(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に弱まり、緩やかに持ち直しているものの、原材料価格の上昇、ウクライナ情勢の長期化、米国・EUをはじめとした金融引き締めにより、依然として先行きが不透明な状況が続きました。わが国経済におきましては、企業活動が回復し収益改善に向かう基調が見受けられましたが、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等、経済回復に向けて懸念が残る状況で推移しました。
当社グループを取り巻く建設関連業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の直接の影響は比較的少ない状況のもと、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」により社会インフラ施設の維持管理や国土基盤情報の整備、防災・減災等、国土強靭化に向けた公共投資により市場は順調に推移してまいりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、長期ビジョンの第3フェーズとなる中期経営計画「明日(あす)を共創(つく)る~Leading for the Future~」の2年目としてセンシング技術を基盤に、「AAS-DX:Asia Air Survey – Digital Transformation」による超スマート社会の実現、国土強靭化、脱炭素社会への対応に向けて、社会インフラマネジメント事業及び国土保全コンサルタント事業を中心に、様々な事業を推進してまいりました。
また、気候変動の影響への対応として進めている「脱炭素2030推進プロジェクト」の取り組みの一つとして、自社運航機へのバイオジェット燃料(SAF)の導入を進めてきましたが、2022年7月31日には実業務において初のSAFの利用飛行を実施しました。これは調布飛行場においても初のSAF利用の実例となりました。今後も当社はSAFの継続的な利用を推進してまいります。その他、事業活動由来の使用電力について、2022年5月に新百合本社をグリーン電力へ切り替えたことに続き、全国の支社・支店・営業所においても、電力のグリーン化を順次進めます。
これらの取り組みを今後も国際水準で継続するために、当社は2022年11月に、パリ協定が定める目標に科学的に整合する温室効果ガスの排出削減目標「Science Based Targets(SBT)」を認定する機関「SBTイニシアティブ(SBTi)」に対してコミットメントレターを提出し、2年以内にSBT認定取得を目指すことを表明しました。今後も、当社はカーボンニュートラル実現に向けた社会づくりに貢献いたします。
以上の結果、当連結会計年度における業績につきましては、国土強靭化関連業務、森林環境譲与税関連業務及びデジタル田園都市構想関連業務が堅調に推移したことから、受注高は375億96百万円(前連結会計年度比13.4%増)、売上高は336億74百万円(同3.6%増)となりました。
利益面におきましては、売上高の増加や生産原価率の低減等により、営業利益は24億65百万円(前連結会計年度は23億38百万円)、経常利益は27億44百万円(前連結会計年度は25億63百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億27百万円(前連結会計年度は17億29百万円)となりました。
当社グループは、2023年9月期の目標数値として「連結売上高340億円」、「連結営業利益17億円以上」を掲げており、前述のとおり当期の連結売上高及び連結営業利益は順調に推移し、目標達成に向け着実に進捗しております。また、配当性向(連結)は29.3%となり、当社配当の基本方針を満たしております。
主要な事業区分別の業績は次のとおりであります。
なお、当社グループは空間情報コンサルタント事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載に代えて事業区分別に記載しております。
社会インフラマネジメント事業では、前期から継続した道路分野における3次元測量への対応や、計測データの利活用提案、MMS・画像解析技術を活用した路面調査等、またエネルギー関連分野では、送電線の維持管理やレジリエンス強化に関するレーザ計測や陸上風力発電、洋上風力発電事業に関する環境アセスメント、風況観測等の業務について積極的に推進してまいりました。社会インフラマネジメント事業の主力である行政支援サービス分野では、DXの推進に向けた仕様作成やユースケース開発に積極的に関わるだけでなく、都市DXの3Dデータ作成やディフェンス&セキュリティ分野における重要土地の利用状況把握の調査業務に対応し、国土強靭化に関連し航空レーザ測量及び3次元点群データ等整備業務にも取り組んでまいりました。鉄道分野では、3次元レーザ計測による鉄道ICTソリューション「RaiLis®」の実運用が始まり、効率的な鉄道インフラの維持メンテナンスに貢献しています。復興分野では、福島県下における原子力災害被災地の除染後の避難指示解除のためのモニタリング、仮置き場の維持管理や再生土利用にかかる環境再生事業等に取り組んでまいりました。その結果、受注高は235億5百万円、売上高は207億円となりました。
国土保全コンサルタント事業では、河川・砂防分野において、多発する自然災害の激甚化、広域化による防災・減災を目的とした航空レーザ測量、河川管理における定期縦横断測量を目的とした航空レーザ測深(ALB)の需要拡大への対応の他、高度な計測技術を駆使した土砂災害防止、浸水想定等、国土強靭化に係るサービスへ取り組んでまいりました。森林分野では、「森林環境譲与税」の活用が本格化し、森林資源の把握や林業支援を目的とした航空レーザ測量や、森林資源解析技術を軸としたスマート林業、森林DX等に対応した森林ビジネスを拡販してまいりました。環境分野では、自然環境保全等の事業の他、脱炭素やSDGs社会構築に向けた業務支援に取り組んでまいりました。その結果、受注高は98億円、売上高は107億96百万円となりました。
