事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努めてまいります。

なお、以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)信用リスク

① 不良債権の状況

不良債権に対する十分な引当金を確保し資産の健全性を維持しているものの、今後の本邦及び地元地域の景気の動向、不動産価格及び株価の変動、当社グループの融資先の経営状況等によっては、不良債権及び与信関係費用が増加するおそれがあり、その結果、経営成績及び財政状態に悪影響を与え自己資本の減少につながる可能性があります。

また、これまでも鋭意不良債権のオフバランス化、不良債権に対する適切な処理や適正な水準の貸倒引当金を計上する等の対応を進めてきましたが、不良債権売却時の想定外の損失発生、もしくは想定を上回る償却の実施等をすることで、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

② 貸倒引当金の状況

貸倒引当金は、所定の基準に基づき、正常先債権及び要注意先債権に相当する債権については、主として今後1年間の予想損失額又は今後3年間の予想損失額に基づく損失見込額を、破綻懸念先債権に相当する債権については、債権額から担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除した残額のうち必要と認める額を、破綻先債権及び実質破綻先債権に相当する債権については、債権額から担保の処分可能見込額及び保証による回収可能見込額を控除した残額をそれぞれ計上しておりますが、実際の貸倒れが貸倒引当金計上時点における見込額と乖離し、貸倒引当金を大幅に超える可能性があります。この結果、実際の貸倒れが損失見込額を上回り、貸倒引当金が不十分となることがあります。

また、経済情勢全般の悪化、担保価値の下落、その他予期せざる事由により、設定した基準及び損失見込額を変更する必要が生じ、貸倒引当金の積み増しをすることで、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

③ 業種及び地域別貸出状況等

リスク管理面は、格付・業種・規模・地域別等に関するポートフォリオによる与信管理を行っております。

しかしながら、特定の業種から多額の不良債権が発生するおそれがあり、更にこれら業種の経営不振が長期化した場合、企業の倒産が新たに発生し、与信関係費用が増大し経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

また、当社グループは山口県、広島県及び北九州市を主たる営業基盤としており、地域経済の影響を特に強く受ける傾向にあります。そのため当該地域の経済状況により、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

④ 貸出先への対応

貸出先に債務不履行等が生じた場合であっても、回収の効率・実効性その他の観点から、当社グループが債権者として有する法的な権利を行使しない場合があります。また、これらの貸出先に対して、追加貸出等の支援や再起に向けた協力を行うこともあります。このような貸出先の信用状況の悪化や支援により、与信関係費用が増加することで、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

⑤ 新型コロナウイルス感染症の影響

新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による与信費用への影響は、足許では積極的な資金支援等により低水準に抑えられておりますが、今後は過剰債務や資源・エネルギー価格の高騰等により、地域のお客さまが重大な影響を受けることも予想されます。このような影響を受ける可能性のあるお客さまや、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化の影響により不確実性が高まっている業種に対して引当を行っており、今後より円滑かつ迅速な抜本的事業再生を強力に推進してまいります。しかしながら、今後、さらに経営環境が悪化した場合には、与信関係費用が増加することで、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(2)自己資本比率に関するリスク

① 自己資本比率

当社グループは海外営業拠点を有しておりますので、「銀行法第52条の25の規定に基づき、銀行持株会社が銀行持株会社及びその子会社の保有する資産等に照らしそれらの自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第20号)に基づき、国際統一基準により連結自己資本比率を算出しており、総自己資本比率8%以上、Tier1比率6%以上、普通株式等Tier1比率4.5%以上の最低所要水準を維持する必要があります。自己資本比率は、現在、この水準を上回っておりますが、資本金、利益剰余金、保有有価証券の評価差額等の増減、リスク・アセット等が変動した場合には、自己資本比率に影響を与える可能性があります。

また、国際統一基準では、資本保全バッファー(各最低所要水準+2.5%)を備える必要があります。現在、このバッファー水準を上回っておりますが、一定水準を下回り、配当等の社外流出について制限を受ける場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

なお、銀行業を営む連結子会社におきましては、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(2006年金融庁告示第19号)に基づき、山口銀行は国際統一基準により、もみじ銀行及び北九州銀行は国内基準により、それぞれ単体自己資本比率を算出しております。

