業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

①経営成績の状況

 当期のわが国経済は、東京オリンピック・パラリンピックの開催による高揚ムードはあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大とそれに伴う緊急事態宣言の発出及び対象地域の拡大や長期化により、国内外の経済活動や社会活動は縮小し、企業収益の悪化や個人消費の落ち込みなど、極めて厳しい状況が続きました。2021年の秋以降、ワクチン接種の促進により経済活動や社会活動に持ち直しの動きも見られるようになりましたが、国内外における新たな変異株の感染拡大により、依然として先行きは不透明な状況にあります。

 旅客船業界においても新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けるとともに、地方における人口の減少、観光ニーズの多様化等により、旅客輸送人員は減少傾向が続いております。また、燃料油価格の高騰、老朽船舶の代替えや海事産業に従事する人材確保の課題等、引き続き懸念材料が山積しております。

 このような状況のもと当社では、①安全への取り組み、自然災害の備え、②経営改善計画の完全実行、③安全で安心な船旅、佐渡の旅のスタイル提供による収益確保、以上3項目を重点課題とし当連結会計年度の輸送目標を旅客輸送人員は1,053,000人、自動車航送換算台数は176,000台、貨物輸送トン数は140,000トンと見込み、目標達成に向けて積極的な事業展開を行いました。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により年初から断続的に緊急事態宣言が発出されたことから、感染症拡大地域との往来や旅行・帰省の自粛等により、旅客、航送、貨物の主要三部門の輸送量はコロナ禍前の水準と比較すると大幅に減少し非常に厳しい状況が続きました。このような状況の中、当社では2020年10月に策定した経営改善計画に基づき、2021年1月より燃料油価格変動調整金の制度改定を実施し、2021年4月には貨物運賃の改定を行いました。また、国による地域公共交通確保維持改善事業費補助金の金額が前年同期に計上した金額より増加したこと、旅客及び航送の輸送量が前年同期を僅かながら上回ったことにより、売上高は前年同期を上回りました。

 費用面においても、当社では輸送量に見合ったダイヤ編成にて運航を行い、観光産業に付帯するサービスを行っている連結子会社では閑散期において施設の臨時休業等を行い費用の削減に努めております。また、経営改善計画に基づき、慢性的な赤字を計上している小木・直江津航路の収支改善のため、関係機関との協議を経て、2021年4月よりこれまで就航していた高速カーフェリーに替えて、ジェットフォイルを同航路に就航させております。なお、高速カーフェリーについては、2021年6月25日開催の当社取締役会において譲渡の決議を行い、同日付で売買契約を締結、2021年7月14日に引渡しを行っており、同船舶に係る燃料費や修繕費等の船舶保有コストの削減を図っております。これらの施策に伴い営業費用に関しては前年同期を下回っております。

 以上の結果、当連結会計年度の当社輸送量は、旅客輸送人員763,971人(前年同期比0.5%増)、自動車航送換算台数176,144台(前年同期比1.9%増)、貨物輸送トン数130,407トン(前年同期比7.0%減)となり、当連結会計年度の売上高は8,078,994千円(前年同期比5.0%増)、営業損失は1,641,370千円(前年同期は2,676,543千円の営業損失)、経常損失は1,745,192千円(前年同期は2,755,220千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,671,983千円(前年同期は2,547,349千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 なお、当社ではお客様及び従業員の健康と安全のため、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、①カーフェリー及びジェットフォイル船内に「抗ウイルス」「抗菌」「消臭」効果のある光触媒コーティングの実施、②ジェットフォイル船内に「抗ウイルス」、「抗菌」、「臭いの元」を分解して空気を浄化する低濃度オゾン発生装置の設置、③船内でのソーシャルディスタンス確保のため、ジェットフォイル及びカーフェリーの指定席の発売数を通常の8割程度を上限として制限、④飛沫感染を防止するため各港のカウンターにビニールシートを設置、⑤乗船名簿記入のお願い(任意)、⑥乗船前のサーモグラフィによる検温及び健康チェック、⑦船内及び各港ターミナルの換気の強化、⑧船内及び各港ターミナル内のアルコール消毒、⑨船員及び各港ターミナルスタッフのマスク着用や始業前の検温等による健康管理の強化、⑩船内及び各港ターミナルにおける感染症予防アナウンスの実施、⑪カーフェリー船内及び各港ターミナル内にアルコール液の設置、⑫船内の貸出用毛布に抗ウイルス加工を実施等の対策を行い、お客様に安心してご利用いただけるよう努めております。

 

 セグメントごとの経営成績等は次のとおりであります。

 

(海運)

