文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営理念・経営方針
当社グループでは、成長を続ける企業であり続けるために、役員および社員が全員で共有し、いかなる行動を起こす場合においても基準となる共通の価値観として、グループ理念「inet Way」を制定しています。
「inet Way」は、「企業理念」・「企業ビジョン」・「経営方針」・「中期経営計画」の4つの柱から形成され、その土台には企業人として守るべき「企業行動憲章」と「inet Way」を達成するための原動力となる「行動指針」があります。
①企業理念
「情報技術で新しい仕組みや価値を創造し、豊かで幸せな社会の実現に貢献する」
②企業ビジョン
「創造」「挑戦」「信頼」をベースに持続的な企業価値向上を目指し、社会とステークホルダーに貢献する企業として成長する。
③経営方針
「持続的成長を可能にするエクセレントカンパニーへ」
当社グループの経営方針は、当社が持つ、高度なIT(情報技術)を活用し、顧客の事業発展に貢献するベストパートナーとして、常に最良のサービスを提供し続け、顧客とともに持続的に成長をする会社でありたいという、当社の経営に対する基本的な考えを示しております。
(2)サービス展開モデル
当社グループの事業は、「情報処理サービス」と「システム開発サービス」の大きく2つのサービスとそれらに付随する「システム機器販売」の3つのサービス区分で構成されています。
「情報処理サービス」は、自社で運営するデータセンターを活用した事業です。当社グループの祖業である、サービスステーション向け受託計算サービスからスタートした、中核事業でもあります。「データセンター・クラウドサービス」、「受託計算サービス」、「プリント・メーリング・BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス」で構成されています。
「システム開発サービス」は、ソフトウェア、及びハードウェアの開発/運用の受託事業です。主に、金融、流通、エネルギー、宇宙などの分野において、ソフトウェアなどの開発等の業務を請け負っております。
当社グループは、自社のデータセンターを軸に「情報処理サービス」と「システム開発サービス」を最適な形で組み合わせて提供することができます。当社グループが展開するサービスは、DXソリューション、クラウドサービス、受託計算、決済、プリント・メーリング・サービス・BPO、システム開発、組込制御、基盤開発・運用監視、など多岐にわたっております。
当社グループは、お客様がDX時代に必要とする最適なサービスを、安全にワンストップで提供することで、他社が安易に真似することのできない、独自の事業展開を行っております。「運用・BPOのアイネット」として、情報処理産業において確固たる地位を確立しています。
(3)経営環境、当社グループの現状の認識と当面の対処すべき課題
日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響、ウクライナ問題をはじめとする国際情勢の悪化、及びそれらに伴う資源高、インフレ懸念などにより、マクロ環境には全般的に不透明感が漂い、企業経営に対する不安定要因となっております。
当社グループが属する情報サービス業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)による技術革新に向けて、企業の情報関連投資の拡大が続く見込みです。中でも、ITを活用する顧客のニーズは多様化しており、それに伴い、業界各社のビジネスモデルは、労働集約的な受託開発型のビジネス中心から、サービス提供型のビジネスに大きくシフトしてきています。クラウドコンピューティングの普及拡大、非接触対応ニーズの拡大、IoTやFinTechの推進、ビッグデータやAI(人工知能)の活用拡大など、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みの活発化やNew Normal時代への対応に伴い、新たな生活様式の実現、最新の技術を活用した事業競争力強化やビジネス変革等を目的にした競争力強化のためのIT投資への関心は継続して高まっております。
このような環境下、当社グループは、自社保有のデータセンターを軸にした情報処理サービスを成長の基盤とし、システム開発サービスとあわせたワンストップサービスを提供することで、当社グループの優位性を高めてまいります。
顧客や社会のDX推進のプラットフォームとして推進するとともに、New Normal時代に向けた顧客サービスの推進、変化の激しい時代におけるコスト上昇への対応力強化、顧客や社会のニーズにマッチする投資力の維持、及び人的資本強化を主な課題と捉え、対応を図ってまいります。
(4)経営上目標とする指標
当社グループは、持続的な企業価値向上を目指すために、事業規模の継続的拡大を通じ、本業の成果を表す「売上高」、「営業利益」、「営業利益率」および「ROE」を重要な経営指標としております。
(中期経営計画)
2022年度より、中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)をスタートしました。
当社グループは、中期経営計画において、2025年3月期の経営目標は売上高37,700百万円、営業利益3,200百万円、営業利益率8.5%、ROE10%以上を設定しております。
(金額単位:百万円) |
2022年3月期 実績 |
2025年3月期 目標 |
売上高 |
31,169 |
37,700 |
営業利益 |
2,367 |
3,200 |
