課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

① 経営理念

 当社は、東京海上グループの全役職員が共有する経営理念を策定しており、その内容は次のとおりです。

<東京海上グループ経営理念>

 東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。

○お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。

○株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。

○社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。

○良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。

② 東京海上グループ中期経営計画2023~成長への変革と挑戦~

 2021年度からスタートした3か年計画「東京海上グループ中期経営計画2023~成長への変革と挑戦~」では、「世界のお客様に“あんしん”をお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ~100年後もGood Companyをめざして~」という長期ビジョンに向けて実現する姿として「ステークホルダーとのWin-Win」、「グローカル×シナジー」、「成長と安定的な高収益の実現」を定め、「経営を支える基盤」をベースに「2+1の成長戦略」に取り組んでいます。

 

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③ 目標とする経営指標等

 東京海上グループは、グループ全体の業績を示す経営指標として、企業価値を的確に把握しその拡大に努める観点から、修正純利益と修正ROEを掲げており、2021年度からスタートした「東京海上グループ中期経営計画2023~成長への変革と挑戦~」では、「修正純利益の年平均成長率3~7%」(2020年度補正ベース(自然災害の影響を平年並みとし、新型コロナウイルスおよび為替変動の影響を控除したもの)の実績を基準とした数値)、「修正ROE12%程度」を達成することをめざしています。

 2021年度の修正純利益および修正ROEは、当事業年度の第3四半期報告書提出日時点においては、それぞれ5,600億円、13.9%を見込んでいましたが、その実績はそれぞれ5,783億円、14.4%となりました。

 2022年度の修正純利益および修正ROEは、新型コロナウイルス流行に伴う自動車事故の減少、自然災害の少なさ等の2021年度の一過性の増益要素が抜ける反動があるものの、東京海上日動・海外保険事業を中心としたさらなる成長等の増益要素により、本有価証券報告書提出日現在においては、それぞれ5,500億円、12.5%を見込んでいます。

 なお、修正純利益および修正ROEは、次の方法で算出します。

・修正純利益*1

修正純利益=連結当期純利益*2+異常危険準備金繰入額*3+危険準備金繰入額*3+価格変動準備金繰入額*3+自然災害責任準備金*4繰入額*3+初年度収支残の影響額-ALM*5債券・金利スワップ取引に関する売却・評価損益-事業投資に係る株式・固定資産に関する売却損益・評価損+のれん・その他無形固定資産償却額-その他特別損益・評価性引当等

・修正純資産*1,6

修正純資産=連結純資産+異常危険準備金+危険準備金+価格変動準備金+自然災害責任準備金*4+初年度収支残-のれん・その他無形固定資産

・修正ROE

修正ROE=修正純利益÷修正純資産

*1 各調整額は税引後です。

*2 連結財務諸表上の「親会社株主に帰属する当期純利益」です。

*3 戻入の場合はマイナスとなります。

*4 大規模自然災害リスクに対応した火災保険の未経過保険料です。

*5 ALMとは、資産・負債の総合管理をいいます。ALMの負債時価変動見合いとして除外します。

*6 平均残高ベースで算出しています。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

 2022年度の世界経済は、米国を中心とした緩やかな成長の継続が見込まれますが、新型コロナウイルス再拡大の不確実性やウクライナ情勢による不透明感がみられるなかで、高インフレおよび金融引締めによる影響が懸念されます。わが国経済は、経済活動正常化に伴う個人消費の持ち直しによる回復が期待されますが、ウクライナ情勢等によるインフレ率上昇と消費者マインドの冷え込みが懸念されます。

 東京海上グループは、長期ビジョン「世界のお客様に“あんしん”をお届けし、成長し続けるグローバル保険グループ」の実現に向け、積極果敢に挑戦してまいります。2022年度は、「東京海上グループ中期経営計画2023~成長への変革と挑戦~」の2年度目となりますが、この達成に向け、急激に変化するお客様のニーズに的確に対応する「新しいマーケット×新しいアプローチ」と、保険料率の適正化やデジタル活用を通じた業務効率化等による「保険本業の収益力強化」を取組みの両輪としつつ、次の成長ステージに向けた事業投資を加えた「2+1の成長戦略」を積極的に推進してまいります。

 サステナブルな社会の実現に向け、2021年度に構築したサステナビリティ推進体制のもと「環境基本方針」や「人権基本方針」のグループ全体への浸透を図るとともに、各事業セグメントにおける取組みを通じて、社会課題解決に向けたサステナビリティ戦略を強力に推進してまいります。

 国内損害保険事業では、東京海上日動は、保険本業に留まらず、事故の未然防止といった「事前」の領域、あるいは早期復旧・再発防止といった「事後」の領域を含め、お客様の不安やリスクをトータルにサポートするソリューション・プロバイダーとしての機能を充実させてまいります。こうした取組みのひとつとして、2022年4月に、サイバーリスク保険等に付帯する「緊急時ホットラインサービス」について、サイバートラブルの初動対応に関するアドバイス、対応計画の策定から保険金請求のサポートに至るまで、専門組織がワンストップで支援する体制に刷新しました。今後とも様々なソリューションを開発・提供してまいります。

 国内生命保険事業では、あんしん生命は、シニア、ヘルスケア、資産形成等の領域にフォーカスし、各領域において独自性のある商品を最適な販売チャネルを通じてお客様にお届けすることで、人生100年時代の社会課題の解決に貢献してまいります。

 海外保険事業では、高度な保険引受能力や専門性を活かした保険料収入の拡大、将来の支払保険金の増加も見据えた適正な料率引上げ等を通じて、保険引受利益を持続的かつ安定的に拡大してまいります。加えて、近年東京海上グループに参画した北米のPrivilege Underwriters, Inc.や、ブラジルの大手国有銀行グループとの合弁会社を着実に成長させるとともに、競争力ある商品のグローバル展開や資産運用の高度化等、海外保険事業全体におけるシナジーの拡大にも取り組んでまいります。また、戦略的M&Aの実行に向けた市場動向調査にも継続的に取り組み、優良な投資機会を着実に捉えてまいります。

 資産運用では、国内外のグループ会社と連携しながら、資産と負債の総合管理(ALM)を軸としたグローバルな運用態勢の強化に引き続き努めてまいります。今後の世界経済や金融市場の変化を注視しつつ、資産ポートフォリオの多様化とリスク分散を進めることによって、長期安定的な運用収益の確保と健全な財務基盤の維持に取り組んでまいります。

 株主還元については、配当を基本とする方針としています。事業を通じた利益成長と配当の拡大は整合的であるべきとの考え方に基づき、現中期経営計画期間においては、力強い利益成長と配当性向の引上げを通じ、継続的な増配を実現できるよう努めてまいります。

 東京海上グループは、「お客様の信頼をあらゆる活動の原点におく」という経営理念を掲げ、健全性と透明性の高いガバナンス体制を基盤に、収益性と成長性を兼ね備えた企業グループとしてさらに発展していくため、グループを挙げて業務に邁進してまいります。

 

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