事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(船舶の運航に関するリスク)

(1) 船舶の重大な事故、故障等の影響について

 当社は船舶の安全運航の徹底を最重要課題と認識し、安全運航基準と危機管理の強化に努めておりますが、2010年8月11日に新潟~両津航路に就航していたカーフェリー「おおさど丸」に機関故障が発生し、復旧まで約1ヵ月半もの間を要する事例が発生しております。また、2019年3月9日にジェットフォイル「ぎんが」が両津港に向け航行中、浮流障害物(海洋生物と思われる)と接触し、乗客80名超の方が負傷されるとともにジェットフォイル「ぎんが」復旧まで約4ヵ月もの間を要する事故が発生しております。

 このため、当社では機関故障事故の再発防止策として策定した「メンテナンス規程」に基づいて機器類の点検・整備を確実に実行する等、船舶整備体制の強化を図っております。また、危機管理体制の強化のため、既存の安全管理規程やマニュアル類を補完する目的で新たに危機管理規程類を策定した他、取締役会の諮問機関として危機管理委員会を設置し、四半期毎に定例委員会を、必要に応じて臨時委員会を開催しております。

 ジェットフォイルの安全対策としては、①減速運航区間の拡大、②運航中の見張り強化、③水中スピーカーの改善、④シートベルトの改良、⑤鯨類情報の共有と定期的な検討、⑥座席の改良(座面のクッション材をより衝撃吸収力の高い素材に交換、折畳み式テーブルの撤去、新たな緩衝パッドの設置等)、⑦客室内に「緊急停止」発光掲示板の設置⑧当該事故を基に衝撃の強さと負傷の関連性を検証し、同様の事故が発生した場合に危険性が高いと思われる座席の発売中止(乗船定員の縮小変更)、⑨ガラス飛散による怪我防止のため、客席前方のガラス窓をアルミ板に交換といった措置をとっております。また、事故該当便に乗船されていたすべてのお客様に補償等について誠心誠意、対応を行っております。

 しかしながら、当社の船舶及び旅客等に重大な損害を与える不測の事故、故障等が発生した場合、当社の財政状態、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 船舶燃料油価格の変動による影響について

 船舶燃料油代は当社の運航コストの中でも大きな比重を占めております。船舶燃料油価格は通常当社の関与が不可能な市場価格を基に決定され、またその動向を予測することも困難であります。

 当社では、船舶燃料油価格の変動に対応するため2006年6月から燃料油価格の変動幅に応じて、ご利用のお客様から「燃料油価格変動調整金」をいただいております。

 しかしながら、需給バランスや為替の変動、産油国の政情悪化等により原油価格が著しく高騰した場合、「燃料油価格変動調整金」だけではコストの上昇分を十分に回収できず、当社の財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 公共性及び法的規制等の影響について

 当社が経営する離島航路事業はその公共性の高さから、運賃及び運航便数の設定等において、法的な規制に止まらず様々な制約を受けます。そのため、需給バランスが急変し収支が急激に悪化するような局面においても、合理的と考えられる経営戦略を機動的に実行し難いといった状況が想定されます。

 当社では、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響による需要の著しい減少を受けて、ジェットフォイルの一部減便を実施しておりますが、その規模は最低限に留まっております。また、当社では常に関係機関及び地元自治体と情報の交換・共有を図っておりますが、上記のような局面においては当社の財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について

 当社ではお客様及び従業員の健康と安全のため、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として様々な対策(「(輸送需要に関するリスク)(2) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について」をご参照ください。)を行っておりますが、当社従業員、特に船員において新型コロナウイルス感染症の感染者が拡大した場合、船舶の運航要員を確保できず運航に支障が生じる可能性があります。このような場合、当社の財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

(輸送需要に関するリスク)