当連結会計年度末の資産合計につきましては、前連結会計年度末に比較し26億22百万円増加の315億33百万円となりました。これは主として、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことによるものであります。
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比較し15億5百万円増加の131億36百万円となりました。これは主として、賞与引当金が増加したことによるものであります。
純資産合計につきましては、前連結会計年度末に比較し11億16百万円増加の183億97百万円となりました。これは主として、利益剰余金が増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ15億46百万円減少し、当連結会計年度末には55億24百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、税金等調整前当期純利益26億50百万円等により、8億78百万円(前連結会計年度は31億81百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、無形固定資産の取得による支出10億29百万円等により、16億43百万円(前連結会計年度は12億99百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、リース債務の返済による支出4億96百万円等により、7億94百万円(前連結会計年度は3億78百万円の支出)となりました。
③ 受注及び販売の実績
当連結会計年度における受注及び販売の実績を示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループは空間情報コンサルタント事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載に代えて事業区分別に記載しております。
a.受注実績
|
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
比較増減 |
|||
事業区分 |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
受注高 (千円) |
受注残高 (千円) |
社会インフラマネジメント |
21,378,591 |
12,614,245 |
23,505,975 |
15,419,406 |
2,127,384 |
2,805,160 |
国土保全コンサルタント |
10,444,598 |
6,264,655 |
9,800,786 |
5,269,440 |
△643,811 |
△995,214 |
その他 |
1,336,851 |
466,097 |
4,289,911 |
2,578,623 |
2,953,060 |
2,112,525 |
合 計 |
33,160,040 |
19,344,997 |
37,596,674 |
23,267,469 |
4,436,633 |
3,922,471 |
b.販売実績
|
前連結会計年度 (自 2020年10月1日 至 2021年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
比較増減 |
|||
事業区分 |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
構成比 (%) |
金額 (千円) |
増減率 (%) |
社会インフラマネジメント |
19,616,372 |
60.4 |
20,700,814 |
61.4 |
1,084,442 |
5.5 |
国土保全コンサルタント |
11,120,339 |
34.2 |
10,796,001 |
32.1 |
△324,337 |
△2.9 |
その他 |
1,769,970 |
5.4 |
2,177,386 |
6.5 |
407,416 |
23.0 |
合 計 |
32,506,681 |
100.0 |
33,674,202 |
100.0 |
1,167,521 |
3.6 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況の分析・検討内容
当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、必要に応じて会計上の見積りを行っております。この会計上の見積りは、過去の実績や現在の状況に応じて合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性を有しているために実際の結果とは異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積りは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が会計上の見積りに与える影響については「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 経営成績等の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フロー
「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.財務政策について
当社グループでは2001年6月より資金効率を最大限に高めるようキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しております。
また、当社は資金調達の機動性及び長期的な安定性の確保を目的に2020年12月25日付けで、取引金融機関7社との間で80億円の長期コミットメントライン契約(2021年4月~2024年3月)を締結いたしました。当連結会計年度の運転資金及び設備投資資金については内部資金又は短期の借入れにより調達しており、健全な財務状態を維持しております。
当社グループの成長を維持するための将来必要な運転資金及び設備投資資金は手許金及び営業キャッシュ・フローにより生み出すことが可能であると考えております。
お知らせ