文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「私たちは誠実を旨とし、本物・安心・健康な『食』の提供を通じて、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献します」をグループ理念と定め、グループ理念の実践により、社会への責任を果たしてまいります。
また、当社グループは、グループ理念を通じて以下のグループビジョンの実現を目指します。
・地球環境に配慮し、世界の『食』に貢献する21世紀のエクセレントカンパニーを目指します。
・お客様の立場に立ち、お客様にご満足いただける価値創造企業を目指します。
・持続可能な『食』の資源調達力と技術開発力を高め、グローバルに成長を続ける企業を目指します。
(2)経営戦略等
安全で高品質な商品を、お客様のもとにお届けすることが当社グループの使命であり、食品安全を含めた品質保証体制、危機管理体制及びグループガバナンス体制の構築に、継続して取り組んでまいります。
また、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とする、グループ新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」を策定いたしました。計画の策定にあたりましては、企業価値向上と持続的成長の実現に向け、長期経営ビジョンを次の3つに再定義しております。
① 事業活動を通じた経済価値、社会価値、環境価値の創造により、持続可能な地球・社会づくりに貢献する
② 総合食品企業として、グローバルに「マルハニチロブランド」の提供価値を高め、お客様の健康価値創造に貢献する
③ 水産資源調達力と食品加工技術力にもとづく持続可能なバリューチェーンを強化し、企業価値の最大化を実現する
以上の長期経営ビジョンの実現に向けて、非連続な成長のロードマップをバックキャストで描き、新中期経営計画では、「経営戦略とサステナビリティの統合」「価値創造経営の実践」「持続的成長のための経営基盤強化」の3つのコンセプトに取り組んでまいります。
① 経営戦略とサステナビリティの統合
・ 経営戦略とサステナビリティを一体として実現する、当社グループの価値創造のあり方として、Maruha Nichiro Value(MNV)を定義
② 価値創造経営の実践
・ 価値創造経営を推進するガバナンス体制の構築
・ マテリアリティの特定、財務・非財務KGIの設定
・ 事業ポートフォリオに基づく資源配分
・ 成長ドライバー領域への戦略投資
・ 水産・食品の枠組みを超えたバリューチェーンの価値最大化
③ 持続的成長のための経営基盤強化
・ 多様化する消費者のニーズに対応した健康価値の創造と提供
・ イノベーションエコシステムの構築
・ 人財への積極的な投資
・ コーポレートブランドの発信強化
・ 知財リスク対応と無形資産の活用・強化推進
・ DX推進基盤の構築とデジタル技術の活用
「海といのちの未来をつくる」というブランドステートメントのもと、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献するというグループ理念の実現に向けて、変化の激しい経営環境の中にあっても、「経済価値」「社会価値」「環境価値」の創造に引き続き取り組み、企業価値の更なる向上、持続的な成長を目指してまいります。
(3)経営環境
新型コロナウイルスワクチンの普及もあり、徐々に経済活動が再開されると考えられ、緩やかな景気回復局面は一定程度継続されるものと予想されます。しかしながら、変異株発生による感染再拡大への懸念や、原油価格、原材料価格の高騰による消費マインド低下は引き続き、景気の下振れリスクとして考えられるほか、ウクライナ情勢の緊迫化、長期化による影響も想定され、予断を許さない状況が継続すると考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とするグループ新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」の初年度を迎えます。
当社グループは、「魚」をコアにした水産食品企業グループであり、製品・サービスの特性、市場及び顧客の種類などの要素で多面的にとらえて編成した複数の事業ユニットを、主に事業類似性の観点から、分割・集約したうえで、「水産資源」、「加工」及び「物流」の3区分を従来の報告セグメントとしておりましたが、水産資源調達力と食品加工技術を生かしたバリューチェーンの更なる強化拡充を図るため、「水産資源」、「加工食品」、「食材流通」及び「物流」の4区分に変更することといたしました。
また、事業ユニットの編成についても、併せて見直しを行っております。
水産資源セグメントについては、水産商事ユニットと荷受ユニットを統合し、国内外の水産物の調達・販売に関し、統一戦略に基づいた一体的な事業運営による独自の水産流通体制を構築し、顧客価値の最大化を追求してまいります。
