住友林業は、1691年の創業以来、「森」や「木」とともに歩んでまいりました。現在当社グループでは、経営理念において『公正、信用を重視し社会を利するという「住友の事業精神」に基づき、人と地球環境にやさしい「木」を活かし、人々の生活に関するあらゆるサービスを通じて、持続可能で豊かな社会の実現に貢献する』ことを謳っております。研究開発分野においても、「木の価値を高める」を基本に、地球環境から住環境まで、私たちの暮らしを取り巻く環境を、より豊かに創造することを目指して取り組んでおります。
また、創業から350周年を迎える2041年を目標とした研究技術開発構想である「W350計画」を2018年2月にまとめました。建築物を始めとした都市の構成要素の木造化・木質化を図り、街を森にかえる、つまり街に炭素を固定させ、環境に配慮した豊かな社会づくりを目指してまいります。
当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は
木造建築物に関する構造技術、防耐火技術、音・振動対策技術などの開発を行っております。建築住まいグループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・中大規模木造建築に関する技術の開発
国内外で普及が期待される中大規模木造建築に関する構造構法、耐火関連技術、木質部材の開発を進めております。また、実プロジェクトへの技術普及並びに、海外のアカデミアとの研究開発にも取り組んでおります。
国内外の植林並びに新たな育種技術等の研究開発を行っております。資源グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・植林技術の開発
未利用樹種及び早生樹における植林技術の研究開発、さらに国内の苗木の大量生産技術の開発に取り組んでおります。
・育種・培養技術の開発
国内外の優良な形質を持つ樹木について、さらにその形質を高めるゲノム育種や、名木・貴重木を再生・増殖するための組織培養技術の開発に取り組んでおります。
・緑化技術の開発
暑熱緩和・防災効果のある機能性緑地の開発や、高層木造建築へ対応できる特殊緑化技術の開発を進めております。
新しい木質材料の開発や木材利活用技術の開発等を行っております。材料グループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・新しい木質材料の開発
既存事業のMDF(中密度繊維板) やパーティクルボードなど木質ボードの性能改善や製造技術の開発を進めるとともに、中大規模木造建築で求められる高強度木質構造材や木質耐火材料の開発に取り組んでおります。
・新しい木材利用技術の開発
木の可能性を引き出し木材の利活用を推進するため、木質資源のバイオリファイナリーに取り組むとともに、木材繊維の新たな領域での利活用を進めております。
「木」や「緑」がもつ特性の解明や、それらを含む環境空間が快適性や知的生産性、更には医学的効果に及ぼす影響などの研究を行っております。木のイノベーショングループの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・「木」と「緑」がもつ特性とその効用に関する研究
木質空間・緑化空間が人の五感に与える影響や、メンタルヘルスなどに及ぼす医学的な効果の研究に取り組んでおります。
・生産性向上に関する研究
木や緑の空間が人の心理生理に及ぼす影響(疲労回復や疲労軽減、創造性、コミュニケーション等)の研究を進め、生産性向上の定量化とその因子の特定のための研究を進めております。
・木造建築物の環境的価値の見える化に関する研究
ライフサイクルでの温室効果ガス排出量や炭素固定量を見える化し、木造化・木質化の環境的価値の訴求に取り組んでおります。
⑤住宅技術商品開発センター
2020年4月に新設した住宅技術商品開発センターは、住宅・建築事業本部と連携して、住宅事業向けの技術商品開発を進めております。住宅技術商品開発センターの当連結会計年度における主な活動は以下のとおりであります。
・次世代住宅/低層非住宅構法の開発
BF構法(ビッグフレーム構法)をベースに次世代の地震対策技術や大スパン対応技術の開発を進めております。
・住環境の改善、省エネルギー技術の開発
遮音性をはじめとする音環境の改善技術、エネルギー消費量の削減や有効活用のための開発を進めております。
・各種品質・性能確認試験
主に住宅の構造強度、耐火性、建材の耐候性、防水性など、取り扱う様々な商品、材料の品質、性能を確認しております。
なお、当連結会計年度におけるセグメント別の研究開発活動の状況及び研究開発費は次のとおりであります。
国内の建材製造子会社において、安全性や機能性を付与した住宅用部材・建材の開発等を行っております。当事業に係る研究開発費は
お知らせ