して以降、10%を超えて推移し、家具と家電のトータル提案が定着しつつあります。巣ごもり需要等の追い風もあり、家電売上高は28億74百万円となりました。
売上総利益は、前期に計上したたな卸資産評価損対象商品の販売による繰入益等により改善し、140億7百万円となりました。販売費及び一般管理費は、店舗網再編による賃借料の低減等により160億80百万円となり、営業損失は20億73百万円(前年同期間比38億54百万円の改善)、経常損失は22億56百万円(同37億99百万円の改善)、当期純損失は23億71百万円(同36億37百万円の改善)となりました。
なお、当社は2020年4月期より決算期(事業年度の末日)を12月31日から4月30日に変更しており、2020年4月期は変則的な16カ月決算となるため、文中において前年同期の比較はしておりませんが、前年同期間の比較を記載しております。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末と比較して12億80百万円減少し、当事業年度末は21億95百万円となりました。
なお、当社は2020年4月期より決算期(事業年度の末日)を12月31日から4月30日に変更しており、2020年4月期は変則的な16カ月決算となるため、前年同期の比較はしておりません。
各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により支出した資金は11億8百万円となりました。これは主に、税引前当期純損失23億38百万円が計上されたことに加え、前受金の増加額9億49百万円、未払消費税等の増加額4億29百万円、売上債権の増加額3億98百万円、和解金の受取額2億円、販売促進引当金の増加額1億円、未払費用の減少額2億89百万円、仕入債務の減少額1億74百万円、たな卸資産の減少額1億64百万円、未収消費税等の減少額1億50百万円、事業構造改善引当金の減少額1億21百万円、その他の流動資産の減少額1億57百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は5億71百万円となりました。これは主に、差入保証金の回収による収入9億71百万円、有形固定資産の取得による支出3億2百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は7億43百万円となりました。これは主に、短期借入金の減少額8億円によるものです。
当社の報告セグメントは、家具販売事業のみであり、他の事業セグメントの重要性が乏しいため、記載を省略しておりますので、生産、受注及び販売の状況につきましては商品分類別に記載しております。
また、前事業年度は決算期変更の経過期間を含む変則的な決算となっています。このため、前年同期比は記載しておりません。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、現時点において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、これらについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っております。ただし、これらには見積り特有の不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社が財務諸表を作成するにあたり採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方等を含む仮定及び見積りに関する情報は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
流動資産は、前事業年度末に比べ15億29百万円減少いたしました。
増加した主な項目は、売掛金3億99百万円です。
減少した主な項目は、現金及び預金13億49百万円、商品1億67百万円、前払費用1億21百万円、その他の流動資産3億77百万円です。
固定資産は、前事業年度末に比ベ9億77百万円減少いたしました。
減少した主な項目は、差入保証金9億87百万円です。
流動負債は、前事業年度末に比べ1億32百万円減少いたしました。
増加した主な項目は、前受金9億49百万円、未払金1億68百万円、販売促進引当金1億円です。
減少した主な項目は、短期借入金8億円、未払費用2億89百万円、事業構造改善引当金1億21百万円です。
固定負債は、前事業年度末に比べ2百万円減少いたしました。
増加した主な項目は、資産除去債務5百万円です。
減少した主な項目は 、受入保証金1百万円、その他の固定負債6百万円です 。
純資産は、前事業年度末に比べ23億71百万円減少いたしました。
主な要因は、当期純損失による利益剰余金の減少23億71百万円です。
当社は2020年4月期より決算期(事業年度の末日)を12月31日から4月30日に変更いたしました。
これにより、決算期変更の経過期間となる前事業年度の期間は、2019年1月1日から2020年4月30日までの16カ月間となったため、業績等に関する前期比増減の記載を省略しております。
売上高は277億99百万円となりました。
店舗売上高は257億44百万円、コントラクト売上高は19億99百万円となりました。
売上総利益は140億7百万円となりました。
売上総利益率については50.4%となりました。
販売費及び一般管理費は160億80百万円となりました。
対売上比率では57.8%となりました。
運賃は6億55百万円、広告費は17億85百万円、賃借料は46億35百万円となりました。
営業損失は20億73百万円となりました。
営業外収益の内容は業務受託料15百万円、未払配当金除斥益1百万円、受取保険金1百万円等です。
営業外費用の内容は転貸費用1億29百万円、賃貸費用68百万円等です。
経常損失は22億56百万円となりました。
特別利益の内容は助成金収入86百万円、固定資産売却益18百万円、ゴルフ会員権売却益5百万円です。
特別損失の内容は減損損失1億64百万円、臨時休業による損失20百万円、関係会社債権放棄損7百万円です。
当期純損失は23億71百万円となりました。
④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費であり、設備投資資金需要は新規出店及び店舗改装等によるものであり、自己資金及び借入金を充当する予定であります。
当社は、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すとともに、資金効率化を進め、財務体質の改善を図っていく方針であります。
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