業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、ワクチン接種の進展等により社会経済活動が正常化していく動きも見られるものの、新たな変異株拡大懸念に加え、地政学リスクによる資源価格の高騰、世界的な半導体等の部品不足など、様々な景気下振れリスクが残り、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような状況下、当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

 当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金の増加等により前連結会計年度末比13,676百万円増の66,137百万円となりました。負債は、未払法人税等の増加等により前連結会計年度末比1,803百万円増の36,254百万円となりました。純資産は、利益剰余金の増加等により前連結会計年度末比11,873百万円増の29,882百万円となりました。この結果、自己資本比率は34.3%から45.2%になりました。

 

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は前年同期比18,717百万円増収(+99.1%)の37,597百万円、営業利益は前年同期比14,599百万円増益の13,366百万円、経常利益は前年同期比14,879百万円増益の13,550百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比13,034百万円増益の11,848百万円となりました。

 

当社グループのセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。

① 外航海運事業(ロジスティクス)

外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による下落から回復し、損益分岐点を大きく上回る水準で推移いたしました。

このような状況下、当社グループの外航海運事業におきましては、ハンディ船市況の大幅な上昇等により売上高は前年同期比18,629百万円増収(+179.6%)の29,001百万円、セグメント利益は前年同期比14,738百万円増益の12,028百万円となりました。

セグメント資産は、燃料価格の高騰による貯蔵品の増加等により前連結会計年度末比432百万円増加し、25,908百万円となりました。

② 倉庫・運送事業(ロジスティクス)

物流業界におきましては、貨物保管残高は前年同期をやや下回る水準で推移し、貨物取扱量は前年同期と概ね同水準で推移いたしました。このような状況下、当社グループの倉庫・運送事業におきましては、連結子会社の引越業において、新型コロナウイルスの感染拡大により需要の低迷が継続しておりますが、事務所移転の取扱高の持ち直しにより、売上高は前年同期比171百万円増収(+4.4%)の4,075百万円となりました。セグメント損益は、上述した事務所移転の取扱高の持ち直しや、倉庫事業における新設倉庫への集約移転に伴う既存賃貸倉庫解約による賃借費の減少等により、前年同期比176百万円改善し、21百万円の損失となりました。

セグメント資産は、減価償却費及び一部資産の固定資産除却損の計上等により前連結会計年度末比278百万円減少し、4,795百万円となりました。

③ 不動産事業

都心部の賃貸オフィスビル市況は、低水準で推移しておりました空室率が上昇しており、今後も、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとしたテレワークの普及により、オフィス需要の鈍化が懸念されます。その一方で、東京23区の賃貸マンション市況については引き続き堅調に推移しております。このような状況下、当社グループの不動産事業におきましては、既存賃貸物件は概ね安定して高稼働を維持しておりますが、シェア型企業寮である月島荘はその特性から稼働率が低下しており、売上高は前年同期比83百万円減収(△1.8%)の4,520百万円、セグメント利益は前年同期比65百万円減益(△2.6%)の2,423百万円となりました。

セグメント資産は、主に既存賃貸物件の減価償却費の計上等により前連結会計年度末比173百万円減少し、13,065百万円となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益13,532百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失1,394百万円)を計上したこと等により、前連結会計年度末と比較して13,097百万円増加し、20,235百万円となりました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動の結果として得られた資金は、16,766百万円(前年同期比589.6%増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益13,532百万円、非資金損益項目である減価償却費3,297百万円等によるものです。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動の結果として使用した資金は、1,740百万円(前年同期比62.4%減)となりました。これは主として、固定資産の取得による支出等によるものです。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動の結果として使用した資金は、2,889百万円(前年同期は65百万円の資金の使用)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び調達等によるものです。

 

(3)生産、受注及び販売の状況

①売上高

当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

外航海運事業(百万円)

29,001

279.6

倉庫・運送事業(百万円)

4,075

104.4

不動産事業(百万円)

4,520

98.2

合計(百万円)

37,597

199.1

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当連結会計年度において、外航海運事業の売上高に著しい変動がありました。これは主として、外航海運事業におけるハンディ船市況の大幅な上昇によるものです。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上高及び当該売上高の総売上高に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

 CFGC FOREST MANAGERS (NZ) LIMITED

815

4.3

4,165

11.1

 東急住宅リース㈱

2,262

12.0

2,303

6.1

 

 

②船舶の稼働状況

船名

第101期(2020年4月1日~2021年3月31日)

第102期(2021年4月1日~2022年3月31日)

総日数(日)

稼働日数(日)

稼働率(%)

補足

総日数(日)

稼働日数(日)

稼働率(%)

