業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症による経済制限の解除の動きが見られる一方、世界的なインフレ懸念及び米国を始めとする政策金利の引上げ、ウクライナ情勢の影響など、より複雑化した状況となっていると見られます。

当社グループが属する情報サービス業界においては、景況感の変化にも柔軟に対応できるようにすべく、生産性の向上やコスト増大見通しを踏まえたクラウドコンピューティングの導入を始めとし、ビッグデータやAI(人工知能)の活用拡大、IoTの推進など、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みは継続していくものと見られています。New Normal時代を見据えた非接触・非対面への対応などの変化と相まった動きも想定されます。

この状況下、当社グループは、中期経営計画の最終年度である当連結会計年度において、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みに必要不可欠なデータセンターサービスやクラウドサービスへの需要は強く、ストックビジネスである情報処理サービス全体で好調を維持しました。システム開発サービスにおいても、開発ノウハウが評価され順調な回復が図れています。

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高31,169百万円(前期比3.8%増)、営業利益2,367百万円(同9.8%増)、経常利益2,542百万円(同11.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,694百万円(同13.4%増)となりました。また、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用したことに伴い、当連結会計年度の売上高は484百万円増加し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ218百万円増加しております。

なお、2021年5月7日に開示しました2022年3月期の連結業績予想と比較して、売上高は未達となりましたが、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益はそれぞれ予想値を上回りました。

 

 当連結会計年度におけるサービス区分別売上の状況は以下のとおりです。

 [情報処理サービス]

デジタル化推進やIT投資需要の高まりを背景に、既存顧客のデータセンターやクラウドの利用が継続し、データセンター・クラウドサービス事業は好調を維持しました。当社グループは、データセンターの能力増強に努め、サービス展開力を強化してきていますが、顧客の需要拡大は加速化しており、一層の営業推進によりその取り込みを図っている状況です。また、受託計算サービスも堅調に推移し、全体として売上高は12,464百万円(前期比5.1%増)となりました。

 

 [システム開発サービス]

業種別体制の強化が奏功し、金融業・流通業・通信サービス業・エネルギー関連・宇宙関連ビジネスなどにおける開発はノウハウや技術力が評価され順調な回復が継続しています。また、新規を含む顧客のIT投資への需要が増加し、売上高は17,511百万円(同3.4%増)となりました。

 

 [システム機器販売]

データセンター・クラウドサービス、システム開発サービスに関連する需要が堅調であったものの、昨年度はサービスステーション向け補助金によるIT機器導入需要があったため、売上高は1,193百万円(同2.0%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産残高は、10,701百万円(前連結会計年度末10,561百万円)となり、前連結会計年度末に比べて139百万円増加しました。これは主に、「受取手形」「売掛金」「契約資産」(前連結会計年度においては「受取手形及び売掛金」)の増加(前年同期比463百万円増)があったものの、現金及び預金の減少(同343百万円減)等があったことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産残高は、22,802百万円(前連結会計年度末21,494百万円)となり、前連結会計年度末に比べて1,307百万円増加しました。これは主に、ソフトウエアの増加(前年同期比578百万円増)及び投資有価証券の増加(同945百万円増)等があったことによるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債残高は、9,903百万円(前連結会計年度末8,625百万円)となり、前連結会計年度末に比べて1,278百万円増加しました。これは主に、買掛金の増加(前年同期比286百万円増)、その他に含まれる未払金の増加(同304百万円増)及び契約負債606百万円の計上等があったことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債残高は、6,295百万円(前連結会計年度末7,218百万円)となり、前連結会計年度末に比べて922百万円減少しました。これは主に、長期借入金の返済に伴う減少(前年同期比1,010百万円減)等があったことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産残高は、17,304百万円(前連結会計年度末16,212百万円)となり、前連結会計年度末に比べて1,091百万円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加(前年同期比686百万円増)及びその他有価証券評価差額金の増加(同453百万円増)があったことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度と比較して343百万円減少し、当連結会計年度末には3,684百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は3,715百万円となりました(前連結会計年度は3,419百万円の獲得)。

 これは主に、法人税等の支払額756百万円(前年同期比192百万円増)等により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上2,539百万円(同344百万円増)、減価償却による資金の内部留保1,841百万円(同97百万円増)及び仕入債務の増加286百万円(同20百万円減)等があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は2,185百万円となりました(前連結会計年度は2,929百万円の使用)。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出951百万円(前年同期比1,354百万円減)、無形固定資産の取得による支出858百万円(同440百万円増)及び投資有価証券の取得による支出321百万円(同291百万円減)等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は1,873百万円となりました(前連結会計年度は454百万円の獲得)。

 これは主に、長期借入れによる収入2,030百万円(前年同期比2,470百万円減)があったものの、長期借入金の返済による支出3,014百万円(同131百万円増)及び配当金の支払758百万円(同66百万円増)等があったことによるものであります。

 

 ④生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

サービス別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

情報処理サービス(千円)

9,653,733

102.8

システム開発サービス(千円)

14,308,687

107.5

合計(千円)

23,962,421

105.6

 (注)金額は、製造原価で表示しております。

 

ロ.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績は、次のとおりであります。

品目

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

コンピュータ関連機器等(千円)

998,685

86.7

合計(千円)