 当連結会計年度の旅客輸送人員は763,971人(前年同期比0.5%増)、自動車航送台数は乗用車換算で176,144台(前年同期比1.9%増)、貨物輸送トン数は130,407トン(前年同期比7.0%減)となりました。

 同社は、2021年1月より燃料油価格変動調整金の制度改定を実施し、2021年4月には貨物運賃の改定を行いました。また、国による地域公共交通確保維持改善事業費補助金の金額が前年同期に計上した金額より増加したこと、旅客及び航送の輸送量が前年同期を僅かながら上回ったことにより、売上高は前年同期を上回りました。また、慢性的な赤字を計上している小木・直江津航路の収支改善のため、関係機関との協議を経て、2021年4月よりこれまで就航していた高速カーフェリーに替えて、ジェットフォイルを同航路に就航させております。これに伴い、同航路に就航していた高速カーフェリーを売却したことにより、燃料費や修繕費等の船舶保有に係るコストの削減を図ったこと等により、セグメント損失は前年同期より改善しました。

 当連結会計年度の売上高は5,575,299千円(前年同期比9.9%増)、セグメント損失(営業損失)は1,468,336千円(前年同期は2,412,557千円のセグメント損失(営業損失))となりました。

 当連結会計年度のセグメント資産は、前連結会計年度と比較して新規の借入金減少に伴い現金及び預金が減少したこと、前連結会計年度において国や地元自治体からの補助金を未収入金に計上していたものが当連結会計年度はそれがないため流動資産が減少しました。また、船舶の売却及び償却の進行により固定資産が減少し、7,639,109千円(前年同期37.8%減)となりました。

 

(一般貨物自動車運送)

 貨物輸送量は新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、佐渡産の農産物輸送や生活物資輸送等によりほぼ前年並みで推移しました。費用面においては燃料費の高騰があったものの、保有車両台数の減少等により前年同期を下回りました。

 当連結会計年度の売上高は1,424,386千円(前年同期比0.7%減)、セグメント利益(営業利益)は23,874千円(前年同期は16,240千円のセグメント損失(営業損失))となりました。

 当連結会計年度のセグメント資産は、償却の進行により固定資産が減少したことから2,254,844千円(前年同期比4.9%減)となりました。

 

(売店・飲食)

 2021年4月より、小木直江津航路に就航する船舶が高速カーフェリーからジェットフォイルに変更になったことにより、同航路の輸送量が減少したことから、小木地区の売店・食堂の売上高は減少しました。また、前連結会計年度においてはGo Toトラベル事業が実施されクーポン券利用による旺盛な需要がありましたが、当連結会計年度においては、同事業が実施されなかったため売上高は減少しました。費用面においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化のため、閑散期に臨時休業を行うなど費用の削減に努めました。

 当連結会計年度の売上高は537,006千円(前年同期比5.6%減)、セグメント損失(営業損失)は126,631千円(前年同期は136,716千円のセグメント損失(営業損失))となりました。

 当連結会計年度のセグメント資産は、売上高の減少及び新規借入金の減少により現金及び預金が減少したことから229,627千円(前年同期比21.9%減)となりました。

 

(観光)

 売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化により低調に推移しました。また、前連結会計年度においては、Go Toトラベル事業が実施され、旅行商品の売上が好調でしたが、当連結会計年度においては同事業が実施されなかったため、旅行商品の売上高は前年同期を下回りました。

 当連結会計年度の売上高は372,487千円(前年同期比6.8%減)、セグメント損失(営業損失)は80,153千円(前年同期は125,078千円のセグメント損失(営業損失))となりました。

 当連結会計年度のセグメント資産は、売上高の減少及び新規借入金の減少により現金及び預金が減少したこと、償却の進行により520,357千円(前年同期比9.5%減)となりました。

 

(不動産賃貸)

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化により佐渡市民が移動を自粛しているため、両津港ターミナル周辺の航路利用者用の駐車場収入が減少したことから、売上高は前年同期を下回りました。

 当連結会計年度の売上高は、79,457千円(前年同期比10.7%減)、セグメント損失(営業損失)は18,606千円(前年同期は15,025千円のセグメント損失(営業損失))となりました。

  当連結会計年度のセグメント資産は、償却の進行により固定資産が減少したことから208,295千円(前年同期比10.3%減)となりました。

 

(その他)

 清掃サービスの受託先の減少により売上高は前年同期を下回りました。

 当連結会計年度の売上高は90,359千円(前年同期比27.4%減)、セグメント損失(営業損失)は1,596千円(前年同期は4,009千円のセグメント利益(営業利益))となりました。

