業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループは、今までの投資・金融サービス事業に金地金事業が付帯していた状況から、金地金事業の重要性が高まってきました。そのため、今期から金地金事業と投資・金融サービス事業の2つのセグメントを報告セグメントとしております。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におきましては、全世界的な新型コロナウイルス感染症への対応が進展したことで、経済活動が徐々に回復に向かっております。米国では物価上昇が顕著となってきたことから、金融引き締め政策へ舵を切り、ドル資産への資金移動が進んでおります。さらにロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギーを初めとする資源価格の上昇が起きていることから、金地金の価格も高値圏での推移が続いております。国内においては、賃金上昇がない中で国際情勢を映した円安や資源価格高騰による物価上昇により、悪いインフレの兆候が見られております。

そのような中、当社グループにおきましては2021年6月に日本クラウド証券株式会社との共同事業として、インターネットでの金の売買を開始する一方、2021年7月には金地金売買事業の一部を、当社子会社である第一プレミア証券株式会社に事業譲渡することで従来の株式や債券だけでなく金地金も取扱いできるようにし、お客様の投資ニーズに対応できる体制を当社グループとして整えたものの、期待以上の売上増大につながりませんでした。

この結果、当連結会計年度における売上高は5,152百万円、売上原価は4,626百万円となりました。経費抑制を継続して行ったものの収入減少分を補えず、営業損失は586百万円、経常損失は522百万円となりました。また、固定資産売却益50百万円、商品取引責任準備金戻入額10百万円を特別利益で計上し、関係会社株式評価損1,237百万円を特別損失に計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失は1,707百万円となりました。

セグメントの業績は以下のとおりであります。

(金地金事業)

子会社である第一プレミア証券株式会社では1キログラムバーの取り扱いしかなく、金価格の高騰が続き、気軽に購入できないお客様が増え、前連結会計年度と比較し売上高は減少いたしました。また、日本クラウド証券株式会社との提携により、1,000円から金地金を購入したいお客様のニーズに対応するため、インターネットを利用した小口の取り扱いを開始いたしました。インターネットでの金地金販売という利便性の高さから、売上高は堅調に推移しておりますが、大幅な収益増加に寄与するには至りませんでした。

一方、不要契約の解除等により、販売費及び一般管理費の削減がセグメント利益に寄与いたしました。

この結果、売上高4,776百万円(前年同期比23.0%減)、セグメント利益8百万円(前年同期セグメント損失49百万円)となりました。

(投資・金融サービス事業)

お客様からの預かり資産を増やし取引量を増大させることを外務員と共に進めてまいりました。しかしながら、株価等のボラティリティの大小とお客様の取引量が連動し、株価等の値動きが少ない期間が長く発生していたことから、前連結会計年度より手数料収入が想定とおり発生しない状況となりました。

一方、不要契約の解除等により、販売費及び一般管理費の削減がセグメント利益に寄与いたしました。

この結果、売上高375百万円(前年同期比46.0%減)、セグメント利益146百万円(前年同期セグメント損失184百万円)となりました。

また、当社グループは当連結会計年度においてクラウドバンク株式会社の株式を追加取得し、議決権比率が20%以上となったことから、2022年3月31日をみなし取得日として同社を持分法適用会社といたしました。なお、当連結会計年度に係る連結損益計算書には持分法による投資損益は含まれておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ451百万円増加し2,340百万円となりました。なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、支出した資金は511百万円(前年同期比76.8%減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失1,706百万円や関係会社株式評価損1,237百万円の計上によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、支出した資金は403百万円(前年同期は195百万円の収入)となりました。これは主に関係会社株式の取得による支出1,349百万円や、定期預金の払戻による収入420百万円、有形固定資産売却による収入430百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、獲得した資金は1,366百万円(前年同期は79百万円の支出)となりました。これは主に新株予約権の発行による収入21百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入1,345百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は、生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

b.受注実績

当社は受注残がなく、販売行為のみとなることから、記載を省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日

前年同期比(%)

金地金(千円)

4,776,993

76.99%

投資・金融サービス(千円)

