文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループを取り巻く経営環境
新型コロナウイルス感染症については、ワクチン接種が進捗した欧米諸国を中心に大幅な規制緩和による経済再開が進みましたが、その後、新たな変異株(オミクロン株)による感染者が再拡大しています。わが国においても、2021年9月末で緊急事態宣言等が解除され、経済活動の回復の兆しが見え始めましたが、その後は新たな変異株による感染者も拡大し、第6波を迎える状況となっています。こうした状況を踏まえ、新型コロナウイルス感染症による世界経済並びに日本経済に与える影響は2022年後半まで続く可能性があると想定しています。
こうした中で当社グループを取り巻く市場環境を見ると、国内においては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」(以下、国土強靭化計画)の策定に伴い公共事業分野では、市場機会の拡大が続くことが想定されます。また、2050年までにカーボン・ニュートラルを目指すという政府方針に伴う再生可能エネルギー分野の市場拡大や、世界的な脱炭素化の流れを背景とした化石燃料への需要低下による原油価格低迷が継続することが予想されます。こうした点を踏まえ、当社グループの各事業を取り巻く市場環境を概観すると以下のようになります。
《インフラ・メンテナンス事業》
国内においては、国土強靭化計画の進展や高度成長期に建設された各種社会インフラの老朽化を背景に、公共部門を中心にインフラの補修・維持管理や建替え等に関する需要が今後も継続することが予想されます。また、海外においても先進国を中心に同様な需要増が期待されます。
《防災・減災事業》
近年は、台風や豪雨等による自然災害が毎年のように発生・激甚化しており、そうした災害からの復旧工事の需要や災害防止のための需要が高まる傾向があります。加えて、国土強靭化計画の進展や防災・減災意識の高まりを背景に、同事業関連の需要は今後も拡大していくことが期待されます。
《環境事業》
環境に関する社会的関心・意識は近年大きく高まってきており、当社グループが実施する環境アセスメントやアスベスト対策サービス、土壌汚染対策等の業務への需要は今後も継続していくことが期待されます。また、自然災害の多発化や資源循環という観点からも、当社グループが提供する災害廃棄物処理支援関連サービスへの需要が高まることが期待されます。
《資源・エネルギー事業》
世界的な脱炭素化の流れや政府による2050年までのカーボン・ニュートラル政策発表等を背景に、再生可能エネルギーへの関心が高まっています。これに伴い、当社グループの洋上風力発電関連支援サービス等に対する需要も高まっていくことが期待されます。一方で、コロナ禍の長期化に伴う世界経済への影響や化石燃料への長期的な需要減少の可能性があり、海外においては当社グループのビジネス機会が縮小する懸念があります。
② 経営方針並びに対処すべき課題
当社グループは、こうした経営環境を踏まえ、2021年度から2023年度末までの中期経営計画OYO Advance 2023を策定し、遂行しております。
OYO Advance 2023 では、2020年度末まで遂行してきた前中期経営計画OYO Jump18において創出・成長してきた新しい市場や新技術の萌芽を当社グループの次の収益事業として確実に成長させるとともに、ESG経営、SDGs目標の達成に貢献する新たな価値創造プロセスにチャレンジしております。
『OYO Advance 2023』の概要
a. 基本方針
サステナブル経営(ESG経営とSDGsの目標達成)を基本方針に、本業(4つの事業セグメント)を通じ、「社会価値」「環境価値」「顧客価値」の3つの価値の最大化を目指しております。
b. 成長ドライバー
DXを核としたイノベーション戦略に対する積極的な投資を行うことでグループ全体の成長を推進します。具体的には、DX戦略投資として10億円、研究開発戦略として45億円、合計55億円を次の3ヵ年の投資額として設定することにより、イノベーション戦略を進めております。
c. 経営基盤
世界における脱炭素化の大きな潮流が加速する中、DXを主軸とするイノベーションの推進、並びに以下の3つの構造改革を推進することで、当社グループの今後の成長基盤の構築に取り組んでおります。
「事業ポートフォリオ改革」
・4事業セグメントの改革
・国内外グループ会社の改革
「事業サービス改革」
・技術融合による改革
・協創による改革
「働き方・ガバナンス改革」
・DX活用による多様な働き方の実現
・中長期的な企業価値向上のためのコーポレートガバナンス改革
d. 業績目標
OYO Advance 2023の最終年である2023年12月期における業績目標を、連結売上高620億円、営業利益率8%、自己資本利益率(ROE)5%としております。
e. M&A
中長期的な企業価値の向上と持続的な成長のために、M&A投資枠70億円を2021年11月に120億円へ拡大いたしました。引き続き国内外の良質案件への投資を進めて参ります。
(注)M&Aによる効果は上記のd.業績目標には含めておりません。
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