文中の将来に関する事項は、当連結年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2020年10月に、企業理念を「人と社会に貢献し、価値を創造する」といたしました。これは今までの商品先物取引を中心に掲げた企業理念からの脱却を意味します。2020年4月に受領した当社に対する第三者委員会調査報告書の中の再発防止策等の提言にもあるように、当社にはステークホルダー不在の内向きかつ閉鎖的企業風土が醸成されていました。今後はこれを改め、健全な組織風土を醸成してまいります。上場会社グループとして正確な財務情報を開示し、単なる法令にとどまらず社会規範をも順守することで、人と社会に貢献してまいります。
同時に三つの指針も掲げております。
① 常に人の役に立つために考え、行動しよう
② 広く社会の役に立つために視野を広げよう
③ すべてのものごとに感謝の気持ちで取り組もう
の3つであります。
こうした経営理念及び指針を社内で共有し、組織風土の改善をより強固なものといたします。
(2) 経営戦略等
前述のとおり、当社グループは企業理念を「人と社会に貢献し、価値を創造する」としております。当社グループは、これまで築き上げた金ビジネスに新たな価値観を付加することで社会ニーズにお応えしていきます。今後は国内対面だけではなく、インターネット形式での販売、海外での販売、暗号資産を使っての販売など、様々な形式でのニーズにお応えしていきます。
さらに、情報発信力の強化や新商品の開発、グループ子会社・持分法適用関連会社を通じた投資チャネルの提供も強化してまいります。また、投資・金融サービス事業というカテゴリーにこだわることなく、人と社会に貢献することを念頭に新たな分野を開拓していくことも検討してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは投資・金融サービス事業と金地金事業の2つのセグメントであり、市況の動向が収益に大きな影響を与える傾向があるため、適正な収益目標を立てることは困難でありますが、健全な財務基盤を確保するという観点から、金融商品取引業を営む会社の健全性を表す指標である自己資本規制比率を改善し向上させることに取り組んでおります。
(4) 経営環境
当社グループは、2020年7月に主力であった商品先物取引事業の大部分を譲渡し、2021年4月には商品先物取引業を廃止したことに伴い、経費を大幅に圧縮するなど、収益構造を再構築しております。投資・金融サービス事業としては2020年5月にOKプレミア証券株式会社(現:第一プレミア証券株式会社)の全株式を取得し、その後に増資により資本を増強したことで子会社の信用取引高が増加し、売上・収益も増大に向かっております。一方金地金事業としては、資本業務提携先となったクラウドバンク株式会社の子会社である日本クラウド証券株式会社との共同事業として、インターネットを利用した小口の金取引を2021年6月に開始し、同年7月に子会社である第一プレミア証券株式会社に金地金事業の一部を譲渡しました。また、金取引の増大を目的とした金価格連動の暗号資産の開発に取り組んでおります。
今後も当社グループ全体で、新たな事業の展開を模索してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 投資・金融サービス事業の黒字化の達成
子会社である第一プレミア証券株式会社においては、外務員の全体的なレベルアップ、当社グループの情報サービス提供ノウハウの活用、組織営業の強化、外国投資信託の募集開始などにより、預かり資産の増大等を推し進めます。なお、金地金事業を展開する中で、大口の金地金取引が成約しており、富裕層との繋がりができつつあります。富裕層のお客様にふさわしいサービスを提供することで、前述の施策と合わせて預かり資産の増大を図ってまいります。また、対面営業が主体となっていることを踏まえた紛争の未然防止策が必須であるため、管理部門による顧客面談を含めた防止策の徹底を図ってまいります。合わせて、研修の実施などコンプライアンス意識の醸成策を実施してまいります。
② 金地金事業による収益力強化
当社は2021年7月に金地金事業の一部を子会社である第一プレミア証券株式会社へ譲渡し、当該子会社において金地金売買の強化に取り組んでまいりました。当社が長年培ってきた金の取り扱いに関するノウハウをグループ全体で共有することで、従来の金融商品の取り扱いに加え、金地金事業の拡大を図り収益力強化の一助とします。また前述のとおり、2021年6月から日本クラウド証券株式会社とインターネットを通じて金取引を行う共同事業をスタートさせており、本事業を推進し第一プレミア証券株式会社及び日本クラウド証券株式会社の両社共に収益増大に取り組みます。
③ 金価格に連動する暗号資産事業の早期実現
当社グループは、金価格と連動する暗号資産の開発について、株式会社テコテックとの間で業務委託基本契約及びシステム開発業務等個別契約を締結しました。昨今の緊張が続く世界情勢を受け、投資家がリスク回避の姿勢を強める中、安全資産である「金」の需要が高まりを見せておりますが、金地金取引の煩雑な手続き、取引時間の制限等により、金地金をポートフォリオに加えている投資家は限定的となっております。そこで旧態依然としたこの金地金取引にブロックチェーン技術を活用し、金地金取引の利便性を向上させることができる金価格連動型暗号資産を導入することで、金地金取引量の増大を図り、当社グループの収益に貢献できると考えております。同事業を早期に軌道に乗せるよう努めてまいります。
お知らせ