グループ経営ビジョンにおける「電気事業の強化・進化」、「新たな事業への挑戦」を進めていくために、研究開発として取り組む方向性を3つの「戦略的イノベーション領域」として設定し、重点的に取り組んでいる。
研究開発によるイノベーションを目指し、早期の実用化・ビジネス化に繋げていくために、他業種とのアライアンスやオープンイノベーションを積極的に活用している。
また、中国地方の大学をはじめとした産学官の連携、電力中央研究所などとの密接な協力関係を保ちながら、効率的に推進していくこととしている。この取り組みとして、国立大学法人広島大学との包括的研究協力に関する協定を締結し、産学の連携を通して最先端の技術開発を行っている。
研究開発活動とともに、グループ会社を含めて知的財産活動にも積極的に取り組んでいる。こうした取り組みの結果、当連結会計年度における当社グループの特許出願件数は270件、同新規登録件数は157件となった。商用の検索システムで集計したデータによる当連結会計年度末での当社の特許登録件数は3,309件であり、費用対効果を勘案し保有特許を厳選した結果、前年度よりやや減少したものの、エネルギー業界トップを維持している。
また、地域産業活性化に向けた取り組みとして、自治体や金融機関等と連携し、当社特許技術を中小企業へ紹介するなど、知財ビジネスマッチング活動を展開している。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
AI/IoT等のデジタル技術を活用して、電力設備の運用・保守技術の高度化に関する研究開発を実施しており、水力発電設備におけるIoTプラットフォームを活用したスマート保安に取り組んでいる。
大崎クールジェン株式会社を通じて、「CO₂分離・回収型石炭ガス化燃料電池複合発電」の実証事業を実施している。本技術は、石炭から水素を生成し発電利用するものであり、実証で得られる知見は水素発電技術の導入に活用可能である。また、2030年までの水素・アンモニア発電の実装準備に向けて、発電技術等の検討を進めている。
カーボンリサイクルの取り組みとして、回収したCO₂を活用し土木材料(通称:CO2-TriCOM)やコンクリート(通称:CO2-SUICOM)、油脂(Gas-to-Lipids)を生成する技術の開発を実施している。
また、石炭灰リサイクル材を活用した水域底質環境の改善効果の実証を行い、これによる干潟・藻場への炭素固定効果について研究を実施している。
その他、太陽光発電が大量に導入された場合の電力系統へ与える影響調査・分析など、電力の品質確保や安定供給に向けた電力系統安定化技術等の研究開発に取り組んでいる。
再生可能エネルギーの有効活用に向けて、蓄電池を活用し、インバランス回避や市場での収益向上を行う実証試験や、EVを活用し、その他のリソースと組み合わせエネルギーマネジメントを行う実証試験を実施し、新たなサービス開発に向けて取り組んでいる。
設備信頼度の維持・向上及び修繕費の低減を図るため、設備の健全性を非破壊で診断する技術の開発など、設備経年化へ適切に対応する技術の研究開発に取り組んでいる。
また、火力・原子力発電所の海水系統での付着生物による発電効率の低下を防止するため、付着抑制技術の研究開発にも取り組んでいる。
地域社会・経済の発展に貢献し、お客さまから選択し続けられるため、中国地域経済・産業動向の調査分析の実施及びエネルギア地域経済レポートなどを通じた情報提供、戦略的企業経営の支援、金融技術を活用したリスク管理、データの利活用に関する研究などに取り組んでいる。
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