① 経営成績等の状況の概要
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況)
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の波が断続的に訪れ、経済活動はいまだに制限がなされているものの、感染対策の効果や海外経済の改善により、景気が持ち直していくことが期待されます。しかし、変異株による感染再拡大の懸念やウクライナ情勢等により、経済の先行きは依然として不透明な状況にあります。
そのような経済環境の中、2016年4月の電力小売全面自由化に続く2017年4月のガス小売全面自由化により、エネルギー業界ではエネルギー事業者間の競争、さらには業種の垣根を越えた競争が激しさを増しています。また脱炭素化が世界的な潮流となる等、エネルギー事業を取り巻く環境は大きく変化しました。そうした中、当社グループは、総合エネルギー事業化とグローバル化によって、国内外のお客さまにお届けする付加価値を増大し、引き続き当社グループを選んでいただけるよう、様々な施策に積極的に取り組んできました。
売上高は、前連結会計年度比21.5%増の2,145,197百万円となりました。ガス販売量が前連結会計年度を上回ったことに加え、原油価格上昇影響に伴う原料費調整による売上単価増があったため、ガス売上高が前連結会計年度比25.9%増加し、さらに電力売上高も18.2%増加しました。
売上原価、供給販売費及び一般管理費を合計した営業費用は、前連結会計年度比20.1%増の2,027,420百万円となりました。
都市ガス販売量増及び原油価格上昇影響等による都市ガス原材料費が増加したこと等により、売上原価は前連結会計年度比27.5%増の1,546,590百万円となりました。経営効率化の一層の推進を図り、費用の抑制に最大限の努力を重ねてきたものの、減価償却費の増加等により供給販売費及び一般管理費は前連結会計年度比1.3%増の480,829百万円となりました。
売上高の増加が営業費用の増加を上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比51.6%増の117,777百万円となりました。
営業外損益純額は、前連結会計年度の△7,175百万円から、8,955百万円となりました。
営業外収益の合計は、前連結会計年度の21,204百万円から、49,399百万円となりました。これは、為替差益が前連結会計年度比12,931百万円増の14,550百万円となったことが主な要因です。
営業外費用の合計は、前連結会計年度の28,379百万円から、40,444百万円となりました。これは、支払利息が前連結会計年度比1,837百万円増の14,466百万円となったことが主な要因です。
この結果、経常利益は前連結会計年度比79.8%増の126,732百万円となりました。
特別損益純額は、前連結会計年度の△4,316百万円から、133百万円となりました。
特別利益の合計は、前連結会計年度の10,406百万円から、6,344百万円となりました。これは、前連結会計年度に2,008百万円計上した負ののれん発生益が当連結会計年度はなかったこと、及び投資有価証券売却益4,118百万円、固定資産売却益2,226百万円を計上したことが要因です。
特別損失の合計は、前連結会計年度の14,722百万円から、6,211百万円となりました。これは、不動産事業等の減損損失3,742百万円及び投資有価証券評価損2,468百万円を計上したことが要因です。
⑥ 税金等調整前当期純利益、法人税等、並びに親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は、経常利益及び特別損益の増加により、前連結会計年度比91.7%増の126,865百万円となりました。法人税等は、同132.9%増の36,589百万円となりました。
以上の結果から、親会社株主に帰属する当期純利益は同79.3%増の88,745百万円となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」といいます。)等の適用により、売上高は47,090百万円減少し、営業利益、経常利益はそれぞれ4,361百万円増加しました。
売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度の2.8%から1.3ポイント増加し、4.1%となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の112円26銭から、201円84銭となりました。
⑦ セグメント情報
イ ガス
都市ガス販売量は、前連結会計年度比1.1%増の13,131百万m3となりました。家庭用需要は、前連結会計年度と比較して巣ごもり需要の減少等により、前連結会計年度比4.0%減の3,077百万m3となりました。業務用需要は、前連結会計年度と比較して件数減等により、同0.6%減の2,248百万m3となりました。工業用需要は、発電専用向け販売量増等により、同7.1%増の6,197百万m3となりました。また、他事業者向け供給は、供給先の需要減等により、同7.2%減の1,609百万m3となりました。