補足

KEN GOH

365

360

99

 

365

332

91

6月 定期検査

KEN REI

365

360

99

 

365

318

87

8月 定期検査

KEN MEI

365

360

99

 

365

317

87

5月 中間検査

KEN HOU

365

362

99

 

365

335

92

 

KEN SEI

365

347

95

5月 定期検査

365

362

99

 

KEN TOKU

365

332

91

8月 定期検査

365

362

99

 

KEN KON

365

365

100

 

365

319

87

5月 中間検査

KEN EI

365

362

99

 

365

299

82

8月 中間検査

KEN SHIN

365

362

99

 

365

361

99

 

KEN JYO

365

361

99

 

365

343

94

11月 中間検査

KEN HOPE

365

317

87

10月 定期検査

365

361

99

 

KEN BOS

365

364

100

 

365

332

91

2月 中間検査

KEN ANN

365

363

100

 

365

362

99

 

KEN BREEZE

365

233

64

臨時修繕

365

363

99

 

KEN SPIRIT

365

352

96

 

365

324

89

12月 定期検査

KEN RYU

365

360

99

 

365

335

92

1月 定期検査

KEN UN

365

290

80

12月 定期検査・船名変更

365

361

99

 

KEN YO

365

338

93

9月 中間検査

365

365

100

 

KEN VOYAGER

365

289

79

9月 定期検査

365

365

100

 

KEN SKY

365

343

94

9月 定期検査

365

364

100

 

KEN VISTA

365

362

99

 

365

340

93

9月 定期検査

KEN HARU

15

15

100

3月 竣工

365

364

100

 

他社定期用船

1,157

1,151

99

 

1,857

1,848

100

 

合計又は平均

8,837

8,350

94

 

9,887

9,431

95

 

 

 

③主要品目別輸送量

船名

第101期

(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)

木材

(キロトン)

穀物

(キロトン)

肥料

(キロトン)

セメント

(キロトン)

石炭

(キロトン)

その他

(キロトン)

合計

(キロトン)

KEN GOH

145,258

145,258

KEN REI

69,172

29,949

99,121

KEN MEI

26,330

28,350

68,631

123,310

KEN HOU

82,443

47,000

129,443

KEN SEI

29,153

29,153

KEN TOKU

27,417

44,001

71,417

KEN KON

94,044

30,671

42,008

166,723

KEN EI

94,737

94,737

KEN SHIN

83,058

60,162

25,400

168,620

KEN JYO

151,223

34,562

27,872

28,512

242,168

KEN HOPE

134,033

26,834

160,867

KEN BOS

188,768

32,534

26,881

248,183

KEN ANN

192,770

34,193

32,932

259,895

KEN SPIRIT

26,500

29,800

31,533

87,833

KEN RYU

96,503

30,626

51,896

30,410

209,435

KEN UN

31,550

31,550

KEN YO

33,000

33,000

KEN VOYAGER

66,000

37,000

103,000

KEN SKY

24,669

39,000

42,830

106,499

KEN VISTA

154,740

63,413

218,153

KEN HARU

25,000

25,000

他社定期用船

71,300

66,000

55,408

105,799

298,508

合計

987,208

868,371

284,777

280,983

174,408

456,124

3,051,871

(注)上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。

 

 

 

船名

第102期

(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

木材

(キロトン)

セメント

(キロトン)

肥料

(キロトン)

穀物

(キロトン)

アルミナ

(キロトン)

その他

(キロトン)

合計

(キロトン)

KEN GOH

160,825

160,825

KEN REI

101,546

30,540

27,945

24,000

184,031

KEN MEI

28,350

82,849

101,000

212,199

KEN HOU

25,786

28,050

53,836

KEN TOKU

27,954

47,198

75,153

KEN KON

67,700

13,000

80,700

KEN EI

28,519

34,801

63,320

KEN JYO

112,073

65,590

29,900

35,000

242,563

KEN HOPE

100,191

30,490

56,587

61,090

248,358

KEN BOS

192,432

68,483

260,915

KEN ANN

192,460

34,944

227,404

KEN SPIRIT

68,196

68,196

KEN RYU

129,605

129,605

KEN UN

74,321

33,000

107,321

KEN YO

35,050

35,050

KEN VOYAGER

66,832

66,832

KEN SKY

22,500

16,237

55,500

94,237

KEN VISTA

154,022

31,441

67,000

252,463

KEN HARU

113,435

35,888

52,825

202,149

他社定期用船

456,136

77,000

62,666

46,274

37,000

199,186

878,262

合計

1,712,725

602,744

341,064

331,861

139,000

516,025

3,643,418

(注)上記は、当社の自社運航による輸送量のみを記載し、他社への貸船による輸送量は除外しております。

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は中期経営計画「Beyond120」の2年目となりました。

