事業等のリスク

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループといたしましては、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。また、以下の記載が、当社グループの事業等のリスクのすべてを網羅しているものではなく、今後、様々な不確定要因により新たな事業等のリスクが発生する可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

当社グループの財政状態及び経営成績の推移は多くの要因によっており、そのうち、想定される主な要因は以下のとおりであります。

(1) 経済情勢及び市場動向

(2) 他社との競合の激化

(3) 多重債務者の増減動向等

(4) 法的規制等

(5) 資金調達

(6) 情報ネットワークシステム、インターネットサービス等又は技術的システム

(7) 財務体質の健全性

(8) 信用保証事業

(9) 海外事業

(10) 繰越欠損金

(11) 有価証券

(12) 代表取締役及びその親族等の当社株式保有並びに処分

(13) 災害・感染症等

(14) 気候変動への対応

(15) 各種手数料や広告宣伝費、人件費などをはじめとする費用又は損失の変動(提携先ATM手数料の増加、アフィリエイト広告に係る委託先への支払報酬増加、テレビその他各種媒体における単価の上昇・出稿数増加による広告宣伝費の増加、営業拡大に伴う人員投下による人件費増加等)

(16) 当社グループ及び消費者金融業界に対するネガティブな報道や不祥事の発生(銀行カードローン問題に関するネガティブな報道による風評被害を受けるリスク、一部の従業員等による不適切行為の動画がインターネット上に公開されることによる当社グループのブランドイメージを大きく損なうリスク等)

 

当社では2007年4月より、取締役会直属機関としてリスク管理委員会を設置し、各部署で発生するリスクないし企業活動を脅かすリスクを横断的に統括管理し、リスクの顕在化の未然防止及び危機発生時の体制整備をしております。しかしながら、これらの対応にもかかわらず法的規制の強化もしくは緩和も含めた経営環境の変化、競合の状況、景気の変動等によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があり、また、当社グループの戦略の見直しを余儀なくされる可能性があります。上記のうち、特に重要な項目について、詳細を記載いたします。

 

(経済情勢及び市場動向について)

当社グループは、日本及び東南アジアを対象として事業を営んでおります。また、個人向けの事業を営んでいることから、各国における経済情勢の悪化、さらに今般の新型コロナウイルス感染症拡大による景気の下振れに伴う資金繰りの困窮によって支払いが困難となるお客様が増加するリスクがあります。その場合、当社グループの受取利息の減少や貸倒関連費用の増加につながる可能性があります。また、経済情勢の悪化に伴う個人消費の低迷によって資金需要が減退し、営業貸付金が減少するリスクがあります。その場合、当社グループの受取利息の減少につながる可能性があります。

 

(他社との競合の激化について)

当社グループは、主に消費者金融事業及び事業者金融事業を営んでおり、両市場において、銀行、クレジットカード会社、信販会社等と競合する可能性があります。これらの競合の激化が消費者金融事業及び事業者金融事業における貸出金利の引き下げ圧力、リスクの高い貸付先への貸付増加へとつながった場合、将来的な不良債権の増加につながるリスクがあります。その場合、当社の貸倒関連費用の増加につながる可能性があります。

 

(多重債務者の増減動向等について)

当社グループにおいては、個人信用情報機関のデータと独自の与信システムに基づく返済能力の調査(お客様とのお取引期間中における途上与信を含みます。)や、与信基準の厳格化を図っております。

しかしながら、これらの施策にかかわらず、今後の経済情勢の悪化等によって多くのお客様の資金繰りが悪化し、未回収の貸付金が増加するリスクがあります。その場合、当社の貸倒関連費用の増加につながる可能性があります。また、多重債務者の増加等による融資対象者の減少に伴う営業貸付金の減少により、受取利息の減少につながる可能性があります。

 

(法的規制等について)

1.法令等遵守態勢

当社では、「コンプライアンスの徹底」を最重要と捉え、貸金業にかかわる法令違反・情報漏えい等の発生防止を図っているものの、従業員等の故意又は過失による発生を完全に防止することはできません。