998,685

86.7

 (注)金額は、仕入価格で表示しております。

 

ハ.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

サービス別

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

情報処理サービス(千円)

13,164,366

105.6

10,359,036

107.2

システム開発サービス(千円)

19,257,965

113.0

5,296,943

149.2

システム機器販売(千円)

1,358,531

118.1

344,281

191.9

合計(千円)

33,780,863

110.2

16,000,261

119.5

 (注)金額は、販売価格によるものです。

 

ニ.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

サービス別

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

情報処理サービス(千円)

12,464,952

105.1

システム開発サービス(千円)

17,511,168

103.4

システム機器販売(千円)

1,193,678

98.0

      合計(千円)

31,169,800

103.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、当連結会計年度末時点において入手可能な情報に基づき最善の見積りを行っていますが、財務諸表に与える影響は軽微と判断しています。

 

②経営成績の分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績は、売上高31,169百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益2,367百万円(同9.8%増)、経常利益2,542百万円(同11.5%増)、親会社に帰属する当期純利益1,694百万円(同13.4%増)となりました。

当社グループは、ここ数年、多様化する顧客ニーズと旺盛なITへの投資需要に対応するために、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みに不可欠なデータセンターサービスやクラウドサービスの商品力向上を図ってまいりました。オンラインでの営業やウェビナー(「オンラインセミナー」)なども活用して、顧客との関係強化に注力、最適なサービスをワンストップで提供可能とするビジネスモデルを構築してきました。

 

情報処理サービスにおいては、様々な業種・業態の顧客による、データセンターを活用したITマネージドサービスやクラウドサービスなどの利用が拡大しました。パートナー戦略や販売チャネルの強化・拡大も奏功し、ストックビジネスを中心に業績は好調に推移しました。

システム開発サービスにおいても、当期は既存顧客からのプロジェクト再開や新規プロジェクトの動き等により、回復基調となり、前期比で増収を確保することができました。

 

イ.売上高

当連結会計年度の売上高は、前年同期比3.8%増の31,169百万円となりました。

サービス区分別売上高の状況としては、情報処理サービスでは、注力ビジネスであるデータセンターを活用したITマネージドサービスやクラウドサービスの受注が情報通信業の顧客を中心に利用が拡大しました。当社グループは、データセンターの能力増強に努め、サービス展開力を強化してきていますが、顧客の需要拡大は加速化しており、一層の営業推進によりその取り込みを図っている状況です。また、受託計算サービスも堅調に推移し、全体として売上高は12,464百万円(前期比5.1%増)となりました。なお、情報処理サービスは、継続的に契約されるストックビジネスであり、当社の大きな成長基盤であります。

システム開発サービスは、業種別体制の強化が奏功し、金融業・流通業・通信サービス業・エネルギー関連・宇宙関連ビジネスなどにおける開発はノウハウや技術力が評価され順調な回復が継続しています。また、新規を含む顧客のIT投資への需要が増加し、売上高は17,511百万円(同3.4%増)となりました。システム機器販売は、昨年度はサービスステーション向け補助金によるIT機器導入需要があったため、1,193百万円(同2.0%減)となりました。

 

ロ.営業利益、営業利益率

当連結会計年度の営業利益は2,367百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益率は7.6%(前年同期比0.4ポイント増)となりました。

売上高が前期比増加する一方で、システム要員の運営効率を見直すなどの対策をとったこと、及び原価、販売費及び一般管理費を抑えたことから、営業利益が前期比で増加しました。

 

ハ.営業外損益

営業外収益は、投資事業組合運用益などを計上した結果、前連結会計年度の212百万円から24百万円増加し、237百万円となりました。

営業外費用は、主に投資事業組合運用損の減少(前年同期比20百万円減)及び支払利息の減少(同3百万円減)等があったことにより、前連結会計年度の88百万円から25百万円減少し、62百万円となりました。

 

ニ.経常利益

営業利益が前連結会計年度より増加したことに伴い、前連結会計年度の2,279百万円から262百万円増加し、2,542百万円となりました。

 

ホ.特別損益

特別利益は、主に投資有価証券売却益の減少(前年同期比207百万円減)等があったことにより、前連結会計年度から169百万円減少し、47百万円となりました。

特別損失は、主に特別功労金の減少等があったことにより、前連結会計年度から251百万円減少し、49百万円となりました。

 

ヘ.親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は営業利益及び経常利益が増加した結果、前連結会計年度の1,494百万円から199百万円増加し、1,694百万円となりました。

 

③財政状態の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費や労務費等の製造経費、人件費や賃借料等の販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。運転資金及び投資資金は、主として自己資金及び金融機関からの借入で調達しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金残高は8,923百万円、リース債務残高は150百万円となっております。また、現金及び現金同等物の残高は3,684百万円となっております。

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。

 

2021年3月期

2022年3月期

時価ベースの自己資本比率(%)

75.9

60.8

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

68.3

81.1

債務償還年数(年)

2.9

2.4

(注)上記指標の計算式は下記のとおりであります。

時価ベースの自己資本比率

株式時価総額/総資産

インタレスト・カバレッジ・レシオ

営業キャッシュ・フロー/利払い

債 務 償 還 年 数

有利子負債/営業キャッシュ・フロー

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