業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、半導体不足等の課題はあるものの前期と比較すると製造業を中心とした企業の設備投資や生産の持ち直しがみられた一方で、緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発出と解除が繰り返される等コロナ影響(COVID-19)収束には至らず、依然として社会経済活動の正常化には時間を要する状況です。また、国内外のコロナ感染動向、ウクライナ情勢の影響等によって、原油をはじめとした資源価格の高騰、国際物流停滞、円安の進行等が引き起こされ、先行き不透明な状況が続いていると言わざるを得ません。

そのような中、当社グループは、利益率の改善に注力すべく、単年度の「2022年3月期方針」を策定し、「利益率の改善」「効率性の向上」「競争力の強化」「部門を越えた連携」の4項目の取り組みを進め、各々の取り組みにおいて成果が見られました。具体的には、収益改善事業に属する重点20拠点の改善を着実に進めてまいりました。また、空港関連については、依然として国際旅客便の回復が不透明な中、国際貨物便に係る業務の受注に努めると同時に、人材のグループ内外への応援・出向を継続し、需要回復に合わせた整員体制の構築を進めております。

加えて、2021年11月には「サステナビリティ基本方針」を新たに制定するとともに、「サステナビリティ委員会」を設置いたしました。これまでの企業理念に基づく活動実績を踏まえながら、SDGsをはじめとするサステナビリティを巡る課題の解決・解消に向け、全ての役職員が実践できるよう全社的な取り組みを進めてまいります。

当連結会計年度における経営成績については、前期はコロナ影響により国内外で生産・物流の停滞、国際線旅客便の大幅な減便、また、鉄鋼関連における減産などの影響を大きく受けたのに対し、当期は、収益認識に関する会計基準の影響額(△143億76百万円、4.9%減)はあるものの、生産・物流へのコロナ影響が軽減したことに加え、海上・航空運賃の高騰、鉄鋼関連での生産回復、物流センター等新規拠点の開設の増収要因があったため、売上高は3,013億73百万円(前連結会計年度比90億24百万円、3.1%増)となりました。

利益については、燃料価格の高騰はあったものの、実質的な増収(収益認識に関する会計基準の影響額考慮後:+234億円、8.0%)の効果に加え、2020年春より取り組みを開始した「構造改革プラン」、本年度4月よりスタートした「2022年3月期方針:利益率の改善」、社員の多能工化を含めた配置転換、適正単価の収受、業務効率化等が進み、営業利益は102億88百万円(同157.3%増)、経常利益は雇用調整助成金計上額の減少等があるものの118億45百万円(同26.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は政策保有株式の売却等を実施したため79億88百万円(同65.2%増)となりました。

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。なお、セグメント利益は一般管理費控除前の営業利益であります。

 

①複合ソリューション事業

収益認識に関する会計基準の影響(△89億74百万円、4.9%減)や2回にわたる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出、環境・エンジニアリング関連での大型工事前期完工による減収はありましたが、前期と比較するとコロナ影響が軽減されたこと、鉄鋼関連における製造業・建材向け等を中心とする得意先生産量回復、新たに開設した物流センター等の寄与により、売上高は1,813億42百万円(前連結会計年度比1.9%減)となりました。

一方、利益は増収効果(収益認識に関する会計基準の影響額考慮後:+54億50百万円、2.9%)に加え、取扱量の回復、業務効率化、空港関連においては、貨物取扱業務の拡大及び新規拠点の開設、要員の適正配置を積極的に推進した(4Q累計実績:延べ61,471名、前連結会計年度比:+14,002名)結果、102億24百万円(同96.6%増)となりました。

 

②国内物流事業

コロナ影響で減少していた取扱量の回復により、売上高は517億54百万円(前連結会計年度比0.9%増)となりました。

利益は、増収効果に加え適正単価の収受及び業務の徹底した効率化等により収益改善に努めた結果、29億85百万円(同7.0%増)となりました。

 

③国際物流事業

収益認識に関する会計基準の影響(△53億20百万円、9.5%減)はあるものの、コロナ影響の軽減及び海上・航空運賃の高騰、その影響を受けての中東経由欧州向け貨物を中心とした業容拡大や、中国、米国、ASEAN地域での経済回復による取扱量の増加等により、売上高は682億75百万円(前連結会計年度比21.5%増)、利益は32億68百万円(同89.5%増)となりました。

 

注※ 当連結会計年度より、各報告セグメントを構成する事業本部に所属する関係会社の一部について、主要顧客並びに事業内容の変化に対応するため、所属する事業本部を変更いたしました。そのため、前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を当該変更後の数値で比較しております。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は2,577億64百万円であり、前連結会計年度末に比べ10億34百万円減少しました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は1,238億99百万円であり、前連結会計年度末に比べ6億97百万円増加しました。主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が46億81百万円増加したこと、その他流動資産が2億19百万円増加したこと、現金及び預金が43億5百万円減少したこと等によるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は1,338億64百万円であり、前連結会計年度末に比べ17億31百万円減少しました。主な要因は、投資有価証券が10億6百万円減少したこと、リース資産が9億25百万円減少したこと等によるものです。

(負債合計)