(1) 観光客数の減少による影響について

 当社グループの収入は佐渡島への観光客に依存する割合が非常に高く、観光客数の変動は損益に大きな影響を与えております。

 当社グループでは、国内観光需要の減少が予想される中、当社主導により2017年6月に設立された「新潟・佐渡観光推進機構株式会社」と連携し、訪日外国人観光客の誘致や、SNSを活用した佐渡の魅力発信に積極的に取り組んでおります。

 しかしながら、他の観光地との競合や災害、天候不順、景気の悪化等により観光客数が著しく減少した場合や、今般の新型コロナウイルス感染症のような感染症拡大の影響等を受けた場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について

 当社グループの収入は佐渡島への観光客に依存する割合が非常に高く、観光客数の変動は損益に大きな影響を与えております。また、当社の収入は、観光客のみならず佐渡島民やビジネス客等の輸送量全体の変動が損益に大きな影響を与えております。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、当社の旅客輸送量は前々連結会計年度と比較して47.9%減少しており、当社及び当社グループの経営成績は著しく悪化しております。

 当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大の影響による需要の著しい減少に対応するため、止む無く施設の臨時休業や運航ダイヤの見直しによる減便を行いました。また、当社ではお客様及び従業員の健康と安全のため、新型コロナウイルス感染症拡大防止策として、①カーフェリー船内及びターミナル内に消毒用アルコール液の設置、②船員及びターミナル接客スタッフのマスク着用や始業前の検温等による健康管理の強化、③船内及びターミナル内の換気、④船内及びターミナル内のアルコール液による消毒、⑤カーフェリー及びジェットフォイル船内において使用する毛布に抗ウイルス加工を実施、⑥乗船前のサーモグラフィによる検温及び健康チェック、⑦乗船名簿記入のお願い(任意)、⑧ソーシャルディスタンスの確保、⑨飛沫感染を防止するためのビニールシートの設置、⑩船内でのソーシャルディスタンスの確保のため、ジェットフォイル及びカーフェリーの指定席の発売数を通常の8割程度を上限として制限、⑪カーフェリー及びジェットフォイル船内に「抗ウイルス」「抗菌」「消臭」効果のある光触媒コーティング加工を実施、⑫カーフェリー及びジェットフォイル船内に「ウイルス」「雑菌」「臭いの元」を分解して空気を浄化する低濃度オゾン発生装置の設置等の対策を行い、お客様に安心してご利用いただけるよう努めております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としての緊急事態宣言発出による移動の制限や、旅行、帰省の自粛等により輸送量が著しく減少した場合、当社グループの財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(金融・財務リスク)

(1) 第三者割当増資及び新潟県中小企業再生支援協議会が関与する当社の私的整理手続等に関するリスク

 株式会社みちのりホールディングスに対する普通株式、佐渡汽船株式会社A種種類株式及び佐渡汽船株式会社第9回新株予約権(以下「本第9回新株予約権」といいます。)の発行、並びに、第四北越銀行に対する佐渡汽船株式会社B種種類株式の発行(以下、総称して「本第三者割当」といいます。)に係る払込みは、金融商品取引法に基づく届出の効力発生、新潟県中小企業再生支援協議会が関与する当社の私的整理手続において、当社が策定し、2022年1月26日に当社の取引金融機関(個別に又は総称して以下「本対象債権者」といいます。)に対して提示した当社の再生計画案(以下「本再生計画案」といいます。)が、2022年3月15日までに本対象債権者全員の同意により成立すること、並びに2022年3月25日開催の当社定時株主総会における本第三者割当に関連する議案、発行可能株式総数の増加のための定款の一部変更に係る議案、並びに当社普通株式270,000株を1株に併合する株式併合及びそれに伴う普通株式に係る単元株式数の定めの廃止並びに発行可能種類株式総数の減少に関する定款の一部変更に係る議案、当社普通株式1株を270,000株に分割する株式分割後の普通株式に係る単元株式数の定めの新設並びに発行可能株式総数及び発行可能種類株式総数の増加に係る議案の承認等、一定の補助金等が支給されることが合理的に見込まれていること、並びに、新潟県、佐渡市、第四北越銀行及び佐渡農業協同組合が払込み後も当社の株式を継続して保有する見込みがあることがみちのりホールディングスが合理的に満足する方法で確認できること等(以下「本前提条件」といいます。)が全て満たされることを条件としています。

