文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループの経営環境について
2021年度の日本経済は、新型コロナの新規感染者数の増減による緊急事態宣言等の発出と解除に伴い、経済活動の制限と緩和が繰り返されてきました。そのような状況の中、景気は緩やかに持ち直してきており、2022年5月内閣府発表の1次速報値では、2021年の実質GDP成長率は前年比+2.1%となりました。
しかしながら、新規感染者数の今後の動向や、ウクライナ情勢を受けた世界的な政治的・経済的不安による個人消費・企業業績への影響など、先行き不透明感は依然として根強く、今後、成長が失速するリスクが懸念されています。
一方で、行政や民間におけるデジタル化に向けた動きは堅調に推移しています。2021年9月には、デジタル社会形成の司令塔として、未来志向のデジタルトランスフォーメーション(DX)を大胆に推進し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げることを掲げたデジタル庁が発足しました。行政や民間におけるデジタル化の動きは、サービスモデルやビジネスモデルの変革による中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に向けて、活発化しています。
(2) 当社グループの経営戦略について
当社は、経営理念ならびに「2023中期経営計画」のグランドコンセプトとして「安全・安心な社会の創生」を掲げており、政府の「目指すべきデジタル社会のビジョン」で示された社会と同じ未来を目指しています。総務省は、この社会の実現のためには、住民に身近である自治体、とりわけ市区町村の役割が極めて重要であると示しており、これまで多くの自治体にITサービスを提供してきた当社のノウハウや強みを最大限に生かせるデジタル社会の実現は、当社の責務であるとともに、大きなビジネスチャンスであると捉えています。
2023年3月期は、「2023中期経営計画」の2年目にあたるところ、中期経営計画実現に向けた取り組みとして、以下の4つを推進します。
①自治体DXから地域・民間DXへ
自治体DXを通じて地方自治体と連携し、地域の民間企業、住民、地域金融機関が抱えている様々な課題を解決し、地域・民間DXを推進します。
DXを推進するコーディネーターとして、戦略ロードマップの策定やテクノロジーの選定、データサイエンスによる分析等、さまざまな支援を推進していくために、2022年4月にDX事業を推進する組織体制をさらに強化し、提案力・技術力の向上、アライアンス戦略の推進によるサービス展開の拡充に取り組んでまいります。
②行政システム(WebRings)標準化対応
今年度より開始するWebRings提供自治体のシステム標準化導入支援を着実に実施するとともに、当社の強みを活かしたDXの支援に取り組みます。
自治体分野における当社の豊富なサービスメニューや顧客基盤と、株式会社三菱総合研究所の社会課題解決への知見・ノウハウを組み合わせ、手続きのワンストップ、ノンストップを実現し、自治体の行政手続のオンライン化(住民接点の総合デジタル化、住民の利便性向上)、バックオフィスのデジタル化(業務改革、データ活用による住民サービス向上)等によるDXを推進してまいります。
③グループ会社戦略の推進
グループ経営のシナジー効果を追求するため、BPO業務と運用業務の当社グループ内での移管、集約を2023年4月に実施します。当社グループ内で業務を集約することで、業務の自動化・効率化を実現し、人的リソースの専門性・機動性を高め、収益性の向上を図ります。また、当社グループの事業再編により、DXグループ企業として当社グループの企業価値の向上を図るとともに、リスク管理の徹底によるガバナンス強化を通じて経営基盤を強化します。中期経営計画の達成、ひいては安全・安心な社会の実現に向けて、当社グループ一体となって取り組んでまいります。
④サスティナブル経営の推進
2020年10月から導入した、社員が自律的に働く時間や場所を選択できる「新しい働き方」を推進していきます。多様な社員が働くことのできるインフラを整備し、生産性の向上とワークライフバランスを実現します。また、Gold(シングルスター)に認定された「iCD(iコンピテンシ ディクショナリ)」などのIT人材育成指標を活用し、人材育成・タレントマネジメントを推進します。社員一人ひとりが輝き、持続的に成長し、活躍することのできる環境・風土の醸成を継続して推進し、「アイネスウェルビーイング」を実現することにより、サスティナブル経営を推進してまいります。
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