(注) 1 小売お客さま件数は、ガス小売事業者としてのガス料金請求対象件数
2 取付メーター数は、休止中・閉栓中・他社小売分を含む導管事業者としてのメーター取付数
3 業務用は、商業用、公用及び医療用
4 都市ガス販売量は45MJ(メガジュール)/m3
5 平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したもの
ガス売上高は、都市ガス販売量が前連結会計年度を上回ったことに加え、原料費調整による売上単価増等により、前連結会計年度から297,212百万円(25.9%)増の1,444,003百万円となりました。都市ガス販売量の増加や原油価格が前期より上昇傾向にあったこと等により都市ガスの原材料費が増加した結果、営業費用は前連結会計年度から283,026百万円(26.7%)増加し、1,341,356百万円となりました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ14,185百万円(16.0%)増加し、102,646百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は4,568百万円減少し、営業利益は69百万円増加しました。
電力販売量は、小売件数増等により前連結会計年度比14.2%増の28,288百万kWhとなりました。
(注) 小売お客さま件数は、電力小売事業者としての電気料金請求対象件数
電力売上高は、電力販売量増等により前連結会計年度から71,884百万円(18.2%)増加し、467,804百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から69,463百万円(17.9%)増加し、456,687百万円となりました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ2,421百万円(27.8%)増加し、11,117百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は38,485百万円減少し、営業利益は4,371百万円増加しました。
海外売上高は、前第2四半期連結会計期間にTG Natural Resources LLCを連結子会社化したこと等により前連結会計年度から39,997百万円(87.1%)増加し、85,931百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から17,910百万円(42.1%)増加し、60,444百万円となりました。持分法による投資利益は、2,765百万円と前連結会計年度比2,269百万円(457.4%)増加しました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ24,357百万円(625.2%)増加の、28,252百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用による、売上高及び営業利益への影響は生じていません。
エンジニアリングソリューション、ガス器具、ガス工事、建設及びクレジット等の売上で構成されるエネルギー関連売上高は、ガス器具売上高の減少等により、前連結会計年度から8,143百万円(2.4%)減少し、331,312百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から3,916百万円(1.2%)減少し、318,494百万円となり、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ4,227百万円(24.8%)減少し、12,818百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は3,891百万円減少し、営業利益は11百万円減少しました。
不動産売上高は、前連結会計年度から9,539百万円(19.7%)増加し、57,961百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から3,572百万円(8.5%)増加し、45,429百万円となりました。持分法による投資利益は、934百万円と前連結会計年度比46百万円(4.6%)減少しました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ5,921百万円(78.5%)増加し、13,466百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は224百万円減少しましたが、営業利益への影響は発生していません。
