業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大状況が落ち着きを見せつつあり、インバウンド回復など経済復興への期待が高まる一方、ウクライナ危機を発端とした原材料価格の高騰や、日米金利差による為替の変動、中国経済の低迷などにより、先行き不透明な状況が続いています。

当社の属するコンタクトセンター・BPO業界は、新型コロナウイルス環境下における非対面接客の需要の高まりを背景に、堅調に推移しております。また、技術革新を背景として、「業務のデジタル化による生産性の向上」や「データの蓄積と分析による業務の付加価値化」等、一層のサービスの高度化が求められております。

 

このような経営環境の下、当社グループは2023年5月期までを対象期間とする「中期経営計画2022」において、「根元から新芽まで健康に成長し続ける会社」をビジョンとし、既存(根元)事業である「コンタクトセンター・BPOサービス」と、新規(新芽)事業である「クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売」の両面での成長を掲げております。

 

(コンタクトセンター・BPOサービス)

コンタクトセンター・BPOサービスにおいては、「ライフライン」「金融」「流通」「情報通信」業界を重点戦略グループとして、営業とオペレーションを顧客業界ごとに専任化した製販一体組織での活動を継続いたしました。各担当者の顧客業界における専門性を高め、業界に必要とされるサービスの企画や、提案力の向上、品質の向上を図ることで順調に受託数を伸ばしております。

また、採用の強化策として、在宅コンタクトセンターサービスであるBewith Digital Work Place(ビーウィズデジタルワークプレイス)において、全国から応募が可能なロケーションフリー採用を開始いたしました。場所の制限がなく自宅で勤務が可能であることから、多くの応募があり、採用コストの削減も実現しております。この取り組みを一層推進することによって、応募者や従業員の多様な働き方へのニーズにも応えられるものと考えております。

 

(クラウドPBX Omnia LINKをはじめとするシステム開発・販売)

新型コロナウイルス感染拡大状況下での在宅コンタクトセンターニーズの需要拡大から、場所を問わずに利用が可能なPBXのクラウド化が加速し、Omnia LINKを自社で利用したいという引き合いが増加しました。また、「Speech To Text(注)」の精度向上や、顧客接点部門であるコンタクトセンターの機能強化を背景に、Omnia LINKの高付加価値機能である「音声のリアルタイムテキスト化」の受託も伸びております。

(注)Speech To Text:音声認識を活用した音声からテキストへの変換

 

Omnia LINKは当初、当社自身のコンタクトセンター・BPOサービスの機能高度化とコスト削減を目的に開発されました。そして2020年ごろよりOmnia LINK外販の強化を開始し、当連結会計年度末においては1,000ライセンス以上の販売を実現しております。このOmnia LINKは、当社グループにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の成功事例と捉えております。このような取り組みが評価され、2022年4月1日付で経済産業省から「DX認定事業者」の認定を受けることとなりました。引き続き第2、第3のOmnia LINKの創出を目指し、デジタルテクノロジーと人の融合による「顧客接点としての顧客体験価値の最大化」や「生産性向上」を実現する所存です。

なお、今後のさらなるDXの推進に向けては、開発人材の採用・育成が当社の成長のキーポイントと位置付けております。この取り組みの一環として、2022年4月1日付で開発人材の採用・育成の拠点として長崎県長崎市に「デジタルラボ長崎」を設立しました。長崎での開発人材の採用・育成を行うことで、ビジネスの次世代化に向けた新たなデジタルテクノロジーの自社開発を目指しております。

 

上記の取り組みの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高においては32,405,568千円(前期比12.3%増)となりました。利益状況においては、営業利益2,565,250千円(前期比20.3%増)、経常利益2,591,487千円(前期比19.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,776,891千円(前期比7.3%増)となりました。前期に続き過去最高売上高および最高益を達成するとともに、6年連続の2桁成長を遂げております。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用による売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益への影響は軽微であります。

また、当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

② 財政状態の状況

(単位:千円)

 

2021年5月

2022年5月

増減

総資産額

8,487,223

10,490,692

2,003,469

総負債額

4,273,139

3,884,918

△388,221

純資産額

4,214,084

6,605,774

2,391,691

 

 

(資産)

当連結会計年度末における総資産額は、10,490,692千円となり、前連結会計年度末比2,003,469千円増加となりました。これは主に、新規上場による資金調達に伴う現金及び預金の増加1,801,100千円、売上高増加に伴う売掛金の増加47,622千円によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における総負債額は、3,884,918千円となり、前連結会計年度末比388,221千円減少となりました。これは主に、前期末のコンタクトセンター拠点新設や増床等に伴う設備関連の未払金及び連結法人税個別帰属額の未払金の減少583,563千円、従業員給与等による未払費用の増加119,826千円、未払法人税等の増加105,196千円によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産額は、6,605,774千円となり、前連結会計年度末比2,391,691千円増加となりました。これは主に、配当金の支払569,600千円があり、一方で親会社株主に帰属する当期純利益1,776,891千円を計上したことにより利益剰余金が増加したこと、新規上場のための株式発行による資本金の増加592,200千円及び資本剰余金の増加592,200千円によるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

                              (単位:千円)

 

2021年5月

2022年5月

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,476,453

1,586,673

投資活動によるキャッシュ・フロー

△302,396

△366,266

財務活動によるキャッシュ・フロー

△713,864

580,693

現金及び現金同等物の増減額

460,193

1,801,100

現金及び現金同等物の期首残高

2,168,421

2,628,614

現金及び現金同等物の期末残高

2,628,614

4,429,714

 

 

