業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 (1)経営成績等の状況の概況

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用により、国内の個人消費の停滞が続き、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

外食産業におきましても、外出自粛要請による外食機会の減少や店舗の臨時休業、営業時間短縮による事業活動の制約を余儀なくされました。その一方で、テイクアウトやデリバリーサービス、冷凍食品の販売が増加するなど、事業を取り巻く環境の著しい変化への柔軟な対応が求められ、競合他社との競争はより一層厳しさを増す状況となりました。

このような状況の中、当社グループは野菜をはじめとする食材の国産化などにより、食の「安全・安心・健康」に継続して取り組むとともに、『全員参加で、創業60周年に向けて前進しよう』をスローガンに、企業価値向上に努めてまいりました。

また、経営戦略方針として次の3つを掲げ、社員とパート・アルバイト従業員が一丸となって、全員参加型経営に取り組んでまいりました。

◆『月例会を徹底し、お客さまを増やす』

店舗・工場が抱えている問題点や改善点について話し合う月例会の開催を徹底し、店舗・工場で働いている社員及びパート・アルバイト従業員全員で「お客さまに喜ばれる施策」を考えることで、お客さま満足度向上に取り組んでまいりました。

◆『現地・現物・現実で改善のスピードを上げる』

問題に直面した時に、机上だけでいくら理論や理屈を議論しても早急な問題解決には至りません。「現地」に足を運び、「現物」を手に取り、「現実」を確認することで、スピード感を持って問題解決が図られます。単独部門だけではなく、部門間での連携を強化しながら業務改善を行い、相乗効果を生むことで企業活動体制の効率化に取り組んでまいりました。この取り組みの結果として、社員だけでなくパート・アルバイト従業員一人ひとりが普段の業務で見つけた改善点を会社に対して提案できる「提案制度」を通じて、当連結会計年度では、1,273件の提案があり、作業効率向上や作業負担減少につながっています。

◆『自ら考え、新たなチャンスに向けて行動する』

会社を支えている社員及びパート・アルバイト従業員の一人ひとりが、直面している問題を解決するために必要なことや改善すべき点を考え、考え抜いた先にある新たなチャンスに向けて行動することができるようになる必要があります。適切なコミュニケーションを取りながら、お客さま満足度向上や売上高・利益向上などにつながる施策に取り組んでまいりました。

この取り組みの結果として、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による店舗の営業時間短縮の中、お客さまにリンガーハットの味を楽しんでいただく機会を少しでも提供したいという思いから、2021年6月に大阪府堺市の店舗にて冷凍商品の自動販売機の設置を始めました。お客さまからご好評をいただいたことを受け、2022年2月末時点で26店舗まで拡大しております。引き続き設置店舗の拡大に取り組んでまいります。

人財育成に関しましては、女性活躍推進を継続して取り組み、女性活躍TVミーティングを13回開催いたしました。2021年7月からは女性活躍推進からダイバーシティ推進へと取り組みの幅を広げ、役職や年齢、性別、国籍などにとらわれずに意見交換を行う「ダイバーシティみらい座談会」を開催し、2022年2月末時点で7回開催いたしました。これらの取り組みにより女性店長の人数は80名となり、全店長数の38.8%を占めております。また、外国人店長も2名となっており、今後も様々な取り組みを行い、ダイバーシティ推進を図ってまいります。

AI活用やDX推進に関しましては、AIによる食材の自動発注システムが全店舗で導入され、日毎の発注業務の負担が減ったことで、より調理や接客に注力することができるようになりました。また、店舗における人財育成もタブレットを用いたマニュアル作成・共有プラットフォームを全店舗で導入し、調理や接客など動きを伴うものは、動画を視聴して学んでいくことができる環境を整えることができました。

出店政策におきましては、新型コロナウイルス感染症の長期化の影響を受けましたが、座席でのスマホオーダーやセミセルフレジ等の新システムを導入し、ウィズコロナに対応した新型店舗を6年ぶりに福岡県天神エリアに1店舗新規出店いたしました。

一方で、17店舗を退店した結果、当連結会計年度末では国内で679店舗、海外で9店舗、合計688店舗(うちフランチャイズ店舗191店舗)となり、前連結会計年度末比で16店舗の減少となりました。

売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症の長期化による、店舗の臨時休業及び営業時間短縮並びに外出自粛要請の影響はありましたが、緊急事態宣言解除後の一時的な個人消費の回復や継続してテイクアウトやデリバリーサービスにも注力したこともあり、既存店客数は前連結会計年度比で101.2%となり、既存店売上高は同108.0%となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は339億20百万円(前年同期比0.4%減)、営業損失14億64百万円(前年同期は営業損失54億3百万円)、経常利益19億66百万円(前年同期は経常損失55億61百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益9億42百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失87億46百万円)となりました。

企業集団の事業区分別概況は次のとおりであります。

 