情報処理サービス及び船舶等の売上で構成されるその他売上高は、前連結会計年度から2,882百万円(2.6%)減少し、107,542百万円となりました。営業費用は前連結会計年度から1,079百万円(1.0%)減少し、105,544百万円となりました。持分法による投資利益は、25百万円と前連結会計年度比20百万円(332.3%)増加しました。この結果、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ1,783百万円(46.8%)減少し、2,024百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1,743百万円減少し、営業利益は67百万円減少しました。
なお、参考のため、セグメント別の売上高及び構成比を示します。
(注) 各セグメントの売上高には、事業間の内部取引を含んでいます。
当社が供給する都市ガスの主要原料であるLNGは海外から輸入しており、ドル建ての売買契約になっているため、円/ドル為替の変動リスクを受けます。また、ドル建てのLNG価格は主として原油価格に連動して決定されるため、国際原油価格市場の変動リスクも受けます。
ただし、原料購入価格が変動しても変動分について最大5ヶ月遅れ(注1)で都市ガス料金に反映する「原料費調整制度(注2)」が適用されるため、年度を区切ると回収超過や回収不足が発生(スライドタイムラグ)しますが、中長期的には収支への影響は軽微です。
為替及び原油価格の変動が翌連結会計年度の売上総利益に与える影響額は、以下のとおりです。
為替:1円/ドルの円安により、約8億円減
原油価格:1ドル/バレルの価格上昇により、約8億円減
翌連結会計年度見通しにおける年平均為替相場と原油価格は、当連結会計年度が112.39円/ドル、77.15ドル/バレルであったのに対し、それぞれ120.00円/ドル、85.00ドル/バレルを想定しています。
(注) 1 都市ガス料金への反映は、契約により5ヶ月遅れではない場合もあります。
2 調整の上限があり、変動幅が基準原料価格の160%を超過した場合には超過分は未回収となります。
当社グループの年度売上高の過半が都市ガスの販売によるもので、その販売量は気温の影響を受けます。家庭用においては、主な都市ガスの利用目的は給湯・暖房であるため、暖冬の場合には都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となります。業務用においては、主な利用目的が空調であるため、夏場においては気温が低い場合、冬場においては気温が高い場合に、それぞれ都市ガス販売量が減少し減収・減益要因となります。
当連結会計年度の平均気温(※)は上期で21.5℃、下期で11.1℃(通期で16.3℃)でしたが、翌連結会計年度の平均気温は通期で16.2℃を想定しています。
(※)平均気温は、お客さまそれぞれの、ご使用期間(前月の検針日から当月の検針日まで)における気温を平均したものです。
③ 金利の変動
当社の有利子負債は、長期・短期ともに概ね固定金利であるため、借入れ期間中の金利変動リスクは軽微ですが、借換え時等においては金利変動のリスクを受ける可能性があります。
当社の保有する株式のうち、上場株式の株価はマーケットリスクに晒されています。保有株式の取扱いについては、管理規則を設けています。
当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上に対し、有形固定資産の取得、無形固定資産の取得及び長期借入金の返済による支出等があったものの、減価償却費の計上及び長期借入れによる収入等により、現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ21,888百万円増加し、当連結会計年度末には179,699百万円となりました(前期末比13.9%増)。
営業活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において145,227百万円となりました。
これは、税金等調整前当期純利益の計上(126,865百万円)に対し、売上債権の増加(113,362百万円)、棚卸資産の増加(22,491百万円)、法人税等の支払(16,123百万円)及びデリバティブ利益の計上(15,362百万円)等があったものの、減価償却費が計上(196,810百万円)されたこと及び仕入債務が増加(10,132百万円)したこと等によるものです。
また、これは、前連結会計年度に比べて110,347百万円の収入の減少となります(前期比43.2%減)。
投資活動の結果減少した資金は、当連結会計年度において224,656百万円となりました。
これは、投資有価証券の売却及び償還による収入(8,841百万円)等があったものの、都市ガス供給体制整備のための設備投資等に伴う有形固定資産の取得による支出(167,197百万円)、無形固定資産の取得による支出(29,777百万円)、投資有価証券の取得による支出(16,214百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(15,074百万円)等により資金が減少したことによるものです。
また、これは、前連結会計年度に比べて71,255百万円の支出の減少となります(前期比24.1%減)。