 当連結会計年度のセグメント資産は、売上高の減少に伴い現金及び預金が減少したことから74,829千円(前年同期比11.5%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,909,942千円減少し10,131,229千円となりました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ1,718,454千円減少し3,763,496千円となりました。これは、現金及び預金が886,054千円、未収入金が国や自治体からの補助金等の入金により812,642千円それぞれ減少したことが主な要因であります。
 固定資産は前連結会計年度末に比べ3,185,895千円減少し6,361,693千円となりました。これは、有形固定資産

が船舶の売却により減少したこと、有形固定資産及び無形固定資産が償却の進行により減少したこと、減損損失を計上したことが主な要因であります。
 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,583,512千円減少し12,334,581千円となりました。

 流動負債は前連結会計年度末に比べ1,390,495千円減少し2,481,467千円となりました。これは、支払手形及び買掛金が117,516千円減少したこと、短期借入金が414,400千円減少したこと、1年内償還予定の長期借入金が711,985千円、1年内償還予定の社債が137,460千円減少したことが主な要因であります。

 固定負債は前連結会計年度末に比べ2,193,017千円減少し9,853,114千円となりました。これは、社債が117,280千円、長期借入金が1,813,425千円、特別修繕引当金が船舶の定期検査の実施及び売却に伴う取崩し等により272,166千円それぞれ減少したことが主な要因であります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,326,430千円減少し△2,203,352千円となりました。これは、佐渡市を割当先とする第三者割当増資及び新株予約権の権利行使による新株の発行により資本金が182,919千円、資本剰余金が182,918千円それぞれ増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失1,671,983千円を計上したことが主な要因であります。

 この結果、連結ベースの自己資本比率は前連結会計年度末の△6.4%から△22.4%に、また1株当たり純資産額は△63.11円から△134.16円になりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、営業活動による資金の減少が747,915千円、投資活動による資金の増加が2,715,682千円、財務活動による資金の減少が2,860,221千円となり、前連結会計年度末に比べ892,454千円減少し、当連結会計年度末残高は1,878,154千円(前年同期比32.2%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の減少は747,915千円(前年同期は1,616,245千円の減少)となりました。これは減価償却費が979,996千円、有形及び無形固定資産売却損益(△は益)が251,508千円、補助金の受取額が1,046,497千円(補助金収入は241,913千円)あったものの、税金等調整前当期純損失が1,628,756千円、固定資産圧縮額戻入益が759,248千円、仕入債務の増減額(△は減少)が△117,516千円、特別修繕引当金の増減額(△は減少)が△272,167千円あったことが主な要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の増加は2,715,682千円(前年同期は196,595千円の減少)となりました。これは有形及び無形固定資産の取得による支出が270,139千円、定期預金の預入による支出が167,401千円あったものの、有形及び無形固定資産の売却による収入が2,962,725千円あったことが主な要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は2,860,221千円(前年同期は2,655,499千円の増加)となりました。これは短期借入れによる収入が1,255,600千円、長期借入れによる収入が1,360,000千円、株式の発行による収入が358,012千円あったものの、短期借入金の返済による支出が1,670,000千円、長期借入金の返済による支出が3,885,410千円、社債の償還による支出が254,740千円あったことが主な要因であります。

 

④生産、受注及び販売の実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)の営業形態はサービス業であるため、生産、受注及び販売の実績については、「① 経営成績の状況」における報告セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりであります。

 この連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当社輸送実績)

 

2020年度

2021年度

輸送目標

前年度差

輸送目標差

旅客輸送人員(人)

 (うち、インバウンド)

760,342

(650)

763,971

(890)

1,053,000

(-)

3,629

(240)

△289,029

(-)

自動車航送換算台数(台)

172,912

176,144

176,000

3,232

144

貨物輸送トン数(トン)

140,159

130,407

140,000

△9,752

△9,593

 当連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化により、旅行や帰省等の移動の自粛が行われ、当社の旅客、航送車の輸送量はコロナ禍前と比較して著しく減少しました。当社及び観光産業に付帯するサービスを提供する「売店・飲食」セグメント及び「観光」セグメントの連結子会社への影響は大きく、当連結会計年度の当社グループの売上高は8,078,994千円(コロナ禍前の2019年売上高は11,477,011千円)となりました。

 また、当社では安定的な輸送量を維持するため、観光客の誘致を経営上の重要な施策と位置付けており、その中でもインバウンド誘致に努めてまいりました。当社の旅客輸送量に占めるインバウンドの割合は僅かではありますが、2017年に当社主導で設立された「新潟・佐渡観光推進機構株式会社」との連携により、その数は徐々に増加しつつありました。しかしながら、当連結会計年度においても世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化によりコロナ禍前と比較して著しく減少となりました。新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間は、インバウンド需要は見込めないものの、中長期的にはインバウンド誘致は当社にとって重要な課題であり、アフターコロナを見据えて引き続きインバウンド誘致に努めてまいります。

