事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ないは重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性もあるため、当社グループでは、経営及び事業のリスク判断等に必要な情報の共有化に努め、リスクの最小化に取り組んでおります。

 

(1) テレビ放送事業を取り巻く環境変化のリスク

当社グループの売上高の多くの部分を占めるテレビ放送事業収入は、日本経済の動向に大きな影響を受けると考えられる企業の広告費に拠っています。さらに、当社グループを取り巻く環境は急激なスピードで変化しており、スマートフォンやタブレット端末の普及により、テレビの視聴形態が変わりつつあります。また、コンテンツの流通路も多様化しており、他のメディアとの競争も激化しております。テレビ受像機における地上波放送の位置付けが相対化するリスクも考えられます。

また、テレビ放送事業において、視聴率はCMの時間枠販売にあたり、価格を決定する重要な要素の一つとなっており、消費経済活動の低迷は当社グループの業務に大きな影響を与えます。

以上のような複合的な要因の進行により、当社グループの売上高が減少し、コンテンツの多面的な展開に必要な費用を吸収できない場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社では、すべての企業価値の源泉はコンテンツにあるとの基本理念に基づき、当社グループが保有するメディアで360°に展開することで「収益の最大化」につなげてまいります。こうした方針を実現するため、当社グループの中核の子会社である株式会社テレビ朝日の「コンテンツ編成部門」「営業部門」「ビジネス部門」「インターネット部門」をビジネスソリューション本部として一体で運用し、ステークホルダーの要請に適うコンテンツの制作、提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化を進めてまいります。

また、こうした施策を推進するための戦略的な投資を実施してまいります。

 

(2) 新型コロナウイルス感染症の影響に関するリスク

新型コロナウイルス感染症に関しては、厳しい状況は徐々に緩和され、経済活動の再開は段階的に進められております。

当社グループの事業活動においても、前期は大きな影響を受けたテレビ放送事業、音楽出版事業、イベント事業、出資映画事業ともに持ち直しの動きがみられました。しかしながら、コロナ禍は完全な収束には至っておらず、変異株の発生等があれば感染の再拡大により、感染者や濃厚接触者が業務を休まざるを得なくなり、業務遂行に支障や遅れが生じる可能性も残されています。

こうした状況を踏まえて、株式会社テレビ朝日では、引き続き「新型肺炎緊急対策会議」と「緊急対策実施チーム」の下で、放送・事業の継続と感染の拡大防止に向けた様々な措置を講じるなど、当社グループ各社にて各種対策を継続して実施しております。

具体的には、予防の徹底はもとより、構内全域での消毒の実施や入館の規制ルールの徹底、時差出勤・テレワークの活用、社員の体調管理・把握の強化などとともに、感染者が発生した場合に備え、放送継続・事業継続に向けた交代制の勤務シフトも実施しております。また、コンテンツの制作現場では、本番及び打ち合わせで、密閉、密集、密接の、3つの密を避けるとともに、各部署・番組ごとに、作業エリア分けや取材先での感染防止策の徹底、番組制作の観客入れの制限などの措置に加え、収録に際し、検温、消毒の徹底、マイクを共有しない、スタッフのマスク着用などの対策を継続しております。

さらに、当社グループを取り巻く事業環境のあらゆる変化に対応して、ステークホルダーの要請に適うコンテンツの制作、提供、データ・テクノロジーの活用、情報発信の強化の役割を担うことを目的とするビジネスソリューション本部も、新型コロナウイルス感染症の事業上の影響に対して、その機能を発揮しております。

 

(3) 設備・投融資に関するリスク

当社グループは、適切な設備投資及び投融資を継続し、技術水準を維持するとともに、企業競争力の強化に向けた戦略的投資を推進し、コンテンツ制作力の増強並びに魅力的なコンテンツの獲得、メディア戦略の強化などを図っております。

こうした設備・投融資が、安定的かつ更なる利益貢献をするよう投融資の規模、性質、態様などに応じてリスクを判断する社内体制を構築しておりますが、かかる投資が期待されるリターンをもたらすという保証はなく、リターンが想定を下回る場合は、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 個人情報の取り扱いに関するリスク

当社グループは、番組出演者、番組観覧者、視聴者のほか、インターネット事業の会員やショッピング事業の顧客などに関する個人情報を保有しております。また、当社は既存の放送という概念のみに固執せず、インターネット技術を取り込み、視聴者・消費者とアドバタイザーのニーズに応えるため、いわゆるビッグデータの活用にも取り組んでおります。

当該個人情報の取り扱いにつきましては、社内ルールに基づいた管理を徹底し、十分な注意を払っておりますが、不正アクセス、不正利用などにより情報の外部流出が発生した場合には、当社の情報・データ管理に対する信用性が低下し、これらを利用・活用する業務の停滞や当社グループへの信頼性が失われることにより、当該事業や取引から得られる当社の収益、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 自然災害等によるリスク

