課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は、2020年8月に中期経営計画(計画期間:2020年4月~2023年3月)を策定しております。計画の詳細は、当社ホームページをご参照ください。

(https://www.inui.co.jp/ir/library/managementplan.html)

 なお、本項における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.経営の基本方針

 当社の経営の基本方針については、①資産の力を事業の力に、②カイゼンは宝、③「らしさ」の追求、という3つを定めております。

 ① 資産の力を事業の力に

 勝どき・月島の不動産施設は収益力と資金調達力に優れた資産です。そして、外航海運も倉庫も資本投下型の事業です。これらの景気波動が異なる事業資産を組み合わせることで可変性のある資産ポートフォリオを形成し事業の基盤を支えていきます。

 ② カイゼンは宝

 我々の事業には現場があります。だからこそ、カイゼンは、全社員の共有化された価値(Shared Value)となりました。我らのカイゼンはステークホルダーを巻き込んだ全体最適を志向しています。日常化したカイゼンは弛まぬ前進を支えます。

 ③ 「らしさ」の追求

 当社の「らしさ」は少しずつ目に見えてわかるようになってきました。どれもこれも商売と真っ正面に向き合い、地道な努力を練り込みながら作り上げています。ちょっとやそっとでは壊れません。「らしさ」は差別化の源泉です。他と違うことを恐れず、素直に独自性を追求する、それが我々の存在意義であり、競争力です。

2.経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 ① 経営環境

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中、ワクチン接種の進展等により社会経済活動が正常化していく動きも見られるものの、新たな変異株拡大懸念に加え、地政学リスクによる資源価格の高騰、世界的な半導体等の部品不足など、様々な景気下振れリスクが残り、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 外航海運事業におけるハンディ船市況は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による下落から回復し、損益分岐点を大きく上回る水準で推移いたしました。

 倉庫・運送事業に関連し、物流業界におきましては、貨物保管残高は前年同期をやや下回る水準で推移し、貨物取扱量は前年同期と概ね同水準で推移いたしました。

 不動産事業に関連し、都心部の賃貸オフィスビル市況は、低水準で推移しておりました空室率が上昇しており、今後も、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとしたテレワークの普及により、オフィス需要の鈍化が懸念されます。その一方で、東京23区の賃貸マンション市況については引き続き堅調に推移しております。

 ② 中長期的な会社の経営戦略

 1)外航海運事業

・事業方針

船隊の最適活用へ

・施策

大切な商売道具である船の「ご長方·お達者」は、環境規制対応で新造船発注が難しくなってきた時流に良く合います。揚げ地から積み地への空荷航海の極小化を目論む「BABA」はVIBとスクラバ一搭載船で更なる進化を日指します。船隊の安全運行管理を促進させるSCS(Ship-Communication-System)を使い「洋上のカイゼン」に挑み、また、国外営業拠点の新設も計画しました。

 2)倉庫・運送事業

・事業方針

新たなロジスティクスバリューの創出

・施策

着荷主までを巻き込んだ配送のムラ取り「バラちらし」は、名誉ある賞を授けてくれました。逆風下でも力強く進める力があります。多くの企業とNetworkを構築したり、協業したり、情報共有する仕掛けを開発し、促進させています。そして何より、Fun to Workを掲げる我等の現場は今日も元気です。

 

 3)不動産事業

・事業方針

「住み心地」の提供

・施策

資金調達力と日々の収益という重要な役目を長期安定的に果たすには、勝どきが永続的に「良い街」でなくてはなりません。余剰容積のある施設の再開発計画の検討に着手していますが、急がず慌てず周辺開発や既存の街との調和を良く見ながら新しい「良い街」を考えていきます。日指すのは「住まう人」とつくる「住み心地」です。

3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社の業容であるハンディ船の船腹は、今後も続く大型の環境規制を考慮しますと、新規供給が難しい環境にあり、緩やかながら減少することが予想されます。世界に遍在しており、世界人口の増加と強い相関を持つバルク資源材は、世界の平和を前提とした場合には緩やかに需要が増加します。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により一時は大きく下落した市況も、現下は回復し高水準で推移しておりますが、ロシアのウクライナ侵攻長期化による世界経済の疲弊、インフレ抑制に向けた各国の金融引き締めによる景気減速、中国のゼロコロナ政策継続による経済の停滞、台湾海峡等の潜在的地政学リスク、港湾の混雑緩和による需給環境の正常化等が考えられ、不確実性が高まっております。船腹供給とバルク材需要の大きなシナリオは変わらないものの、不定期なマイナスの影響を如何に小さくするかも重要です。前中期経営計画(計画期間:2017年4月~2020年3月)では、需要の収縮に弱い長期借船を大きく減じてきたことで耐力も向上されてきました。既存自社船隊を中心に環境規制に対応できる船隊の整備を進めてきた経緯を踏まえ、今後もより一層の長寿命化と効率配船を軸とした船隊の最適活用や安全運航管理の促進等の施策を推進してまいります。

 また配当方針については、運賃市況のボラティリティの高い外航海運事業と、中長期視点で景気波動の異なる倉庫・運送事業及び不動産事業という3つの事業セグメントからなる当社の事業特性を踏まえた、以下に記載の従来の方針を継続します。

・従来どおり「良いときは笑い、悪いときにも泣かない」方針とします。

・業績に応じて、良いとき、悪いときの判断基準を定め、「悪いとき」には減配もありますが、無配を前提にはしません。

・また、「良いとき」には配当性向の累進による増配を提案してまいりたいと考えます。

 

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