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、4,429,714千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,586,673千円(前年同期は1,476,453千円の資金の獲得)となりました。主な増加要因として税金等調整前当期純利益2,590,056千円(前年同期2,164,291千円)があった一方で、減少要因として法人税等の支払額1,074,254千円(前年同期607,545千円)等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、366,266千円(前年同期は302,396千円の支出)となりました。主な減少要因としてコンタクトセンター拠点の新設及び増床に伴う有形固定資産の取得による支出184,843千円(前年同期174,167千円)、無形固定資産の取得による支出87,977千円(前年同期31,556千円)、敷金及び保証金の差入による支出94,013千円(前年同期96,251千円)等があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、580,693千円(前年同期は713,864千円の支出)となりました。主な増加要因として新規上場による株式発行による収入1,171,154千円(前年同期なし)があった一方で、配当金の支払額569,600千円(前年同期460,800千円)等があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループは、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b 受注実績

当社グループは、受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c 販売実績

当社グループは、コンタクトセンター・BPO事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

コンタクトセンター・BPO事業

32,405,568

112.3

 

(注)なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

第22期連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日

第23期連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

東京電力エナジーパートナー㈱

5,260,568

18.2

5,633,692

17.4

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

当連結会計年度における売上高は32,405,568千円、売上高成長率は、12.3%となりました。重点戦略グループ(ライフライン・金融・小売流通・情報通信)の需要拡大に対し、営業とオペレーションの一体組織による専門性の高い提案を行い、当該業界からの受注を重ねました。その他業界においても自社開発のクラウドPBX Omnia LINKの活用等によって、需要を逃さずに柔軟な対応を実現しております。上記の取り組みの結果、新規案件の獲得及び既存顧客の案件拡大を実現したことにより、コンタクトセンター・BPOサービスの売上高が増加しました。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は27,048,658千円(前期比112.4%)となりました。売上原価については、人件費総額は増加したものの、オペレーターの派遣比率の低減や、デジタル技術を活用した生産性向上に取り組んだ結果、当連結会計年度における売上原価率は83.5%となり、前連結会計年度の売上原価率83.5%と同水準を維持しました。以上の結果、当連結会計年度における売上総利益は5,356,910千円(前期比112.3%)となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,791,660千円(前期比105.7%)となりました。増加の主な要因は事業拡大による従業員の増加で人件費が増加したことによるものです。ただし、売上高に対する販売費及び一般管理費の割合は8.6%となり、前連結会計年度の9.2%より0.6ポイントの減少となりました。これは、事業拡大による人件費の増加はあるものの、コーポレート部門の業務効率化やデジタル化に取り組み、人件費の増加を一定程度抑制できたこと、人件費以外の費用を低減したことが要因になります。結果、当連結会計年度における営業利益は2,565,250千円(前期比120.3%)となりました。

 

d.営業外損益、経常利益

当連結会計年度において主に新型コロナウイルス感染症に関する補助金収入53,906千円等により営業外収益は61,263千円(前期比153.5%)、上場関連費用20,861千円、株式交付費13,246千円により営業外費用は35,026千円(前期比841.2%)となりました。結果、経常利益は2,591,487千円(前期比119.6%)となりました。

 

e.特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度において固定資産除却損1,431千円、法人税等合計は813,165千円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,776,891千円(前期比107.3%)となりました。

 

② 財政状態に関する認識及び分析・検討内容

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。

 

③経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは堅実で持続的な成長の実現を通じて新たな事業創出を図り、豊かな社会づくりへの貢献を目指しており、売上高成長率及び営業利益成長率を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標としております。

当連結会計年度における売上高は 32,405,568千円 となり前年同期比からの成長率は 12.3% となっており、6年連続の2桁成長を達成しております。当社の売上高の成長には、新規案件の獲得や既存案件の拡大が必要なことはもちろんですが、その実現を支える要素として、人材、オフィス等のファシリティ、システムの3つの要素が重要でありますが、人材やファシリティについては事業拡大に備えた事前の対応が、当社のキャパシティを左右することになるため、適切な備えを継続して実施しております。システムについては、特にコンタクトセンターサービスに必須となるPBXについて、自社開発のOmnia LINKにより、事業拡大に柔軟に対応できる環境を実現しております。これらの取り組みを引き続き進めることで、さらなる新規案件の獲得に取り組み、成長率の維持・向上を図ります。

営業利益は 2,565,250千円 で前年同期比の成長率は 20.3% となっております。2021年5月期に高利益率であった特定のコロナウイルス関連案件の終了による創出利益の反動減はあったものの、それを上回る売上高の増加や、売上原価率を低減させるため人材派遣の起用を縮小させる取り組みに伴い、売上総利益率については売上高と同水準の成長率となりました。また、コーポレート部門の業務の効率化及びデジタル化や人件費以外の費用低減を通じた販売費及び一般管理費の抑制によって、営業利益成長率についても3年連続で2桁成長を実現しております。

 

④ キャッシュ・フローの状況分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る内容

 a.キャッシュ・フローの状況分析

 キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び流動性に係る内容

 当社グループの主な資金需要は運転資金と設備投資資金になります。運転資金は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」および銀行借入金にて賄う方針であります。具体的には、手元流動性資金、国内金融機関2行と締結している特殊当座貸越枠のフレキシブルな資金調達手段を確保し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。また、設備投資資金に関しては、内部留保及び資金計画に基づき、長期借入による調達を行い、財務の安定性を確保してまいります。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。

新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

また、この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや判断を行う必要があります。過去の実績や現在の状況に応じ、合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

 

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