文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前期比較は基準の異なる算定方法にもとづいた数値を用いております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、経済活動の持ち直しの動きが見られたものの、当社グループを取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続きました。
このような中、公共交通事業者としての責務を果たすため、感染予防を徹底しながら鉄道の運行継続を行い、また、沿線地域の事業者等と連携した各種イベントを開催するなど、誘客活動による沿線地域の活性化と収益の確保に努めました。
しかしながら、一定の業績回復はあったものの当連結会計年度の営業収益は4,352百万円(前期比10.6%増)、営業損失は287百万円(前期は639百万円の営業損失)、経常損失は192百万円(前期は497百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は47百万円(前期は531百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりです。
(鉄道事業)
鉄道事業におきましては、駅務員をはじめ全従業員のマスク着用、全列車内の抗ウイルス・抗菌加工、車内換気、列車・駅設備等の消毒など各種の感染症拡大防止策を実施いたしました。
また、輸送の安全性向上を図るため、設備面ではマルチプルタイタンパーや継電連動装置の更新、コンクリート枕木化などを計画的に実施したほか、異常時訓練や安全指導などによる従業員の意識向上に取り組み、本年度も運転無事故を継続いたしました。サービス面では、交通系ICカードシステムの導入やMaaSアプリによるデジタルチケットの販売を開始し、お客様の利便性向上に努めました。
旅客部門におきましては、「わくわく鉄道フェスタ」をはじめ沿線の市町や商業施設、同業他社と連携したイベントの開催、SLの魅力を高める各種企画列車の運行、記念乗車券の発売など、旅客誘致と増収施策に取り組みました。これらにより、定期・定期外旅客の人員及び収入は前期に比べ増加いたしました。
貨物部門におきましては、堅調に推移し輸送量及び収入とも前期に比べ増加いたしました。
この結果、営業収益は2,943百万円(前期比10.0%増)、営業損失は237百万円(前期は544百万円の営業損失)となりました。
(提出会社の鉄道事業営業成績)
種別 |
単位 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
対前期増減率(%) |
|
営業日数 |
日 |
365 |
- |
|
営業キロ |
粁 |
75.4 |
- |
|
客車走行キロ |
粁 |
4,857,280 |
5.0 |
|
貨車走行キロ |
粁 |
4,086,972 |
3.4 |
|
旅客人員 |
定期 |
人 |
4,167,300 |
10.3 |
定期外 |
人 |
1,894,684 |
25.1 |
|
計 |
人 |
6,061,984 |
14.5 |
|
貨物屯数 |
屯 |
1,847,428 |
3.2 |
|
旅客収入 |
定期 |
千円 |
597,833 |
6.3 |
定期外 |
千円 |
788,078 |
31.4 |
|
計 |
千円 |
1,385,911 |
19.2 |
|
貨物収入 |
千円 |
1,313,068 |
3.1 |
|
運輸雑収 |
千円 |
245,001 |
2.5 |
|
運輸収入合計 |
千円 |
2,943,981 |
10.0 |
|
1日1キロ運輸収入 |
円 |
108 |
10.4 |
|
乗車効率 |
% |
13.5 |
8.0 |
(注) 乗車効率の算出方法
輸送人員 × 実キロ = 延人キロ
延人キロ ÷ (客車走行キロ×客車平均定員)= 乗車効率
乗車効率とは客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。
(営業成績)
業種別 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
|
営業収益(千円) |
対前年増減率(%) |
|
鉄道事業 |
2,943,981 |
10.0 |
営業収益計 |
2,943,981 |
10.0 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
(不動産事業)
不動産事業におきましては、前期と比較し、請負工事収入及び仲介収入が増加いたしました。
この結果、営業収益は341百万円(前期比5.4%増)、営業利益は173百万円(同2.8%増)となりました。
(営業成績)
業種別 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
|
営業収益(千円) |
対前年増減率(%) |
|
土地建物販売業 |
- |
- |
請負工事業 |
37,182 |
85.0 |
不動産賃貸業 |
295,093 |
0.3 |
その他 |
9,651 |
△3.7 |
営業収益計 |
341,927 |
5.4 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
(観光事業)
観光事業におきましては、個人のお客様の利用は回復基調にあるものの、団体での利用は依然として低調であり、厳しい状況が続きました。
この結果、営業収益は367百万円(前期比17.5%増)、営業損失は36百万円(前期は69百万円の営業損失)となりました。
なお、当該事業につきましては、収益性の低下を踏まえ、当期において減損損失を計上し固定資産を適正な価額まで引き下げております。
(営業成績)
業種別 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
|
営業収益(千円) |
対前年増減率(%) |
|
遊船・動物園業・索道業他 |
