課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 経営方針

当社は企業理念として以下のとおり定めております。

(宣言)

・私たちは、お客様に信頼され、喜ばれ、愛される佐渡汽船を目指します。

・私たちは、安全を第一に考え、お客様にご満足いただける快適、快速なる航海の実現に向けて、お客様のご要望に最大限お応えします。

・私たちは、行動基準に沿った社員の判断や行動を尊重し、最良の結果をもたらすよう積極的に努力します。

(経営理念)

 佐渡航路において安全・確実・快適な運航を永続的に提供することで、お客様、並びに社員の生活を物心両面で豊かにし、地域社会の発展に貢献します。

(事業の定義)

 佐渡島と本土を船で結び、人、物を輸送する海上運送事業を通じて、お客様へのトータルサービスを実現します。

(信念)

 事業は人なり、社員一人ひとりが、安全こそ経営の基盤であり、地域社会への責務であることを確信します。そして、環境変化に対応できる永続企業とするため、企業市民としてお客様のニーズに全力で応えます。

(目標)

 離島航路№1の良質なサービスをお客様に提供することで、お客様から絶大なる信頼を得ます。

 

 (2) 経営環境及び経営戦略等

 当社は本土と佐渡島を結ぶ、一般旅客定期航路事業並びに内航海運業を営んでおり、島民の生活航路として、また、観光客やビジネス関係の足として、高い公共性を有する海上交通機関であります。このため、安全で安定した運航を提供することは、当社にとって重要な使命であると同時に、企業経営の根幹と捉えております。また、安全は当社をご利用くださるお客様にとって、最も基本的なサービスと考えております。

 その一方、当社の旅客輸送量の約3分の1を占める佐渡市民の高齢化及び人口減少が進んでおり、中長期的な視点では需要減少が見込まれます。このため、当社では観光客の減少を抑制し更には増加へと転じる施策を講じること、お客様サービスの向上を図ることが安定的な輸送量の確保、すなわち当社及び当社グループの事業継続に繋がるものと考えております。

 そこで、当社では観光客誘致の施策として、地元自治体、関係機関と一体となり「佐渡金銀山」の世界遺産登録に向けた活動への取り組み、当社主導により2017年6月に設立された「新潟・佐渡観光推進機構株式会社」と連携し、訪日外国人観光客の誘致や、SNSを活用した佐渡の魅力発信に積極的に取り組んでおります。また、お客様サービス向上への取り組みとして、当社及び当社グループ社員を委員とする「佐渡汽船グループお客様サービス向上委員会」を定期的に開催し、接客の最前線に位置する現場レベルの委員による議論や情報共有、活動目標の実施状況を確認すること等でお客様サービスの向上に努めております。

 

 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 安全への取り組み、自然災害への備え

 前述のとおり、安全で安定した運航を提供することは、当社にとって重要な使命であると同時に、企業経営の根幹と捉えております。安全で安定した運航を確保していくためには、経営トップが「安全方針」を設定し、これを全社一丸となって着実に実現していくことが不可欠となります。

 さらに、安全管理規程に基づいて構築した安全管理体制を確実に機能させるとともに、経営トップ自らが常に事業の安全に関心を持ち、報告された課題の把握と分析を行い、その分析結果に対応した改善策を的確かつ迅速に実行していくことが必要となります。

 また、近年激甚化する地震・異常気象等の自然災害への備えも重要であります。

 これらの施策を積極的に展開していく中で、全社員に対して安全意識の浸透を図り、社内に安全風土・安全文化が定着するよう全力で取り組んでまいります。

ア.当社は、安全で安定し、お客様に安心してご利用いただける運航を提供することが重要な使命であり、企業経営の根幹と位置付け、最も基本的なサービスと考えております。そのため、経営トップが主体的に策定した2022年の「安全方針」及び「安全重点施策」を全社一丸となって確実に実行してまいります。さらに、安全管理規程に基づいて構築した安全管理体制を確実に機能させるとともに、経営トップ自らが常に事業の安全に関心を持ち、報告された課題の把握分析を行い、その分析結果に対応した改善策を的確かつ迅速に実行してまいります。

 また、近年激甚化する地震・異常気象等の自然災害への備えも実行してまいります。

イ.構築した安全管理体制の継続的な見直し・改善を図るため、PDCAサイクルを確実に機能させます。

ウ.自然災害による被害発生時には安全最優先と事業継続の原則に則り、関係各所とも連携をとり、全員が同じ方向性をもって直ちに判断行動を行います。

エ.旅客船部門全体では、ヒューマンエラー防止の安全確認の基本動作として、「指差呼称」の実践と「危険予知」の励行、併せて「周囲の確認」の徹底と継続及び積極的なチャレンジとBRM活動を継続するとともに、リスクマネージャーと連携し、ヒヤリハットレポートニュースによるグループディスカッションを有効活用させ、安全文化を醸成させます。また、船員の技量向上のためにスキルアップOJT教育を継続させ、若手船員の定着率向上を目指すとともに管理監督者を中心にメンタルヘルスケアの充実を図り、ハラスメントに対する正しい認識を共有し、誰もが安心して働くことが出来る環境作りの取り組みを推進いたします。

