当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によって厳しい状況にありましたが、ワクチン接種の進展など新規感染者の抑制により、持ち直しの動きがみられました。世界経済についても、新型コロナウイルス感染症の影響が一時期緩和されましたが、新たな変異株の発生などにより不透明な状況が継続しています。
当社グループを取り巻く経営環境は、国策である防災・減災、国土強靭化の推進や、各地で発生した災害への対応が求められ、引き続き堅調に推移しました。
このような状況下にあって、国内事業においては、①防災・減災、国土強靭化、②既存ストックの運用改善、維持管理・更新、③CM・PM、施工管理などの発注者支援、④PFI・PPP事業、⑤都市・建築事業の5つを重点事業分野として、地方自治体や民間企業を拡大市場として位置付け、グループ一体となった事業拡大に注力しました。
一方、海外事業は、当社連結子会社である株式会社建設技研インターナショナルおよびWaterman Group Plcを中心として事業拡大を目指しました。
国内および海外事業ともに、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、テレワークを活用した働き方を「新たな日常」として積極的に推進し、社員の安全・安心を確保したうえで業務生産の継続に努め、国内での緊急事態宣言下、海外での都市ロックダウン下においても生産体制を維持することができました。
これらの取り組みにより、当連結会計年度における当社グループの受注高は、84,448百万円と前年同期比22.2%増となりました。完成業務収入は74,409百万円と前年同期比14.1%増、経常利益は7,118百万円と前年同期比36.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は4,471百万円と前年同期比22.5%増となりました。
2021年が最終年となる「中期経営計画2021」では、受注高70,000百万円、完成業務収入70,000百万円、営業利益5,000百万円を目標としており、当連結会計年度においてそれぞれ達成することができました。
当社グループのセグメント別の業績は次のとおりです。
1 国内建設コンサルティング事業
国内建設コンサルティング事業は、防災・減災、国土強靭化、維持管理をはじめとする5つの重点事業分野の更なる受注を拡大しました。以上の結果、受注高は58,660百万円と前年同期比15.1%増、完成業務収入は53,696百万円と前年同期比9.6%増となり、セグメント利益は6,032百万円と前年同期比19.9%増となりました。
2 海外建設コンサルティング事業
海外建設コンサルティング事業は、東南アジアにおける株式会社建設技研インターナショナルの大型受注、経済が持ち直しつつある英国のWaterman Group Plcの業績が大きく拡大し、受注高は25,787百万円と前年同期比42.1%増、完成業務収入は20,713百万円と前年同期比27.8%増となり、セグメント利益は951百万円(前年同期45百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における総資産は71,880百万円と前年同期比12.3%増となりました。これは主に、現金及び預金、受取手形及び完成業務未収入金の増加によるものであります。
当連結会計年度末における総負債は33,059百万円と前年同期比10.3%増となりました。これは主に、賞与引当金、未払法人税等ならびに未成業務受入金の増加によるものであります。
当連結会計年度末における純資産は38,820百万円と前年同期比14.1%増となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益によって利益剰余金が増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,842百万円増加し、20,527百万円となりました。
営業活動の結果取得した資金は5,344百万円(前年同期比38.5%減)となりました。これは主に、売上債権の増加による支出2,226百万円があった一方、税金等調整前当期純利益6,879百万円と減価償却費1,094百万円による収入があったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は671百万円(前年同期比14.0%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出360百万円と無形固定資産の取得による支出201百万円があったことによるものであります。
財務活動の結果使用した資金は1,128百万円(前年同期比4.9%減)となりました。これは主に、リース債務の返済による支出444百万円、配当金の支払額634百万円があったことによるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
(注)1 金額は、販売価額によっております。
2 上記の金額は外部顧客に対するもので、セグメント間の内部取引および振替額は含まれておりません。
(注)1 金額は、販売価額によっております。
2 上記の金額は外部顧客に対するもので、セグメント間の内部取引および振替額は含まれておりません。
(注)1 金額は、販売価額によっております。
2 上記の金額は外部顧客に対するもので、セグメント間の内部取引および振替額は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。
経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計基準は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、特に重要な見積りは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(のれんの減損)
当社グループは、企業結合により発生したのれんを計上しております。当該のれんについては、将来の超過収益力を適切に反映しているものと判断しております。
のれんの減損損失の判定にあたっては、子会社の業績や事業計画等に基づき合理的に判断しておりますが、これらは長期的な見積りに基づくため、将来の経営環境や市況等の変動によっては、当社グループの財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況の分析
当連結会計年度における経営成績の状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」をご参照ください。
国内建設コンサルティング事業セグメントの営業利益率は、前年同期10.3%から当連結会計年度11.2%へと上昇しました。
公共事業における技術者単価の上昇、契約ロットの大型化により採算性が向上した一方、人件費も増加しましたが、総じて販売費及び一般管理費の割合が低下したことにより、当該セグメントの事業採算性が向上したと考えております。
海外建設コンサルティング事業セグメントの営業利益率は、前年同期0.3%から当連結会計年度4.6%へと上昇しました。
前年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けましたが、当連結会計年度は、英国のWaterman Group Plcの公共部門がけん引してコロナ禍前を上回る売上高となり、当該セグメントの事業採算性が向上したと考えております。
③財政状態の分析
当連結会計年度末における財政状態の状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
総資産は71,880百万円と前年同期比12.3%増となり、総負債は33,059百万円と前年同期比10.3%増、純資産は38,820百万円と前年同期比14.1%増となりました。
これらは、受注高、売上高等の事業規模拡大により増加しておりますが、自己資本比率も前年同期52.9%から当連結会計年度53.8%へと上昇しておりますので、財政の安定性を保ちながら事業規模拡大が図られていると考えております。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの事業規模拡大に伴い、総資産が増加していますが、資金については、手元流動性を確保しつつ、基本的には自己資金の範囲内で事業拡大と生産性向上ならびに業務効率化に必要な投資を進めているところであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、業務原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は中長期的な成長に向けてのM&Aや設備投資によるものであります。
なお、業務の特性上、受託料収入が第2四半期に集中し、第1四半期には手元資金残高が減少する傾向があるため、当該時期には資金需要に応じて運転資金の一部を金融機関からの短期借入金で賄うことがあります。
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