そのため当社では、貸金業にかかわる法令違反・情報漏えい等の不祥事件の発生を抑止するべく、取締役会直属諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスに関する情報の収集及び法令違反予防措置を講じることで全社的なコンプライアンス態勢の検証・把握を行っております。さらに、当社グループ全体において統一した企業倫理を共有し、当社グループ全体のコンプライアンス態勢を確立することを目的として、アイフルグループコンプライアンス委員会を設置しております。また、2007年4月には、ホットライン(社内通報制度)の一元管理化、コンプライアンスに関する情報の収集機能強化、賞罰に関する機能の一元化等、内部統制機能の強化を行い、法令等遵守態勢の強化を図っております。

その他、法令等遵守の啓蒙機能を備えた営業ルールの策定・社内教育における法令知識習得や法令等遵守意識の浸透の強化・通話モニタリング等の内部監査の実効性強化・その他の施策を講じるとともに、これらを適宜見直す体制を整えております。

しかしながら、当社グループの従業員等により法令等違反行為を含む不正や不祥事が発生した場合には、行政処分等の法的措置が講じられるほか、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.事業規制等

(1) 貸金業法・割賦販売法の業務規制

事業に対する法的規制について、当社グループの主要事業である消費者金融事業等のローン事業は、貸金業法の適用を受けております。貸金業法により、各種の事業規制(禁止行為、利息・保証料等に係る制限等、返済能力の調査、過剰貸付け等の禁止、貸付条件等の掲示、貸付条件の広告等、誇大広告の禁止等、契約締結前の書面の交付、契約締結時の書面の交付、受取証書の交付、帳簿の備付け、帳簿の閲覧、取立て行為の規制、債権証書の返還、標識の掲示、債権譲渡等の規制、取引履歴の開示義務、貸金業務取扱主任者の設置、証明書の携帯等の規制)を受けております。

その他、当社グループにおける包括信用購入あっせん事業及び個別信用購入あっせん事業は、割賦販売法の適用により各種の事業規制(取引条件の表示、書面の交付、契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限、信用購入あっせん業者に対する抗弁、支払可能見込額の調査、支払可能見込額を超える与信の禁止、継続的役務に関する消費者トラブルの防止等)を受けております。

そのような中、当社では、これ等の法令及び規制に準じ、内部統制機能として組織・制度を整備するとともに、システムによるオペレーショナルリスク対応を図り、3ラインディフェンスによる点検と継続的な改善活動を図っております。

しかしながら、当社グループの従業員等の法令等違反行為が発生した場合には、行政処分等の法的措置が講じられるほか、新たな法令等の改正など事業規制が強化された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 日本貸金業協会による自主規制

貸金業法に定める自主規制機関として2007年12月に設立された日本貸金業協会は自主規制基本規則を設け、過剰貸付け防止等に関する規則や広告及び勧誘に関する規則等を規定しております。また、日本貸金業協会の監査に関する業務規則において、その実効性を高めるため、協会員に対する調査・監査権限及び自主規制を遵守しない協会員に対する過怠金の賦課・除名処分等の制裁権限が日本貸金業協会に付与されています。当社は、日本貸金業協会の協会員であることから、これらの規制の適用を受けております。

そのため、当社グループでは、関連法令や日本貸金業協会が定める諸規則で定められている事項に基づき、社内規程を整備し、従業員への教育を徹底することで、コンプライアンス態勢の強化に努めております。

しかしながら、従業員の法令違反による行政処分や、新たな法令や規則の改正によって事業規制が強化された場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.貸付金金利

2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行され、これにより、出資法の上限金利が年29.2%から年20.0%へと引き下げられるとともに、後述の貸金業法上のみなし弁済制度が廃止されました。

当社では、この完全施行に先立ち、これに対応すべく、2007年8月1日以降、国内で新たにご契約いただくお客様及び新融資基準により契約が可能なお客様に対して、貸出上限金利の引き下げを実施し、現在年18.0%以下としております。

しかしながら、今後、法令等の改正によって利息制限法及び出資法の上限金利がさらに引き下げられた場合や、すでに契約を締結しているお客様との利息契約について、経済情勢や法律上の保護を求める消費者の増加等が社会的な問題となることにより、さらに利息の引き下げを余儀なくされる場合などには、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.利息返還損失