(注) チャレンジ…下位者から上位者への安全の主張と積極的な進言。

(注) BRM(ブリッジ・リソース・マネジメント)…ブリッジ(船橋)で利用可能なリソース(資源:人・物・情報)を操船実務者のメンバーが、安全意識及び安全行動として有効に活用するための手法。

(注) メンタルヘルス…精神面における健康のことであり、疲労、ストレス、悩みなどの軽減と緩和を図ることを要する。カーフェリーに於いては船長及び機関長、一等航海士、一等機関士、事務長を、高速船チームに於いては船長及び機関長をメンタルヘルスに取組む管理監督者とみなす。

オ.ジェットフォイルでは、上記「エ」に加えて、鯨類との衝突対策として、厳重な見張りと設定された減速区間を厳守するとともに、目撃情報の収集とハザードマップを共有することで衝突回避を図ります。高齢者を優先席に誘導し、乗客・乗員のシートベルト着用を強化して被害軽減を図るとともに、お客様には安全・安心の周知と必要な情報を積極的に提供します。

カ.貨物船部門では、船舶の運航・船内荷役作業に関しては「安全最優先」を原則とします。毎月実施する安全衛生会議の中で安全に関する話し合いを行い、乗組員全員の共通化を図り明るい職場環境を目指します。ヒューマンエラー対策として安全確認の基本である「指差呼称」を実践し、ヒヤリハット報告件数アップを推進します。日々実施している点呼でヒヤリハットと思われる事象について話し合い、コミュニケーションを深め、全員で安全に対する意識・職場作りにさらなる高みを目指します。

キ.陸上部門では、「指差呼称」の徹底実施、「ヒヤリハットレポート」の提出促進、職場内における「安全に関する話し合い」の3本柱を重点施策とし、ヒューマンエラー事故を防止します。「指差呼称」の実施については、具体的な実施項目を予め定めることで、個人レベルのヒューマンエラー対策の最も重要な基本事項とします。「ヒヤリハットレポート」の提出については、職場全体の提出件数目標だけでなく、個人レベルにおける提出件数目標を設定することで、提出促進を目指し、また、他部署も含めた情報共有を図ることで、危険予知に係る感受性の向上に繋げ、全体における安全風土の定着を強化します。「安全に関する話し合い」については、「フォークリフト運転マニュアル」に基づく定例的な講習会・勉強会に加え、荷役現場の安全上の課題の認識及び改善のため、小集団による活動を活用します。数名で編成したチーム毎に問題点を踏まえたテーマ(目標)を選定することで、その解決のための対策及びその有効性について協議し、達成状況を確認することでさらなるスパイラルアップを目指します。

ク. 非常に厳しい経営環境ではありますが、安全で安定した航路運営の根幹である老朽船舶の更新に向けた取り組みを引き続き継続してまいります。

② 収益基盤の改善と業務効率化による費用削減

ア.貨物部門につきましては、佐渡島の人口減少に伴う、生活物資を始めとする貨物輸送量の減少等により、現行の輸送体制の維持が困難になってきております。対応策の一環といたしまして、2021年4月1日に40年間据え置いてきました貨物運賃の10%改定を行いました。今後も輸送量の減少トレンドの継続及び輸送コストの増大が想定されることから、収益の確保と費用改善の両面から収支改善を目指してまいります。収益の確保につきましては、関係各所とのコミュニケーションを強化し、意見の調整を図りながら段階的な運賃改定を実現すべく取り組んでまいります。また、費用の改善につきましては、受付方の工夫並びに輸送用具の運用見直しを行うとともに、さらなる効率的な人員配置・勤務体制等の検討を行ってまいります。

イ.DX(デジタルトランスフォーメーション)導入に向け、日常業務のデジタル化を進めてまいります。まずは、現在の業務の在り方を見直し、ペーパーレス化を推進し電子化されたデータを活用したワークフローを導入することで、より効率の良い業務並びにコスト削減を図ってまいります。また、昨年度にはテレワークの試行も行っており、ペーパーレス、ワークフローと連携した運用を図ってまいります。

