課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「誠実な企業活動を通じて、社会より支持を得る」との経営理念のもと、金融ビジネスの本質である経営のリスク管理に重点を置き、お客様の期待を超えるサービス・商品を提供し、国内外で信頼され、必要とされるグローバル金融グループを目指しております。

また、経営テーマとして「環境変化に応じた組織・制度の変革とデジタル技術の活用により、IT金融グループとして成長を遂げる」を掲げ、経営テーマを具現化させるため、事業多角化、海外ビジネス強化等による「事業ポートフォリオの分散」とIT技術分析、システム内製化等の「デジタル技術の利活用」に重点をおいて取組んでまいります。

なお、当社グループは、2021年4月に理念体系を再構築し、「VISION(実現したい社会の姿)/MISSION(VISIONを達成するために担うべき使命・役割)/VALUE(発揮すべき価値・持つべき価値観)」を設計しました。

 


 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、企業価値の向上を目指し、安全性の指標となる自己資本比率の向上を図りつつ、収益性及び効率性の観点から、総資産経常利益率(ROA)及び自己資本利益率(ROE)を重要な指標としております。

 

(3) 経営環境

当社グループを取り巻く経営環境におきましては、新型コロナウイルスワクチン接種の更なる普及や感染拡大防止策の徹底により、経済活動が徐々に持ち直していくことが期待されますが、変異株の再拡大による経済活動の制限、ウクライナ問題の影響によるエネルギー価格の高騰や世界的な金利上昇局面により景気減速が警戒されるなど、先行きが不透明な状況が続くと思われます。

また、異業種からの新規参入、新型コロナウイルス感染症拡大による生活様式の変化、DX化の加速等、当社グループを取り巻く環境は目まぐるしく変化しており、変化に対して迅速に対応することが求められております。

消費者金融業界におきましては、大手各社における新規成約件数が前年同期比で増加するなど、回復傾向が続いております。また、利息返還請求については、着実に減少しているものの、外部環境の変化等の影響を受けやすいことから、引き続き注視が必要な状態であります。

このような環境のもと、当社グループにおきましては、経営課題の一つである利息返還請求に対応しつつ、ローン事業、クレジットカード事業、信用保証事業、海外事業を中心に、グループ全体で営業アセットの拡大と金融事業の多角化に努め、「安全性」「収益性」「成長性」のバランスを重視した経営に引き続き取組んでまいります。

また、変わり続ける環境に対応すべく、アイフルグループブランドの確立とデータ活用の高度化により、ステークホルダーからの強力な支持を得られる企業への変革、及びIT・デジタル活用における生産性向上や利益構造改革への取組みにより、高利益体制の構築を行ってまいります。

 

(無担保ローン市場)

無担保ローン市場全体の規模は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、消費活動の落ち込みを要因とした資金需要の低下などの影響を受け、2021年12月時点で前年比3.7%減の9.1兆円となっております。このうち、金融機関は前年比4.8%減の5.3兆円、クレジットカード会社は前年比8.0%減の1.3兆円、消費者金融専業は前年比1.0%増の2.5兆円となっております。

当社グループにおける無担保ローン残高は、前期末比4.9%増の5,052億円、アイフル株式会社単体では前期末比5.6%増の4,497億円となりました。

 

(事業者ローン市場)

中小事業者向けの事業者ローン市場におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動の停滞や、事業者向け特別貸付などによる貸付金の返済などにより、市場規模が一時縮小しておりましたが、経済活動の再開にあわせて事業者ローンの資金需要も徐々に回復しており、市場規模も緩やかに回復しております。

当社グループの事業者ローン残高は、前期末比10.1%増の588億円となりました。このうち、アイフルビジネスファイナンス株式会社が前期末比9.6%増の493億円、アイフル株式会社単体では前期末比13.0%増の86億円となっております。

 

(クレジットカード市場)

クレジットカード市場におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、一部の業種において利用が大幅に減少するなどの影響がありましたが、経済活動の再開に加えキャッシュレス決済の拡大などの影響により、緩やかな回復傾向にあります。それらの影響により、2021年における取扱高は前年比8.8%増の81兆円となっております。コロナ禍の新しい生活環境に応じたカード利用が定着していることや、行政主導によるキャッシュレス化の推進により、今後も市場の拡大が見込まれます。

当社グループでクレジットカード事業を中心に営むライフカード株式会社における取扱高は、前期比5.5%増の8,629億円となりました。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは経営の本質である「安全性」「収益性」「成長性」のバランスに重点をおいた経営戦略により、更なる成長と発展を目指し、次の重点施策を掲げております。

 

(多角化の推進)

経営の安全性を求め、主力事業であるローン事業の残高の増加を図りつつ、保証事業や海外事業など、ほかの事業でのアセット比率を高め、金融事業の多角化の推進とポートフォリオの分散を進めております。

 

(利益基盤の強化)

収益の最大化と費用の最小化による利益構造改革の推進により、利益基盤の強化を図っております。安全性の指標となる自己資本比率は20%を目指しつつ、収益性では営業アセットの増加によるトップラインの拡大を図るとともに、グループ一体の経営を推進し、調達コストの低下やBPR・RPAの導入による合理化、効率化でコスト削減に努めております。

中期的なROAは2%超、ROEは10%超を目指しております。

 

(5) 優先的に対処すべき課題

「(1)会社の経営の基本方針」及び「(4)中長期的な会社の経営戦略」に記載の経営方針、並びに経営戦略を実行するうえで、当社グループが優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

(利息返還請求)

2006年の最高裁判決を契機とした利息返還請求件数は、すでに最高裁判所の判決から15年以上経過し、返還請求の権利を持つ多くの者が消滅時効を迎えていることなどから、2011年2月のピーク時から20分の1以下までに減少しております。今後も利息返還請求は減少が続く見込みでありますが、一部の弁護士事務所や司法書士事務所が宣伝活動を継続していることなどから、未だ一定量の請求が続いており、引き続き注視が必要な状態であります。

 

(事業ポートフォリオの組み替え)

当社グループは、経営の安全性を重視し、ローン事業、クレジットカード事業、信用保証事業、海外事業による主に4つの事業により、金融事業の多角化と事業ポートフォリオの分散を進めております。現状のローン事業の成長を維持しつつ、クレジットカード事業、保証事業、海外事業をさらに拡大させ、事業ポートフォリオの組み替えを図り、安全性を高めてまいります。

 

(財務基盤の安定化)

当社グループは、金融事業を主たる事業としており、事業拡大に必要な資金は外部から調達しております。安全性の観点及び強固な調達基盤構築のため、金融機関からの間接調達と社債等の直接調達の双方を行うことで資金調達の多様化を図っております。また、経営の安全性を重視し、自己資本比率においては中期的に20%を目指しております。

 

(コスト構造の改革)

当社グループは、収益性を高めるべく、デジタル・トランスフォーメーションの推進による業務改革や、システム開発推進などにより業務の合理化や効率化に努め、生産性の向上や市場環境の変化への素早い適合を図っております。

 

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