367,759 |
17.5 |
営業収益計 |
367,759 |
17.5 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
(バス事業)
バス事業におきましては、学校関係の団体利用は回復傾向にありましたが、本格的な需要回復には至らず、依然として厳しい状況が続きました。
この結果、営業収益は156百万円(前期比88.4%増)、営業損失は100百万円(前期は159百万円の営業損失)となりました。
(営業成績)
業種別 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
|
営業収益(千円) |
対前年増減率(%) |
|
バス事業 |
156,594 |
88.4 |
営業収益計 |
156,594 |
88.4 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
(その他)
その他事業におきましては、卸売・小売業では売上の回復基調が継続したほか、旅行業では鉄道事業と連携した企画に取り組むなど増収に努めました。一方、建設業においては工事等の受注が減少いたしました。
この結果、営業収益は884百万円(前期比1.7%減)、営業損失は101百万円(前期は48百万円の営業損失)となりました。
(営業成績)
業種別 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
|
営業収益(千円) |
対前年増減率(%) |
|
卸売・小売業 |
497,375 |
15.8 |
建設・電気工事業 |
356,533 |
△20.9 |
旅行業 |
30,658 |
53.7 |
営業収益計 |
884,567 |
△1.7 |
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しておりません。
②キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ519百万円減少し749百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は724百万円となりました。これは、資産撤去引当金371百万円及び未払費用346百万円の支払い等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は754百万円となりました。これは、工事負担金等受入による収入が305百万円となった一方で、固定資産取得による支出が964百万円となったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は959百万円となりました。これは、長期借入れによる収入が2,277百万円となった一方で、長期借入金の返済による支出が1,259百万円となったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループのサービスは、鉄道事業を中心として営業しており、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」における各事業のセグメント業績に関連付けて示しております。
なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の営業収益及び当該営業収益の総営業収益に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 自 2020年4月1日 至 2021年3月31日 |
当連結会計年度 自 2021年4月1日 至 2022年3月31日 |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
太平洋セメント株式会社 |
1,298,668 |
33.0 |
1,340,673 |
30.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、経済活動の持ち直しの動きが見られたものの、当社グループを取り巻く経営環境は、依然として厳しい状況が続きました。
このような中、公共交通事業者としての責務を果たすため、感染予防を徹底しながら鉄道の運行継続を行い、また、沿線地域の事業者等と連携した各種イベントを開催するなど、誘客活動による沿線地域の活性化と収益の確保に努めました。
しかしながら、一定の業績回復はあったものの当連結会計年度の営業収益は4,352百万円(前期比10.6%増)、営業損失は287百万円(前期は639百万円の営業損失)、経常損失は192百万円(前期は497百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は47百万円(前期は531百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「2 事業等のリスク」に記載した事項が経営成績に重要な影響を与える可能性がありますが、その他に、当社グループは観光に関する事業が多く、また、地域も限定されているため、土曜・日曜・ゴールデンウィーク・夏休み等の天候不順が営業成績に重要な影響を与える要因になります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループは、運転資金、設備投資資金等の資金調達が必要な場合は、金融機関からの借入金によることを基本としております。
なお、次年度における重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりでありますが、現在のところ自己資金及び金融機関からの借入金以外の資金調達の計画はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)2.繰延税金資産の回収可能性」に記載のとおりであります。
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