本書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する項目のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある重要な項目を記載しております。また、当社が必ずしも事業等のリスクとは考慮していない項目についても、投資者に対する情報開示の観点から記載しております。
なお、文中の将来に関する項目は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社が属する通販物流業界は、EC市場の拡大、ネットショッピング利用者の増加、スマートデバイスの普及等により成長を続けてまいりました。このような傾向は今後も継続していくものと考えておりますが、セキュリティの脅威や法規制、その他の予期せぬ要因等によってEC市場の成長が阻害される状況が生じた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は営業力を強化し、有望分野を中心に新規顧客を継続的に獲得していくことで、主要顧客の売上高の変動による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
当社が属する通販物流業界は、EC市場の拡大に伴い、それを好機として競合他社は増加しつつあります。当社の提供する物流代行サービスや運営代行サービスは、通販事業者が満足する品質や価格の提供を維持することに努めており、競合他社が増加しつつあるものの、当社事業は順調に拡大しております。
しかしながら、競合他社との品質や価格等の競争が激化した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は従業員に対し、品質や業務効率の向上を目的とした改善提案活動を推奨しており、日々の創意工夫を実作業に反映し共有していく取り組みを継続しております。また、試験的ではあるものの自動搬送ロボット(AGV)、製函機や封函機の導入による「自動化・半自動化」を進めており、競合他社に対して品質や価格で対抗できる体制を整備し続けることで、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
当社の通販物流事業は、宅配事業者に宅配サービスを委託し、購入者に商品を届けることができることでサービスの提供が成り立っております。現在、宅配事業者を取り巻く市場環境は、重労働問題や雇用情勢改善による人手不足もあり、労働者の賃金値上げにより、当社も運賃値上げ等の影響を受けております。当社の宅配サービスの外注先については、大手宅配事業者に委託する割合が相対的に大きく、これらの会社が何らかの事情で宅配事業が行えなくなることやこれらの会社との取引ができなくなる可能性はゼロではありません。
このようなリスクを踏まえ、当社は既存の大手宅配事業者との継続的な交渉、他の大手宅配事業者や地域宅配事業者の新規開拓等に努めておりますが、これらの施策にも係わらず、運賃値上げや宅配個数制限の影響を回避できなかった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社の通販物流事業は、拠点であるFCを賃貸借するにあたり、主に貸主と賃貸借契約を締結しております。定期賃貸借契約においては、契約期間中は解約できない旨が定められておりますが、契約期間満了後は貸主の意思等により必ずしも更新されるとは限りません。普通賃貸借契約においては、解約予告期間が定められており、貸主の都合等により中途解約が可能となっております。これらの賃貸借契約が何らかの要因で継続できない状況となった場合は、新規FCの開設や既存FCを活用する方針であります。
しかしながら、代替拠点を確保できない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ FCの賃借料上昇のリスク
当社の通販物流事業は、④に記載のとおり、拠点であるFCを賃貸借するにあたり、主に貸主と賃貸借契約を締結しております。なお、定期賃貸借契約においては契約更新時、普通賃貸借契約においては契約期間中に、相場環境の上昇を理由に賃借料の引き上げを求められることが考えられ、その場合には適正な賃借料を検証し、貸主と協議を行ったうえで、賃借料の決定、契約の解約又は更新の可否を行う方針であります。しかしながら、貸主との協議にも係わらず、賃借料上昇に伴う価格の引き上げを通販事業者にご理解頂けない場合や契約の解約又は終了により、これに代替するFCの確保が困難となった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は既存貸主、物流不動産仲介会社及び金融機関から物流不動産情報を常時収集し、次のFC開設計画が滞ることがないよう努めており、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
なお、本書提出日現在、当社が賃借しているFC1件について、賃貸人から建物賃料増額等請求事案を提起されております。当社は、顧問弁護士と協議の上、妥当と判断する賃借料の増加金額を未払費用として計上しておりますが、賃貸人の請求を全面的に認める判決となった場合、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社の通販物流事業は、「倉庫業法」、「貨物利用運送事業法」、「個人情報保護法」等の法的規制が存在します。当社では、上記を含む各種法的規制について、法令遵守体制の整備・強化及び社員教育を行っております。
本書提出日現在において各種許認可等の取消事由は発生しておりませんが、今後新たな法令の制定や既存法令等の改正又は解釈の変更が行われ、当社が新たな規制に適時適切に対応することができない場合、許認可等の取消を受けた場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
現在、6つのFCは倉庫業法に基づく営業倉庫として、1つのFCは貨物利用運送事業法に基づく保管施設として許認可を受け、運営を行っております。
このようなリスクを踏まえ、当社はこれらの法令規則の改正又は解釈の変更については、顧問弁護士等に相談しつつ対応していくことにしております。例えば、通販事業者から新たな商品を預かることとなった場合、その商品の取り扱いにおいて許認可等の要否を当該通販事業者に確認し、場合に応じて顧問弁護士等に確認の上、取り扱いを開始することとしており、行政処分等により業務運営に支障をきたすことがないように留意しております。
当社は、今後のEC市場に伴う当社事業の需要拡大に備え、FCの新設や既存FCの機能強化等を目的とした設備投資を行っております。FCの新規開設を行った場合には、新規投資に見合う水準までFCの稼働率が上昇するまでに一定の期間を要するほか、借入面積の増加に伴う賃借料負担の増加や新FC立上げに伴う人員増強のための労務費増加等の先行投資が発生するため、一時的に営業損益の低下要因となる傾向があります。