(船舶主燃料費の推移)

 

2019年度

2020年度

2021年度

船舶主燃料費(千円)

1,513,972

1,120,839

1,239,862

連結売上原価に占める船舶

主燃料費の割合(%)

14.0

11.9

14.3

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により輸送量が大幅に減少していることから、輸送量に見合ったダイヤ編成による運航コストの削減や、慢性的な赤字を計上している小木・直江津航路の収支改善のため、2021年4月よりこれまで就航していた高速カーフェリーに替えて、ジェットフォイルを同航路に就航させ、余剰船舶となった高速カーフェリーを売却しております。これらに伴い、船舶主燃料の消費量は減少しているものの、原油価格の高騰から船舶主燃料費は増加しております。

 なお、当社では燃料油価格の高騰に対応するため燃料油価格変動調整金を導入しておりますが、燃料油価格が著しく急騰した場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす恐れ(「2 事業等のリスク」参照)があるため、燃料油価格の動向を注視しております。

 当社グループの売上原価は8,677,164千円(前年同期比8.2%減)、販売費及び一般管理費は1,043,200千円(前年同期比14.1%増)となりました。販売費及び一般管理費においては、コンサルタント等の専門家費用の増加となりましたが、当社グループでは新型コロナウイルス感染症拡大の影響による観光客の著しい減少に対応するため、緊急事態宣言発令期間中に影響の大きかった「売店・飲食」セグメント及び「観光」セグメントの連結子会社において臨時休業を行いました。また、役員報酬の減額、管理職の給与・賞与の減額、一般社員の賞与減額、広告宣伝費の削減、船舶売却に伴う船舶修繕費の減少、その他経費の削減に努めたことにより、費用全体では昨年同期比で減少しました。

 以上の結果、営業損失は1,641,370千円(前年同期は2,676,543千円の営業損失)、経常損失は1,745,192千円(前年同期は2,755,220千円の経常損失)となりました。

 特別利益は1,180,413千円、特別損失は1,063,978千円を計上しており、いずれも前年同期比で増加しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※3~※11」をご参照ください。

 以上の結果、税金等調整前当期純損失は1,628,756千円(前年同期は2,541,333千円の税金等調整前当期純損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,671,983千円(前年同期は2,547,349千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 財政状態の状況につきましては「(1) 経営成績の状況の概要 ②財政状態の状況」に、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績の状況の概要 ①経営成績の状況」にそれぞれ記載しております。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは海運業を主体とした事業を行っており、本土と佐渡島を結ぶ生活航路の要素と、佐渡島への観光客を輸送する観光航路の要素を併せ持っております。このことから、低廉な運賃でサービスを提供する公共交通機関としての使命と、営利を目的とする企業としての使命の二律背反の環境にあります。そのため、航路運営施策や観光客誘致施策に対する行政の支援の状況、景気低迷による観光需要の減少、及び風水害などの自然災害、気象・海象の悪化による欠航等の外的要因による輸送量の減少が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。

 この他、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては「2 事業等のリスク」をご参照願います。

 

④資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金は、主に海上運送事業に係る船舶燃料費、船舶修繕費、人件費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応しております。また、当社及び連結子会社との間において、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。

 なお、当連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化により当社グループの売上高はコロナ禍前と比較して著しく減少し先行きも不透明であることから、費用の削減、設備投資を抑制するとともに、新型コロナウイルス感染症対応資金として、取引金融機関から資本性劣後ローンを総額で1,140,000千円調達しております。また、当社は、2021年7月下旬より新潟県中小企業再生支援協議会による再生計画策定支援(第二次対応)の開始を受け、スポンサーによる出資を前提とする事業再生計画案の策定を開始し、2021年8月には取引金融機関から、2021年8月分から2022年3月分の約定返済について返済猶予の金融支援を受けております。

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1) 経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

 

⑤経営上の目標の達成状況について

 当社グループは、債務超過解消のため2020年10月に経営改善計画を策定し自助努力を重ねてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、2021年度において当該計画の修正を行っております。

 なお、修正後の計画数値に対する当連結会計年度の実績は以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

2021年度実績

2021年度修正計画数値

売上高

8,079

7,624

営業利益

△1,641

△2,563

EBITDA(営業利益+減価償却費)

△661

△1,493

フリー・キャッシュ・フロー

1,967

△34

 

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