利息制限法第1条第1項で、金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、利息の最高限度(元本が10万円未満  の場合年20.0%、10万円以上100万円未満の場合年18.0%、100万円以上の場合年15.0%により計算した金額)の超過部分について無効とするとされておりますが、上記完全施行前の利息制限法のもとでは、債務者が当該超過部分を任意に支払った時は、その返還を請求することができないとされておりました。

また、上記完全施行前の貸金業法第43条では、同法第17条に規定する書面等が金銭貸付時に債務者等に交付され、かつ、当該超過部分について債務者が利息として任意に支払った場合で、支払時直ちに同法第18条に規定する書面が交付され、その支払が同法第17条に規定する書面等が交付された契約に基づく支払に該当するときは、利息制限法第1条第1項の規定にかかわらず、有効な利息の債務の弁済とみなすとされておりました(以下、当該規定による弁済を「みなし弁済」といいます。)。

しかしながら、2006年1月13日の最高裁判所判決において、利息制限法上の上限金利を超過する部分を含む約定 利息の返済が遅れた場合に残債務の一括返済を求める特約条項は、利息制限法第1条第1項に定める利息の最高限度を超過する部分の支払に対する事実上の強制であり、特段の事情のない限り債務者が任意に支払った場合にあたらないとしたほか、受取証書への契約年月日等の記載は契約番号で代替できるとする貸金業の規制等に関する法律施行規則第15条第2項は、法律の委任の範囲を超えており無効であるとの判断がなされました。

当社グループは、これらの司法判断を真摯に受け止め、これを反映した契約書への切り替え等の対応を行ってお ります。当社グループが現在提供しているローン商品の約定金利には、利息制限法に定められた利息の最高限度の超過部分を含んでいるものがあります。なお、当業界において、貸金業法に定める契約書記載事項等の不備等を理由に、この超過部分について返還を求める訴訟がこれまで複数提起され、これを認める判決もなされました。

当社グループに対しても、係る超過利息の返還を求める複数の訴訟がこれまで提起され、貸金業を営む当社グループが貸金業法上のみなし弁済の適用を受けるために必要な要件を満たしていないとの原告の主張が認められたことにより、訴訟あるいは訴訟外での和解により超過利息の返還(利息返還)を行っております。こうした利息返還請求は、足元においては、すでに最高裁判所の判決から15年以上が経過し、返還請求の権利を持つ多くの方が消滅時効を迎えていることなどから、2011年2月のピーク時から20分の1以下まで減少しております。今後も利息返還請求は減少が続くと捉えておりますが、他方、一部の弁護士事務所や司法書士事務所が積極的な宣伝活動を継続していることなどから、未だ一定量の請求が続いております。今後、弁護士事務所・司法書士事務所による更なる宣伝活動の実施や貸金業者に不利となる司法判断がくだされる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、2006年10月13日、日本公認会計士協会より、2006年9月1日以後終了する中間連結会計期間及び中間会計 期間に係る監査(当該中間連結会計期間及び中間会計期間が属する連結会計年度及び事業年度に係る監査を含みま す。)から適用されるものとして、「消費者金融会社等の利息返還請求による損失に係る引当金の計上に関する監査上の取扱い」(業種別委員会報告第37号(以下、「第37号報告」といいます。))が公表されております。当社グループにおいても第37号報告に従い、利息返還損失引当金を計上しております(営業貸付金に優先的に充当されると見積られたため貸倒引当金に含められた返還見込額を含みます。)。

しかしながら、会計上の見積りは、過去の返還実績や最近の返還状況などに基づき見積られているため、これら の見積り上の前提を超える水準の返還請求が発生した場合や会計基準が変更された場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.総量規制

2010年6月18日に改正貸金業法が完全施行され、いわゆる総量規制が導入されました。これにより、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けなど返済能力を超えた貸付けが原則として禁止されることとなりました。

こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、係る改正法の完全施行前より総量規制の導入を見据えて、厳格化した貸付基準や、システムによって総借入残高が年収の3分の1を超えないよう制限をかけており、さらに、貸金業法第13条第2項で、内閣府令で定められている期間ごとに調査を行っております。

しかしながら、今後、想定以上に利息収入や貸付残高が減少した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.その他の法律関係について

