事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態及び株価等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、本項における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(特に重要なリスク)

(1)船舶の安全運航、環境問題によるリスク、または、海難事故によるリスク

油濁事故等の船舶の重大事故は、自然環境や、世界の安定航海に良くない影響を与えます。当社船隊におきましては、安全な運航は最上位に位置付けられておりますが、船舶管理は、そもそも遠隔の管理であり、また、自然を相手にする場合も多く、安全を守るのが大変難しい業務です。コロナ禍の現下の状況においては、先ずは、適切な船員交代を第一の課題として注力するとともに、中長期的視点での管理体制のデジタル的進化を確立させるべく中期経営計画に沿った検討を促進しております。

 

(2)事業環境変動のリスク

外航海運事業においては、世界各国の経済動向、政治的・社会的要因が事業に影響を及ぼす可能性があります。特に主要な船舶の就航区域である、中国、アメリカ、大洋州(またはオセアニア)、ASEANの景況は運賃及び不定期船市況に影響を及ぼします。2022年度も、引き続き高騰する市況の恩恵を受けながらも、荷主企業とのより良い関係の再構築を兼ねて、1年未満の中長期貸船や連続航海を前提とした契約獲得を推進し、好業績を確実なものとする施策を推進中です。

 

倉庫・運送事業においては、景気動向の変化及び顧客企業の物流コスト抑制・事業再編等が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社は、安定的な収益を上げている文書保管・トランクルーム事業において、新たな文書保管施設を建設し、既存施設からの集約を行うことで、収益性向上を図っております。

 

不動産事業においては、首都圏における賃貸市場の需給バランスの変化や市況動向等の影響を受ける可能性があります。

 

(3)自然災害、人災等によるリスク

当社グループは、外航海運事業、倉庫・運送事業、不動産事業を展開するにあたり、多くの船舶や施設を有しております。そのため、地震、暴風雨、洪水その他の自然災害、事故等が発生した場合には、船舶や施設の毀損等により、当社グループの事業に悪影響を及ぼし、また、所有資産の価値の低下につながる可能性があります。

特に、不動産事業においては、所有する施設が勝どき・月島エリアに集積していることから、このエリアで大規模災害が発生した場合には、不動産事業に甚大な支障を来たす可能性があります。そのような状況において、当社は、収益の多くを勝どき・月島エリアに頼る構造となっているため、会社事業への影響悪化も甚大となる可能性があります。再開発時には、地震に対して強い構造への変換(2004年制震、2013年低層)を念頭におき、次なる再開発の計画を進めております。また、主導的積極的に、住民と共に災害への備えを行っております。

 

(4)資産価格変動のリスク

当社グループが保有する資産(船舶、土地、建物、投資有価証券等)の収益性や時価が著しく下落した場合には、減損または評価損が発生する可能性があります。

当連結会計年度において、投資有価証券の時価が下落したことによる投資有価証券評価損(9百万円)を特別損失として計上しております。今後収益性や時価が更に下落した場合には、減損または評価損が発生し、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、不動産資産については、その担保価値を利用して資金調達を行っており、資産価値が下落した場合には資金調達へ影響を及ぼす可能性があります。

 

(重要なリスク)

(1)各種規制変更のリスク

当社グループは、現時点の規制及び基準等に従って事業を展開しております。将来における規制及び基準等の変更並びにそれらによって発生する事態が、当社グループの業務遂行及び業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

(2)金利変動のリスク

当社グループの設備資金及び運転資金は、その大部分を金融機関より調達しております。調達した資金の金利リスクについては、金利スワップ取引による金利の固定化や有利子負債の削減等でヘッジするべく努めておりますが、変動金利で調達している資金については、金利変動の影響を受ける可能性があります。また、金利の変動により、将来の資金調達コストに影響を与える可能性があります。

 

(3)情報システムのリスク

当社グループは、基幹業務システムについて情報セキュリティや自然災害に対する安全対策をとる等、コンピューターの運用を含めた安全管理を図り不正アクセスを防止・監視する管理体制をとっておりますが、外部からの不正侵入により当社に重大な損害が発生する可能性があります。