② 繰延税金資産

本連結会計年度末現在の本邦の会計基準では、ある一定の状況において、将来実現すると見込まれる税務上の便益を繰延税金資産として計上することが認められております。

国際統一基準においては、一時差異に係る繰延税金資産について一定の限度額まで自己資本の額に含めてよいこととされており、2012年金融庁告示第28号に従って計算した額を自己資本の額に含めております。

繰延税金資産の貸借対照表計上額は、将来の課税所得に関するものを含めた様々な予測・仮定に基づいているため、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、経営成績及び財政状態に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。

(3)市場リスク

① 金利リスク

銀行業を主たる業務としており、資金運用手段である貸出金の貸出金利、債券投資等の利回り、資金調達手段である預金の金利等は、市場金利の動向の影響を受けております。資金運用と資金調達との金額または期間等のミスマッチが生じている状況において、予期せぬ金利変動が生じた場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 保有有価証券等の価格変動リスク

投資等を目的として市場性のある有価証券を大量に保有しています。全般的かつ大幅な価格下落が続く場合には、保有有価証券に減損または評価損が発生し、経営成績及び財政状態に悪影響を与えるとともに、自己資本比率の低下を招くおそれがあります。

③ 為替取引

当社グループは、資産及び負債の一部を外貨建てで保有しております。これらの外貨建資産と負債の額が通貨毎に同額で相殺されない場合、又は適切にヘッジされていない場合には、為替相場の不利な変動によって、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 新型コロナウイルス感染症の影響

保有する有価証券等については、適切なリスク管理態勢を構築しております。しかしながら、今後、さらに金融市場が悪化した場合には、保有する有価証券の価格が下落することで、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(4)流動性リスク

① 資金繰りリスク

預金による資金調達が大半を占める等、安定した調達基盤のもと資金管理をし、資金繰りを行っておりますが、運用と調達の不一致や予期せぬ資金の流出等により資金調達に支障をきたし、決済日の支払い義務を履行できなくなる、あるいは通常よりも著しく割高な金利での資金調達を余儀なくされることにより損失が発生する可能性があります。

② 市場流動性リスク

保有する有価証券等の売買において、市場の混乱等により取引ができなくなる、あるいは通常よりも著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失が発生する可能性があります。

③ 流動性規制に関するリスク

国際統一基準においては、流動性カバレッジ比率100%以上及び安定調達比率100%以上をそれぞれ維持する必要があります。これらの流動性規制比率は、現在、基準を上回っておりますが、適格流動資産の額や安定預金の額等の変動により、流動性カバレッジ比率または安定調達比率が低下した場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

(5)オペレーショナル・リスク

① 事務リスク

銀行業務を中心として、証券業務、クレジットカード業務など、地域密着型の総合金融サービスを展開しておりますが、役職員が正確な事務を怠るなど、事故・不正等を起こした場合には、直接的な損失の発生だけではなく、永年培ってきたお客様からの信頼失墜に繋がる可能性があり、結果として経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② 情報漏洩リスク

お客様の預金情報、借入情報等、外部へ漏洩してはならない多くの情報を蓄積しております。オンラインシステムやその他のシステムへの外部からの侵入を防ぐ方策を講じておりますが、不測の事態により当該システム等の情報が外部へ流出する可能性があります。紙に出力された情報や電子記憶媒体に記録された情報は、情報資産管理規程に基づいて厳格に取り扱っておりますが、悪意を持った者や、情報を扱う者の過失等により外部へ流出する可能性があります。その場合、社会的責任を問われるだけでなく、損害賠償を請求される可能性があり、結果として経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ システムリスク

コンピューターシステムの停止や誤作動又は不正利用、外部からのサイバー攻撃等のシステムリスクに対して、システムの安全稼働やセキュリティ対策に万全を期す他、セキュリティポリシーに則った厳格な情報管理を行うなどの対策を実施しておりますが、災害、各種機器や通信回線の故障、プログラムの不備などによりシステムリスクが発生し、情報の破壊や流出が発生した場合、決済機能やサービス業務の停止、社会的信用の失墜等によって経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 法務リスク

法令遵守の徹底に努め、法令違反の未然防止体制を強化している中で、今後、様々な業務遂行にあたり、法令違反及びこれに対する訴訟が提起された場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 人的リスク