(1) 個人情報の保護に関する法律と個人情報の取扱い

個人情報保護法において、個人情報取扱事業者には、必要と判断される場合に一定の報告義務が課され、また同法の一定の義務に反した場合において個人の権利利益を保護するために必要があると認めるときは、主務大臣は必要な措置をとるべきことを勧告又は命令することができるとされております。また、ガイドラインにおいては、個人情報の利用目的を通知・明示・公表すること、必要に応じ債務者より個人情報の取扱い等に関する同意を取得すること、個人情報の取扱いを委託する場合はその委託先を監督すること、安全管理措置として組織的・人的・技術的観点からの体制を整備すること、個人情報の取扱いに関する基本方針を公表すること等が求められております。

当社グループはこれらに従い、個人情報の取扱い状況の見直し等を行うとともに「プライバシーポリシー」を制定し、情報管理に関する規程や事務手続き等を策定し運用しており、役職員に対する教育、データセンターへの物理的なセキュリティ、個人データへのアクセス権限の設定やログの監視、外部からの不正アクセスや攻撃に対するシステム上のセキュリティ対策など当社グループからの個人情報漏えいを未然に防ぐ措置を講じております。

しかしながら、万一何らかの理由による個人情報漏えいが発生した場合や主務大臣から勧告又は命令を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) その他の法律改正による影響

破産法、民事再生法及び特定債務等の調整の促進のための特定調停に関する法律等の各種法令等が改正された場合、改正の内容によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(資金調達について)

当社グループは、金融機関からの借入れ、シンジケートローン、社債、債権の流動化及びコマーシャル・ペーパー等により、資金調達を行っておりますが、市場環境、当社の信用力低下や格付けの変動等により資金調達が困難になる可能性があります。こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、調達の多様化及び新たな調達手法の検討、格付けの向上に向けた取組みを行っております。

しかしながら、資金調達に係る契約には財務制限条項や早期償還条項が付されているものが存在することから、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響も含め、当社グループの財政状態及び経営成績又は営業貸付金等の債権内容が大きく変化した場合には、期限の利益を喪失するおそれがあり、資金繰りや財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、資金調達に係る調達金利は、市場環境等により変動することがあり、これに対して金利変動リスクの軽減を図っておりますが、政情不安等の地政学リスクの影響も含め、将来における金利上昇の程度によっては、当社グループの資金調達に影響を及ぼすおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報ネットワークシステム、インターネットサービス等又は技術的システムについて)

当社グループは、営業を管理するために、内部・外部を問わず、情報・技術システムに依存しておりますが、事業店舗ネットワーク、口座データを含む当社グループ事業を構成する種々の情報を管理するために、ソフトウエア、システム及びネットワークへの依存をより深めつつあります。当社グループが使用するハードウエア及びソフトウエアは、人為的過誤、自然災害、停電、コンピューターウイルス、外部からのサイバー攻撃及びこれに類する事象による損害もしくは中断等により、あるいは、電話会社及びインターネットプロバイダ等の第三者からのサポートサービスの中断等により、影響を被る可能性があります。

こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、基幹システムの冗長化、データや電源のバックアップ体制整備等のインフラ強化を図るとともに、昨今、増加傾向にあるサイバー攻撃やフィッシングサイト等へのセキュリティ強化に向け、社内CSIRTによる業界内外の情報連携体制、コンピューターウイルスの排除、外部からのサイバー攻撃の監視、多角的な脆弱性診断等を継続しています。

また、二段階認証の導入など具体的な対策や、定期的な社内対応訓練等を通じて、それらの被害抑止に努めております。

しかしながら、このような情報・技術システムの混乱、故障、遅延その他の障害により、口座開設数が減少し、未払い残高の返済が遅延し、あるいは、サイバー攻撃による被害や情報流出等、当社グループの事業に対する消費者の信頼が低下することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(財務体質の健全性について)

消費者金融業界において、2006年1月13日の最高裁判所判決及び法令の改正等を受けて、利息返還請求が増加いたしました。これにより、当社グループも財政状態及び経営成績に大きな影響を受けており、自己資本比率や純資産額等の財務体質の健全性を示す経営指標については、現時点でも上記最高裁判所判決前の水準まで回復するに至っておりません。