さらに、事業環境の予期せぬ変化等により、計画した成果や資金回収が得られない場合又は資産が陳腐化した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は、設備投資案件の内容により、取締役会において、設備投資計画に基づく十分な検討を行った上で投資の意思決定をしており、また、投資実行後も定期的な事業計画の進捗確認を実施し、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
(4) 人材の採用及び育成について
当社事業が、持続的な成長を達成するためには、人材の確保及び育成が重要であると考えております。現在、労働人口の減少や雇用情勢の改善による人手不足の影響もあり、従業員の採用は厳しい状況であります。今後、雇用情勢がさらに悪化し、従業員の採用や育成した従業員の定着が順調に進まなかった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は、人事・教育部門の人員強化を継続して行い、新卒採用による人員の確保や採用手法の多様化への対応や教育制度の整備を継続しております。また、従業員定着率の向上を目指し、福利厚生制度の拡充やワークライフバランスを考慮した働きやすい職場環境づくり等、就業環境の改善に積極的に取り組み、従業員の定着と優秀な人材確保を図ることで、当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
当社は、顧客である通販事業者の商品の配送に関して、購入者の個人情報を含む膨大な注文に関する情報を保有しております。そのため、システム設計、個人情報に関する社内でのアクセス権限の設定等、情報の取り扱いには十分な注意を払っており、ISMS認証(ISO27001)及びプライバシーマークを取得の上、個人情報保護方針及び社内規程を整備し、情報管理体制の運用を強化しております。
しかしながら、不測の事態による個人情報の喪失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社への損害賠償請求や信用失墜による顧客喪失等、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社の事業運営は、倉庫管理システムであるWMS(Warehouse Management System)等、主にインターネットを経由して処理されるよう設計されております。したがって、想定外の自然災害又は事故、コンピューターウィルスによる不正侵入もしくは誤操作等による大規模なシステム障害の発生により業務が停滞した場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は、セキュリティレベルが高いと考えられるサーバーの利用、役職・役割に応じた適切なアクセス権限の設定等、システム障害の未然防止に努めるとともに、万が一のシステム障害の発生の事態に備え、外部機関と連携し対応するシステム部門の人員を継続的に強化し、システム障害による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
当社の代表取締役社長であり、創業者である角井亮一は、経営方針や経営戦略の決定等、当社の事業運営において重要な役割を果たしております。また、当社は特定の個人に過度に依存することがないよう、経営幹部役職者を拡充し、経営人材の育成及び権限委譲を進めております。
しかしながら、同人がなんらかの理由により経営者として業務執行ができなくなった場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は、必要に応じて中途採用による経営幹部の採用を行うとともに教育制度を拡充することで、経営幹部育成を行い、特定人物への依存による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
当社は、リスク管理規程及びコンプライアンス規程に基づき、リスクコンプライアンス委員会を設置し、法令違反等のリスク低減について協議し、その結果を役職員の法令遵守体制の整備・強化及び社員教育に役立てております。
しかしながら、上記に反し当社の役職員が法令違反行為等を行うことや情報管理体制の不備による個人情報の喪失や外部への漏洩事故が発生した場合には、当社への損害賠償請求や社会的信用の失墜等、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は、法的規制に対する情報収集と対応や、情報管理体制を整備し続けることで、訴訟等のリスクの軽減に努めております。その他業務における誤謬、事故や法令違反等についてリスクコンプライアンス委員会に報告・協議するとともに労働基準法やハラスメント防止法に係わる社員教育や内部通報制度の整備等により、重大な事態にならないよう未然防止策の導入を進め続けることで、訴訟等による当社業績への影響の逓減を図ってまいります。
当社は、役職員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。そのため、対象者に付与されている新株予約権が行使された場合には、既存株主の保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、当事業年度末現在における新株予約権による潜在株式数は281,200株であり、発行済株式総数3,481,800株の8.08%に相当します。
当社では、新型コロナウイルス感染症のまん延下においても、社会機能維持に関わる業務である物流代行サービスの提供は通常どおり継続することを基本方針としており、手洗い・うがいの励行、マスク着用やアルコール消毒の徹底、検温と報告体制の構築による体調不良の従業員の即時把握、ウェブ会議の活用等の感染防止対策を実施してまいりました。
引き続き、顧客や従業員の安全確保を最優先に、関係各所と連携し適切に対応してまいりますが、今後さらなる感染が拡大し、終息までの期間が長期化した場合、従業員への感染等によるFCの稼働低下、顧客の業績悪化による債権回収の停滞等により、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社はFCを運営し、顧客の商品の保管・発送業務を行っています。このため、地震や風水害等の災害により、FCが被害を受け、又は輸送経路が遮断されるなどの事態が発生した場合、物流業務が停滞し、当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社は従業員が帰宅できなかった場合の食料品等の備蓄品を各FCに備えており、非常電源を設置しております。また、関東と関西にそれぞれ拠点を配置することで、どちらかの地域で事業が継続できる体制をとっております。経営管理面においては、社内サーバーをクラウド環境にて管理する等の体制を整えております。
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