財務活動の結果増加した資金は、当連結会計年度において90,490百万円となりました。
これは、長期借入金の返済による支出(123,252百万円)、配当金の支払(26,424百万円)及び社債の償還による支出(20,000百万円)等があったものの、長期借入れによる収入(165,014百万円)及び新たな社債の発行による収入(73,620百万円)があったこと等によるものです。
また、これは、前連結会計年度に比べて38,481百万円の収入の増加となります(前期比74.0%増)。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から478,594百万円(17.5%)増加し、3,216,942百万円となりました。これは、既存設備の減価償却が進んだものの、原油価格上昇影響等に伴う原料費調整による都市ガス料金の売上単価増等に基づいた受取手形、売掛金及び契約資産の増加に加え、その他流動資産の増加があったこと等により、流動資産が前連結会計年度末から362,206百万円増加し、912,931百万円となったこと等によるものです。また、総資産利益率(ROA)は、前連結会計年度末の1.9%から3.0%に上昇しました。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末から400,298百万円(25.7%)増加し、1,960,375百万円となりました。これは、社債の新規発行や長期借入金の増加に加え、その他流動負債に含まれるデリバティブ債務の額が増加したこと等によるものです。
社債や長期借入金の増加等に伴い、当連結会計年度末の有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ154,601百万円(14.5%)増加し、1,220,589百万円となりました。有利子負債比率(有利子負債÷総資産)は、総資産の増加率の方が大きかったため、前連結会計年度末の38.9%から37.9%に下落しました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ78,295百万円(6.6%)増加し、1,256,566百万円となりました。これは、株主資本について剰余金の配当26,423百万円等による減少に対し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上88,745百万円等による増加が大きく60,922百万円増加したことや、為替換算調整勘定の増加等によりその他の包括利益累計額が12,462百万円増加したことによるものです。
自己資本比率は、前連結会計年度末の42.1%から38.1%に下落し、自己資本利益率(ROE)は、前連結会計年度末の4.3%から7.5%に上昇しました。負債資本倍率(D/Eレシオ)は、前連結会計年度末の0.92から0.99へと上昇しました。
当社グループの製品・サービスは広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も少なくありません。また、都市ガス事業が外部顧客に対する売上高及び営業費用の大半を占めており、当該セグメントが当社グループの生産及び販売活動の中心となっています。
このため、以下は都市ガス事業について記載しています。
最近2連結会計年度の都市ガスの生産実績は次のとおりです。
都市ガスについては、その性質上受注生産は行いません。
都市ガスは導管を通じて直接需要家に販売していますが、一部については他事業者向け供給を行っています。
最近2連結会計年度の都市ガスの販売実績は次のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
重要な会計上の見積りについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
<事業全体>
当連結会計年度の連結決算は、3期ぶりの増収、当期純利益ベースでは2期連続の増益で、営業利益、経常利益ベースでもいずれも増益でした。以下では、経常利益ベースで増益となった理由について説明します。
増益となった主な要因は、①海外事業において北米上流事業会社の連結子会社化により利益が増加したこと、及び豪州上流プロジェクトで利益が増加したこと、②ガス事業においてスライドタイムラグ(*)が改善したことにより粗利が増加したことです。
(*)原油価格や為替レートの変動に伴う原材料費の変動が、原料費調整制度によりガス売上高に反映されるまでの時期ずれにより発生する年度毎の利益変動
<セグメント別>
ガスセグメントは、原油価格上昇に伴う原料費調整制度による販売単価増等により、売上高が前期比+2,973億円(+25.9%)の1兆4,440億円となりました。スライドタイムラグ及び年金数理差異償却額影響の改善等により、セグメント利益は前期比+142億円(+16.0%)の1,026億円となりました。