営業利益率 |
7.6% |
8.5% |
自己資本当期純利益率(ROE) |
10.1% |
10%以上 |
サービス別の事業戦略は以下となります。
情報処理サービス
データセンター・クラウドサービス |
・インフラ運用、システム運用、業務運用まで幅広いサービス提供推進 ・顧客に応じクラウドへの移行を手厚くサポート ・新サービス拡充(セキュリティ、ストレージ等) ・高効率、低消費電力サーバ・ストレージによる省エネサービスの提供 |
受託計算サービス |
・石油元売り・商社向けDX推進強化(業務効率化提案等) ・大手特約店向けサービス拡充(規制対応、ASP利用拡大) ・顧客の拡大(SS向けサービス拡充、LPG業界向けサービス展開) |
プリント・メーリング・BPOサービス |
・業務効率化コンサルティング推進(電子と紙のハイブリッド化) ・サービス多角化(協業先との連携 - BPO、配送サービス等) ・業務の質・量の強化に向けた設備の増強と効率的運営 |
システム開発サービス
・金融機関向けサービスの強化 ・販売管理システム、IoTプラットフォームのサービス展開強化 ・宇宙・衛星事業における協業と自社サービスの強化 |
(重点強化ポイント)
重点強化ポイント |
主な取組み |
関連SDGs |
①DX、New Normal時代に向けた顧客サービス、研究開発の推進 |
・クラウドサービス普及拡大 ・非接触、非密集対策 ・ビッグデータ・AI・IoT推進 |
9.産業と技術革新の基盤を作ろう 11.住み続けられるまちづくりを 12.つくる責任 つかう責任 |
②共創・イノベーション推進と価値創出 |
・SDGs推進専門部署設置 ・産公学民連携事業推進 ・財団、特例子会社による事業活動推進 |
3.すべての人に健康と福祉を 9.産業と技術革新の基盤を作ろう 11.住み続けられるまちづくりを |
③人材の多様化、高度化、生産性向上 |
・社員の能力開発 ・ダイバーシティ推進 ・キャリア形成支援 ・働き方改革の推進 |
3.すべての人に健康と福祉を 4.質の高い教育をみんなに 5.ジェンダー平等を実現しよう 8.働きがいも経済成長も 10.人や国の不平等をなくそう |
④サービス展開モデルにおける事業ポートフォリオの適切な運営、企業価値の向上 |
・自社データセンターによるワンストップモデル推進 ・ストックビジネス強化 |
9.産業と技術革新の基盤を作ろう 11.住み続けられるまちづくりを |
①DX、New Normal時代に向けた顧客サービス、研究開発の推進
気候変動への対応を始めとする省電力、災害やBCPへの備えといったことに対するデータセンターサービスへの期待は益々高まると考えられます。また、非接触・非密集対策、ビッグデータ・AI・IoT推進など、時代の変化やニーズに応える事業として取り組んでまいります。
②共創・イノベーション推進と価値創出
SDGs推進専門部署設置、産公学民連携、当社創業者が設立した公益財団法人アイネット地域振興財団、障がい者雇用促進を目指す特例子会社、株式会社アイネット・データサービスとの連携など、社会課題の発掘とその解決策を提示すべく、当社グループの機能を最大限に活用してまいります。
③人材の多様化、高度化、生産性向上
経営における最大の財産は社員であるという理念のもと、多様性のある企業風土やダイバーシティ推進のメリットを最大限に引き出すべく取り組んでいます。また、社員のキャリア形成支援、働き方改革を通じ、社員の能力・スキルアップとともに、事業への貢献度を高め生産性を上げられるよう社員の能力とやりがいが結集する組織にしてまいります。
④サービス展開モデルにおける事業ポートフォリオの適切な運営、企業価値の向上
「自社データセンターによるワンストップモデル推進」及び、「ストックビジネス強化」を事業戦略として追求し、サービス展開力を強化してまいります。
(健康経営に向けた取り組み)
当社は、「社員が経営における最大の財産である」という理念のもと、社員の健康づくりを経営的な視点で捉え、社員が心身ともに健康であることこそが、持続的な企業価値向上の源泉であると考えております。社員の健康増進を支援する健康経営を積極的に推進するため、代表取締役兼社長執行役員を最高健康責任者に指名し、人事部・健康支援室・健康保険組合が一体となり、様々な活動に戦略的に取り組んでおります。
なお、以前より、当社は、健康経営に関する取り組みに一定水準の評価を得ており、経済産業省と日本健康会議が共同で優良な健康経営を実践している企業を選定する「健康経営優良法人2022」~ホワイト500~に認定されております。
(その他の課題)
2019年10月、当社は日本年金機構が発注する帳票の作成及び発送準備業務に関して、独占禁止法違反の疑いがあるとして、公正取引委員会の立ち入り検査を受け、以降、同委員会による調査に全面的に協力して参りましたが、2022年3月3日に同委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令を受け、当期において関連する未払金及び引当金を計上しております。当社といたしましては、この度の命令を厳粛かつ真摯に受け止めるとともに、独占禁止法遵守ルールの厳格化やコンプライアンス教育の一層の強化等の対策を講じて参ります。
なお、2022年3月末において引当金として計上しておりました日本年金機構に対する不正行為違約金相当額については、2022年5月23日付で同機構より15,332千円の違約金請求を受け、2022年6月10日に支払を完了しております。
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