<長崎ちゃんぽん事業>

「長崎ちゃんぽんリンガーハット」では、毎月各店舗にて、パート・アルバイト従業員も参加する月例会を開催し、店舗の問題点を洗い出し、全員で改善作業を行うことで、お客さまにおいしい料理を快適な雰囲気の中で、気持ちよく召し上がっていただけるよう努めてまいりました。

商品施策としては、季節商品として、ほたてとあさりをバターで焼き上げた「ほたてとあさりのちゃんぽん」、麻婆茄子とファージャオオイルの辛さがやみつきになる「冷やしちゃんぽん麻婆茄子」、大粒のかきを豆乳クリームバターで香ばしく焼いた「牡蠣ちゃんぽん」の販売とともに、店長主導で選べる戦略商品として、「とくちゃんぽん グリーンアスパラ」、「鶏白湯の濃厚ちゃんぽん」、「柚子香る白菜ちゃんぽん」などを販売いたしました。

2021年8月には、長崎ちゃんぽん専門店「リンガーハット」が今後2030年までの期間を見据えた新ビジョン「Ideal Dininng宣言~あなたの理想の食卓へ~」を制定いたしました。野菜の“健康”と“おいしさ”を訴求するとともに日本の農業への貢献に努めること、そしてQ(クオリティ)、S(サービス)、C(クリンリネス)を強化し、居心地のよい店舗づくりに努めてまいります。

さらに、新しいブランドメッセージとして「モグベジ食堂」を制定し、お客さまに野菜をモグモグするワクワクを提供してまいります。第1弾のメニューとして、これまでのメニューで使用していなかったパプリカやミニトマトなどの彩りがよく、野菜の甘さを感じられる野菜を使用し、健康を支える様々な栄養価を摂ることができる「彩り野菜のちゃんぽん」、「彩り野菜の皿うどん」を開発し、お客さまにご好評をいただいております。

新型コロナウイルス感染症の長期化に対する施策としては、保温性の高いテイクアウト用容器やテイクアウト専用ちゃんぽん麺の改良、モバイルオーダー導入店舗や注文可能商品の拡充を継続して取り組み、また店舗での冷凍商品の販売や冷凍商品自動販売機の設置などにも取り組んでまいりました。

新規出店では、国内では1店舗を出店し、17店舗を退店した結果、当連結会計年度末の店舗数は、国内で592店舗、海外で7店舗の計599店舗(うちフランチャイズ店舗174店舗)となりました。

以上の結果、売上高は269億6百万円(前年同期比1.5%増)、営業損失は13億88百万円(前年同期は営業損失47億34百万円)となりました。

<とんかつ事業>

「とんかつ濵かつ」でも、毎月各店舗にて、パート・アルバイト従業員も参加する月例会を開催し、より多くのお客さまにお食事の楽しさを味わっていただくため、おいしいとんかつ料理を、いつでもおなかいっぱい召し上がっていただけるよう努めてまいりました。

商品施策としては、春には「明太子と大葉」、「二種のチーズと黒こしょう」の2種類の「重ねかつ」を、夏には紀州南高梅と国産大葉を使用した「梅酢おろしかつ」と「重ねかつ」を、秋冬には定番である「牡蠣ふらい」など、四季折々を楽しんでいただける季節商品を販売いたしました。また、卓袱料理専門店「長崎卓袱浜勝」では、地産地消への取り組みとして、長崎県が漁獲量全国1位の高級魚「クエ」を使った料理を1年を通して楽しんでいただけるよう販売いたしました。

新型コロナウイルス感染症の長期化に対する施策としては、モバイルオーダーサービスをリニューアルし、注文から受け取りまでの流れを簡素化いたしました。また、店内に入ることなくテイクアウト商品を購入することができるテイクアウト専用窓口を設置した店舗の展開にも取り組んでまいりました。

新規出店及び退店はなかったため、当連結会計年度末における店舗数は、国内で87店舗、海外で2店舗、合計89店舗(うちフランチャイズ店舗17店舗)となりました。(和食業態の長崎卓袱浜勝、とんかつ大學を含む)

以上の結果、売上高は68億71百万円(前年同期比6.6%減)、営業損失は1億80百万円(前年同期は営業損失7億57百万円)となりました。

<設備メンテナンス事業>

設備メンテナンス事業は、当社グループ内直営店舗及びフランチャイズ店舗の設備維持メンテナンスに係る工事受注や機器類の保全などが主な事業であり、売上高は16億18百万円(前年同期比16.5%減)、営業利益は1億51百万円(同18.6%増)となりました。

 ②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ4億52百万円減少し、78億96百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は24億57百万円(前年同期は34億5百万円の支出)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための店舗の臨時休業及び営業時間短縮に係る補助金受取額の増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は14億89百万円(前年同期比76.0%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出15億64百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は14億12百万円(前年同期は104億49百万円の収入)となりました。これは主に、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入19億39百万円があったものの、長期借入金の返済による支出29億52百万円があったことによるものであります。

 また、金融機関との間に総額50億円の貸出コミットメント契約を締結しており、当連結会計年度末時点において全額未使用であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