外航海運事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、中期経営計画公表後の海運市況は順調に回復し、売上高、営業利益において、計画値を上回りました。

倉庫・運送事業におきましては、売上高は若干減少したものの、カイゼン活動によるコストコントロールの効果によって、営業損益において、計画値を上回りました。

不動産事業におきましては、既存賃貸物件は概ね安定して高稼働を維持しておりますが、シェア型企業寮である月島荘はその特性から稼働率が低下しております。

① 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金の増加等により、前連結会計年度末比13,676百万円増の66,137百万円となりました。

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、未払法人税等の増加等により、前連結会計年度末比1,803百万円増の36,254百万円となりました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末比11,873百万円増の29,882百万円となりました。

② 経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、前年同期比18,717百万円増収(+99.1%)の37,597百万円となりました。これは主として、外航海運事業におけるハンディ船市況の大幅な上昇等によるものです。外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による下落から回復し、損益分岐点を大きく上回る水準で推移しました。その結果、年間平均のハンディ船市況は前連結会計年度を大きく上回る水準(平均1日あたり約22,000ドル)となりました。

 セグメント別の売上高については、「1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は、前年同期比14,599百万円増益の13,366百万円となりました。これは主として、外航海運事業におけるハンディ船市況の大幅な上昇によるものです。また、倉庫・運送事業における引越取扱高の減少や一部文書倉庫閉鎖における賃借費の減少等によるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比13,034百万円増益の11,848百万円となりました。これは主として、前連結会計年度において計上した文書倉庫の減損損失59百万円が剥落したことに加え、当連結会計年度において、法人税等合計1,683百万円を計上した影響等によるものであります。

 

 

 今後の見通しにつきましては、外航海運事業では新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により一時は大きく下落した市況も現下は回復し高水準で推移しており、今後も物流混乱による世界各地での滞船、船員交代の為の離路や検疫強化による船舶不稼働の継続、EEXI規制による運航速度制限等により船舶稼働が抑制され、市況を下支えすることが想定されます。一方、ロシアのウクライナ侵攻長期化による世界経済の疲弊、インフレ抑制に向けた各国の金融引き締めによる景気減速、中国のゼロコロナ政策継続による経済の停滞、台湾海峡等の潜在的地政学リスク、港湾の混雑緩和による需給環境の正常化等が考えられ、不確実性が高まっております。

 倉庫・運送事業では、一般貨物や文書保管に係る倉庫事業においては、新型コロナウイルスの影響は限定的であるものと見込んでおります。他方、需要が減退している引越事業においては、事務所移転の取扱高は概ね新型コロナウイルス禍前の水準まで持ち直しているものの、転勤引越需要の減少等の影響を引き続き受けており、予断を許さない状況が続いております。そのような状況の中、コストを抑えつつも、社会課題となっているドライバーの高齢化や人材不足等の課題に対しても取り組み、安全で働き甲斐のある労働環境づくりを推進し、需要の回復に備えていきます。

 不動産事業では、新型コロナウイルス対策や働き方改革に伴うテレワークの増加等により都心部の賃貸オフィスビルの空室率が上昇しておりますが、現時点における当社賃貸物件への影響は限定的なものであります。また、シェア型企業寮である月島荘はその特性から稼働率が低下しておりますが、当社グループの業績に与える影響は大きくありません。

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

② 財務政策

当社グループは、外航海運事業において、米ドル建てによる収入を得る一方で、従業員に対する給与の支払など円建てによる支出もあるため、為替変動による影響を受けやすい環境にあります。そのため、円・米ドル双方の通貨建てによる収益がある場合には、双方の通貨を多く保有することで、為替変動による資金効率の悪化を抑えることとしており、当社の現預金の保有は、他業種と比較して、事業規模に比して多くなる傾向にあります。また、運賃市況が悪い時は、船価は低く、絶好の船舶購入の機会が到来しますが、運賃市況の低迷時には、融資案件を成約させるのは大変な苦労が伴うため、円・米ドル双方の一定の現預金を保有して、商機を逃さないよう準備を整えております。

なお、当社グループは、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行5行と当座貸越契約を締結しております。当連結会計年度末における当座貸越契約に係る借入未実行残高は500百万円であります。

また、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は27,120百万円、現金及び現金同等物の残高は20,235百万円となっております。