有能な人材の確保や育成に努めておりますが、十分な人材の確保や育成ができず、競争力や効率性が低下した場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 風評リスク

当社グループや金融業界に関するネガティブな報道や風評が発生した場合、それが事実であるか否かにかかわらず、業績・財務状況及び株価に悪影響を及ぼす可能性があります。

(6)事業に関するリスク

① 競争に関するリスク

近年、金融制度の大幅な規制緩和に加え、地域金融機関の再編や他業態による金融分野への参入などにより、金融業界の競争環境が激化しております。この結果、当社グループの営業基盤において、他金融機関などに対して競争優位を得られない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

② ビジネス戦略が奏功しないリスク

銀行業務を中心として、証券業務、クレジットカード業務など、地域密着型の総合金融サービスを展開しているため、企業価値の向上を目指して様々なビジネス戦略を実施しておりますが、想定を上回る経営環境の変化等により、想定したとおりの収益が計上できない場合、あるいは想定を上回るコスト等が発生した場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、2022年度よりスタートした「YMFG中期経営計画2022」に基づき展開する経営戦略が奏功しない場合、当初想定した結果が得られない可能性があります。

③ 持株会社のリスク

当社は、銀行持株会社であり、収益の大宗は完全子会社である山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行が当社に対して支払う配当からなっております。一定の状況下では、銀行法及び会社法上の規制等により、山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行が当社に支払う配当の金額が制限される場合があります。また、山口銀行、もみじ銀行及び北九州銀行が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況等が生じた場合は、当社は配当を支払えなくなるおそれがあります。

④ 業務範囲の拡大に伴うリスク

法令等の規制緩和に伴い、新たな収益機会を得るために業務範囲を拡大することがあります。業務範囲を拡大することに伴い、新たなリスクに晒されるほか、当該業務の拡大が予想どおりに進展しない場合、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(7)その他リスク

① 年金債務に関するリスク

年金資産の時価が下落した場合や運用利回りが低下した場合、または退職給付債務を計算する前提となる基礎率に変更等があった場合には、損失が発生する可能性があります。年金制度の変更により過去勤務費用の償却費用が発生する可能性があります。また、金利環境の変動その他の要因により退職給付債務の未積立額に悪影響を与える可能性があります。

② 固定資産の減損に関するリスク

保有する固定資産について「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、保有する固定資産の使用目的の変更、収益性の低下及び価額の下落などにより評価減が発生した場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

③ 金融犯罪に関するリスク

キャッシュカードの偽造・盗難や振り込め詐欺等の金融機関を狙った犯罪が多発している状況を踏まえ、金融犯罪による被害発生を未然に防止するため、セキュリティ強化に向けた対策を講じております。しかしながら、高度化する金融犯罪等の発生により、不公正・不適切な取引を未然に防止できなかった場合には、不測の損失の発生や信用失墜等により、経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

④ 規制変更のリスク

当社は、銀行持株会社であり、銀行法によって規制及び監督されており、また、本連結会計年度末現在の規制(法律、規則、政策、実務慣行等)に従って業務を遂行しております。このため、将来における規制の変更によって、業務遂行や経営成績及び財政状態、自己資本比率等に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 格付低下のリスク

格付機関が当社の格付を引き下げた場合、取引において不利な条件を承諾せざるを得ない可能性や、または一定の取引を行うことができなくなり、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ コンプライアンス(法令遵守)に関するリスク

役職員全員によりコンプライアンス体制の強化を図るため、毎年コンプライアンス・プログラム実践項目を策定し、様々な取り組みを行っておりますが、コンプライアンス上の問題が発生した場合には、直接的な損失の発生だけではなく、永年培ってきたお客様からの信頼失墜に繋がる可能性があり、結果として経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 外的要因に関するリスク

自然災害(地震、風水害、感染症等)、人為的災害(テロ、サイバー攻撃等)及び技術的災害(停電、コンピューター・トラブル等)等の外的要因により、本部、店舗等各種拠点に障害が発生し、業務の全部又は一部の継続が脅かされ、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止への対応として、社員の健康管理や予防策の徹底、感染者及び濃厚接触者の出勤停止措置等を実施しておりますが、当社グループ社員における感染者が発生するなどして業務継続の確保が困難となる場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

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