加工食品セグメントについては、化成ユニットの名称をファインケミカルユニットに変更するとともに、家庭用冷凍食品ユニットと家庭用加工食品ユニット及び化成ユニットの調味料乾燥食品事業を統合し、加工食品ユニットとすることにより、加工食品事業を一元化し、加工食品セグメント全体の更なる成長を目指してまいります。
新設の食材流通セグメントについては、水産商事ユニットの戦略販売事業及び業務用食品ユニットを移管・統合し、食材流通ユニットとするとともに、畜産ユニットを移管し、顧客起点でのチャネル別販売機能強化、及び多様な食材流通機能の統合による顧客価値創造を加速させます。
各事業の次期における対処すべき課題は次のとおりであります。
水産資源事業
漁業ユニットは、拠点となる各国における新型コロナウイルス等による事業環境の変化に対応し、安定した漁業オペレーションを実施するとともに、自社加工度を高めるなど販売ルートを多様化することにより、収益の向上に努めてまいります。
養殖ユニットは、燃料代、飼料代等の上昇が予想されますが、国内におけるブリ・カンパチ・マグロの養殖を主軸として、技術改善とコスト削減に取り組み、収益の向上に努めてまいります。
水産商事ユニットは、調達コストの上昇分を価格に転嫁するとともに、水産各部とグループ荷受会社の一体的な事業運営により、グループサプライチェーンの強化を図り、収益の最大化に努めてまいります。
海外ユニットは、海外事業拠点における収益基盤の強化、資源へのアクセス強化及び海外における販売促進を進めてまいります。北米では2022年1月に新たに確保したアラスカのスケソウダラ資源の有効活用及び二次加工の拡大と収益力向上を目指します。欧州ではM&Aも含めた更なる事業拡大を推進いたします。タイのペットフードについては、新規参入による供給量増が予想される中、開発と製造技術の向上により販路拡大に注力いたします。
加工食品事業
加工食品ユニットは、マーケティングや研究開発部門との連携を強化し、商品開発力を向上させるとともに、積極的な販促活動を展開し、売上の拡大とブランド認知の向上を図ってまいります。原料事情の変動においては、適切に対応し、必要な値上げと売上拡大の両立を進めてまいります。また、製販一体の事業管理体制を一層強化し、収益性をさらに高めてまいります。
ファインケミカルユニットは、DHA・EPA製品を中心に拡販し、また、ヘパリンの新規取り扱い等により、事業規模拡大に努めてまいります。
食材流通事業
食材流通ユニットは、量販店、外食、コンビニエンスストア、宅配生協、介護食など顧客起点による販売活動の強化とともに、食品、水産、畜産の枠組みを超えた提案強化を進めてまいります。また、単品損益管理や更なる生産の効率化を通じて収益率の向上を目指してまいります。
畜産ユニットは、国際情勢変動による原油高、飼料穀物の高騰に加え、円安の影響による輸入食肉価格の上昇から厳しい供給環境が見込まれますが、国産食肉の取り扱い強化を図るとともに、多様な産地や付加価値商材の提案を通じてグループ内協業も含めた販路の拡大に取り組んでまいります。
物流事業
長引く新型コロナウイルス影響やウクライナ情勢などの事業環境への影響を注視しつつ、主要都市港湾地区を中心とした物流拠点を最大限に活用し、保管需要の取り込みを図るとともに、全国レベルで輸配送・通関等を含めた総合物流サービスをお客様に提供することにより、収益拡大を目指してまいります。
(5)目標とする経営指標
新中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV 2024」における財務KGIは次のとおりであります。
|
24年度計画 (A) |
27年度目標 (B) |
21年度実績 (C) |
差異 (A)-(C) |
差異 (B)-(C) |
MNEV(億円) ※ |
95~ |
110~ |
105 |
△10 |
5 |
売上高(億円) |
9,600~ |
10,000~ |
8,667 |
933 |
1,333 |
営業利益(億円) |
270~ |
310~ |
238 |
32 |
72 |
EBITDA(億円) |
465~ |
500~ |
426 |
39 |
74 |
ROIC |
4.3%~ |
5%~ |
4.3% |
- |
0.7pt |
ROE |
9%~ |
9%~ |
11.2% |
△2.2pt |
△2.2pt |
ネットD/Eレシオ |
~1.2倍 |
~1.0倍 |
1.4倍 |
△0.2pt |
△0.4pt |
※MNEV(Maruha Nichiro Economic Value):事業活動の成果に伴う経済付加価値額として、投下資本利益率(ROIC)と加重平均資本コスト(WACC)の差に、投下資本を乗じ算出しております。
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