電力セグメントは、小売お客さま件数の増加及び卸先の需要増等に伴う販売量の増加等により、売上高が前期比+719億円(+18.2%)の4,678億円となりました。セグメント利益はフレーム影響等に伴う粗利減等があったものの、小売販売件数増に伴う粗利増等により、前期比+25億円(+27.8%)の111億円となりました。
海外セグメントは、前期に子会社化した北米上流事業会社の通期での貢献及び原油価格上昇に伴う豪州上流プロジェクトの売上高増等により、売上高は前期比+400億円(+87.1%)の859億円となりました。持分法適用関連会社の利益増等もあり、セグメント利益は前期比+244億円(+625.2%)の282億円となりました。
エネルギー関連セグメントは、ガス器具販売における販売台数減等により、売上高は前期比△81億円(△2.4%)の3,313億円となりました。器具保証契約損失引当金の繰入による費用増等により、セグメント利益は前期比△42億円(△24.8%)の128億円となりました。
不動産セグメントは、ムスブ田町の賃貸料収入の増加等により、売上高は前期比+95億円(+19.7%)の579億円となりました。セグメント利益は前期比+59億円(+78.5%)の134億円となりました。
その他セグメントは、情報処理サービスでのシステム受注の減少等により、売上高が前期比△29億円(△2.6%)の1,075億円となりました。船舶事業における借船費用の増加等もあり、セグメント利益は△18億円(△46.8%)の20億円となりました。
<認識>
当期の経常利益は前期比+562億円の1,267億円、一過性の要因である気温影響、スライドタイムラグ、年金数理差異償却額を除いた補正経常利益は+328億円の1,200億円となりました。
(億円)
補正経常利益ベースの増益は、海外事業における北米上流事業会社の連結子会社化及び原油価格の高騰等に伴う売上単価の上昇、並びに不動産事業におけるムスブ田町の賃貸料収入の増加が主な要因です。
「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」の最終年である2022年度は、利益目標としているセグメント利益1,400億円に対して、1,435億円を見込んでいます。
一方、足下ではウクライナをめぐる国際情勢の不安定化や、これを起因とする原油価格の高騰に加え、まだ収束が見通せない新型コロナウイルス感染症の状況等、不確実性が高まっており、今後の事業環境の変化や市場ボラティリティの高まりに的確に対応しつつ、ホールディングス型グループ体制のもと各事業の取り組みを着実に進め、さらにはグループ全体でのコスト改革を確実に実行していくことで、目標達成に向けて挑戦していきます。
当社グループの主な資金需要は、中長期的な成長に必要な設備投資及び投融資向けの資金です。
当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フロー1,452億円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは海外事業を中心とする投資拡大に伴い△2,246億円となり、不足資金を社債や長期借入金により調達しました。
引き続き、将来に向けた成長投資を実行していきますが、その原資確保のために資金が不足する場合には、主に社債・長期借入金で対応する方針です。なお、短期運転資金は主にコマーシャル・ペーパーで賄っていく方針です。
2020年3月25日発表の「東京ガスグループ 2020-2022年度 中期経営計画」に基づき、持続的成長に向け積極的な原資投入を行うとともに、投資・資本効率性、財務体質、株主還元にも留意し、長期的な企業価値向上に資するバランスのとれた財務戦略を実現していきます。
イ 投資・資本効率性
投資に伴うリスク及び採算性に留意し個別の投資判断を行うとともに、投資効率の維持・向上及び株主資本の有効活用に努めます。
具体的には、ROA(総資産利益率)・ROE(自己資本利益率)を主要経営指標と位置付け、2022年度における目標を、ROAは4%程度、ROEは8%程度と定め上記の実現を図ります。
ロ 財務体質
現在の資金調達力を維持し財務健全性を確保するとともに、資本コストを意識した最適な資本構成の実現に努めます。
具体的には、D/Eレシオ(負債資本倍率)を主要経営指標と位置付け、2022年度に至るまで各年度0.9倍程度を目標と定め上記の実現を図ります。
ハ 株主還元
経営の成果を、お客さまサービス向上と持続可能な社会の実現に振り向けるとともに、株主のみなさまに適切・タイムリーに配分します。
株主のみなさまには、配当に加え、消却を前提とした自社株取得を株主還元の一つとして位置付け、総還元性向(連結当期純利益に対する配当と自社株取得の割合)の目標を、2022年度に至るまで各年度5割程度とします。
また、配当については、安定配当を維持しつつ、中長期の利益水準を総合的に勘案し、成長に合わせて緩やかな増配を実現していきます。
n年度総還元性向=((n年度の年間配当金総額)+(n+1年度の自社株取得額))÷n年度連結当期純利益
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