課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 2021年度は、社会経済活動の正常化や新政権による各種政策への期待の高まりから、9月には日経平均株価が31年ぶりの高値をつけましたが、その後は、新型コロナウイルス感染症の先行き不透明感やウクライナ情勢の悪化を背景に、日経平均株価は大幅に下落し、エネルギー価格の急騰へと及びました。また、米国では、インフレ長期化を警戒して金融引き締めに舵を切り、金利上昇、ひいては株価の下押し圧力が強まる等、非常に変化の激しい市場環境となりました。

当社グループでは、収益構造や事業ポートフォリオの多様化を目的としたハイブリッド戦略を推し進め、このような変動性の高い市場環境下においても、安定的な業績を確保できるよう目指しております。また、このように世界情勢における不透明さが増し、コロナ禍による不安も拭えない中、当社グループとしては金融・資本市場を通じ、その課題解決に向けて尽力してまいります。

当社グループでは、2021年度より3ヵ年の中期経営計画~“Passion for the Best”2023~を掲げ、「未来を共に創るベストパートナー~Be with you~」をスローガンに、基本方針として「クライアントファーストとクオリティNo.1の実現」、「ハイブリッド戦略による新たな資金循環の確立」、「デジタルとリアルのベストミックスの追求」を掲げております。

中期経営計画の初年度においては、中期経営計画の柱のひとつとなる資産管理型ビジネスモデルへの転換が着実に進捗すると共に、ハイブリッド戦略の推進により、付加価値の高い商品・サービスの創出や収益構造の多様化も進展し、中期経営計画で掲げる「未来を共に創るベストパートナー~Be with you~」に向けて着実に前進した年でありました。

なお、中期経営計画における主な数値目標として、連結自己資本利益率(ROE)(2023年度において10%以上)、連結経常利益(2023年度において2,000億円以上)、リテール部門における残高ベース収益比率(2023年度第4四半期において50%以上)、ハイブリッド関連経常利益(2023年度において500億円以上)及び大和証券における預り資産(2023年度において90兆円以上)等を定めております。

 

 また、2021年度の状況及び今般の情勢に鑑み、2022年度の大和証券グループ経営方針を下記のとおり定めております。

 

2022年度 大和証券グループ経営方針

 2021年度の株式市場は、世界的な経済正常化や新政権への期待の高まりから日経平均株価が30,670円と1990年8月以来31年振りの高値を記録した一方、新型コロナウイルスの感染拡大や地政学リスクの高まりにより調整局面を迎える等、一進一退の展開が継続した1年となりました。

2022年度、世界情勢における不透明さが増し、コロナ禍による不安も拭えない中、当社グループは金融・資本市場を通じ、その課題解決に向けて尽力しなくてはなりません。中期経営計画2年目となる2022年度は、お客様の課題解決に向けた資産管理をご提案すべく総資産アプローチの更なる進展を図ると共に、ハイブリッド戦略により創出されたオルタナティブ資産をはじめ新たな運用の選択肢の提供を進めていきます。また、ハイブリッド戦略を更に進展させることで、マーケット環境の影響をより受けにくい強固な収益モデルを確立していきます。同時に、我が国経済の発展に資する成長企業への支援、トランジション・ファイナンスをはじめとした企業のESG/SDGsへの一層のサポート等を目指します。

大和証券グループは、金融・資本市場を通じた社会及び経済の発展に資すると共に、全てのステークホルダーの皆様に必要とされる存在となるべく、サステナブルで豊かな社会の実現のための新たな資金循環の仕組みづくりにグループを挙げて取り組んでまいります。

 

 2022年度の各事業部門アクションプランは以下のとおりであります。

 

(1) リテール部門

① 資産管理型ビジネスモデルの実現

② お客様ニーズを捉えた商品・サービスの提供、総資産アプローチによるソリューションビジネスの拡大

③ 外部チャネルとの業務提携を活用したニュービジネス展開と収益化

④ マスマーケティング及びお客様対応のデジタルシフト、サステナビリティへの取り組み

 

(2) ホールセール部門

① お客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供

② 高く評価されたリサーチ力を活かしたブローカービジネス基盤拡大

③ SDGs関連ファイナンスの促進による企業のサステナビリティ支援

④ デジタル人材拡充とデータ駆動型ビジネスの推進

 

(3) アセット・マネジメント部門

① 運用力・発掘力・商品アレンジ力強化による既存事業の拡大

② オルタナティブ資産を投資対象とした商品の開発等、新ビジネスの研究開発・事業化

③ 不動産アセット・マネジメント事業における資産運用力強化及び事業基盤の確立

④ グループ内連携による不動産小口化商品事業拡大など不動産ビジネスの推進

 

(4) 投資部門

① 優良な投資機会の発掘、投資先のバリューアップ及びモニタリング体制の強化

② エネルギー分野でのキャピタル・リサイクリングモデルの推進

③ 継続的なVCファンド運用ビジネスの確立

④ SDGsを意識した社会的意義のある投資対象の開拓

 

(5) その他(大和総研グループ)

① ITサービスのプラットフォーム化やAI・データサイエンスによる新たな価値の創出

② 高品質で安定的なサービスを低コストで提供することで、大和証券グループのコストダウンへ貢献

③ 顧客特性に応じた営業体制、ビジネスアナリスト等による顧客ニーズを踏まえた高付加価値の提案活動、データサイエンスや新技術の活用を含むシステムソリューションによる顧客基盤の拡大、新たな事業展開

④ 情報発信と情報収集・意見交換との好循環を起こしてリサーチクオリティを向上する

 

(6) その他(大和ネクスト銀行)

① 競争力ある金利の提供と魅力ある新商品・新サービスの提供

② グループ内連携の更なる強化、融資ビジネスにおける案件の積み上げ

③ 証券化商品を中心とした運用残高の拡大、マーケット動向を踏まえたポートフォリオの見直し

④ 応援定期預金の残高拡大やESG投融資の促進等への取り組み

 

 

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