(1) 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
本項に記載されているすべての財務情報は本有価証券報告書における連結財務諸表に基づいております。同財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されております。この財務諸表の作成にあたり、経営者は、見積りが必要な事項については過去の実績や現状等を考慮し、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるためこれらの見積りと異なる可能性があります。重要な会計方針及び見積りにつきましては、「経理の状況」に記載しております。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」をご参照ください。
<概況>
当連結会計年度におけるわが国経済は、長期化する新型コロナウイルス感染症による影響から一時持ち直しの動きが見られたものの、新たな変異株の感染が広がり景気回復が足踏みするなど、厳しい状況が続きました。
当社グループの係わる電設資材業界は、建築着工や企業の設備投資が持ち直すなど上向きの兆しが見られました。また、自社製品の係わる空調業界は、巣ごもり需要が一巡したことなどからルームエアコンの出荷(国内929万台 前年同期比8.0%減)は伸び悩みました。
このような情勢のなか、当社グループは中長期的な経営戦略に沿って、重点施策を着実に推進するとともに、積極的な営業活動を展開しました。
その結果、収益認識会計基準等の影響を除いた場合の業績は過去最高を更新いたしました。
経営成績に重要な影響を与えた要因は、次のとおりであります。
<売上高>
売上高は前連結会計年度と比べ117億2百万円(4.2%)増加し、2,890億71百万円となりました。なお、収益認識会計基準等を適用したことにより、従来の会計処理方法によった場合に比べ、当連結会計年度の売上高は209億57百万円減少しております。
電設資材事業は、首都圏再開発やデータセンターなどの大型物件に対し受配電設備や防災設備の納入があったことや、前期落ち込みの反動から電設資材全般の販売が増加したことに加え、銅価格の高騰により電線ケーブル類の販売価格が上昇しました。その結果、収益認識会計基準等の影響を除いた場合の前年同期比は増収となりましたが、収益認識会計基準等の適用により、売上高が203億85百万円減少し、売上高1,939億23百万円(前年同期比0.7%減)となりました。
産業機器事業は、旺盛なデジタル関連需要や自動車業界の回復などを背景に半導体関連向けの販売が好調であったほか、製造業を中心とした設備投資の持ち直しにより、制御機器及び電子部品の販売が増加した結果、売上高338億76百万円(前年同期比21.5%増)となりました。収益認識会計基準等の適用により、売上高が1億56百万円減少しております。
自社製品事業は、ルームエアコンの出荷が伸び悩んだものの、換気ニーズの高まりによる高機能エアコンの需要は継続していることに加え、政府の熱中症対策による学校体育館への空調設置案件等への納入があったことで、空調配管化粧カバー「スリムダクトシリーズ」などの販売が堅調だったほか、原材料価格の高騰を受け幅広い製品において価格改定を実施した結果、売上高612億71百万円(前年同期比13.2%増)となりました。収益認識会計基準等の適用により、売上高が4億15百万円減少しております。
<売上総利益>
売上総利益は前連結会計年度と比べ47億62百万円(11.0%)増加し、481億60百万円となりました。また、売上総利益率は前連結会計年度と比べ1.0ポイント上昇し、16.7%となりました。収益認識会計基準等の適用により、売上原価が205億62百万円減少しております。
<販売費及び一般管理費>
販売費及び一般管理費は前連結会計年度と比べ39億56百万円(14.2%)増加し、318億98百万円となりました。これは主に、業績連動賞与引当金等の人件費の増加によるものであります。
<営業利益>
営業利益は前連結会計年度と比べ8億6百万円(5.2%)増加し、162億61百万円となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度と変わらず、5.6%となりました。収益認識会計基準等の適用により、営業利益が3億95百万円減少しております。
<営業外損益>
前連結会計年度と比べ営業外収益は2億97百万円減少し、営業外費用は12億35百万円減少いたしましたが、これは主に、収益認識会計基準等の適用によるものであります。
<特別損益>
特別利益は前連結会計年度と比べ8億29百万円減少いたしましたが、これは主に、投資有価証券売却益の減少によるものであります。
特別損失は前連結会計年度と比べ2億8百万円減少いたしましたが、これは主に、前期に計上した新型コロナウイルス対策として臨時に開設したサテライトオフィスの賃料等によるものであります。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ9億43百万円(8.3%)増加し、122億66百万円となりました。
また、EPS(1株当たり当期純利益)は前連結会計年度と比べ16円80銭(8.3%)増加し、220円6銭となりました。
<ROE(自己資本当期純利益率)>
ROEは前連結会計年度と比べ0.3ポイント上昇し、8.9%となりました。
(3) 中期経営計画の進捗状況
中期経営計画については、ローリング方式により策定しておりますが、当連結会計年度における経営成績は当初の予想を上回って推移し、目標達成に向けて順調に推移しているものと認識しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことに加え、原材料価格の動向や半導体不足等による供給面での制約、地政学リスクの高まりに関して先行き不透明な状況にあります。引き続き、重点施策を着実に実行していくことによって企業価値の最大化を追求してまいります。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る分析
将来の成長に向けた投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としております。財政状態及びキャッシュ・フローの状況を踏まえ、必要な資金需要に対応できる財務健全性は確保されているものと判断しております。
なお、株主還元につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
<財政状態>
総資産は前連結会計年度末と比べ159億19百万円(7.3%)増加し、2,354億20百万円となりました。これは主に売上債権の増加、現金及び預金の増加によるものであります。
負債は前連結会計年度末と比べ103億56百万円(12.4%)増加し、941億67百万円となりました。これは主に仕入債務の増加、賞与引当金の増加によるものであります。
純資産は前連結会計年度末と比べ55億63百万円(4.1%)増加し、1,412億53百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は59.7%となりました。
<キャッシュ・フローの状況>
現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ4億46百万円(0.6%)減少し、725億68百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ収入が30億26百万円(21.5%)減少し、110億48百万円のプラスとなりました。これは主に、売上債権の増加(93億37百万円)、法人税等の支払(45億4百万円)がありましたが、税金等調整前当期純利益(177億4百万円)、仕入債務の増加(58億65百万円)があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ支出が31億20百万円(145.0%)増加し、52億71百万円のマイナスとなりました。これは主に、定期預金の払戻(100億円)と預入(130億円)の収支、有形固定資産の取得による支出(9億89百万円)、無形固定資産の取得による支出(6億55百万円)があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度末と比べ支出が5億25百万円(9.1%)増加し、62億73百万円のマイナスとなりました。これは主に、ストックオプションの行使による収入(10億95百万円)がありましたが、配当金の支払(55億80百万円)、自己株式の取得による支出(17億61百万円)があったことによるものであります。
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