長崎ちゃんぽん事業

6,186,126

96.3

とんかつ事業

907,381

93.2

合計

7,093,508

95.9

 (注)1.金額は、製造原価によっております。

2.「設備メンテナンス事業」は、生産設備を有しないため、生産実績はありません。

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 b.店舗材料及び商品仕入実績

  当連結会計年度の店舗材料及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

長崎ちゃんぽん事業

1,606,983

100.9

とんかつ事業

1,012,465

95.0

設備メンテナンス事業

76,358

83.6

合計

2,695,808

98.1

 (注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

設備メンテナンス事業

90,606

78.1

合計

90,606

78.1

 (注)1.「設備メンテナンス事業」を除く事業については、店舗の販売予測に基づく生産を行っておりますので、

該当事項はありません。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

長崎ちゃんぽん事業

26,906,272

101.5

とんかつ事業

6,871,899

93.4

設備メンテナンス事業

142,312

82.1

合計

33,920,484

99.6

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りです。

なお、新型コロナウイルス感染症については、今後の収束時期や影響の程度を正確に予測することは困難な状況でありますが、2022年度中にかけて影響が続くとの仮定を置いて見積りを行っております。

a.固定資産の減損

当社グループは、減損の兆候が見られる資産グループについて減損損失の認識を判定し、当該資産グループから得られる将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。

将来キャッシュ・フローの見積りには事業計画を基礎としておりますが、経営環境の変化や地価の変動等により仮定に変更が生じた場合、追加の減損損失が発生する可能性があります。

b.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づく課税所得の見積りにより繰延税金資産の回収可能性を判断しております。

将来の収益力に基づく課税所得の見積りには事業計画を基礎としておりますが、外部環境の変化等により仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

②当連結会計年度の財政状態の分析・検討内容

a.資産

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ16億67百万円減少し、341億18百万円となりました。これは主に新型コロナウイルス感染症拡大の影響下で17店舗の退店を行ったこと、並びに現時点での将来キャッシュ・フロー計画から検討を行った結果減損損失を計上したことにより、固定資産が9億37百万円減少したことによるものであります。

b.負債及び純資産

負債は前連結会計年度末に比べ45億74百万円減少し、215億97百万円となりました。これは主に長期借入金が29億64百万円減少したことによるものであります。

純資産は前連結会計年度末に比べ29億7百万円増加し、125億21百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ9.8ポイント増加し36.6%となりました。これは主に、新株予約権の行使による自己株式の処分により自己株式が22億41百万円減少したことによるものであります。

 

③当連結会計年度の経営成績の分析・検討内容

a.売上高、売上原価、販売費及び一般管理費及び営業利益

売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「③生産、受注及び販売の実績」に記載したとおりであります。

売上原価は、前連結会計年度に比べ4億91百万円減少し、122億30百万円となりました。これは主に売上高が前連結会計年度比1億28百万円の減収となったこと、及びAIを活用した自動発注システム導入による店舗の食材ロス減少によるものであります。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ35億76百万円減少し、231億54百万円となりました。これは主に正社員の所定労働時間短縮による人件費の削減、店舗作業時間管理の徹底、オンライン会議の活用、店舗賃借料の低減交渉など、経費を見直したことによるものであります。

以上の結果、営業損失は14億64百万円(前連結会計年度は営業損失54億3百万円)となりました。

b.営業外損益及び経常利益

金融収入(受取利息及び受取配当金)から金融費用(支払利息及び社債利息)を差引いた金融収支は、当連結会計年度は前連結会計年度に比べて1億86百万円費用が増加し2億63百万円の費用となりました。これは主に、前期の有利子負債残高の増加によるものであります。一方で、営業外収益として新型コロナウイルス感染症拡大防止のための時短要請に伴う協力金や雇用調整助成金収入を37億15百万円計上しております。

以上の結果、経常利益は19億66百万円(前連結会計年度は経常損失55億61百万円)となりました。

 

c.特別損益及び当期純損益

特別利益は、5百万円となりました。これは主に店舗閉鎖損失引当金戻入額を4百万円計上したことによるものであります。

特別損失は、前連結会計年度に比べ18億45百万円減少し、7億77百万円となりました。これは主に前連結会計年度において減損損失を21億25百万円計上したことによるものであります。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は9億42百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失87億46百万円)となりました。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析・検討内容

当社グループの資金の源泉は、「現金及び現金同等物」と「営業活動によるキャッシュ・フロー」であります。

一方、当社グループの主な運転資金需要は、当社グループ販売商品に係る原材料費、店舗運営に係る人件費及び店舗オーナーへの支払賃借料等であり、主な設備投資需要は、新規出店、店舗改修及び工場設備投資に係る投資資金であります。

したがいまして、運転資金と設備投資資金については、営業キャッシュ・フローで充当することを基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。

なお、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」は、前連結会計年度末に比べ4億52百万円減少し、78億96百万円となりました。

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