そのため、将来的に当社グループの事業等のリスクが顕在化して当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす事態が生じた場合、当該影響に対応するうえで当社グループの財務体質が十分ではなく、当社グループの事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。

 

(信用保証事業について)

当社グループは、信用保証事業を営んでおり、保証提携先拡大に向けた営業や新商品の提案・販売促進支援に取組んだ結果、当該信用保証事業に係る信用保証収益の連結営業収益に対する割合が恒常的に10%以上の比率を占めるに至っております。信用保証事業の拡大に支障をきたす事態は、上述の当社グループ自体の事業リスク起因以外に、保証提携先金融機関の事業リスクに起因する場合があります。例えば、提携先金融機関の業界再編や法改正、あるいは、保証提携先各個社の被災リスクや法令違反等が挙げられます。

従って、信用保証事業の拡大に支障をきたす事態が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(海外事業について)

当社グループは、日本のみならず、東南アジアにおいても事業を展開しております。これらの海外市場への事業展開にあたっては、タイやインドネシアを中心とした東南アジアの景気の悪化や同業間の競争、不安定な政治や社会情勢、洪水等を含む自然災害、テロや紛争等、金融制度や法律による制約、金利・為替・株価・商品市場の急激な変動、同地域に投資や進出をする企業の業績やそれらの企業が所在する国の景気・金融制度・法律・金融市場の状況、訴訟に伴う損失、企業の倒産、個人向け貸出の焦げ付き等、並びに海外子会社の内部統制及び法令等遵守態勢の不備に起因する費用の発生等のリスクが内在しております。

当社グループでは、海外市場・社会情勢及び金融制度等の状況把握に努めるとともに、海外子会社の組織・制度の整備による内部統制機能及び監査機能の充実等に取組んでおります。

しかしながら、今後、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰越欠損金について)

当社グループには現時点で税務上の繰越欠損金が存在するため、法人税等が軽減されております。

しかしながら、繰越欠損金の繰越期間の満了で欠損金が消滅した場合、法人税等の税金負担が増加するため、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(有価証券について)

当社グループは、お客様の需要にあわせた商品やサービスを提供するために、子会社及び関連会社に係る投資有価証券を保有することで、ローン事業(消費者金融事業及び事業者金融事業)、クレジットカード事業、保証事業、海外事業など、金融事業の多角化を図っております。しかしながら、子会社等の不採算が想定より長引くことにより投資有価証券について減損に至るおそれがある場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、上場・非上場の投資有価証券を保有しております。これらの資産の価値が収益性の悪化等による毀損により減損に至るおそれがあり、その場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(代表取締役及びその親族等の当社株式保有並びに処分について)

当事業年度末現在、当社の代表取締役である福田光秀及びその創業者一族は、関連法人と併せて当社の発行済株 式の約40%を実質的に保有する株主となっております。その結果として、当社の支配権の譲渡、事業の再編及び再構築、他の事業及び資産への投資、並びに将来の資金調達等の重要な企業取引を含む当社の事業活動に影響を及ぼす重要な意思決定に対して影響力を行使することができます。

また、これらの株主は、現在までのところ安定保有を維持しておりますが、今後、その所有株式の一部を処分する可能性があります。その場合、市場における当社株式の供給が増加することが考えられ、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

(災害・感染症等について)

大規模な地震、津波、風水害などの自然災害、感染症の流行や紛争などの外的要因による非常事態によって、当社グループの事業継続に影響を及ぼすおそれがあります。

こうしたリスクを解消するため、当社グループでは、事故・災害が発生した場合においても、ステークホルダーへの影響を最小化することを目的に、基幹システムの冗長化、データや電源のバックアップ、コールセンターのバックアップオフィスの整備及び災害備蓄体制の強化を図るとともに、事業継続計画に定めた対応を迅速に行うべく、安否確認及び緊急時のコミュニケーションツールを導入し土日祝や早朝夜間の連絡に使用するとともに、定期的なグループ横断の訓練を実施しております。

新型コロナウイルス感染症への対応といたしましては、政府方針や社会環境に応じた対応ルールに更新し、社内への通達を通じて当該感染症の予防と拡大抑制に取組んでおります。