ウ.営業部門においても、宣伝媒体等の電子化による印刷費等の費用削減と業務の効率化を行うとともに、SNS並びにYouTube等のメディアをさらに活用することで、タイムリーな情報をお客様に届けられるよう努めてまいります。

エ.2022年4月より、県外営業所の体制を見直し、予約管理の一元化をさらに推進いたします。また、営業部門全体でセクションの垣根を越えた人材の有効活用を行い、業務の効率化及び増送に努めてまいります。

オ. 2022年1月からカーフェリー1等運賃の改定及び一部割引の見直しを行い、さらに4月からは乗用車及びジェットフォイルを中心とした往復割引の見直しを行うことで、収益基盤の改善を進めてまいります。

カ. 2021年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響による、輸送需要を考慮したダイヤとしておりますが、回復の兆しが見られ、需要が見込まれる場合は、速やかに臨時便を設定し、利用者の増加に努めます。

③ 事業上の対処すべき課題

 安全で安定した航路運営のためには、保有する船舶の更新が重要な課題となっております。当社が保有するカーフェリー「おけさ丸」(1993年4月竣工)は老朽化しており、その対策として2021年2月~3月において大規模修繕工事を行っております。この「おけさ丸」の代替船建造は喫緊の課題となっており、当社では2025年3月竣工を目標に建造計画を進めてまいります。また、保有するジェットフォイル3隻も、竣工から30年以上が経過し老朽化が進んでいることから、代替建造に向けて検討を進めてまいります。

④ 財務上の対処すべき課題

 当社は、航路の維持及び安定的な運航を行うため事業再生計画の策定を進めてまいりましたが、2022年1月21日開催の取締役会において、事業再生計画案策定の決議を行っております。当社は、事業再生計画案に定めた収支の改善と債務超過解消及び財務基盤の強化を確実に実行することで、一刻も早く債務超過解消を目指してまいります。

 なお、収支の改善と債務超過解消及び財務基盤の強化を内容とする事業再生計画案については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (継続企業の前提に関する事項)及び(重要な後発事象)」をご参照ください。

 

(4) 目標とする経営指標

 当連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響の長期化により、当社及び当社グループの業績は著しく悪化し、連結及び個別ともに債務超過額が拡大しております。事業継続のためには取引金融機関を中心とする関係機関からの継続的な支援が必要であることから、引き続き債務超過解消を目指してまいります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症拡大による影響への対応策について

① ウィズコロナ、アフターコロナにおける佐渡旅行の提案

ア.アフターコロナに向けた佐渡旅行の提案

 SNS並びにブログを活用し、佐渡の情報を定期的に発信することで、佐渡ファンを増やしコロナ収束後の誘客につなげてまいります。また、当事業年度から開始した「御船印」企画並びにYouTube動画「つなさど」を拡充し、佐渡のブランディングに努めてまいります。

イ.佐渡観光交流機構、佐渡市観光振興課との連携強化

・2022年2月1日、政府の閣議において「佐渡島の金山」をユネスコ世界遺産へ推薦することが決定しました。世界遺産登録を目指し、引き続き、関係機関との連携を図ってまいります。

・新型コロナウイルス感染症の影響により、県外及び上越エリアから佐渡への修学旅行が増加傾向にあることから、佐渡観光交流機構と協力・連携したセールスを行い、修学旅行の獲得に努めてまいります。佐渡市とは定期的に佐渡観光に必要な施策及び支援について意見交換を行い、連携した誘客活動を行ってまいります。

・新潟県観光協会が実施する首都圏・関西圏等の旅行エージェントとの商談会に積極的に参加し、新潟県、佐渡市、上越市からも二次交通の支援をいただき、旅行商品の造成・誘客につなげてまいります。また、新潟観光コンベンション協会並びに上越コンベンション協会とも連携し、各コンベンション協会が実施する支援内容を旅行エージェントに情報提供し、企画造成を提案することで誘客につなげてまいります。

ウ.「新しい旅のエチケット」に基づく船旅の提供

・「新しい旅のエチケット」に基づく安全、安心な船旅をお客様に提供するため、引き続き船内及び待合室の定期的なアルコール除菌を実施いたします。改札時には、手指消毒・マスク着用のアナウンス等、ガイドラインに沿った感染予防の取り組みを継続いたします。

・きっぷ売場窓口並びに自動券売機への立ち寄りを不要とし、紙チケットを使わない非対面・非接触型の発券・改札サービスとして、ウイルス感染予防に有効な「Sチケット」サービスのさらなる普及に努めてまいります。

・船内における感染リスク低減のため、ジェットフォイル及びカーフェリー1等については、一部発売制限を行う等、可能な限り間隔を空けて発売し、ソーシャルディスタンスの確保に努めてまいります。

 

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