375,895

53.95%

合計(千円)

5,152,889

74.66%

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手方

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

  至 2021年3月31日

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

日本マテリアル株式会社

2,832,890

55.0

(注)1.前連結会計年度及び当連結会計年度双方について、当該割合が100分の10未満の相手先は、記載を省略しております。。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

a.重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたりまして、会計記録が適切であり、当社の役員及び内部統制上重要な役割を有する従業員による、連結財務諸表に重要な影響を与える違法又は不正な行為がないことを十分に調査し、当社監査人たるフロンティア監査法人に必要な帳簿、証憑等を提示しております。見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

また、時価が著しく下落した有価証券及び実質価値が著しく下落した市場価格がない株式及び評価額が著しく下落した不動産につきましては、必要な減損処理をすると共に、取り立て不能のおそれのある債権につきましては、必要と認められる額の引当金を計上しております。

さらに、無担保未収金や貸付金について債務者と取り交わした弁済計画書等による回収予定が滞った場合等は適宜、引当金の追加計上を行う考えであります。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

子会社である第一プレミア証券株式会社の主たる事業は、個人及び法人の投資家向けの株式・FX・先物取引等の委託売買業務であり、収入項目としては受入手数料、とりわけ株式・FX・先物取引等の売買に関する委託手数料が当社グループの業績に重要な影響を及ぼしております。また、信用取引に起因する金融収益についても当社グループの業績に重要な影響を及ぼす要因となっております。しかしながら、その水準はともに当該取引市場の相場環境に大きく左右されております。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

投資・金融

投資・金融は、お客様から資産を預かり、その資金を様々な商品に投資いただく際に受入手数料をいただく方法をとっております。お客様から預かる資産を増やすことが、受入手数料増大への第一歩であると考えております。ただ、取引市場の相場環境にお客様の売買意欲が左右されると言われておりますが、取引いただくお客様を増やす、お客様から預かる資産を増やすことで、当社グループの受入手数料を増やすことが可能であると考えます。今後は取引いただくお客様の増加や営業外務員の増強等を行い、売上増加を目指してまいります。

金地金

金地金は、対面での販売を子会社である第一プレミア証券株式会社に譲渡し、個人及び法人の投資家向けに幅広い商品ラインナップとして準備することで、株式・FXを取引していたお客様に対し、金地金の投資ニーズにもお応えできるようにいたしました。また、小額から購入を希望されるお客様に対しては、業務資本提携を行ったクラウドバンクグループのサービスを使っていただくことで、国内のリアル・インターネットの両形式での販売チャンネルを用意してまいりました。

しかしながら、当初想定していた販売実績には届きませんでした。翌年度は営業部門の販売力強化や暗号資産を使った新しい金地金の販売方法の構築等を行い、売上高の積み上げを図ってまいります。

 

 

c.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用、金地金取引に係る仕入代金であります。また第一種金融商品取引業者である子会社第一プレミア証券株式会社は、金融商品取引法の定めに基づき、自己資本規制比率を120%以上に保つことが義務付けられております。自己資本規制比率とは、固定化されていない自己資本額の、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得るリスク相当額に対する比率とされております。子会社である第一プレミア証券株式会社はこれを遵守するとともに、健全な財務基盤の確保を重視しております。運転資金及び設備資金全般につきましては、主に内部資金から資金調達をしております。なお、当期末日現在における借入金の残高はありません。

 

d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の子会社である第一プレミア証券株式会社は、第一種金融商品取引業者であり、金融商品取引法の定めに基づき、証券市場や商品デリバティブ市場における相場等に係る変動その他の理由により、金融商品取引業者の財務状況が急激に悪化等した場合においても、金融商品取引業者の経営の安定性確保、顧客保護の観点から、リスクに見合った自己資本規制比率を120%以上に保つことが義務付けられています。自己資本規制比率は、前期末においては217.7%、当期末においては当期純利益の計上により231.0%となっております。子会社におきましては、収益力を強化することで純資産額を増加させ、適正レベル以上の自己資本を維持するよう努めてまいります。

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