当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業では、大規模な災害が発生し、放送の継続が困難な状況となる場合や、CMを入れない災害情報番組を放送する場合があります。また、電力不足への対応から、放送時間を短縮する可能性もあります。さらに、地震、大雨、洪水などの自然災害や疫病の発生などにより、事業に必要な設備に被害が発生した場合や社員が被災・罹患した場合、通常の事業継続に影響が出る可能性があります。当社では、災害対策マニュアルや事業継続に向けたシミュレーション、社員安否確認システムの構築、防災訓練などの対策を講じておりますが、自然災害等による影響・被害を完全に排除できるものではなく、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) コンプライアンスに関するリスク

当社グループの主たる事業であるテレビ放送事業は、放送法及び関連法令の法的規制を受けています。当社は、放送法により、認定放送持株会社の認定を受けることで、複数の地上放送局とBS放送局及びCS放送局を子会社として保有することが認められています。今後、認定放送持株会社の資産に関する基準等、放送法で定める基準を満たさなくなった場合には、認定の取り消しを受ける可能性があります。仮に認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

また、当社グループの主たる事業はテレビ放送事業であり、株式会社テレビ朝日、株式会社BS朝日、株式会社シーエス・ワンテンは、当該事業を行うにあたっては「電波法」・「放送法」などの法令による規制を受けております。

これらの事業に関して、法令違反により放送免許が取り消される場合や、免許を受けることができない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、上記以外にも、事業活動を継続するうえで、様々な法的規制を受けています。これらの法令等に違反した場合や社会的要請に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起、社会的制裁を受ける可能性があり、この結果、当社グループへの信頼性が失われ、情報発信の信頼性を基礎に放送局・報道機関として活動する、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループでは、内部統制の基本は、「経営トップから従業員に至る法令等ルール順守のための多面的な連携」にあるとの考えに基づき、内部統制の仕組みを構築し、組織・規程などにより権限・責任を明示するとともに、必要に応じて、法務部・コンプライアンス統括室など社内の複数の部門におけるチェックを受け、活動状況を常務会ほかに報告する体制としております。

また、経営トップを統括責任者とし、その指示のもと、コンプライアンスに基礎を置く内部統制に必要な研修・啓蒙活動を推進しております。

 

以上のような対応を通じて、当社グループ及びその従業員の法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めております。

 

(7) 外国人等が取得した株式の取扱等に関するリスク

当社は、放送法で定める外国人等((ⅰ)日本の国籍を有しない人、(ⅱ)外国政府又はその代表者、(ⅲ)外国の法人又は団体、(ⅳ)前記(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合が総務省令で定める割合以上である法人又は団体)(以下「外国人等」という)の有する当社の議決権について、(ⅰ)から(ⅲ)に掲げる者により直接に占められる議決権の割合とこれらの者により上記(ⅳ)に掲げる者を通じて間接に占められる議決権の割合として総務省で定める割合とを合計した割合が20%以上となる場合には、放送法によって認定放送持株会社の認定が取り消されることとなります。

このため、そうした状態に至るときには、放送法の規定により、外国人等の氏名及び住所を株主名簿に記載し、又は記録することを拒むことができ、また、その議決権行使は制限されることとなります。

 

(8) 気候変動をはじめとする環境・サステナビリティ課題に関するリスク

気候変動をはじめとする地球環境問題は、世界的な規模で深刻化しております。日本国内でも異常気象による大規模な自然災害が多発し、 気候変動リスクに関連する 規制や開示強化に向けた動きもあり、あらゆる企業にとって看過できない問題となっています。

社では、このような環境・サステナビリティ課題への対応を通して、当社グループの中長期的な価値の向上を図るために、代表取締役会長等を担当役員とするSDGs推進室を設置しました。取締役会規程に基づき、サステナビリティに関する重要な施策・事項は、必ず取締役会に報告し、課題や進捗状況の把握をできる体制としております。

また、こうした課題に関わるリスクは、長期間にわたり様々な面で当社グループの事業活動に影響する可能性が高くなります。このため、当社では、まず、当社グループの持続的成長に有効なマテリアリティ(重要課題)の特定と目標の設定を行い、これを開示しております。

今後、気候変動により生じる直接的なリスク(物理的リスク)や脱炭素社会への移行に伴って発生するリスク(移行リスク)について、当社の将来に向けた事業活動の想定に基づき、対応が必要なリスクの特定とその対応策を検討します。さらに当社グループの戦略の一環として、環境・サステナビリティ課題へのレジリエンスを検証してまいります。

また、これらのリスクと機会をどのような形で当社グループの成長につなげていくかを適切な形で開示するよう努めます。

 

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