(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当社グループは、日本の東京に本社を置き、中国及び米国の子会社を通じて医薬品事業、医療機器(生体材料)事業および創薬事業を中核とするグローバル製薬企業です。
当連結会計年度の業績は、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックの影響が続いたものの、売上収益、売上総利益ともに増加し、好調でした。営業利益は、主に中国、米国において核となる創薬のための研究開発や臨床試験への投資や、中国での今後の医薬品販売を更に支えるための生産設備への投資、中国における営業・マーケティング活動への投資、BCの上場準備費用などのため減少しました。
当社の連結子会社であるBCでは、中国でアイスーリュイの売上が引き続き好調に伸長し、営業体制も強化いたしました。また、中国での臨床試験も順調に進捗し、HBV由来の肝線維症を対象としたF351の第Ⅲ相試験(2022年1月被験者登録開始)ならびにF573の第Ⅰ相臨床試験が2022年1月より開始されました。BC及びCullgen双方とも、資本市場の状況を勘案しながら、株式市場への上場の準備を続けております。
米国においては、BABも、新型コロナウイルスのパンデミックの影響が続くにも関わらず、事業を成長させました。また、Cullgenは、研究開発力強化のために積極的な投資活動を、米国と中国双方で継続いたしました。
当連結会計年度の経営成績、財政状態、キャッシュ・フロー及び研究開発活動は以下のとおりです。
連結経営成績概要
(単位:千円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
売上収益 |
9,773,862 |
12,690,246 |
2,916,384 |
売上総利益 |
8,227,918 |
11,089,748 |
2,861,829 |
営業利益 |
1,869,540 |
1,624,948 |
△244,592 |
当期利益 |
1,365,905 |
55,242 |
△1,310,663 |
売上収益及び売上総利益
当連結会計年度においては、当社グループの売上収益は2021年8月11日に開示した業績予想の修正と同じレベルの12,690,246千円を計上し、前連結会計年度比では29.8%増加となりました。当連結会計年度の業績は、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックの影響が続いたものの、好調でした。売上総利益は11,089,748千円となり、前連結会計年度比34.8%の増加でした。
営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比13.1%減少の1,624,948千円となりました。これは主に中国、米国において核となる創薬のための研究開発や臨床試験への投資や、中国での今後の医薬品販売を更に支えるための生産設備への投資、中国における営業・マーケティング活動への投資、BCの上場準備のための費用などによるものです。
当期利益
当期利益は、前連結会計年度比96.0%減少し、55,242千円となりました。主な理由は、Cullgenの米国におけるシリーズAとBの資金調達に係る金融費用および当社グループが行った投資収益に係る法人所得税費用の増加であります。
販売費及び一般管理費の明細、研究開発費
(単位:千円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
販売費及び一般管理費 |
△5,180,715 |
△7,958,654 |
△2,777,938 |
人件費 |
△1,893,602 |
△2,983,245 |
△1,089,642 |
研究開発費 |
△1,243,158 |
△2,015,875 |
△772,716 |
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2,777,938千円増加し、7,958,654千円となりました。販売費及び一般管理費の増加は、医薬品事業セグメントの営業・マーケティング費用と、BC及びCullgenの人件費の増加などによるものです。
また、研究開発費の増加は、主にBCおよびCullgenの臨床試験のための投資によるものです。
金融収益及び金融費用
(単位:千円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
金融収益 |
46,074 |
129,960 |
83,885 |
金融費用 |
△109,702 |
△647,898 |
△538,196 |
金融収益
当連結会計年度の金融収益は、83,885千円増加し、129,960千円となりました。
金融費用
当連結会計年度の金融費用は、538,196千円増加し、647,898千円となりました。これは、主に当社グループ子会社の財務活動に係る費用であります。
② セグメント情報
医薬品事業
当社グループの医薬品の基幹製品であるアイスーリュイの中国での販売が引き続き好調に推移いたしました。その結果、当連結会計年度の医薬品事業の売上収益とセグメント利益は、それぞれ10,895,082千円(前年同期比35.4%増)、983,070千円(前年同期比15.6%減)となりました。セグメント利益の減少は、営業体制やマーケティング活動の強化、BCにおける生産設備の拡張によるものです。
医療機器事業
米国におきましては、BABの医療機器事業(生体材料)が確固たる地位を築いており、新型コロナウイルス・パンデミックの2年に渡る影響の中でも、事業環境を改善し成長を達成することができました。
③ 生産、受注及び販売の実績
生産実績
当社グループの業務は業務の性質上、生産として把握することが困難である為、記載を省略しております。
受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注状況の記載はしておりません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
医薬品事業 |
10,895,082 |
35.4 |
医療機器事業 |
1,795,164 |
3.9 |
合計 |
12,690,246 |
29.8 |
(注)1.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
セグメント |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
||
K2M, Inc. |
医療機器事業 |
312,326 |
3.2 |
412,397 |
3.2 |
Sinopharm Holding Henan Co., Ltd |
医薬品事業 |
907,300 |