また引き続き、主要拠点への入館時の検温機による検温や、消毒液の配備、執務室や会議室等へのアクリルパーティションの設置、同居者を含めた健康状態の観察と報告体制を運用しております。

しかしながら、予想を超える災害やパンデミックが発生し、世界レベルでの経済活動の停滞で大幅に事業活動が縮小や停止したり、社内における大規模なクラスターの発生等、通常通りに設備が使用できなくなったりした場合において、お客様の需要に十分な対応が行き届かなくなる、あるいは、災害やパンデミックに伴い被害を受けたお客様の状況悪化により、貸倒償却などの費用が増加する場合などは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(気候変動への対応について)

当社グループは、気候変動への対応を優先度の高い課題として認識しており、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に従い、気候変動におけるリスク・機会の抽出とその対応策の検討を行いました。今後は、その内容に基づいて当社グループとして課題の解決に取組んでまいります。

項目

活動内容

ガバナンス

2022年度中を目途に取締役会の直属機関として設置している「リスク管理委員会」のモニタリング対象リスクに、気候変動に伴うリスクを含め、議論するとともに、モニタリング結果等を定期的に取締役会へ報告してまいります。

戦略

気候変動の顕在化は、当社グループの物理的損失(保険対応要否含む)のみならず、サービスレベルの低下やお客様が被災されることで生じるリスク(収益の棄損、与信関連費用(クレジットコスト)の増大等)にもつながります。

他方、省エネ施策やBCP対策の加速による事業インフラの強靭性向上はもとより、お客様のご期待に沿うための事業機会の創出にもなり得るため、課題の解決に取組んでまいります。

リスク管理

「リスク管理委員会」では、コンプライアンス委員会・その他各部門から定期的にリスク情報を抽出し、取締役及び関連部門と連携してリスク管理を行う体制を整えております。当該体制において、気候変動にかかるリスクの識別・評価、管理を行ってまいります。

指標と目標

今後、TCFDの提言に則り、シナリオ分析等を進め、必要に応じ財務的影響の試算と、その結果に基づく打ち手を検討し、適当な指標も見いだせるよう努めてまいります。

 

 

〔当社グループのリスク内容とリスク重要度の評価〕

リスク項目

指標

リスク内容

評価

分類

大分類

小分類

政策

法規制

炭素税の上昇、省エネ政策、

GHG排出規制、再エネ価格の上昇

支出

○インフラ稼働コストの増加

評判

社会、投資家の評判変化

資本

○お客様からの支持低下

○ステークホルダーの不安増大、評判悪化

 ・ 人材確保の困難性上昇、従業員の定着率低

 ・ 資金調達の困難性上昇

 ・ 株価の下落

急性

台風、豪雨等による水害

支出

収益

○公共交通機関の停止に伴う、従業員の出勤制限発生

 ・ お客様サービスレベルの低下

○お客様罹災に伴う救済対象債権の増加

○自社グループ設備等の物理的被害

 ・ 直接的業績影響

慢性

平均気温の上昇

降水・気象パターンの変動

支出

収益

○夏季の空調設備の運転コスト増加

○従業員の生産性低下、出勤制限、職場の快適性・安全

 性の劣化

 ・ お客様サービスレベルの低下

 

 

〔当社グループのリスク対応策及び機会〕

リスク項目

リスク対応策

機会

炭素税の上昇、省エネ政策

GHG排出規制、再エネ価格の上昇

・エネルギー使用量、CO2削減目標の設定

・省エネ施策推進による事業活動コストの削減

社会、投資家の評判変化

・気候変動に関する取組みの情報開示、

 投資家等への丁寧な説明

・植物性素材等、環境重視型カードの発券や

 カーボンニュートラルにつながる事業投資等

 (環境対策型カードの研究等含む)の実現

・お客様、株式・債権市場等からの適正な評価

台風、豪雨等による水害

・コンティンジェンシープランの更改

・お客様が罹災された場合の相談窓口等の

 支援体制整備

・BCP対策によるインフラ強靭性向上

・お客様サービスレベルの安定化促進

平均気温の上昇、降水・気象パターンの変動

・快適な職場環境の再構築

・職場環境の改善による生産性向上

 

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