 提出日現在、本再生計画案は本対象債権者全員の同意により成立しており、また、2022年3月25日に開催された当社定時株主総会においては全ての議案が承認されるなど、本前提条件の大半は充足されておりますが、仮に、上記の払込みに係る本前提条件を充足しないこと等により本第三者割当が行われない場合、大幅な債務超過が継続し、2022年3月末日に返済猶予の期間が満了する6,833,120千円を含む当社の借入金合計8,770,800千円について、同年4月以降、約定通りに弁済することが困難になるだけでなく、2022年4月以降の資金繰りを維持することも困難となり、早期の財務体質の改善を実現することができず、金融機関から弁済を求められる等して資金繰りが悪化すること、当社の取引先に対する信用が悪化することなどにより、当社の財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

(2) 株式の希薄化に関するリスク

 当社は、本前提条件が全て満たされることを条件として、2022年2月7日付の取締役会において本第三者割当に係る発行の決議を行っており、本第三者割当により、①33,805,000株(議決権数は338,050個)の当社普通株式が発行され、②A種種類株式に付された当社普通株式を対価とする取得請求権が全て行使された場合、26,195,000株(議決権数261,950個)の当社普通株式が発行され、③本第9回新株予約権が全て行使された場合、15,000,000株(議決権数150,000個)の当社普通株式が発行され、2021年12月31日現在の当社の発行済株式総数17,006,947株に対し、441.00%(2021年12月31日現在の当社議決権総数168,861個に対しては444.15%)の割合で希薄化が生じることとなります。

 本第三者割当による普通株式の発行、A種種類株式に付された当社普通株式を対価とする取得請求権の行使、及び本第9回新株予約権の行使により、当社普通株式の1株当たりの株式価値及び持分割合が希薄化し、当社株価に悪影響を及ぼす恐れがあります。

(3) 事業再生計画の実施による影響額について

 当社グループは、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響により業績が著しく悪化し債務超過となっております。そこで、早急に債務超過を解消し事業を継続していくため、産業競争力強化法に基づき新潟県中小企業再生支援協議会が実施する私的整理手続において、本再生計画案(本再生計画案は本対象債権者全員による同意を得て成立しております。以下「本再生計画」といいます。)を策定し、実施可能な施策から順次、実行しております。今後も、この本再生計画を確実に実行していくにあたり、当社がグループの一員となることが予定されている株式会社みちのりホールディングス、関係機関、地元自治体、取引金融機関との連携が必要であり、当社ではこれらの関係者と緊密に情報の交換・共有を図るとともに、本再生計画の進捗状況の確認と合わせ、必要に応じて本再生計画の見直しや追加施策を行ってまいります。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束時期や経営環境の著しい変化等により改善の効果が目標とする数値から乖離する場合には、金融機関からの借入金の金利変動や提出日後に予定している一部の借入金に付される財務制限条項に抵触し、当社の財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等)

 当社グループは、前連結会計年度末及び当連結会計年度末において営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。当連結会計年度末においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により当社グループの業績は著しく悪化し、営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことから債務超過となっております。

 これにより、当社グループは、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しているものと認識しております。

 当社グループでは、産業競争力強化法に基づき新潟県中小企業再生支援協議会が実施する私的整理手続きにおいて、本再生計画を策定し、収益基盤の改善及び財務基盤の強化策及びキャッシュ・フローの安定化を講じておりますが、これらの対応策は実施途上であることから、現時点においては、継続企業の前提に重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、本再生計画を軸とした対応策等の取り組みにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご参照ください。

 

 

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