当連結会計年度末の負債合計の残高は1,444億72百万円であり、前連結会計年度末に比べ95億26百万円減少しました。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は510億10百万円であり、前連結会計年度末に比べ84億62百万円減少しました。主な要因は、1年内償還予定の社債が100億円減少したこと、短期借入金が29億34百万円減少したこと、支払手及び買掛金が31億72百万円増加したこと、1年内返済予定の長期借入金が9億23百万円増加したこと等によるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は934億62百万円であり、前連結会計年度末に比べ10億63百万円減少しました。主な要因は、長期借入金が10億69百万円減少したこと等によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は1,132億91百万円であり、前連結会計年度末に比べ84億92百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が68億36百万円増加したこと、為替換算調整勘定が18億39百万円増加したこと等によるものです。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

①営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは167億49百万円の収入(前連結会計年度比22億83百万円の収入増)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が120億14百万円あったこと、減価償却費が82億1百万円あったこと、法人税等の支払額が44億17百万円あったこと等によるものであります。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは64億24百万円の支出(前連結会計年度比45億5百万円の支出減)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が79億42百万円あったこと、有形固定資産の売却による収入が10億42百万円あったこと等によるものであります。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは154億41百万円の支出(前期は311億48百万円の収入)となりました。これは、主に社債の償還による支出が100億円あったこと、短期借入金の純減額が29億76百万円あったこと、配当金の支払額が11億59百万円あったこと等によるものであります。

 

これらの結果に為替変動による増加額3億64百万円等を考慮し、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より45億89百万円減少し、576億28百万円となりました。

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績及び受注実績

 当社グループの事業内容は複合ソリューション事業、国内物流事業、国際物流事業、その他と多岐にわたっているため、生産実績を画一的に算定表示することは困難であり、また受注生産形態を採らない事業も多いため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。

(2)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

複合ソリューション事業

181,342

98.1

国内物流事業

51,754

100.9

国際物流事業

68,275

121.5

報告セグメント計

301,373

103.1

その他

合計

301,373

103.1

 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

日本製鉄株式会社

34,120

11.7

33,146

11.0

 

経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に関する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。当社グループは連結財務諸表を作成するにあたり、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金の計上等において、過去の実績等を勘案するなど、合理的な見積り、判断を行った上で、その結果を反映させておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2)経営成績

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(3)財政状態

「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(4)キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの主な資金需要は、運転資金、設備資金、投融資資金があります。

運転資金については、請負業務、貨物輸送、倉庫業務といった営業活動に必要な資金(外注・材料費及び人件費等)や、一般管理費、販売費があります。

設備資金については、主に拠点拡大、整備等による倉庫建設や、車両運搬具及び機械装置といった固定資産購入によるものであります。投融資資金については、業容拡大のためのM&Aや事業提携による出資金があります。

財務政策

当社グループの資金調達に関しては、内部資金を充当し、不足分については有利子負債で調達しております。具体的な調達手段といたしましては、運転資金については短期借入金やコマーシャル・ペーパー発行により調達し、設備資金、投融資資金については長期借入金や社債発行による調達を実施しております。

なお、資金調達の実施にあたっては、キャッシュ・フローの状況、投資案件の進捗、金利動向を考慮し、調達時期、調達規模、調達手段を適宜判断し実施しております。

一方、グループ内の余剰資金を活用し、資金を必要とする当社グループ会社に融資する事で、資金の流動性を確保し、併せて有利子負債の圧縮に努めております。

 

(7)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、限られた経営資源を効率的に活用することで高い付加価値を生み出しつつ、中長期的な成長を達成することを目指しております。したがって、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経営上の目標の達成状況を 判断するための客観的な指標を定めています。2022年4月よりスタートする中期経営計画(期間:3年間 2023年3月期~2025年3月期)においては、前中期経営計画、2020年2月からの構造改革、及び2022年3月期方針での成果をもとに、『人と技術のシナジーで時代とともに変化する「期待を超える価値」を創造しよう』を基本方針に掲げ、当社グループの強みである人と、現場でのノウハウや新技術の活用により、さらなる収益力伸長、企業価値の向上を実現してまいります。中期経営計画における目標指標につきましては、下記のとおりです。今後も経営環境の変化を機会と捉え、資本効率性を高めながら中長期的な成長を図ってまいります。

 

 

 

2022年3月期(実績)

2023年3月期(予想)

2025年3月期

(計画)

財務

売上高

3,013億円

3,010億円

3,320億円

営業利益

102億円

110億円

160億円

ROE

7.5%

6.0%

8.0%

非財務

 環境

13%削減

CO2排出量35%削減(2019年3月期比)

人 ※

経営戦略に基づく人材育成の推進

従業員の働き甲斐(エンゲージメント)の向上

技術 ※

技術革新・DXによる自動化・省力化

労働環境改善による「安全」の絶えざる追求

※人、技術の各非財務目標は、下記の時期を目途に計画策定予定

(ⅰ)人 :2023年3月期上期を目途に人材育成計画策定・サーベイ実施

(ⅱ)技術:2023年3月期上期を目途に取り組み計画を策定

 

 

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