9.3 |
1,315,926 |
10.4 |
Sinopharm holdings Shandong Co., Ltd |
医薬品事業 |
404,395 |
4.1 |
632,136 |
5.0 |
Sinopharm Holding Limited |
医薬品事業 |
418,011 |
4.3 |
478,334 |
3.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当連結会計年度における経営指標の実績は次の通りです。売上収益については、第2事業の状況 3経営者に
よる財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③生産、受注及び販売の実績に記載しております。
また、研究開発費については、その活動を第2事業の状況 5 研究開発活動 に記載しております。
(単位:千円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
売上収益合計 |
9,773,862 |
12,690,246 |
研究開発費 |
1,243,158 |
2,015,875 |
売上収益対比 |
12.7% |
15.9% |
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積り及び判断を行っております。また、実際の結果は見積りによる不確実性がある為、これらの見積りと異なる場合があります。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第一部 企業情報、第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」 「4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。
②経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況、2 事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.当期の財政状態の概況
連結財政状態
(単位:千円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
資産合計 |
23,219,257 |
30,296,980 |
7,077,722 |
負債合計 |
10,450,153 |
11,030,734 |
580,581 |
資本合計 |
12,769,104 |
19,266,246 |
6,497,141 |
資産合計
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて7,077,722千円増加し、30,296,980千円となりました。これは、主として、当社グループの資金調達活動から来る現金及び現金同等物の増加によるものです。
負債合計
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて580,581千円の微増で、ほぼ前連結会計年度末と同じ11,030,734千円となりました。
資本合計
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べて6,497,141千円増加し、19,266,246千円となりました。これは、主として、当社が行った第三者割当による新株式発行によるものです。
b.当期のキャッシュ・フローの概況
連結キャッシュ・フロー
(単位:千円)
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
差額 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,377,519 |
552,268 |
△825,251 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
570,205 |
△260,639 |
△830,844 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
801,115 |
2,853,211 |
2,052,095 |
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度と比べて825,251千円減少し、552,268千円となりました。主な要因は、税引前利益であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べて830,844千円減少し、260,639千円の支出となりました。主な支出は、中国にあるBCの工場におけるアイスーリュイとF351双方向けの設備増強などから来る有形固定資産の取得によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの収入は、前連結会計年度と比べて2,052,095千円増加し、2,853,211千円となりました。主な収入は、Cullgenの資金調達に伴う非支配持分からの払込による収入であります。
c.財務政策
当社グループの核となる事業は医薬品開発であります。当社グループでは、自社グループ内にて当該医薬品候補化合物の収益化を成功させることに目を向けており、中国市場においてはアイスーリュイにてそれを成し遂げております。これにより、当社グループは、十分なキャッシュ・フローを創出し、利益を得ることと、将来の売上収益獲得のために当社グループの医薬品開発パイプラインに継続的な投資を行うこととの両方を実現させるという経営戦略を遂行できるようになりました。このためには、研究開発費と売上利益とのバランスを慎重に保つという厳しい財務政策が必要とされます。
当社グループは主として、上記戦略遂行によって生み出された内部留保資金を当社グループの事業運営に活用しますが、当社経営陣は、医薬品開発のリスク及び将来の金融市場混乱の可能性を予見できないことを依然として認識しております。従いまして、当社グループの事業継続を確かなものにし、また、新たな事業機会が訪れた際に先手を打てるに十分な資金を保有しておくため、場合によっては外部資金調達に取り組むことがあります。そのような外部資金調達を行う場合においても、当社への出資拡大に伴う希薄化を最小限に抑えると共に、当社グループの成長を支援して頂ける長期安定投資家の探索に努める方針であります。
当連結会計年度において予定している設備投資に係る資金需要の主なものは「第3 設備の状況、3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
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