当連結会計年度における当社グループの研究活動状況は次のとおりであります。
(1)基盤技術
ビッグデータにおける3つのV(Volume、Velocity、Variety)に対し柔軟かつ拡張性のあるデータの集配信及び、効率的なデータ分析方法について研究を行いました。また、収集されたデータの付加価値創出のための、AIやデータサイエンスの研究にも取り組んでおります。
(コンテナアーキテクチャ、AI PaaSの研究)
当社の新たなクラウドサービス提供モデルとしてコンテナアーキテクチャ(※1)及びコンテナオーケストレーション(※2)ツールのデファクトスタンダードであるKubernetesをベースとしてPaaS(Platform as a Service)の調査及び実証検証を継続して行っております。
昨年度より実装検証を行っている次の2点の検証モデルに対し3つのVに対する性能強化検証を実施しました。
①ドローンより取得したテレメトリデータ及び映像データのリアルタイム集配信
②IoTセンサーからのデータ集信及び解析
また、上記検証モデルに対しAI活用を促進するためのGPUコンテナの検証、PaaSをより有効的に活用するための開発・運用プロセスの自動化やクラウドネイティブなシステムにおける監視方法についても検証を実施しております。
(拡張アナリティクス技術の研究)
当社は、データを活用したAIやデータサイエンス、及び拡張アナリティクスの研究に取り組んでおります。当社のIoT事業や顧客の保有するオープンデータ及び擬似データを対象としてデータ前処理技術、自然言語処理による対話型データ探索技術、予測モデル選択手法などの調査・検証、試作品作成及び評価を実施いたしました。
また、流通・サービス分野におけるAI技術の研究として、
①敵対的生成ネットワークを用いた異常検知技術向上の考察
②ソーシャルメディアを用いた気象条件と人の行動の関連性の把握
を実施しており、2022年6月に開催される人工知能学会全国大会にて発表する予定です。
(IoTソリューションの研究)
当社の提供するセンシングデータ蓄積サービスであるDream Data Sensing®における新たなサービス展開のための事前検証として次の3点の実証検証を実施いたしました。
①移動体への実装可能な新たなCO2デバイスの実装検証
②粒子センサ・ホルムアルデヒドなどの環境センサーデータの収集及びデータ分析
③データ解析結果に対するフィードバック制御の実装検証(スマートリモコン制御)
また、すでにサービス展開しているi-visible CO2®のAfterコロナにおける活用事例としてCO2濃度による人体感性影響についての実証実験を実施中です。
今後は、今まで培ってきたクラウド、IoT、データサイエンスの技術を組み合わせた「IoTプラットフォーム(Dream Data Sensing®)」技術をベースに、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、競争力強化実現をサポートいたします
(2)社会課題解決への取り組み
(介護タクシー業界を変革するヘルスケアMaaSプロジェクト)
昨今、通常のタクシー業界においてアプリによる配車サービスの導入が加速していますが、介護タクシーについては、仕様・サービスが事業者によって細かく分かれ、利用者等のニーズと、マッチするタクシーを予約成立させるためのDX推進が欠かせなくなっています。これにより、顧客のニーズ拡大による新たな産業の創出につながるものと考えています。
当連結会計年度においては、スマートフォンアプリ評価版を作成しました。タクシー事業者、利用者からご意見をお聞きし、スムーズで適切な配車、UI・UXの改善を図っていくことで、利便性と価値を高めてまいります。また、実稼働による実証を踏まえ、データ利用やサービス品質を伝えるプラットフォームとしての機能を高めてまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費用は、
<用語解説>
※1 コンテナアーキテクチャ
ホストOS上にアプリケーションの動作環境(アプリケーション・ライブラリ・設定ファイル)をひとまとめにした「コンテナ」を作成し、独立したプロセスとして「コンテナエンジン」上で動作させる技術。VM(仮想マシン)と比較してリソースが効率的に利用でき、動作も軽量。
※2 コンテナオーケストレーション
複数のコンテナの稼働監視や負荷分散、スケーリングなどの運用管理作業を自動化する機能。
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