③ 資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、船舶の購入や重要な不動産資産の資産価値の維持等に係る設備資金、運転資金、借入金の返済、配当金の支払い等であります。また、容積率に余裕のある「プラザ勝どき(賃貸マンション)」において、建替えにより床面積を大幅に増加させ、将来の中長期的な収益性を向上させるべく、現在、大型再開発の検討を進めております。資金計画等については何ら決定した事実はありませんが、現状、工事費のみで数百億円規模となることが見込まれており、その実現に向けた資金面での備えが必要となります。

④ 資金調達

当社グループは現在、運転資金については内部資金又は金融機関からの短期借入金により充当し、設備資金については、設備投資計画に基づき、調達計画を作成し、内部資金又は金融機関からの長期借入金により調達を行っております。また、主要な取引先金融機関とは良好な取引関係を維持しており、当社保有の不動産資産の一定の含み益を背景に、超長期に資産から資金を抽出するアセットバックローンや、不動産資産の含み益を活用したファイナンス等、当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保し、事業の基盤を整えております。

 

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、「第5 経理の状況」の「1.連結財務諸表及び財務諸表の作成方法について」に記載のとおり、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の会計上の見積りが当社グループの財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。

 

① 固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業所別等の管理会計上の区分を単位としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

2022年3月31日現在のセグメントごとの有形固定資産及び無形固定資産の帳簿価額は以下のとおりです。

セグメント

主な資産

金額(単位:百万円)

外航海運事業

船舶等

19,192

倉庫・運送事業

倉庫用の土地、建物及び構築物等

3,499

不動産事業

賃貸住宅や賃貸オフィス用の建物及び構築物等

12,972

その他

全社資産

143

 

35,808

(外航海運事業)

 当社保有船舶全船を1船団としてグルーピングを行っております。今後、海運市況の悪化等により固定資産の収益性が低下した場合は、減損損失の計上の可能性があります。

 なお、2016年3月期において、主に船舶について13,960百万円の減損損失を計上しております。この際の回収可能額は正味売却価額により測定しており、第三者により合理的に算定された評価額により算定致しました。

(倉庫・運送事業)

 主に事業所別にグルーピングを行っております。収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。

(不動産事業)

 主に事業所別にグルーピングを行っております。新型コロナウイルス感染症拡大による不動産市況の先行き懸念はあるものの、当社保有物件は簿価に比して多くの含み益を有しており、多額の減損損失の計上の可能性は低いものと認識しております。

 

② 繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の回収可能性が低下した場合に評価性引当額を計上することとしております。評価性引当額の計上に関する必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得及び慎重かつ実現性の高い継続的な税務計画を検討しますが、繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を収益として計上します。

当連結会計年度末においては繰延税金資産を540百万円計上しております。詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

 

③ 航海日割基準に基づく収益認識

当社グループは、期末日を跨ぐ航海(期跨り航海)については、各航海の海運業収益総額に、見積総航海日数に対する期末日時点の進捗率を乗じて見積り計上しております。海運業収益の測定方法に含まれる総航海日数の見積りは、将来の航行スケジュールや予想停泊期間等の仮定を用いておりますが、将来の航行スケジュールは見積りの不確実性が高く、気象海象や港の混雑状況等によって変動します。総航海日数が変動した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。また、航海完了後に見積りと実績の比較を行い、見積りの合理性を確認しております。

当連結会計年度において航海日割基準に基づき計上した海運業収益の金額は1,629百万円であります。詳細につきましては「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。

 

(4)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、2020年度8月に中期経営計画(計画期間:2020年4月~2023年3月)を策定しております。計画の概要は、当社ホームページをご参照ください。

(https://ssl4.eir-parts.net/doc/9308/ir_material3/145286/00.pdf)

中期経営計画の2年目である当連結会計年度の達成・進捗状況は次のとおりであります。

指標

計画値

実績値

計画比

売上高

20,822百万円

37,597百万円

16,775百万円

営業利益

74百万円

13,366百万円

13,292百万円

親会社株主に帰属する

当期純利益

△128百万円

11,848百万円

11,976百万円

ROE(自己資本利益率)

△0.8%

49.5%

50.3ポイント

売上高は、計画比16,775百万円増収(+80.6%)の37,597百万円となりました。これは、主に外航海運事業において、ハンディ船市況回復による増収要因があったこと等によるものであります。2021年度のハンディ船市況は、平均1日あたり約22,000ドルであり、計画値8,300ドルを上回りました。

営業利益は、外航海運事業におけるハンディ船市況が回復した影響等により、計画比13,292百万円増収の13,366百万円となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益の影響に加え、為替差益338百万円及び法人税等合計1,683百万円を計上した影響等により、計画比11,976百万円増益の11,848百万円となりました。

ROEは、当期純利益の増加により計画比50.3ポイント増加し49.5%となりました。

 

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