 

(4)船舶の安全運航、環境問題

当社グループは、SOLAS条約(海上人命安全条約)に基づくISMコード(International Safety Management Code/国際安全管理規則)及びISPSコード(International Ship and Port Facility Security Code/国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律)等の条約適合証書を取得し、それらをグループ内に浸透させ運用しております。また、当社は2006年6月に環境マネジメントシステムについての国際規格である「ISO14001」の認証を取得し、安全管理に加えて環境管理の面においても強化を図っておりますが、海難事故発生時には、当社グループの主要な事業資産である船舶の破損により物理的被害が生じると同時に、人的被害及び環境破壊が発生する可能性があります。

また、油濁事故等による海洋汚染が発生した場合、当社グループの外航海運事業及び業績に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)為替レートの変動

当社グループにおける外航海運事業の売上高の大部分は、米ドル建ての運賃及び定期貸船料が占めております。一方で、運航費や用船料(借船料)、船員費・潤滑油費等の主な費用については米ドル建ての割合が高いものの、国内で発生した船舶修繕費や一般管理費の多くが円建てであります。費用のドル化を進めているものの、米ドル建て収入と米ドル建て費用の収支のバランスによって、米ドル建て取引の円換算時において、為替変動が損益に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、為替換算の実現差損の縮小を図るため、円売りドル買いやドル売り円買いの為替取引を極力行わないよう円資金とドル資金それぞれでの資金繰り管理を行っております。一方で、急激な円安局面は、将来の円資金需要確保のためのドル売り円買いを行う好機であると認識しております。

また、当社グループは、外貨建ての資産及び負債を保有しており、その資産と負債の差額が、為替変動によって、決算時評価損益として収支に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)船舶燃料価格の変動

船舶運航に必要な船舶燃料については、SPOT契約においては都度足元の燃料価格あるいは船舶が保有する燃料価格に基づき運賃を算出しているため、燃料価格変動を運賃へ転嫁しております。しかし、急激に変動した場合は、運賃へ転嫁できず運航船の収支に影響を及ぼす可能性があります。そのため、燃料価格が国内に比べ安価なシンガポール等で調達することや、先物予約によるヘッジにより、燃料費の安定化に努めております。

 

(7)借入金の財務制限条項

当社グループの借入金の一部には、財務制限条項が付されているものがあり、これに抵触した場合には、期限の利益喪失等、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)新型コロナウイルス感染症によるリスク

外航海運事業においては、新型コロナウイルス感染症による船員交代が最大の問題となっております。乗下船国での出入国規制等により、スムーズな乗組員交代が出来ない状況が継続しております。乗船の長期化による乗組員の身体面、精神面での不調が発生するリスクが高まり、その結果、安全航行への懸念も強まります。そのため、当社においては、配船を工夫しながら船員交代が可能な港(主にフィリピン)に離路して交代を行っております。また、突発的な船舶の機器不良等の緊急修理が必要な事態においても、機器の搬送や技師の派遣が難しい状況にある等、安定した安全航行を維持するのが厳しい環境にあります。

倉庫運送事業においては、特に引越業が、国内の外出規制等により人の移動が減少することに伴う引越需要の減少により、大きな影響を受ける可能性があります。

 

不動産事業においては、シェア型企業寮、月島荘においては、その物件特性からクラスター感染発生のリスクが否めません。特段の注意をしながら、契約企業と入寮者の協力を得ながら、感染リスクの低下に努めております。しかしながら、その物件特性から、入居率低下のリスクは存在します。また、新型コロナウイルス対策や働き方改革に伴うテレワークの増加等により都心部の賃貸オフィスビルの空室率が緩やかに上昇しておりますが、現時点における当社賃貸物件への影響は限定的なものであります。また、特に影響を受けやすい商業店舗は、売上高に占める割合が極めて小さいため、影響は軽微であると認識しております。

また、当社グループは、在宅勤務の導入、時差出勤など感染拡大防止の措置を講じておりますが、従業員が新型コロナウイルスに感染し、社内での感染が拡大した場合には、円滑な業務遂行に影響が生じる可能性があります。

 

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